資本金を増資するための3つの方法と増資することのメリット・デメリット

資本金を増資するための3つの方法と増資することのメリット・デメリット

株式会社の資金調達は借入だけではありません。一般的に資金を工面するといえば融資が思い浮かびますが、それ以外にも「増資」で運転資金を確保するという方法もあります。

増資とは、新たに株式を発行することにより資本金を増やす方法です。仮に現在の会社の株式が300株なら500株まで増やし、200株を売って資金を集めるわけです。

この株を買った人が、要するに「株主」ですね。

そして、増資には3通りの方法があり、それぞれ目的は同じでも特徴が異なるのでチェックしていきましょう。

1.資本金とは

そもそも資本金とは、会社をスタートするときの運転資金です。起業するにあたり、事業の運営に必要な準備資金という考え方もできます。

そして、従来まで定められていた最低資本金制度(株式会社1,000万円)が廃止になったので、資本金を1円に設定しても法人登記は可能です。

しかし、実際には1円で事業を運営することは不可能ですよね。資本金は会社のスタミナ=運転資金なので、資本金が多ければ会社の資金繰りは楽になるでしょう。

ただし、設立時の資本金を1,000万円で登記すると、初年度から消費税の課税事業者となります。資本金が1,000万円未満であれば、消費税は2年間免除されるので慎重に考えないと損します。

【ポイント】

消費税の負担を避けたいのであれば、会社設立時の資本金は、1,000万円未満にすべき!

つまり、法人登記で設定する資本金(表面上の資本金)と実際に保持しておく資金(ストックしておく運転資金)は別ものなのです。

ただし、消費税が2年間免除されるからといって、資本金の設定を少なくすればOKというわけでもありません。

資金調達のときに融資を受ける際、資本金の額で判断する金融機関もあります。たとえば、資本金100万円の会社と500万円の会社では、資本金が多い会社のほうが有利です。

さらに、業種によっては許認可を受けるために資本金の最低額が定められています。たとえば、「一般労働者派遣業」の許可を取得したい場合は資本金1,000万円以上が条件です。

資本金を設定するときには、資金調達のことや業種による許認可などを考慮しなければなりません。表面上の資本金と実際に保持しておく資本金(運転資金)の違いを理解しておきましょう。

2.増資のメリット

増資の主なメリットは、「運転資金を調達できる」「会社の信用度が上がる」「会社の支援者が増える」という3つ。まず、増資で工面した資金は返済しないのが基本です。

出資は融資とは異なり、貸すのではなく会社に投資するわけなので、出資金に対する返済義務は生じません。その代わり、出資した株主に利益を配当する義務が生じます。

返済の負担がない資金を調達できる点は、何よりも大きなメリットと言えるでしょう。

次に、会社の信用度ですが、表面上の資本金が増えれば世間からの信頼性が高まる一つの要因になります。

つまり、資本金が多いということは「経営の母体が強い」と見られやすくなり、投資家や金融金庫、または得意先への印象も良くなるわけです。

そして3つめの「支援者が増える」ですが、出資してくれた人=会社の支援者と同じ。株主になってもらう、利益をシェアする人が増えることで会社を成長させるチャンスになるのです。

 3.増資のデメリット

増資はメリットが多いように思えますが、それなりにデメリットも生じます。考えられる主なデメリットは主に5つです。

1)経営者の権利が弱くなる

経営者が会社の株を100%所有している状態とは違い、増資すると会社の株を売ることになるので経営者が所有する株が減少します。

たとえば、所有していた100株とは別に50株を増やしたとき、経営者が所有する株は全体の約65%。株を増やせば増やすほど、経営者が所有する割合は減ります。

そして、これまでは経営者が独自で会社の方針を決めていたとしても、今後は株主にも報告する義務が生じ、経営者の独断で会社を動かすことが難しくなるわけです。

2)株主に配当金を支払う

出資は融資とは違います。返済する義務はありませんが、その代わり、出資額に応じて利益を配当する義務が生じるのです。もし、配当に応じないようなら、株主から株の買戻しを要求されるケースもあります。

そのため、増資で出資を募るということは、配当金を前提とした高い利益を生み出すビジネスプランが必要になるでしょう。利益を生み出せなければ、配当することができません。

3)資本金が変われば納税額も変わる

資本金が大きくなると税率が上がり、赤字でも支払わなければならない固定の税金が増えます。増資の目安として、そのボーダーラインは1億円です。

また、資本金が1,000万円以下の場合、会社を設立して2年間は消費税の免税措置が受けられますが、この期間中に増資で1,000万円を超えると免税措置が受けられなくなります。

4)発行株価の算定に費用が掛かる

新しい株を発行するにあたり、新株の値段を決める(発行株価の算定)を専門家に依頼するのが一般的です。単純な方法で算出しても20万円前後、DCF法など詳細な計算方法で算定する場合には100万円を超える可能性もあります。

5)法人登記の変更が必要になる

資本金は法人登記の必須事項なので、資本金の額が変われば登記の内容を変更するために再度、法務局で法人登記を修正しなければなりません。

主な費用として、登録免許税や収入印紙などが必要になります。登録免許税は、増資した金額の1000分の7、または、その金額が3万円未満の場合は3万円です。

また、あらかじめ定款に記載している発行株式数を変更する必要もあるため、その手続きに登録免許税が3万円かかります。これらは自分で手続きした場合ですが、変更登記を司法書士に依頼すれば報酬も発生するでしょう。

 4.増資3つの種類

増資する方法は、「公募増資」「株主割当増資」「第三者割当増資」の3つです。それぞれの特徴や要点についてチェックしてみましょう。

1)公募増資

すでに出資してもらっている既存の株主や特定の第三者に限らず、一般の投資家に対して新たな株式を取得できる権利を与える増資方法です。

ただし公募増資は、発行する株の価額(値段)によって既存株主の利益を侵害する可能性があるため、これまでよりも有利な価額で新株を発行する場合には株主総会の決議が必要となります。

2)株主割当増資

既存の株主に対して新たな株式を取得できる権利を与える増資方法です。その場合、既存株主は、自分の保有する株数に応じて新たな株を取得できます。

出資金が必要になるため、引き受けるかどうかは株主の判断に委ねられます。つまり強制ではないので、すべての既存株主が新しい株を買わないということも考えられるのです。

3)第三者割当増資

新たに株(新株)を発行する会社の親会社や取引先などに関連する「特定の第三者」に対し、その株式を取得できる権利を与える増資方法です。

公募増資と同じく、既存株主とは関係のない第三者に対して株を売ることになるので、これまでよりも有利な価額で新株を発行する場合には株主総会の決議が必要となります。

まとめ

今回は、資本金の意図や増資のメリット・デメリット、増資3つの方法についてチェックしましたが、経営者にとって資金に関する問題は爆弾と言っても大げさではありません。

爆発すれば倒産の危機ですし、爆弾に火がつかないように管理する責任があります。また、株式会社の資金調達は借入だけではありません。

融資で資金を工面する以外にも、「増資」で運転資金を確保するという方法もあります。増資は株主の問題や株価の決定など様々な問題が絡むため、冷静に判断する必要があるでしょう。

会社の運転資金を調達する際に増資を検討している人は、まずは資金調達の専門家に相談することをオススメします。

本当に増資する必要があるのか、その会社に応じたメリット・デメリットを考慮したうえで専門家が判断し、場合によっては増資しなくても資金を調達できる方法があるからです。

資金調達の専門家=運転資金を工面するプロは、お金が絡む問題で経営に行き詰まりそうなとき頼りになる存在です。爆弾に火がつく前に、なるべく早い段階で相談しましょう。

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