保険や年金、税金は?起業のために退職するとき気をつけたいこと

保険や年金、税金は?起業のために退職するとき気をつけたいこと
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

今は会社員として働いているけど、自己資金が貯まったら、起業するために退職しようと考えているあなた。退職時に気をつけるべきことを知っているだけで、余裕をもった起業につなげることができます。源泉徴収票と税金、離職票から失業保険による失業給付金までの流れなど、少しでも有利に事を運べるようにするポイントをご紹介します。

1.退職のときに必要な書類5つ

初めて退職するとき、よく知らなくて困るのが退職の手続きです。まず大前提として、退職したいと思った時にすぐ辞められる会社はありません。会社の健康保険や雇用保険、年金などの切り替えの手続きもありますが、何よりも会社からしてみれば、人員計画や業務の調整をする必要があるためです。有休が残っているなら、その消化もしたいところです。一般的には、事前に直属の上司に伝えておいて、最短でも退職日の二週間前には退職届を書面として出すのがよいとされます。この辺は会社によっても異なるので、円満退職するためにも、どのくらい前に言うのがルールなのかを予め確認しておきましょう。

無事に退職する運びになった場合、次の書類が手に入る目処が立っているかを確認しましょう。書類によっては、退職後でないと発行できないものがありますが、会社からいつ送付する予定なのかなどの連絡がない場合、問い合わせる必要があります。

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この辺の手続きをあやふやにしたままで起業してしまうと、病院で保険が適用されなかったり、年金受給ができなかったり、困るケースが出てきます。会社員として雇用されたままだと、保険や年金は天引きで、意識することは少ないかもしれませんが、個人事業主になるのなら、しっかり認識しておく必要があります。ひとつひとつ、見ていきましょう。

①雇用保険被保険者証

国が労働者に対し、必ず加入させる保険制度として「雇用保険」というものがあります。その目的は、労働者に対する失業時の給付、生活や雇用においての安定、再就職の援助などです。

「雇用保険被保険者証」は、該当する労働者が、その雇用保険に加入している事を証明する書類です。正社員として働いている方は、100%に近い確率で雇用保険に加入し、保険者証があると言っていいでしょう。会社に入社すると同時に、会社側が会社の管轄内のハローワークに書類の届出をし、雇用保険被保険者証を発行してもらい、紛失防止のために会社が保管をしているということも多いです。転職する場合、次の会社で必要になるため、離職する時に会社から渡されます。

起業する場合は労働者ではなく雇用する側になるため、通常は「雇用保険被保険者証」が利用できる場面はありません。保管しておきましょう。

退職をしてから7年以上経っている場合(7年以上雇用保険加入した状態で働いていない場合)は無効になりますが、それまでであれば有効です。なお、就業規則において、一般労働者は雇用保険が適用とされていることと同じで、区別されていないようなケースでは、個人事業主であっても雇用保険の対象と認められる可能性もあるため、捨てずに取っておくのがよいでしょう。

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②健康保険資格喪失証明書

会社員として働いている時、会社から保険証が渡され、それで病院にかかっていたかと思います。おかげで、病院で支払う診療費は少なくて済んだはずです。「保険証」は、労働者が会社の指定する健康保険に入っていることを示すものです。退職時、社員証などと合わせて保険証も会社に返却しますが、それはそれまで入っていた健康保険の加入をやめる意思表示となります。

他の健康保険に加入するとき「健康保険資格喪失証明書」が必要になります。多重で加入することを防ぐため、現在、健康保険に入っていないことを示す書類です。

転職する場合、その証明書をもって次の会社の健康保険に加入します。

起業する場合、国民健康保険に切り替えるケースが多いでしょうが、家族の扶養として別の健康保険に入るケースもあり、健康保険も様々です。資格喪失したからといって、一律で国民健康保険に自動的に切り替わるといったことはありません。

どの健康保険に入るべきかをきちんと検討した上で、忘れずに会社から「康保険資格喪失証明書」を受け取り、保険の切り替えの手続きをするようにしましょう。

③年金手帳

国が成人に対し、必ず加入させる社会保障制度として「年金制度」があります。会社員であれば、厚生年金や企業年金に加入し、給与から天引きされているはずです。「年金手帳」は、これらの年金の基本情報がまとまっている、青色の手帳です。会社が保管しないケースもあるため、手元にあるかをきちんと確認しましょう。

退職する際、会社が「厚生年金保険資格喪失届」を年金事務所に提出するため、手続きには年金手帳を使用します。

転職する場合、次の会社で再度、厚生年金や企業年金に加入します。

起業する場合、個人事業主は第1号被保険者になるため、国民年金への移行が必要です。役所の国民年金の担当窓口に「年金手帳」と、退職日を証明できる「離職票」を持っていき、手続きしましょう。

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④源泉徴収票

「源泉徴収票」は、手取りの年収や所得控除額などが記載された所得税額を証明する書面です。確定申告や年末調整をする人は、忘れずに受け取るようにしましょう。

⑤離職票

「離職票」は、退職日や退職事由などが書かれた、現在職についていないことを証明する書類です。

転職する場合、転職先が既に決まっている場合は特に使うことはないでしょう。

これから転職活動をする場合、ハローワークで失業手当の申請をするのに必要です。

起業する場合、健康保険や国民年金の加入をする手続きなどで必要になります。手続きまでに離職票が間に合わない場合、公的文書ではない「退職証明書」でも代用可能な場合もあります。

 

2.保険・年金・税金など決まった「固定費」を調べておく

必要な書類のところでも説明したように、今まで会社に任せきりだった部分、給与天引きで注意を払っていなかった「保険」「年金」「税金」について理解を深めておく必要があります。

例えば、どの保険にするか。国民健康保険に切り替えるか、家族の扶養として別の健康保険に入るか。月にいくら固定費として支出があるのか。

年金はいくら支払うか。老後が不安ならオプションをつけるべきか。

退職後、翌年に支払う税金は働いていた時の給与ベースで計算されるが、一体、どれくらい払う必要があるのか。

その人によって考えるべきケースは様々です。保険・年金・税金だけでなく、起業すれば通信費や食費なども、会社で働いていた時と異なるはずです。決まった「固定費」がどういったものがあり、月にいくら出ていくのかを想定した具体的なシミュレーションをしておきましょう。

 

3.退職後に起業準備期間があるなら「失業給付」を検討する

退職後に起業までの準備に当たる期間が、3ヶ月以上の期間である場合、ハローワークの失業給付を受けることを検討してみてもいいでしょう。

以前は、起業をする、または起業の準備をする人は失業給付の対象外とされ、失業給付を受けられませんでした。2014年に厚生労働省が出した通達で、「求職活動中に」起業の準備・検討をする場合に限り、受給を認められるようになりました。並行して求職活動をするのが給付条件ではありますが、「事業許可の申請中」「事務所を借りる手続き中」といった起業準備中であれば、失業給付を受けられます。

失業手当の給付されるのは最長1年間、自己都合退職での給付開始は、原則3か月以降になります。起業準備をしながら、他の求職者と同様、ハローワークに行って求職票を書くなどの求職活動する手間はありますが、給付を受けられるのです。

なお、あくまで「準備期間中」が給付対象のため、会社を設立すると、給付を打ち切られます。場合によっては、会社設立を後回しにして、その他の起業準備を入念に行うのがよいでしょう。

 

まとめ

会社を退職してから起業する、いわゆる「脱サラ」と呼ばれる属性の起業家をダイレクトに支援するような助成金や補助金は現在、あまり見かけません。一方で、UターンやIターンなど、被災地や特定の場所を支援するようなものが目立つ傾向にあります。起業する地域だけでなく、業種や業態、色々ありますので、専門家に相談し、あなたに合った資金調達を目指しましょう。

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