自己資金なしでも日本政策金融公庫から融資を受けられるのか?

飲食店や美容室など、起業を考えている人の中には、創業資金として日本政策金融公庫から融資を受けることを検討中の人もいますよね。その際、「自己資金がない人も日本政策金融公庫から融資を受けられるのか?」と気になる人もいるでしょう。

当記事では、「自己資金なしでも日本政策金融公庫から融資を受けられるのか?」を解説していきます。必要となる自己資金の目安も解説しているため、創業資金として日本政策金融公庫から融資を受けることを検討中の人は参考にしてみてください。

自己資金がない人は融資を受けられない可能性がある

日本政策金融公庫では、自己資金がない人は融資を受けられない可能性があります。とくに、自己資金がゼロの人は融資を受けられない可能性があるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は注意が必要です。

創業融資における自己資金とは、事業に使用する予定の資金のことです。日本政策金融公庫の公式サイトにも「事業に使用される予定のない資金は本要件における自己資金に含まない」といった旨が記載されています。

たとえば、日本政策金融公庫の公式サイトにある「新創業融資制度の概要」には、「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」という要件があるため、新創業融資制度を利用できるのは原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金がある人です。

また、日本政策金融公庫の担当者に「自己資金がない人も融資を受けられますか?」と質問したところ、「自己資金がない人も申し込めますが、自己資金があるほうが望ましい」との回答でした。

自己資金がない人は融資を受けられない可能性があるため、不安な人は申し込む前に一度、融資の専門家に相談することも検討してみてください。

なお、創業融資を受けられるかどうか気になる人は、SoLabo(ソラボ)の無料診断をお試しください。6,000件以上の融資サポートの実績がある当社が、現在の自己資金からいくらの融資が受けられるかを診断します。

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自己資金がゼロの人も要件を満たしている場合がある

日本政策金融公庫の融資制度によっては、自己資金がゼロの人も自己資金に関する要件を満たしている場合があります。所定の条件を満たしていれば、自己資金に関する要件も満たしていることになるからです。

たとえば、日本政策金融公庫の公式サイトにある「新創業融資制度の概要」には、「現在お勤めの企業と同じ事業を始める方や産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方は本要件を満たすものとします」といった旨が記載されています。

具体的には、「現在の企業に継続して6年以上勤めている人」や「現在の企業と同じ業種に通算して6年以上勤めている人」が該当します。また、「都市銀行や信用金庫などの民間金融機関と日本政策金融公庫による協調融資を受けて事業を始める人」なども含まれます。

ただし、日本政策金融公庫の担当者に「所定の要件を満たしていた場合、自己資金がゼロでも融資を受けられますか?」と質問してみたところ、「所定の要件を満たしている方も自己資金があるほうが望ましい」との回答でした。

あくまでも自己資金の要件となるため、実際に融資を受けられるかどうかは、面談での担当者の判断になります。詳しく知りたい人は、日本政策金融公庫の公式サイトにある「新創業融資制度の『自己資金の要件を満たすものとする要件』」を確認してみましょう。

必要となる自己資金は創業資金総額による

日本政策金融公庫から融資を受ける際、必要となる自己資金は申込者ごとに異なります。必要となる自己資金は創業資金総額によるからです。

創業資金総額とは、創業時に使用する予定の資金総額のことです。日本政策金融公庫から融資を受ける際、原則として創業資金総額から自己資金を引いた金額を借り入れることなります。

たとえば、新創業融資制度の融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)ですが、申込者の条件が「創業資金総額1,000万円」「自己資金100万円」だった場合、実際の融資額の上限は「1,000万円-100万円=900万円」が目安です。

また、新創業融資制度の場合、原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要になるため、自己資金の最低金額と融資額の上限は、以下のようになります。

【新創業融資制度における自己資金の最低金額と融資額の上限】
項目 自己資金の最低金額 融資額の上限
創業資金総額が100万円の人 最低10万円 最大90万円
創業資金総額が200万円の人 最低20万円 最大180万円
創業資金総額が300万円の人 最低30万円 最大270万円
創業資金総額が400万円の人 最低40万円 最大360万円
創業資金総額が500万円の人 最低50万円 最大450万円
創業資金総額が1,000万円の人 最低100万円 最大900万円

自己資金が50万円ある人は最大450万円の融資を受けられる計算ですが、創業資金総額が100万円だった場合は「100万円(創業資金総額)-50万円(自己資金)=50万円(必要資金)」となるため、融資額の上限は50万円になる可能性があります。

ただし、実際に融資を受けられる金額は自己資金に加え、面談時の説明や創業計画書の内容など、申込者の情報から総合的に判断されます。自己資金があっても融資を受けられるとは限らないため、自己資金と融資額の関係が気になる人は目安程度に考えておきましょう。

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自己資金を貯めている人は創業資金総額の2割を目安にしてみる

自己資金を貯めている人は、まずは創業資金総額の2割を目安にすることを考えてみましょう。日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は約2割だからです。

たとえば、1,000万円の創業資金総額を予定している人は「1,000万円×0.2=200万円」を自己資金の目安にする計算です。また、500万円の創業資金総額を予定している場合は「500万円×0.2=100万円」を自己資金の目安にする計算となります。

創業資金総額の2割以上の自己資金があっても融資を受けられるとは限らず、全体の2割の自己資金がなくても融資を受けられる可能性はありますが、ひとつの目安にはなるため、自己資金はどれくらいあればいいのか迷っていた人は参考にしてみてください。

なお、創業資金総額に占める自己資金の割合が知りたい人は、日本政策金融公庫の公式サイトにある「創業計画Q&A」も参考にしてみましょう。

融資を受けたい人は自己資金として認められるものを把握しておく

日本政策金融公庫から融資を受けたい人は、自己資金として認められるものを把握しておきましょう。申込者の条件によっては、自己資金として認められない場合があるからです。

【自己資金の一例】

項目 一例
自己資金として認められる傾向があるもの ・現金預金(貯金)
・資本金
・退職金
・みなし自己資金
・第三者割当増資
・資産を売却した資金
自己資金として認められない傾向があるもの ・タンス預金
・親からの贈与
・返済義務のあるお金

自己資金として認められるものは、自身の口座に振り込まれている現金預金(貯金)です。銀行や郵便局に預けているお金など、振込履歴を確認できるお金は自己資金として認められる傾向があります。

また、個人投資家やベンチャーキャピタルからの出資による資本金は自己資金として認められない可能性もありますが、自ら貯めた資本金は自己資金として認められる傾向があります。自ら貯めた資本金がある人は、自己資金として使用することも検討してみてください。

一方、タンス預金や親からの贈与は、自己資金として認められない傾向があります。とくに、「金庫や貯金箱にある出所が不明のお金」や「クレジットカードやカードローンなどの借入金(返済義務のあるお金)」は、自己資金として認められない可能性があります。

ただし、日本政策金融公庫の担当者に「タンス預金や親からの贈与は自己資金として認められますか?」と質問してみたところ、「出所が証明できれば、タンス預金や親からの贈与によるお金も自己資金として認められる場合がある」との回答でした。

「生命保険や学資保険などの解約返戻金」や「投資信託や有価証券などの株式」など、資産を売却したお金も自己資金として認められる可能性はありますが、すぐに使えるお金かどうかを確認する目的として、担当者に換金にかかる時間を尋ねられる傾向があります。

解約返戻金や株式を自己資金として考えている人は、日本政策金融公庫に申し込む前に一度、換金にかかる時間を確認しておきましょう。

親から自己資金の援助を受ける人は口座振込にしてもらう

親から自己資金を援助してもらう場合、借入先として日本政策金融公庫も考えている人は口座振込にしてもらうことを検討してみましょう。口座振込にしてもらうことにより、親から自己資金を援助してもらったことの証明になるからです。

日本政策金融公庫では、親からの贈与は自己資金に含まれない傾向があります。日本政策金融公庫が用意している創業計画書のテンプレートには、「親、兄弟、知人、友人等からの借入」という項目があるため、親からの資金援助は原則として借入扱いになります。

しかし、口座振込にしてもらえば、自身の預金通帳から振込履歴を確認できるため、親から自己資金を援助してもらったことを証明できます。少なくとも出所が不明のお金とはならないため、日本政策金融公庫の担当者によっては考慮してもらえる可能性もあります。

親からの資金援助は原則として自己資金に含まれないですが、日本政策金融公庫の担当者にお金の出所を証明するためにも、親から自己資金の援助を受ける人は口座振込にしてもらうことを検討してみましょう。

見せ金は自己資金として通用しない

日本政策金融公庫から融資を受ける際、見せ金は自己資金として通用しません。日本政策金融公庫の審査では、記帳した通帳原本を確認されるからです。

見せ金とは、相当する資金があるかのように見せかけるお金のことです。創業融資においては、第三者から一時的に借り入れ、自己資金があるかのように金融機関に提示し、審査が終了した後に借りたお金を返済する行為を指します。

日本政策金融公庫の場合、記帳した通帳原本を確認されます。その際、6か月程度の入出金が記帳された通帳原本の提示を求められるため、一時的な自己資金は通用しません。

また、見せ金は悪質な行為として詐欺罪に問われるおそれもあります。詐欺罪は刑法第二百四十六条により規定され、刑罰は10年以下の懲役となるため、日本政策金融公庫から融資を受けることを検討中の人は予備知識として覚えておきましょう。

なお、預金通帳に関する情報が知りたい人は、「日本政策金融公庫の審査における預金通帳を解説」を参考にしてみてください。

自己資金の目途が立った人は創業計画書を作成することも検討しておく

自己資金の目途が立った人は、創業計画書を作成することも検討しておきましょう。日本政策金融公庫に申し込む際には、担当者から創業計画書の提出を求められるからです。

創業計画書とは、事業を始める際、事業内容を説明するために作る書類のことです。創業計画書は事業計画書に含まれ、創業計画書と事業計画書を同じ意味として扱うこともあります。

たとえば、日本政策金融公庫が用意している創業計画書のテンプレートには、「創業の動機」や「必要な資金と調達方法」といった項目があります。そして、「必要な資金と調達方法」の項目には、自己資金の金額を記入する欄があります。

なお、日本政策金融公庫の公式サイトにある「よくあるご質問 創業をお考えの方」には、自己資金は重要な要素のひとつですが、それ以上に創業計画全体がしっかりしているかが重要になります」という旨が記載されています。

そのため、自己資金の目途が立った人は、提出書類のひとつとなる創業計画書を作成することも検討しておきましょう。創業計画書の書き方については、日本政策金融公庫の公式サイトにある「創業計画書【記入例】」を参考にしてみてください。

まとめ

日本政策金融公庫から融資を受けるには、自己資金は重要な要素のひとつです。しかし、あくまでも自己資金は創業計画の一部となるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は、まずは創業計画全体を見直すことも検討してみましょう。

また、融資額の上限は創業資金総額から自己資金を引いた金額が目安です。融資額を考える際は「自己資金の何倍の金額」ではなく「創業資金総額から自己資金を引いた金額」となるため、自己資金から融資額の目安を知りたい人は覚えておきましょう。

なお、事前準備や審査に不安がある人は、株式会社SoLabo(ソラボ)にご相談ください。6,000件以上の資金調達を支援してきたノウハウをもとに、資料作成や面談対策など、一連の流れをサポートいたします。

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