負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

会社の資金の調達源泉は、大きく分けると他人資本と自己資本の2つに分けられます。

財務レバレッジはこの他人資本(負債)の利用度合いを示す指標ですが、レバレッジ効果やその利点について、徹底的に解説します!

1.財務レバレッジとは

財務レバレッジとは、自己資本に対する総資本の大きさから、他人資本をレバレッジ(=テコ)と考えて、総資本に対する他人資本の利用度合いを示した指標です。

単純に言えば、財務レバレッジとは、総資産は自己資本の何倍となるかを表したものです。

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

2.財務レバレッジの計算式

財務レバレッジは、総資産を自己資本で割る事で算出します。すなわち、自己資本を総資産で割って算出する自己資本比率の逆数となります。

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!
先にも述べた通り、会社の元手は大きく分けて2種類に分けられます。

仮に、自己資本が1億円だとします。会社の資本を全て自己資本の1億円でまかなっている場合、財務レバレッジは1倍です。自己資本1億円に対して、総資産が2億円なら財務レバレッジは2倍、総資産10億円なら財務レバレッジは10倍となります。

3.他人資本と自己資本のリスク負担を考える

金融機関等からの借入金である他人資本と、株主からの出資金や過去に得た留保利益である自己資本です。

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

他人資本には返済義務が生じますが、契約により支払利息や元本の額は確定しているため、その他のビジネスリスクの負担はありません。

一方、自己資本には返済義務はありませんが、株主は出資の見返りとして会社業績に依存した配当等を期待するため、様々なビジネスリスクを負担することになります。

そのため、一般的に、自己資本の方が他人資本よりビジネスリスクの負担分だけリスク負担(調達コスト)が高いとされています。

さらに、借入金等の他人資本により資金を調達すると、利息の支払いが発生します。

他人資本による支払利息は費用として計上されるため、その結果、支払う税金が抑えられることになり、節税効果を受けることができます。ただし、他人資本の利用には元本の支払いが伴い、過度の依存は倒産リスクを高めることになってしまうため注意が必要です。

一方、株主からの出資等の自己資本により資金を調達すると、返済義務は生じませんが会社業績に応じた儲けの一部を配当により株主に還元することになります。また、配当金は会社の利益処分項目であり、費用ではないため、節税効果はありません。

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

4.財務レバレッジを高くする利点

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

他人資本を利用する事で得られる財務レバレッジ効果にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここで、3つの利点を列挙します。

 

(1)投資効率が上がる

① 利益の増加

A社の総資産利益率(ROA)は10%です。ここで、事業拡大のために銀行から資金を借り入れます。支払利子率は借入金の3%です。話を簡単にするため、ここでは税金は考慮しません。

A社は借入金を事業に投下すると、この資金から7%(=10%-3%)の利益を獲得できます。

単純に考えて、出ていくお金(資本コスト)よりも入ってくるお金(収益)の方が高ければ、会社の利益は増加します。

つまり、負債の資本コスト率(支払利子率)よりも事業利益率の方が高いのならば、この投資は確実に会社に利益をもたらします。

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

② 自己資本利益率(ROE)の増加

次に、A社の財務レバレッジが1倍の場合と5倍の場合で、総資産利益率(ROA)と自己資本利益率(ROE)を比較します。A社のROAは10%とします。

 

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

【 例1 】を見て分かるとおり、借入後も高いROAを維持できるのであれば、他人資本を増加させることで、ROEの値は必ず上がります。

ROEは株主資本に対する収益性を表しますので、積極的な事業投資が評価につながり、この結果は投資家に対する良いアピールになり得るでしょう。

ただし、ROEの分析には注意が必要です。

ROEは自己資本に対する利益額を測るので、自己資本金額が変化しないまま少しでも利益が増加すれば、必ずROEの値は上がります。

ROEが上がるからといって、他人資本(負債)を増加させて成長性のない事業に資本を投下すると、後々の企業リスクが増加し経営を圧迫する事になりかねません。

資金の借り入れには適切な経営判断と財務計画が必要です。

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

(2)節税効果が得られる

ここで、財務レバレッジが5倍であるA社と、財務レバレッジが1倍であるB社を比較します。

A社とB社の総資本は5億円であり、ROA(ここでは総資本営業利益率)は10%とします。また、支払利子率は借入金の3%、税金は30%とします。

 

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!

【 例2 】より、総資本・営業利益が同額のA社とB社の結果を見てみると、他人資本を利用しているA社のほうが、0.036億円(=支払利息×税率30%)だけ税金が少ないことが分かります。

会社に費用が発生すれば、その費用が計上される分だけ支払う税金が抑えられることになり、節税効果が得られます。

(3)他人資本のほうが自己資本よりもリスク負担が低い

先の3.で述べたとおり、一般的に、自己資本の方が他人資本よりビジネスリスクの負担分だけリスク負担(調達コスト)が高いとされています。配当率や企業価値の上昇下落は、自己資本による資金調達(新株発行、自己株式の処分等)に直接的な影響を与えることになります。

自己資本には返済義務がないため、その分株主への高い還元が要求されるという事です。

5.財務レバレッジの目安

業種により財務レバレッジの平均値さまざまですが、全産業合計の財務レバレッジ指標は次のとおりです。

(引用)

『経済産業省「平成28年中小企業実態基本調査(平成27年度決算実績)速報を公表します」』
経営指標 単位 平成25年度 平成26年度 平成27年度
財務レバレッジ 2.88 2.68 2.58

6.まとめ

〇 財務レバレッジを上げて他人資本をうまく利用すれば、資本の運用効率を上げる事が出来る

〇 負債が増加する事で支払利息が発生し、節税効果を生む。

〇 他人資本は自己資本よりも資本コストを抑えて資金調達できる

お知らせ

負債を増やすと投資効率が上がるって本当?財務レバレッジを高めて得る3つの利点!