信用保証協会の審査は厳しい?審査基準と審査難易度を解説

融資を受けるために、信用保証協会から保証を受けることを検討している人のなかには「信用保証協会の審査は厳しいのか?それとも甘いのか?」と気になっている人もいますよね。申し込むにあたり、信用保証協会の審査で何を見られているかも把握しておきたいところです。

当記事では、信用保証協会の審査が厳しいかどうかを解説します。信用保証協会の審査基準や審査難易度についても解説するので、信用保証協会から保証を受けようと検討している人は参考にしてみてください。

信用保証協会の審査は厳しいとも甘いとも言えない

信用保証協会の審査は厳しいとも甘いとも言うことができません。信用保証協会の審査基準は公表されておらず、審査を客観的に評価することはできないためです。

たとえば、お金を借りた人(債務者)が返済できなかった場合、信用保証協会は保証人として返済の義務を果たす役割を担っています。そのため、信用保証協会の審査は債務の保証をして問題ないかどうかを判断するために実施していると想定できます。

信用保証協会と金融機関では、それぞれ役割が異なるので、信用保証協会と金融機関の審査難易度を比較するのは不可能です。融資実行の際にお金を貸す役割を担うのが金融機関で、その際の保証の役割を担うのが信用保証協会という位置づけになります。

【信用保証協会と金融機関の役割】
信用保証協会の役割 保証承諾した事業者の債務を保証する
金融機関の役割 事業者に対して融資を実行する(事業に必要な資金を貸し付ける)

なお、金融機関の審査に通過したからといって、信用保証協会の審査に通過するとは限らない点に注意が必要です。審査に通過するかどうか不安な場合は事前審査もできるので、希望する人は申込先の金融機関に相談するとよいでしょう。

信用保証協会の審査を受ける予定の人は「信用保証協会の審査に落ちる原因を解説」も参考にしてみてください。

保証審査のポイントを公開している信用保証協会もある

全国51か所にある信用保証協会のなかには、保証審査のポイントを公開している信用保証協会もあります。公開情報は信用保証協会ごとに異なりますが、公式サイトや配布資料上で保証審査のポイントを解説している場合があります。

たとえば、東京信用保証協会の公式サイトにある「東京信用保証協会のご案内」には、「保証資格」「資金使途」「返済能力」「経営者」の4点を重点的に審査する旨を記載しています。

【東京信用保証協会が公開している保証審査の4つのポイント】
審査のポイント ポイントの具体的な内容例
保証資格 規模や業種等の各要件
資金使途 借入目的、必要性、効果等
返済能力 資金繰り、資金調達力、財務諸表等
経営者 企業経営力、経営意欲、信頼性等

信用保証協会によっては審査で重視するポイントを公表していない場合もありますが、どの信用保証協会も債務の保証という役割を担っている点は同様なので、東京信用保証協会が公表している審査のポイントは参考になるでしょう。

なお、審査や面談時に不安がある人は、当社株式会社SoLabo(ソラボ)にお問い合わせください。当社では、金融機関から融資を受ける際の必要書類の作成や面談へのアドバイスをお手伝いしています。相談は無料なので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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信用保証協会の審査は申込者の状況によっても異なる

信用保証協会が審査の際に重視する点は、申込者の状況によっても異なります。申込者の状況が創業時なのか、既に事業を開始しているのかでも確認する項目が異なるためです。

創業時はまだ実績がないため、審査の際は事業計画や過去の経験を確認するしかありません。既に事業を開始している場合は、決算書から実際の売上高などを判断できるので、審査の際は実績を確認できます。

また、利用する制度によっては、信用保証協会側で重視する点が異なる場合があります。信用保証協会の保証制度は、地域ごとに保証制度が用意されており、制度の主旨や目的によっては重視する点が変わる可能性があります。

信用保証協会には、創業融資のほかに、セーフティネット保証、流動資産担保融資、当座貸越根保証などのさまざまな保証制度があり、利用条件や必要書類も異なります。保証に申し込む際は、利用する保証制度の利用要件を確認してから申し込みましょう。

創業時の審査では事業計画が重視される

創業時の審査では、事業計画を重視する傾向があります。創業者の場合はまだ実績がないので、信用保証協会側は事業計画から保証を承諾して問題ないかを判断しているためです。

たとえば、創業融資の信用保証協会の審査では、創業計画書や信用保証委託申請書の提出が必須です。創業計画書には「事業内容」「創業の目的」「強みやセールスポイント」「資金調達方法」を記載するので、事業の詳細を確認できます。

創業計画書の記入例を知りたい人は「【専門家監修】銀行融資を受ける際の事業計画書の書き方を解説|テンプレートも紹介」を参考にしてみましょう。

既存事業者の審査では事業実績が重視される

既存事業者の場合、審査では事業実績を確認する傾向があります。既に事業を開始している場合は、創業と違って過去の実績を見ることができるからです。

具体的には、既に事業を開始している場合、直近2期分の決算書をみれば、増収や増益などの業績を確認できます。また、個人事業主の場合は決算書の代わりに確定申告書の提出が求められます。

なお、決算書上の数字が赤字の場合でも、赤字の要因や今後の対策を説明できることが重要です。全国信用保証協会連合会の「よくあるご質問」では、「赤字決算でも保証を受けられますか?」という質問に「赤字だけを理由に保証をお断りすることはありません。赤字の原因や経営意欲・事業計画などを総合的に検討し、判断しています」という旨を回答しています。

決算が赤字という人は、経費削減の計画など、融資を受けた後にどのような改善を行うかを説明できるように準備を進めましょう。

事業実態の有無も確認される

既存事業者の場合、事業実態があるかどうかも確認される傾向があります。事業実態がなければ、融資実行後に借入金が返済されず、信用保証協会が代わりに返済しなければならない事態に陥るためです。

たとえば、東京信用保証協会のには、「法人の場合は本店又は事業所のいずれかを東京都内に有し、事業を営んでいることが必要です。本店とは、単なる登記上の所在地というだけではなく、事業実態があることが必要です」という旨が記載されています。

本店をバーチャルオフィスに置いている場合などは事業の実態があるかを把握できず、信用保証協会からは「事業実態がない」と判断され、保証を受けられない可能性があります。

事業実態を把握するために事務所や事業所で面談を実施する場合もあるので、信用保証協会を利用する予定の人は覚えておきましょう。

利用条件を満たしていない人は信用保証協会に申し込めない

信用保証協会で定められている利用条件を満たしていない人は、保証を申し込むことはできません。利用条件を満たしていない人は審査以前に申し込むことができないので、申込前に必ず信用保証協会の公式サイトから利用条件を確認しておきましょう。

利用対象外の業種を営む人

利用対象外の業種を営む人は信用保証協会に申し込むことができません。具体的には、農業、林業、狩猟業、漁業や金融業、保険業、学校法人、宗教法人などが利用対象外の業種に指定されています。

【東京信用保証協会の対象外業種一覧】
保証対象外業種 摘要
農業 ただし、次の業種は除く。
・荒茶、仕上茶の製造業
・もやし栽培農業
・蚕種製造業
・蚕種製造請負業
・菌床栽培方式きのこ生産業
・苗床栽培方式のかいわれ大根製造業
・人工ふ卵設備を有する鶏卵ふ化業及びふ卵業
・家畜貸付業
・園芸サービス業
・蹄鉄修理業
林業 ただし、次の業種は除く。
・素材生産業及び素材生産サービス業
・製造加工設備を有する製薪炭業、薪請負製造業、炭焼請負業及び炭賃焼業
狩猟業 全業種
漁業 全業種
水産養殖業 ただし、加工まで一貫して行う真珠養殖業を除く
金融業、保険業 ただし、保険媒介代理業及び保険サービス業を除く
卸売業、小売業(飲食業を除く)、浴場業、娯楽業、物品賃貸業、宿泊業及びインターネット附随サービス業等のうち右に該当するもの 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業
飲食業のうち右に該当するもの 風営法第3条第1項の風俗営業の許可を受けているもののうち、公序良俗に反するなど社会的批判を受けるおそれのあるもの
サービス業のうち右に該当するもの 取立業(公共料金又はこれに準ずるものに関する集金・取立業を除く。)
学 校 学校法人が経営するもの
宗教、 政治・経済・文化団体その他の非営利事業及び団体(NPO法人を除く。)、LLP(有限責任事業組合) 全業種

出典:ご利用いただけない中小企業とは|東京信用保証協会

たとえば、農業は一部の業種を除いて利用対象外の業種に指定されています。例外として、製造加工設備を有する場合は、農業信用基金協会との連携で信用保証制度を利用できる可能性があります。

保証対象外の業種であっても、保証の相談が可能な場合があるので、対象になるかどうか判断に迷う場合は、信用保証協会に相談してみましょう。

過去に債務不履行や遅延、滞納がある人

過去に受けた融資で債務不履行の人や、税金の支払い遅延や滞納の履歴があり完納が見込めない人は、信用保証協会を利用することはできません。信用力に問題があると判断されるためです。

たとえば、税金の支払い状況は「納税証明書」から分かるので、申込時に提出を求められます。納税証明書の請求手続きは、国税庁の「納税証明書の交付請求手続」で確認することができるので、信用保証協会を利用する予定の人は確認してみてください。

反社会的勢力に該当する人

申込人または保証人が反社会的勢力に該当する場合、信用保証協会に申し込むことはできません。信用保証協会は公的機関として企業の育成をサポートするという社会的責任を負っているため、暴力団等の反社会的勢力への信用保証は不可能だからです。

たとえば、信用保証協会を利用する際に提出する「信用保証委託契約書」には、反社会的勢力を排除する旨の条項が定められています。条項には、委託者本人または保証人が暴力団等の反社会的勢力に該当しないこと、またはそれに類する行為を現在かつ将来にわたり行わないことなどが挙げられます。

信用保証協会に申し込む予定の人は、暴力団等の反社会的勢力は信用保証の対象にならないと覚えておきましょう。

破産や民事再生、会社更生等の法的手続中の人

破産、民事再生、会社更生等法的手続中の人(申立中の人を含む)または私的整理の手続中の人は、信用保証協会を利用できません。返済の見込みが低いと見られ、信用保証の利用対象にはならないためです。

破産、民事再生、会社更生等法的手続中で、今後信用保証付き融資を検討している人は、まずは手続きの完了を進めましょう。

銀行取引停止処分を受けている人

手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分を受けている場合、信用保証協会を利用することができません。また、法人の代表者個人が手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分を受けている場合も、信用保証協会を利用することができません。

銀行取引停止の処分を受けると、全ての金融機関との当座預金取引や融資を受けることが2年間できなくなるので、信用保証付き融資そのものを利用できません。銀行取引停止処分を受けていて、資金調達を希望する人は、融資以外の方法を検討しましょう。

信用保証協会に代位弁済の求償債務が残っている人

信用保証協会に求償債務が残っている人や信用保証協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている人は、信用保証協会に申し込むことができません。

求償債務とは、債務を肩代わりしてくれた人へお金を返済する義務のことです。返済ができなくなり、信用保証協会に債務を肩代わりしてもらった場合、債務者は信用保証協会が代わりに支払ってくれた分を最終的に信用保証協会へ返済しなければなりません。

信用保証協会への返済が残っている限り、保証を申し込むのは不可能です。債務を肩代わりしてもらっている人は、まずは信用保証協会への返済を完済することを検討しましょう。

休眠会社として解散したものとみなされている法人

休眠会社として解散されたものとみなされている法人は、信用保証協会に申し込めません。法人として機能していないと判断されるためです。休眠会社とは、登記自体はされているものの、経営などの事業活動が長期間に渡り確認できない会社です。

具体的には、最後の登記後12年以上経過した株式会社は、新会社法第472条の規定により休眠会社として認定されます。その後2か月以内に事業を廃止していないことを示す届出を出さなかった場合は、解散したものとみなされてしまいます。

会社設立の手間を省くために、休眠会社を買い取った上で信用保証付き融資を受けようとしている人は、買い取った会社が解散とみなされる恐れがある点に注意してください。

まとめ

信用保証協会の審査基準は公表されておらず、審査について厳しいとも甘いとも言うことができません。信用保証付き融資では、信用保証協会と金融機関の2機関で審査がありますが、両者の役割は異なるため、審査の難易度を比較することも不可能です。

ただし、全国の信用保証協会のなかには、保証審査のポイントを公開している機関もあるので、公式サイトや配布資料を事前に確認してみましょう。

また、申し込みの際は信用保証協会を利用できない業種に該当しないかどうかを必ず確認してください。ただし、利用対象外業種に該当するとしても、場合によっては保証を相談できる可能性があるので、不安な人は最寄りの信用保証協会の窓口に問い合わせてみるのがよいでしょう。

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