消費税って、いったいどのように納められているのか、気になったことはありませんか?
いつも購入する食品や生活用品の値段にただなんとなく上乗せされている消費税。
自分には関係ない!と思いきや…
個人事業を展開している方には、大きく関係してくるんです!!
知らないと、いざという時に困ることになるかもしれません。
この機会に是非、消費税について理解を深めてみてください。
1.消費税の仕組み
消費税はどのような仕組みで、国に治められているかを知っていますか?
自分が払った消費税がそのまま税金として納められているイメージ?
実は、まったく違います。
消費税は案外、複雑な仕組みがあるのです。
まずは、そのしくみを簡単にご説明いたします!
たとえば、あなたはコンビニで300円+税のガムを買ったとしましょう。
あなたが払った代金は税込みで324円。24円分が消費税です。
一方コンビニは、
ガムをお菓子メーカーから200円+税で仕入れたとすると、コンビニがメーカーに払った消費税は16円。
コンビニ側は、あなたから受け取った24円から、コンビニからメーカーに支払った消費税の16円を引いた、8円を国に納めます。
これで終わりではありません。
メーカーはガムの原料を買うために、100円+税を仕入れ金に使ったとします。
すると、メーカーが支払った消費税は8円。
メーカーは、この8円をコンビニから支払われた16円から引き、残りの8円を税金として納めているのです。
最後に、原材料を売った会社はメーカーから支払われた8円を全額、消費税として納めます。
では、この一連の流れで消費税はいくら支払われたでしょうか。
計算式にすると、
コンビニが納めた8円+
メーカーが納めた8円+
原材料の販売会社が納めた8円=24円
あなたが納めた24円は、このような複雑な流れでみごと全額納められたのです。
つまり、「各業者はあなたが納める消費税を先に預かる形で納付している」ということがわかります。
この考えをよく理解しておきましょう。
2.売り上げが1000万を超えたら注意!免税事業者って何?
消費税を納付する義務のない事業者を「免税事業者」といいます。
個人事業者は開業してからの二年間は、基本的に免税事業者となります。
また、以前から営業をしていた個人事業者も前々年の課税売上高が1000万円を超えていない限りは、
免税事業者の対象となります。
つまり、
2017年の売上げが1200万円だった場合、翌々年の2019年からは課税対象となるのです。
[豆知識]
自身が免税事業者だった場合、消費税を払う義務はないということがわかりました。 では、免税事業者は消費者から消費税を請求していいのか疑問に思いませんか? 免税事業者も消費税を請求していいんです。 もちろん、その消費税の分を税金として支払う義務はないので、事業者の懐へ入ります。(その分の所得税は課税されます。) なんだか不思議ですよね。 このことは「益税問題」と呼ばれ、近年、問題視されています。 |
3.課税対象になっても安心!面倒な税額計算を簡略化!簡易課税制度について
個人事業主としての消費税は「支払う」こと以外に、「申告」・「納付」の二つが加わります。
申告にあたって、わかりにくい税額計算が必要になってくるため、不安な方もいるでしょう。
そんな方、必見の「簡易課税制度」についてご説明いたします。
(1)簡易課税制度とは
簡易課税制度とは、
課税売上高が5,000万円以下の個人事業者が利用できる消費税納付における区分で、仕入れの際にかかる消費税額を科目の一つ一つに出すのではなく、課税売上高(全体)に一定の率(みなし仕入率)を掛けることで計算を簡略化させることのできる制度です。
制度についてよく理解することで、節税も可能な制度です。
是非、活用してみてください。
(2)簡易課税制度を受けるための条件
この制度は、以下の2つの項目をクリアすることで受けることができます。
・課税基準期間の課税売上高が5,000万円以下
・「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していること
ただし「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合、2年間は簡易課税制度強制適用となります。
簡易課税制度をやめたい場合は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出が必要となります。
(3)課税制度の申告・納付について
①個人事業主の消費税の申告・納付に関して、注意すべき点では「中間申告・中間納付」があります。
納税制度の一つである中間申告は、前年の納税額によって年度の途中で納税の必要がでてくる場合があるというものです。
簡単に言うと税金の前払いです。前払いした分は、確定申告時に確定消費税額から中間で納付した税額を差し引いて最終的に納付します。
基本的に、前年の確定消費税額によって申告・納付の回数や時期が決まります。(前年の確定消費税額が48万円以下の場合は中間申告・納付が不要です。)
この場合、「中間申告」という名称ですが、中間申告書を作成・提出する必要はございません。
税務署から届いた納付書で納付すれば申告したものとみなされるので、中間申告書の作成。提出は不要です。
前年の確定消費税額によって行う中間申告のほか、「仮決算」によって行う中間申告があります。
例えば前年、業績が好調で確定消費税額も多額となったが、今年は業績が低迷していて中間納付するお金がない!なんてこともあります。
この場合、仮決算(年の途中で行う中間決算)による中間申告書の作成・提出を行うことで納付税額を減らすことが可能です。
いずれの方法でも納付期限を過ぎると延滞税がかかりますので注意が必要です。
中間申告・中間納付が必要かどうか確認しておくことで、しっかりと資金繰り計画を立てておきましょう。
②消費税に関わる書類一覧
消費税の申告や納付に必要な書類を一覧にまとめました。
届出が必要になった際は忘れずに用意しましょう。
・売上高が1,000万円を超えた場合 → 「消費税課税事業者届出書」
・売上高が1,000万円以下になった場合 → 「消費税の納税義務書でなくなった旨の届出書」
・あえて課税事業者を選択することで有利になる → 「消費税課税事業者選択届出書」
・簡易課税制度を選択する → 「消費税簡易課税制度選択届出書」
・簡易課税制度をやめる → 「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」
最後に
ただ上乗せされているだけだと思っていた消費税にも複雑な仕組みや制度がありましたね。
5%から、8%、いずれは10%に上がる予定の消費税。
ついつい税率のことばかりに関心をもってしまいますが、個人営業には密接に関係するこの税金について、少しでもご理解いただけましたら幸いです。
税制へ理解は、会社の発展への一歩です。より将来を見据えた経営をしていきましょう!