会社の今現在の支払能力を把握しておくことは会社経営をしていく上でとても大切なことです。
会社の支払能力を把握するためには、「流動資産に対する流動負債の割合」つまり「流動比率」を知る必要があります。さて、流動資産や流動負債、流動比率とは一体何なのでしょうか?
今回は流動比率の計算方法などを説明します。
目次
1.流動比率とは何か
流動比率とは、流動資産に対する流動負債の割合をさします。つまり、会社の短期的な支払能力がどのくらいなのか、安全性を測る指標です。
2.流動比率の算定式
流動比率(%)は、「流動資産÷流動負債✕100」で計算することができます。

3.流動比率算定に使う流動資産、流動負債とは何か
ここでまず、流動資産と流動負債について説明します。
流動資産 | すぐ(1年以内)に現金化できるもの。現金預金、受取手形、棚卸し資産など |
流動負債 | すぐ(1年以内)に返済する必要があるもの。支払手形、買掛金、未払金など |
例えば、流動資産のほうが流動負債よりも多い場合、短期的な支払能力に余裕があることを表します。
流動資産を全部現金化したとすると、すぐに返済しなければならないお金は、流動資産のお金ですべて支払う事ができ、さらに余力が残るからです。
一方、流動資産よりも流動負債のほうが多い場合、短期的な支払能力には懸念があるといえるでしょう。すぐに支払わなければならないお金は、流動資産を全て現金化しても足りないからです。
仮に借入金の支払いができない場合、会社は倒産に追い込まれるかもしれません。一般的に流動資産は流動負債の1.5倍~2倍(流動比率150%~200%)あると好ましいとされています。
4.流動比率が100%を下回るのは注意!流動比率の計算例
2つの会社の流動比率を比較してみます。

A社とB社を比較すると、流動比率はA社の方が高く、B社より支払能力が高いことがわかります。
短期的な資金繰りでもお金がショートする可能性が低く、より安全だといえるでしょう。
B社は1年以内に現金化できるものが50しかないのに、同じ期間内に100も返済しなければなりません。これでは、会社の安全性に問題があり、近い将来資金不足となってしまうかもしれません。
このように、流動比率が100%を下回る財務状況は危険な状態といえるでしょう。
5.流動比率は万能ではない?流動比率を測定するときの注意点
流動比率の計算には流動資産と流動負債を使用します。
このうち、流動資産の中に含まれる棚卸資産には注意が必要です。棚卸資産は、まだ売れていない商品や製品または仕掛品、材料在庫を表します。そのほとんどが翌年1年間で短期的に現金化されますので特に問題はありません。
ただし、過剰に在庫を抱えている場合や売れ行きが悪い場合などはなかなか棚卸資産が売れず、代金の回収に時間がかかることも考えられます。したがって、このような状況で流動比率の値が良かったとしても、実際には資金繰りに苦労してしまうことも考えられるのです。
より厳密に会社の支払能力を分析したい場合は、流動比率ではなく当座比率で会社の安全性を測ります。会社の実情と照らし合わせ、より精細な分析ができると良いです。
6.まとめ
- 流動比率は会社の短期的な支払能力を測り安全性測定する指標
- 流動比率は150%~200%くらいが理想
- より厳密に会社の支払能力を分析する場合は当座比率を用いる