開業届は出さなくてもいいのか?提出するメリットとデメリットを解説

これから開業する人や副業を始める人の中には、開業届を出さないでいいのか知りたい人もいるでしょう。また、開業届を提出することでどのようなメリットやデメリットがあるのか気になる人もいますよね。

当記事では、開業届を出さないでいいのかについて解説します。開業届を出した場合のメリットやデメリットも解説するので、これから開業届を出すことを考えている人や、出し忘れていたが「今から出すのは遅い?」と疑問を抱いている人は参考にしてみてください。

開業届を出す義務がある

開業届を出す義務が、所得税法 (第二百二十九条)により定められています。そのため、あらたに事業を開始した時は、管轄の税務署へ開業届を提出する必要があります。

たとえば、本業として飲食店を経営していて、継続した売上を見込んでいる場合、事業所得に該当するので、開業届を提出します。

店舗や事務所、事業所を持たずに事業を自宅でおこなうフリーランスの人であっても、継続的な収入を得ている場合は、事業としてみなされるため開業届の提出の義務があります。

なお、開業届を出さない場合の罰則は定められていません。すでに事業を行っていて開業届を出していない人は、管轄の税務署へ開業届を提出しておきましょう。

副業の場合は開業届を出さなくてもいい可能性がある

副業として収入を得ている人は、開業届を出さなくてもいい場合があります。副業で得た収入は事業所得ではなく、雑所得としてみなされる傾向があるためです。

たとえば、副業としておこなう、アフィリエイトや動画広告、不用品の売買などで得た収入は雑所得としてみなされる傾向があります。

ただし、継続的な売上があり事業といえる規模(収入や事業所など)で副業をおこなう場合は、事業所得として扱われることもあります。そのため、副業の収入が継続的に得られるようになった場合は、開業届の提出を検討しましょう。

なお、開業届を提出していない場合でも、所得を得ている場合は確定申告が必要な点は留意しておきましょう。

確定申告をする際に、副業の収入が雑所得と事業所得のどちらに該当するのか判断がつかない場合、確定申告をおこなう前に管轄の税務署に相談してみましょう。

開業届を出していなくても確定申告が必要な場合もある

開業届を出していない場合でも確定申告が必要な場合があります。確定申告が必要か否かについては、開業届の提出ではなく、所得によって決まるからです。

たとえば、開業届を出しているかに関わらず、副業で20万円以上の所得を得ている場合、基礎控除額を超えるため確定申告が必要です。一方で、所得が無い人は、開業届を出しているかに関わらず確定申告をする必要はありません。

ただし、所得税の申告が必要ない場合でも、副収入を得ている人や個人事業主として所得がある人は、住民税申告をおこなう必要があります。所得税の確定申告が必要ない人も、住民税申告が必要になる点は注意しておきましょう。

所得税の確定申告が必要かわからないという人は、国税庁公式サイト「確定申告が必要な方」を確認してみてください。

開業届を提出するメリット

開業届を提出すると、税制面や事業運営において次の表のようなメリットがあります。

  • 青色申告を使用できる
  • 屋号付き銀行口座を作成して事業資金を分けることができる
  • 事業を行っている証明ができる
  • 小規模企業共済に加入できる

青色申告を使用できる

開業届を提出している事業者は、青色申告を活用できる可能性があります。

青色申告は最大65万円が事業所得から控除される青色申告特別控除などを活用できる制度です。青色申告で活用できる主な項目は次の通りです。

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者給与
  • 貸倒引当金
  • 純損失の繰越しと繰戻し

たとえば、確定申告の際に青色申告特別控除を使った場合、事業所得から最大65万円が控除されます。青色申告では青色申告決算書の提出が必要になります。青色申告決算書を作成するには、複式簿記による記帳と貸借対照表および損益計算書の知識が必要です

複式簿記とは、1回の取引を借方と貸方の2つに分けて記録する方法です。借方は財産が増えたことを、貸方は財産が減ったことを記録します。

なお、青色申告承認手続きの期限は、確定申告をする年の3月15日または事業開始等の日から2月以内です。この期限を過ぎると翌年まで青色申告をおこなえない場合があるので青色申告承認手続きを検討している人は留意しておきましょう。

屋号付き銀行口座を作成できる

開業届に記載した屋号の付いた名義で銀行口座を開設できます

屋号を使用した名義で口座を開設すれば事業用とプライベート用に資金を分けて管理できます。また、お客様に料金を振り込んでもらう場合、事業用の口座があった方が安心感を与えることもできるでしょう。

屋号は開業届を出していなくても使用できますが、屋号付きの名義で銀行口座を開設するには、税務署に収受された証明ができる書類を求められるので覚えておきましょう。

事業を行っていることを証明できる

開業届を提出すると、事業を行っていることが証明できるようになります。税務署に開業届を提出すると受け取れる「開業届の控え」には、税務署の収受印が押してあるので、事業を行っていることを証明する書類として利用できるからです。

具体的には、融資を受ける際に金融機関から事業を行っていることの証明を求められる場合があります。その際、税務署の収受印が入った開業届の控えを提出すれば問題ありません。

とくに、開業直後で確定申告をおこなっていない場合は、確定申告書を提出できないため、開業届の控えを求められる傾向があるので留意しておきましょう。

小規模企業共済に加入できる

開業届を提出している場合、小規模企業共済に加入することができます。小規模企業共済は、経営者や個人事業主が加入できる制度だからです。

小規模企業共済の加入者は、経営者や個人事業主が廃業や退職に備えるため、毎月一定の掛金の積み立てをおこないます。積み立てる掛金の全額が所得控除されるので節税効果があります。また、退職や廃業時には共済金という形で積み立てた掛け金を受け取ることができます。

なお、加入手続きの際、事業をはじめたばかりで確定申告書がない事業者は、開業届の控えを求められます。開業届の控えは税務署の収受印があるものが必要なので覚えておきましょう。

開業届を提出するデメリット

開業届は提出する義務があるものですが、提出する際に発生するデメリットは理解しておきましょう。

開業届を提出するデメリットは次の通りです。

  • 青色申告をおこなう場合は帳簿管理が複雑になる傾向がある
  • 失業手当を受け取ることができない

青色申告をおこなう場合は帳簿管理が複雑になる傾向がある

青色申告者は帳簿管理を複式簿記でおこなう傾向があり、白色申告で認められる簡易な記載方法と比べて帳簿管理が複雑になる場合があります。

なぜなら、最大額の控除を受ける条件の一つに「所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること」と記載されているからです。

記帳について詳しく知りたい人は、国税庁の公式サイト「記帳説明会のご案内」から管轄の税務署へ問い合わせてみましょう。

失業手当を受け取ることができない

個人事業主になった場合、雇用保険の失業手当(基本手当)は受けられなくなります。

具体的には、勤めている会社を退職後に個人事業主として事業をおこなう場合、開業すると失業の状態にあるとみなされず失業手当を受け取ることができません。

しかし、雇用保険には再就職手当という制度があります。再就職手当は、離職後に早期に就職または事業を開始した人が対象です。失業手当は受給できませんが、必要条件を満たしていれば個人事業主でも再就職手当を受給できる場合があります。

開業届はさかのぼって提出できる

これまで開業届を出さずにいた人も、開業届は開業日を実際に開業した日付にさかのぼって提出できます。

開業届は開業した日から1か月以内に提出することが義務付けられていますが、この期間を過ぎた場合でも開業届を受理してもらうことができます。

実際に、国税庁の担当者へ「開業日をさかのぼって届出をおこなうことは可能ですか?」と質問したところ、「原則届出は開業した日から1カ月以内ですが、遅れてしまった場合でも受け取っています」という回答でした。

ただし開業届の提出日はさかのぼることができません。税務署の記録に残る提出日は、開業届を税務署へ届け出た日付になるからです。開業届の提出日が条件に含まれる制度の利用を考えている人は、開業届の提出日はさかのぼれない点に留意しておきましょう。

まとめ

開業届を出さなくても罰則はありませんが、開業届の提出は所得税法 第二百二十九条(開業等の届出)で義務付けられているため、事業を開始する人は提出しておきましょう。

開業届の提出には、青色申告が行えることや屋号を使用した口座開設ができるなどのメリットがあります。

ただし、副業で行っているが退職後に失業保険を受け取る予定があるといった場合、開業届を提出すると失業保険の対象外になります。

なお、開業届は提出が遅れてしまった場合でも受け取ってもらえます。1ヵ月以上経ってしまっていて提出を迷っている人は、税務署に相談して提出するようにしましょう。

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