Uターン・Iターンで創業するなら知っておきたい3つのメリット・デメリット

Uターン・Iターンで創業するなら知っておきたい3つのメリット・デメリット
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

先行きの不透明感から、コロナ禍で創業を考える人の数は一時落ち込みました。しかし、2020年9月頃から日本政策金融公庫主催の「オンライン創業セミナー」など、創業に関するイベント等の活動も徐々に再開しています。

コロナ禍以降でも創業を考える方が増えつつあり、特徴的なのは、出身地に戻って創業する「Uターン創業」、これまで住んだことのない土地の創業「Iターン創業」を検討する方が増えているという点です。

今回は、Uターン・Iターンで地方移住し、創業するメリットとデメリットを詳しく解説します。

Uターン創業・Iターン創業とは?

Uターン創業とは

Uターン創業は「Uターン」と「創業」を掛け合わせた新しい言葉です。

Uターンとは「進学や就職などの理由で現在の居住地に住んだあと、生まれ育った地域へ戻り結婚や就職をすること」です。そして、創業は「新たに事業(ビジネス)を始めること」です。

この2つが組み合わさったUターン創業は、「進学や就職などの理由で現在の居住地に住んだあと、生まれ育った地域へ戻り新たに事業(ビジネス)を始めること」という意味で使われます。

【Uターンのイメージ図】

Uターン・Iターンで創業するなら知っておきたい3つのメリット・デメリット

出典:PIXTA

Iターン創業とは

「Iターン」(出身地以外の場所で就職や結婚をする)と「創業」が組み合わさった言葉で、「進学や就職などの理由で産まれ育った地域を離れ、その土地で新たに事業(ビジネス)を始めること」を意味します。

[地方]×[創業]が注目される理由

公的金融機関である日本政策金融公庫では、2020年9月頃から「オンライン創業セミナー」などで自治体によるUターン創業・Iターン創業に関するイベント活動が徐々に活発化しています。また、それに呼応してUターン創業・Iターン創業を検討する人も増えています。

しかし、これまで住んだことのない土地で創業をするのは簡単なことではありません。それにも関わらず地方へのUターン創業・Iターン創業が注目されているのはなぜでしょうか。

理由1: 自治体の支援策「Uターン・Iターン創業補助金」がある

経済産業省・中小企業庁では「地方の活発化」が国の経済の発展に不可欠と考えています。その証拠に令和2年度の地方創生予算等の額は1兆4,089億円。地方活性化に非常に大きな予算を編成しました。 

その予算を使い、新潟県や山口市など一部の自治体ではUターン創業・Iターン創業をする人に対して様々な支援を実施しています。その一つが「Uターン・Iターン補助金」です。(実際の名前は各自治体ごとにより異なります)。

Uターン・Iターン補助金の特徴は、該当の都道府県等に「移住」または「創業」をすることで最大100万円程度の補助金がもらえるという点です。これまでも移住支援金のような補助金は存在しましたが、これに加えて創業することで補助金をもらえる制度が増えています。

以下、自治体によるUターン・Iターン創業補助金の具体例をご紹介します。ご覧いただくタイミングでは募集終了の補助金もあるため、詳細は公式ホームページで必ずご確認ください。

 【新潟県のU・Iターン創業応援補助金の概要】

補助金名U・Iターン創業応援補助金【地域課題解決枠】
上限額と補助率
  • 単身の場合:最大60万円
  • 2人以上の世帯の場合:最大100万円
公式URL新潟県|東京圏から新潟県へ移住した方に最大で100万円を支給します
条件以下の(1)の要件を満たす方のうち(2)または(3)の要件を満たす就業または起業をした方

なお、2人以上の世帯とは(4)の要件を満たす世帯とし、当該要件を満たさない2人以上の世帯は単身として取り扱います。

(1)移住に関する要件※以下全てに該当すること

  • 新潟県に住民票を移す直前に東京圏に連続して5年以上居住していたこと。
  • 平成31年4月1日(加茂市、阿賀町及び出雲崎町は令和2年4月1日)以降に新潟県内市町村(刈羽村及び粟島浦村を除く)に住民票を移して転入したこと。
  • 暴力団関係者や在留資格のない外国人、その他新潟県が不適当と認めない人であること
  • 補助金申請時の時期が移住後3ヶ月~1年以内であること

(2)就業に関する要件※以下全てに該当すること

  • マッチングサイト「新潟企業情報ナビ」に移住支援金の対象として掲載された求人に応募し、採用されたこと。
  • 補助金申請の時点で採用された企業に3ヶ月以上在籍していること。
  • 家族経営の企業以外への就職であること。また、出向・転勤・研修・出張以外の新規採用であること。 
  • 補助金申請から5年以上継続して採用企業に勤める意思を表明していること。

(3)起業に関する要件

  • 「起業支援事業に係る起業支援金」の交付決定を受けて1年以内であること。
  • ※「起業支援事業に係る起業支援金」とは「U・Iターン創業応援事業」の中の「地域解決枠」のことを指します。
  • ※地域解決枠とは、新潟県内に事業所を設置し、公募開始日以降から令和3年2月26日までに新たに起業する者で、「中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律」に基づき県が指定した地域資源を活用する事業を展開する者を指します。

(4)2人以上の世帯に関する要件

  • 移住する世帯のうち2人以上が移住元で同一世帯であり、移住後も同一世帯に属すこと。


【山口市のU・Iターン創業応援補助金の概要】

補助金名UJIターン創業者支援補助金
上限額と補助率最大50万円(補助対象経費の3分の1)
公式URLUJIターン創業者支援補助金

※Jターンとは「進学や就職などの理由で現在の居住地に住んだあと、生まれ育った地域への近くの中規模な都市で就職や結婚をすること」です。

補助対象経費
  • 機械器具整備・購入費 事業実施に必要不可欠な作業機械、厨房機器、事務器具等の整備・購入に要する経費
  • 施設改修費 事業実施に必要不可欠な施設の内装改修、トイレ改修等に要する経費
条件
  • 県外に1年以上居住し山口市に移住して2年未満の方

 または

  • 移住を予定している方が山口市で新たに会社を設立する方で山口市や準ずる団体から他の補助金を受けていない方(開業届を山口県で届けること)

であり、

  • 暴力団関係者や在留資格のない外国人、その他長野県が不適当と認めない人であること
  • 補助事業者は、補助金交付決定日の属する年度の翌年度の初日から起算して5 年間は、事業所を市外へ移転してはならない。

【長野県のU・Iターン創業応援補助金の概要】

補助金名UIJターン就業・創業移住支援補助金

※Jターンとは

上限額と補助率単身世帯の場合:最大60万円/人

2人以上世帯の場合:最大100万円/世帯

公式URL長野県|UIJターン就業・創業移住支援事業のご案内
条件以下の要件(1)を見たし、(2)または(3)を満たすこと

※世帯向けの補助金を新生する人は(4)も満たすこと

(1)移住元の要件

  • 住民票を移す直前に、連続して5年以上東京圏、愛知県又は大阪府に在住し、かつ、住民票を移す3か月前の時点において、連続して5年以上就労していたこと。

(2)移住先の要件

  • 長野県内の移住支援事業を実施する市町村に、移住支援金の補助対象とする日以降に転入したこと。
  • 移住支援金の申請時において、当該市町村への転入後3か月以上1年以内であること。
  • 当該市町村内に、移住支援金の申請日から5年以上、継続して居住する意思を有していること。
  • 補助金申請時の時期が移住後3ヶ月~1年以内であること

(3)その他の要件

  • 暴力団関係者や在留資格のない外国人、その他長野県が不適当と認めない人であること

(4)世帯に関する要件

  • 移住する世帯のうち2人以上が移住元で同一世帯であり、移住後も同一世帯に属すこと。

理由2: リモートワークが主流ならコスト高の首都圏でなくていい

満員電車での通勤。換気のできない狭いオフィスでの労働。東京では長い間、これらの働き方が定 着していました。しかし、2020年4~5月の緊急事態宣言で日本政府は企業へのリモートワークの容認や業務縮小を要請。企業でのリモートワークは大手企業やIT業を中心にそれまでの2倍(3割弱)まで増加しました。

Uターン・Iターンで創業するなら知っておきたい3つのメリット・デメリット

出典:当サイトオリジナル(東京都の「テレワーク導入率調査結果をお知らせします!(第1501報)」記事を基に作成)

東京都の発表によると、都内企業(30人以上)のテレワーク実施率は2020年4月より平均50%以上となっています。

一方、政府によるリモートワークの推奨には接客業(小売業、飲食店etc)などリモートワークができない業種からの反発もありました。また、リモートワークができる業種だけれど「会社が認めてくれないからできない」といった不満の声もSNSでは話題になりました。

まだ隅々の企業にまで浸透しているとは言えないリモートワークですが、コロナ禍以前よりは社会全体での認知度と実行率が上がっています。 

理由3: 「毎日会社に出勤して仕事をする」という常識が崩れている

リモートワークとソーシャルディスタンスをきっかけに、都内のオフィスの使い方も変化しました。

東京都心5区全体の空き室室は2020年7月頃より急増し、空き室率は7月で3%弱、10月で3.9%と徐々に上昇しています。

参照URL:日本経済新聞|7月の東京都心オフィス空室率、2.77%に上昇 既存ビルで募集増

参照URL:日本経済新聞|東京都心オフィス空室率、上昇続く 10月は3.93%

社員が一斉に集まり同じ場所で働くという常識は徐々に過去のものになりました。これを受けて、都内ではホテルが生き残りをかけて新たな「リモートワークプラン」を販売。都心の駅チカな高額オフィスからサテライトオフィス・シェアオフィスへの移転ニーズも増加しています。こうした社会の流れはU・Iターン創業への関心を高めるのに一役買っています。

※リモートワークプランとは:都心ホテルを中心に増えている、在宅ワーカーの向けで、定価より割安な価格のデイユースプランのこと 

 Uターン創業・Iターン創業のメリット3つ

メリット1:事業の運営コストを抑えられる

地方での創業は東京での創業より家賃が抑えられます。飲食店や事務所など固定店舗を構えるスタイルの事業であれば、場所を東京から移すことは費用面で大きなメリットがあります。地方ではその分光熱水道費が東京より若干高くなりますが、住居費の安さでカバーできます。

都道府県別の総合物価水準を「全国平均=100」とすると、東京の物価と地方の物価には以下のように大きな違いがあります(総務省統計局「全国物価地域差指数」を参照)。

総合指数住居指数光熱水道指数
東京108.5146.796.1
沖縄県91.9 66.7 108.4
愛媛県95.770.3103.3
高知県96.477.2100.6
香川県96.877.9106.0

メリット2:事業継続をおびやかすリスクが低い

 U・Iターン創業で地震の発生率の低そうな土地に引っ越せば、以下3つの事業継続上のリスクを 最小に抑えることができます。

感染症のリスク

 全国の新型コロナウイルス感染症の要請者数はダントツで東京都が常にトップです。人口密度の低い地方で暮らせば、それだけ感染症に巻き込まれるリスクを減らすことができます。

自然災害のリスク

 都市部では電力や公共交通網に大きく依存しているため、直下型地震が起こった際には大量の帰宅困難者が発生します。東京では台風や雪などの自然現象も少ないため、自然災害にパニックを起し やすいという弱点があります。

・雇われ続けるリスク

 会社員として働き続けるには、満員電車によるストレスや仕事を失う・減らされるかもしれないというリスクは常につきまといます。 

メリット3:地方独自の特色を活かした事業運営ができる

地方ではその土地の新鮮な魚介類や野菜などが安く手に入りやすいです。U・Iターン創業では地方にしかない個性豊かな料理や文化を首都圏に向けて発信できます。

東京ではハードルの高そうな広い土地が必要な事業(例、宿泊施設、こども向けプレールーム、スポーツ施設など)も地方では可能。資金と土地の面での制約が東京より少ない事業運営ができます。

Uターン創業・Iターン創業のデメリット3つ

デメリット1:創業までの初期費用と当面の生活費のほか、移住費用がいる

東京で創業するより運営コストを抑えられるとはいえ、地方での創業でも初期費用はかかります。創業してすぐに収益が安定して出せるとは限らないので、当面の生活費(毎月の生活費×6~12ヶ月分)の用意も必要です。

「U・Iターン創業の補助金があるから」と安心する人もいるかもしれませんが、申請から実際にお金が手に入るまでは時間がかかります。一時金として一律で支給される補助金は稀で、たいていはまず創業者が経費として支払った額に対してのキャッシュバックです。まずは自分でお金を払う必要があります。

一般的には創業するために必要な費用は当面の生活費を含め、平均で1,055万円です。個人事業主として創業する時でも最低300万円は用意しておく必要があります。

Uターン・Iターンで創業するなら知っておきたい3つのメリット・デメリット

起業に必要な資金はいくら?会社設立や事業の種類で見る開業費用の例

2020.09.15

デメリット2:現地の人材募集が難しい・市場が小さい

地方は東京より人が少ないので、小売業などの対面販売ではどうしても人通りの少なさが気になってしまうかもしれません。飲食店での売上キープは回転率(客数÷客席数)が重要ですが、客席数の割に客数が少ないと回転率が極端に低くなり売上に影響します。さらに、人材雇用について地方は東京より人を雇用しづらい環境です。

そのため地方での創業はネットを使ってオンライン販売も並行する、配偶者など最初から一緒に経営できるパートナーと移住するといった対策が有効です。創業時には毎月どのように売上をたてていくかの事業計画を立てることが最重要です。 

デメリット3:地方によっては降雪など別のリスクがある

自然の豊かさや運営コストの低さが魅力の地方ですが、場所によっては豪雪や台風といった自然災害が多く発生します。暑さや寒さが極端な地方もあるでしょう。

元々住んでいる住民は対策や工夫に慣れていますが、新たな場所に移住する創業者は都会と異なる環境に慣れる必要があります。

まとめ

Uターン・Iターン移住を望む人が増えているのは、コロナ禍でリモートワークに切り替わったことが原因の一つです。高い東京の家賃を払い続けるのではなく、心機一転、地方在住で仕事をすれば生活にかかるコストや感染症リスクを抑えられます。創業を考えている方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社SoLaboがあなたの融資をサポートします!

サポートさせて頂いたお客様をご紹介しております

Uターン・Iターンで創業するなら知っておきたい3つのメリット・デメリット