起業と聞くと、会社を設立しなければならないと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、選択肢はそれだけではありません。
まずは個人事業主として事業をスタートし、安定した売上を上げられるようになってから法人成りすることも可能です。
そこで今回は、個人事業主と会社を設立、どちらで起業すべきかご紹介します。
目次
1.事業を行う上でどちらが有利?
個人事業主として事業を行う場合、管轄の税務署に開業届を提出すれば開業できます。
もしビジネス上特に支障がないのであれば、最初は法人ではなく個人事業主として起業する方がおすすめです。
身近にある飲食店や美容院など、意外と個人事業主として運営しているお店は多いです。
一般消費者を対象とした商売であれば、まずは個人事業主としてスタートした方が良い場合があります。
こちらの記事で、個人事業主と会社設立の違いを詳しく説明していますので、あわせてご参照ください。
起業したい人はチェック!個人事業主と法人のメリット・デメリット
2.個人事業主でも融資は受けられるの?
起業する際、重要になるのが「資金調達」です。
「法人の方が融資を受けやすそうだから、会社を設立したほうがいいんでしょうか?」というご質問を頂くことがあります。
結論から言うと、個人事業主でも法人でも融資を受けられる可能性に違いはありません。
3.資金調達の理想と現実
中小企業庁のデータによると、約3割の会社や個人事業主が創業後1年以内には廃業しています。
また、3~5年間で見てみると、全体の40~60%の会社しか存続していません。
約半数の会社が数年以内に撤退しているということですね。
中小企業庁が公表している『中小企業白書・小規模企業白書』(2017年版)の調査結果では、創業時と創業から2~3年の成長初期の会社が、一番の課題として挙げているのが「資金調達」です。
「創業期に利用したかった資金調達方法」では、48.8%が「民間金融機関の借入れ」を希望しているにも関わらず、実際に利用した「利用した資金調達方法」では「経営者本人の自己資金」が80.2%と大多数を占めており、理想と現実にギャップが生じていることがわかります。
加えて、『中小企業における資金調達の実態』(みずほ総合研究所2016年)を見ると、約4割の中小企業が資金調達の方法として「公的金融機関からの借入」「事業性を評価した担保・保証によらない借入」を希望しているのに対し、実際「担保・保証によらない借入」の借入実績のある企業は約2割です。
小さい規模の企業では特に希望と実態の乖離が拡大する傾向にあります。
4.資金調達のベストなタイミングとは?
株式会社東京商工リサーチの調査結果を中小企業庁が取りまとめた「原因別倒産状況」によると、倒産理由の第1位は「販売不振」です。
「融資を受けたくても借りられない」
「自分に当てはまる融資制度がわからず、活用できていない」
「開業したものの、思うように集客できず売上が伸びない」
など、資金繰りが厳しくなり廃業に追い込まれてしまうのです。
「金融機関は雨の日に傘を取り上げる」と某ドラマのセリフでもありましたが、業績が悪いときに融資を受けても、成功する確率は低くなってしまいます。
では、どうすれば倒産リスクを軽減できるのでしょうか?
1回目の融資は受けやすいタイミングで受けておくことが非常に重要です。
取引実績がないので、初回の融資審査は厳しくなるでしょう。
借りやすいタイミングで借入実績や返済実績を作っておくことで、2回目の融資では、
多少状況が悪くても借りられるケースがほとんどです。

5.支払利息=保険料!?
資金繰りに困っていないのにお金を借りたら、利息の支払いがプラスされて損じゃないの?と考える方もいらっしゃいます。
今は、何も問題ないかもしれません。
しかし、
主要な取引先の倒産
震災など、予期せぬ天災による営業停止
など、万が一のことが起きた場合、お金がなかったら倒産してしまいます。
仮に融資を受けて資金調達していれば、借りたお金を切り崩しながら営業することで何とか乗り切れるかもしれません。
支払利息は万が一のリスクに備えた保険と考えると良いでしょう。
6.月商の3か月分を目安にキャッシュを用意しておきましょう
事業を行っていく上で、月商の1か月程度のキャッシュしか残っていないと倒産リスクが高まります。いわゆる自転車操業です。
取引先からの支払いが遅れるなど、入金サイクルがずれた瞬間に営業できなくなるケースも考えられます。
余裕を持って営業するためにも、月商の3か月分のキャッシュは常に確保しておきましょう。
