売掛債権を現金化 ファクタリングの流れと注意点について

「従業員の給与が払えない」「一時的に資金が不足してしまいそう」という困った事態に直面した際、ファクタリングの利用を検討したことがある事業主の方は少なくないかもしれません。

ファクタリングとは売掛債権(取引先等からの未払いの代金を請求することが出来る権利)をファクタリング業者へ売却することで、入金予定日よりも早く売掛金を現金化する手法です。

今回の記事では、ファクタリングを利用するまでの流れやファクタリング利用時の注意点をご紹介していきます。

ファクタリングとは

売掛金を売却し、現金化できるという説明の図

自社の商品やサービスを取引先へ販売し、その際の代金がまだ取引先から支払われていないお金のことを売掛金と言います。その未払いの代金を請求することが出来る権利を売掛債権と言いますが、個人事業や会社が所有している売掛債権をファクタリング業者へ売却することによって現金化する手法のことをファクタリングと言います。

ファクタリングのより詳しい情報は「ファクタリングって何?3分でわかるファクタリングの基礎知識」をご参照下さい。

金融機関からの融資とファクタリングの違い

返済義務の有無の違い

ファクタリングは売掛債権を売却し現金化するものなので、資金調達方法の1つとしても考えられます。資金調達と聞くと、金融機関から資金を借りる融資をイメージするかもしれませんが、同じ資金調達方法でも借りた資金の返済を行う融資と、返済がないファクタリングでは大きく異なります。

利用条件の違い

融資では、“事業を始めようと思っている方”や“これから事業を始める方”も対象に利用が可能ですが、ファクタリングでは売掛債権を所有していることが利用の条件となりますので、既に事業を始めている会社での利用が前提となります。個人事業主の方でも売掛債権を所有していれば利用は可能となりますが、ファクタリング会社による審査の基準が、会社と比べると非常に高く、結果、利用することは困難という現状です。

ファクタリングは「事業資金が一時的に不足している」「売掛金を早く現金化したい」方向けの資金調達手段で、融資は「これから事業を始めたい」「新規事業のために資金が必要」方向けの資金調達手段です。

ファクタリング→売掛金の売買  融資→お金の借入

ファクタリング利用時の注意点

ファクタリングを利用するには、まず利用したいファクタリング業者を選択することから始めていきますが、数多くあるファクタリング業者の中には悪徳なファクタリング業者も存在しているため、注意しなければなりません。利用したいファクタリング業者が決定したら、失敗しないためにも下記の項目を確認することを忘れないようにしましょう。

(1)契約書発行時にすぐに控えを渡してもらえるか

悪徳業者の場合、その場で交わした契約書を、後々改ざんする可能性があります。契約時に確認した手数料や入金日が改ざんされてしまっても、契約書の控えを受け取っておくことで、契約内容を確認することが出来ます。契約書の控えは必ず契約時にすぐに受け取るようにしましょう。

(2)現金の入金日は適当か

ファクタリングを利用しての現金化は、ファクタリング業者と自社の2社間ファクタリングでは最短で1日、平均で2~4日、ファクタリング業者と自社と売掛先(取引先)の3社間ファクタリングでは平均で10~20日です。このことを踏まえて、入金日がいつなのかを契約前に確認し、またその入金日が適当かを判断しましょう。

(3)手数料額は相場の範囲内か

ファクタリングでは利用手数料をファクタリング業者へ支払いますが、手数料の金額は各ファクタリング業者やファクタリングを利用する会社の年商等で変わってきます。各業者や年商での違いがあっても、手数料の目安は15~20%です。利用予定のファクタリング業者の手数料と相場を見比べた時に、正当な金額となるのかを見極めましょう。

※ファクタリング手数料には消費税がかからないため、消費税を請求してくる業者には厳しく言っていいでしょう。

(4)請求額(手数料)の内訳に取違えがないか

ファクタリング会社へ支払う手数料は、全額がファクタリング会社の利益となるわけではありません。手数料の内訳は表のとおりとなっています。表上の一番右の欄は、150万円の売掛債権を手数料15%でファクタリング業者を利用した際の例です。手数料が15%となるため、ファクタリング業者へは22万5000円を支払い、支払った手数料が各項目でどのくらいの金額になるのかの目安を表しています。

手数料内訳 手数料に対する各項目の割合 金額の例
ファクタリング会社の利益 約35% 7万8750円
債権譲渡登記費用 約40% 9万円
登記時の印紙代 約10% 2万2500円
交通費や紹介料 約15% 3万3750円

表の通り、手数料の内訳で一番高い金額が、債権譲渡登記費用となる事を覚えておきましょう。

(5)請求額・請求書の確認をすぐに取らせてくれるか

費用の請求額は、契約の前に書面での提示が一般的です。契約を結ぶまで請求額を伝えてこない、書面での提示を拒む業者は悪徳業者の可能性が高いです。契約の前に書面を見ながら提示してくる業者と契約を結ぶようにしましょう。

(6)業者の実績や評判は信頼できるものか

日本でファクタリングが普及し始めた理由として「手形取引の下落」「政府による法整備の改善」があります。法の改正が行われ、債権譲渡をしやすくなったことから、中小企業によるファクタリング利用が急増し、ファクタリング業者の数も増え、国内に存在するファクタリング業者は1000社を超えます。業者が増えるということは、良からぬことを考える悪徳業者も当然増え続けます。

本当に信頼できる業者かどうかを見極めるためにも、利用者からの評判は非常に重要です。ネット上にはファクタリング業者を紹介しているサイトも多く、そこから利用者の評判や業者の実績を確認することが出来ます。契約を結ぶ前に必ずその業者の実績や評判を確認するようにしましょう。

ファクタリング利用までの流れ

① 業者選び

2社間ファクタリング・3社間ファクタリング共に、上記でご説明した「ファクタリング利用時の注意点」を頭に入れておき、利用したい業者を選択していきます。ファクタリング業者を見つける際に、業者選びに失敗しないためにも1社に絞るのではなく、数社(3社~5社)を比較するようにしてください。

また、自分にとって最も良いファクタリング業者を選ぶためにも各社での相見積もりを利用するようにしましょう。多くのファクタリング業者では、HP上に「A社 2.0%~」「B社 1.0~5.0%」「C社 審査次第」のようにはっきりした手数料が記載されていないことが多く、実際に見積りを行ってみることで大きな差が出ることもあります。

比較する業者がある程度固まった段階で相見積もりを行い、以下のチェック項目から、最も条件の良いと判断できるファクタリング業者を1社、選択してください。

□いつまでに入金してもらえるか
□手数料(見積り結果)はいくらとられるか
□サービス内容の詳細はどうなっているか

② 利用申込み

利用するファクタリング業者が決定したら、申し込みまでょう。申し込み方法は「電話」「メール」「WEB」の3択が基本となりますが、理想的な申込方法は「メール」と「WEB」です。全ての申込方法で聞かれる内容が、申込日時・希望金額・希望条件(入金日や手数料等)ですが、メールやWEBでの申込は、申込内容を文字で残すことが出来ます。万が一、契約時に希望条件と異なる内容を提示されても、文字を残しておくことで主張を証明することが出来ます。

③ 審査

ファクタリング利用が可能な会社かどうかを判断するために、ファクタリング業者からの審査が始まります。審査に必要な書類の提出が求められるため、あらかじめ準備しておきましょう。必要となる書類は以下の表からご確認ください。

身分を確認できるもの(免許証・マイナンバーカード・パスポート 等)
入手金の通帳(WEB通帳も可)
取引先との契約関連書類(請求書・見積書・契約書 等)

すぐに書類の提出ができる状態であれば、早くてその日に審査結果を聞くことが出来ます。審査期間は長くても3日程度と見ておくと良いでしょう。

④ 契約の締結

審査が通った後はファクタリング業者との契約です。契約には審査時とは異なる書類の提出を求められるため、こちらも合わせて準備しておくことで滞りなく取引ができるようになります。契約時の提出書類は以下の通りです。

登記簿謄本 印鑑証明書 納税証明書

提出完了後、契約書に署名と捺印を行い、契約成立となりますが、ここでの注意点が契約書の内容にしっかりと目を通すことです。安心してしまって適当に目を通してしまうと、申込時とは異なる内容での契約を交わされてしまう可能性もあります。しっかりと契約内容を確認したうえで、契約を結びましょう。

⑤ 債権の譲渡(3社間ファクタリング利用時のみ)

「契約の締結」までの流れは、2社間ファクタリングでも3社間ファクタリングでも同様の流れでしたが、この「債権の譲渡」は3社間ファクタリング利用時のみ関わってくることです。

3社間ファクタリングの場合、ファクタリング業者と自社の他に取引先も交えての契約になるため、その契約の承諾を取引会社からも受けなくてはいけません。行うこととしては、「債権譲渡契約書」に捺印をするということですが、その書類を自社と取引先とで回したり、多少の手間がかかります。

その反面、売掛金は取引先が直接ファクタリング業者に入金することになるため、自社が送金を行う手間が省けると同時に、ファクタリング業者からしたら、自社が入金された売掛金を送金せずに回収不能となる心配も省くことが出来るため、手数料は安くなるという特徴があります。

⑥ 現金の入金

2社間ファクタリング・3社間ファクタリング共に、上記までの流れが終わった後に、ファクタリング業者から現金の入金が行われます。売掛金の額が振り込まれるのではなく、売掛金から手数料が引かれた金額が振り込まれることになるので、ご注意ください。

⑦ 売掛金の振込

2社間ファクタリング

取引先から自社へ、売掛金の入金がされた時点で、その金額をファクタリング業者へ送金します。自社がファクタリング業者へ売掛金の送金を行った時点でファクタリング取引が終了となります。

3社間ファクタリング

取引先は売掛金支払いの準備が整った時点で、その金額を自社ではなくファクタリング業者へ入金します。取引先がファクタリング業者へ売掛金の入金を行った時点でファクタリング取引が終了となります。

以下のような場合でも利用が可能

ファクタリングでは以下のような状況の方でも、要件を満たしていることで利用することは可能です。

・銀行融資を断られてしまった

・ビジネスローンを断られてしまった

・金融機関への追加融資を断られてしまった

・銀行融資の返済条件の変更中(リスケジュール)である

・収入よりも支出が上回っている(赤字決算)状態になってしまった

・資産を全て売却しても、返済しきれない(債務超過)状態である

・担保不動産は所有していない

・保証人はいない

・税金を滞納してしまっている

・個人の支払情報(信用情報)に問題がある(ブラックリストに載っている 等)

・金融機関や取引先にばれることのないように資金調達をしたい

融資では、上記のような状況での資金調達は非常に厳しく、審査でもマイナス要素とされ大きく影響する傾向があります。ファクタリングの場合、上記の場合でも、要件を満たしていれば利用することができます。

まとめ

ファクタリングを利用する上で重要なのは「業者選び」です。1社を見て決めてしまうのではなく、数社を比較することで、自分にとってより良い条件での利用が可能です。

また、「2社間ファクタリング」の利用時にはありませんが、「3社間ファクタリング」の利用時では「債権の譲渡」が契約の締結後にあるということを忘れないようにしましょう。

金融機関からの融資を利用する場合、審査や手続きに最短でも1カ月はかかってしまいます。

もし資金繰りに悩んでいて、融資の手続きを踏むほど時間に余裕がなく、売掛金を所有している方は、最短1日で資金が手に入るファクタリングで資金調達する方法を検討するのも選択肢のひとつです。ただし、一時的な資金調達の場合に限り、計画的な利用を心がけましょう。

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