業態転換の事例からコロナ禍を生き延びるヒント

業態転換とは、商品を売る方法を別の方法に切り替えることを指します。例えば、これまで店内で料理を提供していた店がテイクアウトのみに切替える場合も業態転換の一種です。

コロナの影響で、多くの事業が業態転換を強いられました。しかし、過去の長い歴史を紐解くと、長く存続している多くの企業も業態転換してきたという一面が見えてきます。事例を知れば、あなたが業態転換をする際に参考となることでしょう。

今回の記事では、実際に行われたさまざまな業態転換をとりあげ、業態転換を成功させるためのポイントを解説します

業態転換で成功した有名企業の事例

富士フイルム、任天堂など誰もが知る有名な大手企業も、過去に業態転換しています。ただし、どんな企業でも業態転換できるわけではありません。実は、業態転換できる企業には共通点があります。

業態転換を成功させるには自社のコア・コンピタンスが重要

コア・コンピタンスとはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ビジネス用語で「企業の活動範囲において、他社を圧倒的に上回るレベルに差別化できているポイント」を指します。

過去に業態転換で大きな成功を収めた企業を分析すると、このコア・コンピタンスをうまく活用していることがわかります。

(コア・コンピタンスの例)

  • 他社がマネできない技術力(例:トヨタ、ホンダ、富士フイルム)
  • 他社がもっていない営業力(例:リクルート、電通、楽天)
  • 他社がもっていない高品質な商品(例:パナソニック、任天堂、小松製作所)

上記例の他にも、他社がもっていないネットワークやノウハウ(例:朝日放送、KDDI、野村総合研究所)もコア・コンピタンスとなります。業態転換でコア・コンピタンスが重要な理由は、コア・コンピタンスを活かすことで別の業態に転換してもブランド力を維持しやすいからです。

有名な国内・海外企業の業態転換の事例

【国内】あの有名企業・大手企業もみんな業態転換していた

業態転換で最も知られる国内の例のひとつに「富士フイルム」があります。富士フイルムはご存知の通り、もともとカメラのフイルムを製造していたメーカーです。しかし、2000年頃から世界的にデジタル・カメラが台頭し、フイルム利用はカメラ全体の2~3割までシェアが落ち込みました。

そこで、当時のCTO(最高技術責任者)は写真フイルムと化粧品に同じ技術が使えることを見出し、2006年には「富士フイルム ヘルスケアラボラトリー」を設立。その後は化粧品をはじめ、医薬品やヘルスケアの分野まで事業の幅を広げています。

その他にも、創業から現在までの間に何度も業態転換をしている例は国内に多数あります。

(国内企業の業務転換の一例)

企業名 元の事業 業態転換後の事業
富士フイルム株式会社 写真フイルム製造
  • 各種フイルム製造
  • 化粧品製造
  • 医薬品・医療機器製造
  • 印刷システム
  • 健康食品・高機能化学品製造
任天堂株式会社 花札・トランプの製造
  • 玩具の開発・製造
  • コンピュータ・ゲームの開発・製造
ヤマハ株式会社 オルガンの修理
  • ピアノ・オルガン製造
  • ピアノ・英語教室の運営
  • バイク製造
  • 半導体の生産

【海外】老舗高級レストラン

米国・シアトルのCanlis(キャンリス)は、アメリカ料理を提供する老舗高級レストランです。長年人々に愛されていたCanlisですが、コロナ禍では多くの人々が自粛をしたので、レストランの売り上げは大幅に減りました。

そこで、Canlisではメインのダイニングを閉じ、3つのポップアップショップ(空き店舗などに突然出現する店)として①ベーグルショップ②ドライブ・スルー式のハンバーガーショップ、そして③ワイン付きのミールキット宅配サービスを次々と立ち上げました。さらに、高級レストランの雰囲気を家庭でも味わえるように、ピアノ演奏のオンライン配信も始めました。

一方、アジアを例にとると、中国では百貨店の伸び悩みが近年著しくなっています。オンライン販売の急激な成長を背景に、百貨店の需要が減少しました。そこで、客足を伸ばすための体験型施設の導入や自社にしかないオリジナル商品の開発など、従来とは違った切り口で需要の発掘に取り組んでいます。

業態転換をするには?

では、実際に業態転換をするとして、どのような方法があるのでしょうか。一般的には、まず業態転換の種類を選択することからスタートします。

業態転換の選択肢

①まるっきり別業種にチャレンジする

一見まるで違うと思われる別業種でも検討してみるメリットは多いにあります。例えば、

  • これまで和菓子の製造をしていた ⇒ 英語教室を運営する
  • これまでアナウンサーだった ⇒ お笑い芸人になる
  • これまでプログラマーで企業向けのシステムをつくっていた ⇒ ゲーム会社をつくる

このように、一見違うと思われる業種同士でも試しに視野にいれてみることで、業態転換の選択肢は広がります。

ただし、最終的に業態転換をする際には、新たな事業で前述した「コア・コンピタンス」を活かせるかを入念に検討する必要があります。

これまでの事業

(コア・コンピタンスA)

これからの事業

(コア・コンピタンスB)

コア・コンピタンスAとBはマッチするか
これまで和菓子の製造をしていた(和菓子の製作技術、職人の育成) 英語教室の運営

(英語教育のノウハウ、講師と生徒管理・集客スキル)

マッチしない

アナウンサー

(人前であがらずにハキハキと正しく話す)

お笑い芸人

(人前であがらずに面白いことを話し、人を笑わせる)

一部マッチする

これまでプログラマーで企業向けのシステムをつくっていた

(プログラミングとネットワークの技術)

ゲーム事業を行う会社の立ち上げ

(プログラミンングの技術とゲーム台本やキャラクター設定能力)

一部マッチする

上記の3つの事業では、1つ目の事業「和菓子の製造」ではコア・コンピタンスがマッチしていないように見受けられます。もしやりたい事業でコア・コンピタンスがマッチしないのなら、周りにその事業の経験者はいないか、あるいはご自身の趣味など、仕事以外の活動でもいいので経験の有無を確認しましょう。

②一度閉店してリブランディングする

リブランディングは飲食業やアパレル業ではよく見られる手法で、現在の店を一度閉店し、新しいブランド名や店名で再スタートを切る方法です。

店を閉める手続きや手間・コストは必要ですが、

  1. 現在の店のイメージを一新できる
  2. 現在のなじみ客にアプローチできる
  3. リニューアル・オープンと銘打って大々的なキャンペーンを打ち出せる

といったメリットもあります。

③今までやっていた事業に新たな事業を付け加える

代表的なものとしては、これまでテイクアウトをしてこなかったレストランが新たにテイクアウトを始める、といった業態転換があります。3つの業態転換の中で最も取り組みやすく、かつ、労力も比較的少ない方法なのでおすすめです。

(例)

  • レストランで料理の提供 ⇒ デリバリーも始める
  • 洋服を店舗で販売 ⇒ オンライン・ショップを立ち上げる
  • 漁業で店舗へ魚を卸す ⇒ SNSでライブ配信し、その場で顧客から注文を受ける

業態転換で必要な手続き

業態転換をする選択肢を決めたら、次にするべきことは業態転換の手続きです。必要な手続きは、どのような業態転換をするのかで異なります。

【テイクアウト】保健所への確認・テイクアウトの告知

テイクアウトを始める事で、保健所への申請が必要な場合があります。基本的に店内で調理した料理を販売するだけなら保健所の許可は不要です。商品に原材料や消費期限を表示する必要はありません。

但し、ハムなどの加工食品や別の場所から仕入れた商品をテイクアウトにする際は、保健所への追加申請と商品への原材料などの表示が必要です。

(テイクアウトで原材料表示をする際の項目)

商品の名称 期限表示 アレルギー表示
保存方法 添加物表示 製造者

テイクアウトを始める方は、ご自身が販売する商品は申請が必要なのか、いちど保健所に確認すると良いでしょう。

テイクアウトをする準備が整ったら、店先や店内にチラシを置いたりポスターを貼ったりして、「テイクアウトはじめました」の告知を始めましょう。

【デリバリー】保健所への確認・デリバリーの告知・人員と車両の確保

テイクアウトと同じ考え方で、基本的には店内で調理したものをバイクなどで運ぶだけなら許可は必要ありません。しかし、キッチンカーなどの移動販売や加工食品を仕入れて販売する場合は保健所の許可が必要です。

関連:飲食店をデリバリー開業に切り替える方法 手数料・必要資金・デリバリー事業の注意点

デリバリーを始める方はバイクや車が必要です。車両の用意は①自分がもともと持っていたものを使う②新規で購入する③リースやレンタルを利用する、の3種類の方法があります。

①は最もお手軽な方法ですが、バイク・車の劣化は早まります。普段の生活でもバイク・車を使うのであれば、税金の申告時に減価償却と合わせて家事按分(かじあんぶん)という計算も必要になります。③も手軽ですが購入よりは支払い金額が高くつきます。

車両購入のような設備投資では、融資を受けることが可能です。融資を受けることも視野に入れると良いでしょう。

【コンビニ】自己資金の用意、フランチャイズ加盟、人員の確保

今まで使っていた店舗を閉鎖し、新たにコンビニのフランチャイズに加盟する方もいらっしゃることでしょう。コンビニの店舗数は2018年頃まで右肩上がりでしたが、2018年11月にはサークルK・サンクスがファミリーマートにより買収。19年に日本フランチャイズチェーン協会が発表したデータでは、14年ぶりにコンビニの総店舗数が前年割れしました。

参考URL:日本経済新聞|コンビニ店、19年に初の減少 不採算店閉鎖にかじ

そのため、今後のコンビニ運営は新たな時代に突入していると言えます。コンビニのフランチャイズ制度は長い歴史を持つ点が安心材料ですが、一方で、①自己資金が必要②アルバイトなどの人員確保などの課題もあります。

関連:コンビニフランチャイズ!開業の流れとメリット・デメリット

関連:コンビニエンスストアの経営を成功させるポイント

【オンライン】、ECサイトの開発、顧客への営業活動

もともと2018年頃からキャッシュレス化は進められてきましたが、2020年のコロナ禍が後押しとなり、一気にあらゆる場所でオンライン化が進みました。

  • 飲食店での注文のオンライン化(タブレット利用)
  • アパレル店舗がオンライン・ショップをオープン(ECサイトの開設)
  • 学校教育の一部オンライン化(タブレットでワークに取り組む、ライブ配信など)
  • 結婚式・お葬式などの資料送付がオンライン化(PDFの送付やZOOM相談)
  • 外食の一部おうち化(Uber Eats・Menuなどの宅配サービス)

これまでの事業にオンライン化を取り入れることも業態転換の一つです。今後は時代の流れで、オンライン化への対応も必須となることでしょう。

業態転換で利用できる補助金・助成金

業態転換には少なからずお金がかかります。ここでは、業態転換で受給できる補助金・助成金についてご説明します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、コロナ禍において売上が減った事業者を救済するための日本政府(経済産業省)による第三弾の補助金です(第一弾は持続化給付金、第二弾は雇用調整助成金)。

補助金という名前がついているため、基本的にはご自身が補助金申請後に支払った経費の一部分がキャッシュバックされる制度です。

例えば、この補助金に応募して採択されたら、レストランを改築してドライブ・スルー形式にする場合の経費(一部)が戻ってきます。

業態転換の事例については、経済産業省・中小企業庁による以下の資料の18ページ目で詳しく解説されていますので、ぜひご参照ください。

参照URL:事業再構築補助金の概要 (中小企業等事業再構築促進事業)

対象

新事業や業態転換に取り組み、以下のすべての条件を満たす中小企業が対象です。

  1. 申請前直近6カ月間の任意3ヶ月の合計売上高とコロナ以前の同3ヶ月の合計売上高を比較し、10%以上減少している
  2. 認定経営革新等支援機関や金融機関と協力して事業計画を策定している
  3. 補助終了後、3~5年で付加価値額3~5%上昇、または従業員一人当たりの付加価値額が同率アップすること。

上記の1、2については、申請時に確定申告書や事業計画書などの書類を提出し、審査を受ける流れとなります。3については、補助金を受けた事業者は5年間にわたり経営などについての年次報告を行う義務があり、その年次報告書で判断されます。

補助額

補助額は中小企業と中堅企業で異なります。両社の主な違いは資本金です。中小企業は資本金:1,000万円以上~1億円以下の企業ですが、中堅企業は資本金:1億円以上~10億円以下の企業です。

【中小企業】

通常枠 100万円~6,000万円 補助率:2/3
卒業枠 6,000万円超~1億円 補助率:2/3

【中堅企業】

通常枠 100万円~8,000万円 補助率:1/2(4.000万円超は2/3)
グローバルV字回復枠 8,000万円超~1億円 補助率:1/2

※各枠には申し込むための条件があります。

助成対象期間と募集期間

2021年(令和3年)の2月15日以降の設備の購入契約等が補助対象となります。本補助金は2022年(令和4年)の末まで実施される予定です。事前再構築補助金の財源ですが、中小企業生産性革命推進事業として令和元年度に成立した補正予算:3,600億円がベースです。この財源を1年:1,200億円で3回に分けて支出する予定です。

募集期間ですが、現時点では令和3年3月に1回目を予定しています。詳細な日程については以下の公式ホームページをご参照ください。なお、事業再構築補助金の募集は令和3年度に複数回実施する予定です。

参照URL:経済産業省|事業再構築補助金

事前着手承認制度とは

事業再構築補助金では「事前着手承認制度」が設けられており、2021年(令和3年)の2月15日以降に支払った経費であれば、補助金の採択前でも経費として認められる場合があります。事前着手承認制度の利用には、相見積もりをするなどの一定のルールがあります。

原則的には、補助事業の着手(事業に必要な設備の購入や契約の締結などは補助金の交付決定後となります。事前着手承認制度を利用して補助金決定前に大きな設備を購入するなどしても、補助金交付が否決となる可能性もあるので注意しましょう。

緊急事態宣言特別枠とは

緊急事態宣言により深刻な売上減などの影響を受け、早急な事業再構築が必要な中小企業等については、「通常枠」で加点措置を行います。加点措置とは何らかの条件に合う対象者に対して独自のポイントを加えることで、補助金審査が有利になる、補助金額がアップされる、などの効果が期待できます。

また、これらの事業者向けには「緊急事態宣言特別枠」を別枠で設け、補助率を通常よりも引き上げる措置を行います。「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、通常枠で再審査しますので緊急事態宣言特別枠では実質2度の審査を行います。

補助金の支払い時期

事業再構築補助金に採択(交付決定)を受けてから、ご自身が事業計画書に記入した事業を実施します。その事業が終了してから、事業に使った経費を証明する書類(設備を購入した際の領収書など)を提出し、審査を受けます。

その後に補助金が支払われるため、最低でも1年以上先の支払いとなります。なお、資金が急ぎで必要な方のために概算払い制度も設ける予定とのことです。

補助金は入金まで時間がかかるため、お急ぎの方は当社株式会社SoLabo(ソラボ)まで、ぜひ事業性融資のサポートについてお気軽にご相談ください。

日本政策金融公庫の融資受けられる?
無料で診断する>

電話で無料相談する(平日9時~19時)

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)助成金(東京都)

もう一つのご紹介は、東京都が実施している飲食事業者向けの助成金です。

対象

東京都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業主含む)が対象の助成金です。助成金に申請するためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

  • 都内で飲食店を営む中小事業者である
  • 東京都で登記されている事業所である
  • 納税証明書を提出できる
  • 税務署の受付印のある直近1期分の確定申告書の写しが提出できる
  • 保健所の許可書(必要となる食品関係許可)を提出できる
  • 直接委託・契約する先は、生業かつ主要業務とする業者である(※生業や主要業務としていない業者、知人、友人などからの購入は対象外。)
  • 助成対象経費は新たな業態転換を行ううえで必要な経費である
  • 助成対象期間内に契約・実施・支払いが完了できる

補助額

補助額の上限は100万円です。補助率は4/5なので、例えばあなたが事業に必要な経費を100万円です、と申請をすれば、受給できる支払額は最大で80万円です。

100万円 補助率:助成対象経費の4/5以内

業態転換支援助成金で対象となる経費は、以下の4種類の観点から必要となる経費です。

  • 販売促進費(例、チラシ・看板製作費、広告媒体への掲載費など)
  • 車両費(例、キッチンカー、宅配用バイクなど)
  • 器具備品費(例、Wi-Fi導入費、タブレット端末購入費用など)
  • その他(例、宅配代行業者への初期登録料、宅配手数料など)

詳細は以下の公式ホームページでご確認いただけます。

東京都中小企業振興公社|業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業

募集期間

この助成金は過去に19回実施されています。1回分追加となり、現在、第20回(最終)の募集(令和3年7月1日(木)~令和3年10月31日(日)※消印有効)が実施中です。

助成対象期間

交付決定日から2021年(令和3年)12月31日(金)まで(最長3ヶ月)です。

実績報告書提出最終期限

業態転換支援助成金に応募して採択されると、事業の実績報告書を提出する必要があります。実績報告書を提出する最終期限は2022年(令和4年)1月14日(金)※必着です。

業態転換での融資成功事例

当サイト(創業融資ガイド)を運営する株式会社SoLabo(ソラボ)は事業主のみなさまが業態転換するための融資の支援をしております。当社がこれまでに融資のお手伝いをさせていただいた事業主様の中には、業態転換で2度目の融資も成功された方が複数いらっしゃいます。

今回は、当社独自の業態転換の成功事例を5つご紹介いたしますので、ぜひ今後のヒントにご活用ください。

①薬局のM&Aコンサル⇒パーソナルトレーニングジム

現在30代の男性・Iさんは大学卒業後、外資系大手製薬会社で勤務しました。在職中にMR(medical representative=医薬情報担当者)の資格を取得し、転職先のコンサル会社ではMRとしての知識を武器に調剤薬局専門アドバイザーとして大型案件を次々に成約しました。

その後、満を持して調剤薬局のM&A専門のコンサル会社を設立。薬局向けの人材獲得のためのコンサルなどを行っています。資金調達では当社に初めて融資相談を行っていただきました。

「医療業界は横のつながりを大切にする業界だから、調剤薬局の経営者もMR出身者が多い。自分の場合、そこが武器になりました」とIさんは語ってくれました。

創業から未経験で別業種に業態転換した理由

「関わる人々を幸せにしたい」と、十分な経験をもち準備もしてきたIさんですが、業績は大きく伸びませんでした。コンサル契約を1件も受注できない月も多く、起業から2年目は12カ月の中で販管費がマイナスではない月は数えるほど。「このままではいけない」と、Iさんは次第に業態転換を考えるようになりました。

薬局とパーソナルジムには「健康」という共通点があった

業態転換でIさんがパーソナルジムを選んだのは、自分のもつ薬剤や医療の知識とコンサルティングのスキルが両方使えるという共通点があったからです。パーソナルジムの開業場所としての理想的な物件も抑えることができました。

そして当社株式会社SoLaboへ2度目の融資のご相談。無事に融資がおりました。Iさんは新たなスタートをきり、業態転換にチャレンジしています。

②個人事業主でバー経営⇒法人を設立してトレーニングジム

もともとご家族が有名な老舗飲食店を経営されているYさん。

小さな頃から家の手伝いなどをしていたので、飲食店の経営は自然な流れで覚えていきました。ダイニング・バーを創業する際も家族に支援やアドバイスを受けたので、事業はすこぶる順調でした。

家族も飲食店で起業。10数年の業歴も武器に

東京で営むダイニング・バーは「大人の隠れ家」というコンセプトで1年ほど前にスタートさせました。こぶりで居心地の良い店内には、リクエストでオリジナルのカクテルを頼む常連も多く訪れます。

しかし、2020年の冬から始まったコロナ禍では少なからず営業していくうえでの大きな痛手をこうむりました。
「もともと18時からオープンだから、営業しても2時間しか営業できない」。
Yさんは緊急事態宣言下でダイニング・バーを閉める日が続いたと言います。

事業での借金と税金滞納がゼロ

コロナが落ち着いたら、また以前のようにダイニング・バーの営業は続けていく予定です。今回、Yさんが当社にご相談されたのは事業の拡大のためでした。「お客さんといろいろ話をした中で、トレーニングジムを開業しようと思った。

本業のダイニング・バーはもともとコロナ以前の営業成績が良く、借金や税金の滞納もないため2度目の融資も問題なくクリアできました。Yさんの今後の挑戦は続きます。

③リラクゼーションサロン⇒メディカルアロマの販売を追加

横浜市でリラクゼーションサロンを経営されているNさん。もともと人を癒すことに興味があり、自宅の一部を改装してサロンをオープンしました。

コロナ前は生活費として十分な収入が毎月ありました。自宅はご主人名義の住宅ローンで購入したものなので、サロンの売上は将来への貯金に充てていました。

自宅を一部サロンにして開業したが、コロナ禍が直撃

Nさんのリラクゼーションサロンは自宅を改装してつくられたため、固定費はかなり抑えられています。しかし、コロナ禍で密を避ける風潮から顧客は激減。2020年はほぼ売上がたたない日々が続きました。

収入アップのためにメディカルアロマの勉強を開始

Nさんは今後のために「メディカルアロマ」の勉強を開始しました。メディカルアロマとは、通常のアロマテラピーに加えて医療的な側面に注目したヨーロッパの医療現場で注目されているアロマテラピーの一種です。

「今後、ますます自然発想のヘルスケアは需要が増えるだろう」とNさんは考えます。リラクゼーションサロンに来る顧客へアロマの販売も展開するという事業計画を当社にご相談いただきました。Nさんは幸い、税金や借入金の滞納は一切ありませんでした。無事に事業融資の審査にも通り、新事業に向けて新しいチャレンジをしています。

④テレビ番組制作⇒ネット媒体での動画制作

東京都のNさんはテレビ制作に20年以上携わっているベテランです。直近の仕事はテレビのディレクター。長年の経験から、個人でテレビ制作業の事業を2016年に立ち上げました。

テレビ制作の仕事は人脈や経験がモノを言います。Nさんの臨機応変な対応は業界でも評判です。受注は常にあり、自宅もテレビ制作がしやすいように都心で立地のよいマンションを選びました。

時代の流れから、テレビ番組制作の受注が激減

創業から5年目にあたる2020年にコロナが直撃しました。3密を回避するため、テレビ制作の仕事も以前とはまるで状況が変わりました(過去の映像を編集する、タレントにもロケをさせずに自宅から画面のみで参加するなど)。

これまで順調だったNさんの事業ですが、今後のことを考え「テレビ制作一本ではなく業態転換をする局面にきた」とNさんは感じました。

テレビ番組制作と動画制作の共通点を活かした

テレビを見る人が減り、YouTubeなどのネット動画を見る人が多い時代になりました。共働きが増え、お茶の間で番組を見るだけでなく、通勤時間などの隙間時間にスマホアプリで動画を見る人も増えています。

そんな時代の需要を考え、Nさんは動画制作の仕事も請け負う事にしました。動画制作とテレビ制作は同じではありませんが、編集や構成が必要な点など、多くの共通点があるからです。結果、日本政策金融公庫の融資に無事に通りました。個人で確定申告をしていたため、銀行には「数字が違う」と指摘されたこともあり、当社に事業計画や税金書類などの作成も相談もしたいと考えていらっしゃいます。

⑤飲食店⇒追加でキッチンカーでの移動販売

肩ひじ張らない家庭料理とお酒を楽しめる居酒屋を経営するSさんは、神戸で個人店を出してから5年たちました。地元では「元気になれる店」「家庭料理がおいしい」と常連客も多く、特にサラダと煮物が評判です。

しかし、コロナ禍でやはりお客さんの数が減りました。そこで、通常の営業と並行してテイクアウトにしやすいメニューでお弁当販売をスタートしました。

ものづくり補助金採択が大きな強み

「ものづくり補助金」とは、車の購入や機械化などを通して今行っているサービスの生産性を高める事業者がもらえる補助金です(正式名称=・商業・サービス生産性向上促進補助金)。

参照:全国中小企業団体中央会|ものづくり補助金総合サイト

Sさんはこの補助金に着目し、居酒屋メニューやお弁当をデリバリーするためのキッチンカーの購入費に充てようと申請しました。そして見事、補助金に採択されたのです。

待っていてもチャンスは訪れない

もともとSさんは、週末にイベントなどでキッチンカーを出す手伝いを行っていました。コロナ禍でお客さんの数が減ったことで、「やるしかない」とキッチンカーでの販売を決意しました。

補助金への応募、そして、今後代わりに店を経営してくれる人を準備するための資金調達のために、当社へ融資のご相談もいただきました。Sさんの先を見据えた行動力は、困難な状況を打開するヒントになるかもしれません。

まとめ

業態転換はビジネスを継続していくために必要な次の一手になり得ます。業態転換することによる初期費用や準備時間などのコストは少なからずかかりますが、時代に合ったビジネスに進化できる、事業を軌道修正できる、などのメリットも多いにあります。

今後の事業の展開を考える上で、参考にしてみてください。

株式会社SoLabo(ソラボ)があなたの融資をサポートします!

株式会社SoLabo(ソラボ)は中小企業庁が認める認定支援機関です。

   

これまでの融資支援実績は6,000件以上となりました。

   

「独立するための資金を調達したい」
「金融機関から開業資金の融資を受けたい」
「手元資金が足りず、資金繰りに困っている」
といったお悩みのある方は、
まずは無料診断よりお問い合わせください。
融資支援の専門家が対応させていただきます全国対応可能)。

SoLabo(ソラボ)のできること

     

・新規創業・開業の相談受付、融資支援業務
・既存事業者の融資支援業務
(金融機関のご提案・提出書類の作成支援・面談に向けたアドバイス・スケジュール調整等)

サポートさせて頂いたお客様をご紹介しております