助成金を受給することで返済不要の資金調達が可能であることをご存じですか?今回ご紹介する「人事評価改善等助成金」は最大130万円受給可能な助成金です。比較的取り組み安い助成金なので支給要件や申請方法を確認し、事業経営の資金調達に役立てましょう。
目次
1.人事評価改善等助成金って?
人事評価改善等助成金は平成29年4月1日に新設された助成金です。従業員の賃金を上げるための制度を整備し実施することで受給することができます。賃金アップによる従業員の業務に対するモチベーション向上に伴い、会社の生産性向上や離職率の低下を目指すことで慢性的な人材不足解消に繋がるでしょう。
また、人事評価改善等助成金には「制度整備助成」と「目標達成助成」があり、それぞれに支給要件が存在します。「制度整備助成」と「目標達成助成」両方の支給要件を満たすと最大130万円の助成金を受給することができるのです。
人事評価改善等助成金の支給要件や申請方法について確認していきましょう。
2.人事評価改善等助成金「制度整備助成」とは?
(1)制度整備助成の支給要件
制度整備助成とは、事業主の方が会社の生産性を高めるために賃金を上げる等の制度を整えた場合に受給することができます。受給するために以下の要件を満たすことが必要です。
①人事評価制度等整備計画を作成すること

厚生労働省が指定する「人事評価制度等整備計画書」の項目にのっとり「人事評価制度整備計画」を作成し管轄の労働局へ提出します。計画の提出には期限があり、人事制度を整備・実施する日の6ヶ月~1ヶ月前の日の前日までに提出が必要です。
また、他の人事評価制度等整備計画が実施中の場合には新規の計画を提出することが出来ないので注意しましょう。
作成した人事評価制度等整備計画を労働局へ提出し、労働局長の認可を得ることで要件の1つを満たします。
②人事評価制度等整備計画を実施すること
労働局で認可を受けた人事評価制度等整備計画を実施します。志度整備助成の対象となる人事評価制度等は以下の条件を満たす必要があります。
・正規雇用従業員等全員が適用の対象である人事評価制度

・以下8項目を満たす人事評価制度

・改定された、または新設の人事評価制度
※人事評価制度等整備計画を実施する際、労働局へ提出し認可を受けた計画通りに行われなかった場合には助成の対象外となるので注意しましょう。
計画実施の途中で計画内容に変更が出る場合は労働局へ変更の手続きを行いましょう。
(2)制度整備助成の支給対象事業主
制度整備助成の利用が出来る事業主は以下の要件を満たす必要があります。
①雇用保険を適用している事業主の方
②労働局の認可を得た人事評価制度等整備計画に沿って人事評価制度等を整備・実施した事業主の方
③いままでに以下の助成金を利用したことがある場合、下記条件をみたしている事業主の方

(3)制度整備助成の申請方法

人事評価改善等助成金の制度整備助成は、認可を受けた人事評価制度等を実施した日の次の日から2か月以内に支給申請を行います。必要書類と支給申請書を管轄の労働局へ提出しましょう。
申請に必要な書類についてはコチラ:厚生労働省 各種申請書類
3.目標達成助成って?
「制度整備助成」を受給する要件に加え、実施した人事評価制度等が1年経過した後にも問題なく運用され、会社の生産性が向上し従業員の給与が2パーセント以上上がり、離職率低下の目標を全部達成した際に受給することができます。要件や申請方法をみていきましょう。
(1)目標達成助成の支給要件
①「制度整備助成」の要件を満たし認可を受けた人事評価制度等を実施すること
②「生産性要件」を満たしていること
③離職率の低下の目標を達成していること
「目標達成助成」を利用する際、人事評価制度等の実施を開始した時よりも指定した目標値の分離職率が低下している必要があります。低下させる必要がある離職率の数値は、助成を受ける会社の雇用保険被保険者数によって変化します。以下の表で確認しましょう。

④従業員の毎月の給与を2%以上増加させること

認可を受けた人事評価制度等の実施日の前月から1年後の同月まで、離職することなく在籍する正規の従業員が対象です。人事評価制度等を実施した日の前月と、1年後の同月の正規従業員の給与をそれぞれ合計し比較した際に2%以上増加している必要があります。
(2)目標達成助成の支給対象事業主
「目標達成助成」を受給することができる事業主は以下の要件を満たす必要があります。
①人事評価改善等助成金「制度整備助成」を受給した事業主の方
②「制度整備助成」の際に実施した人事評価制度等を実施・存続している事業主の方
③「生産性要件」を満たしている事業主の方
④離職率低下の目標数値を達成している事業主の方
⑤正規雇用従業員の給与を2%以上増加させた事業主の方
(3)目標達成助成の支給申請方法
人事評価改善等助成金の「目標達成助成」は、支給要件を満たした場合に評価時離職率算定期間の末日の次の日から2か月以内に行います。
4.人事評価改善等助成金の受給額
人事評価改善等助成金は「制度整備助成」の要件を満たし受給する場合、50万円。さらに「目標達成助成」の要件を満たすと追加で80万円受給することができます。
まとめ
今回は平成29年度に新設された「人事評価改善等助成金」についてご紹介しました。人事評価等改善助成金は制度整備助成と目標達成助成を併せて最大130万円受給可能な助成金です。
従業員の賃金増加による離職率の低下によって、会社の人手不足を解消し生産性向上にもつながります。会社の成長と資金調達が同時に出来るため、事業主の方にとって見逃せない助成金の一つですから是非ご活用ください。