”夢であった飲食店を開業”開業するからには「不自由なく経営を続けていきたい」と、経営者なら誰もが思うはずです。数多くある飲食店の中で勝ち残るのはなかなか難しいとも言われています。そのお店の経営を握っているのが、事業計画書です。
経営をしていくにあたって、事業計画書は非常に重要です。今回は、経営者なら誰もが知っておいてほしい、事業計画書について、その重要性を詳しく見ていきましょう。
目次
1.お店の閉店と閉店したいための改善策
【閉店してしまう理由】
自分のお店を持ち始めた頃の喜びは開業した人だからこそ分かるものです。その念願のお店も、閉店せざる負えない状況になることもあります。その理由として挙げられることが、「店主の体力の限界」「お店が入っているビルの改装・工事」「お店の移転」等々、理由は様々です。
その中でも最も多い理由として、「経営・経済的に厳しい」=「繫盛しなかった・売れなかった」という理由です。昔と異なり、今やお金を使う方も少ないのが現状です。閉店に追い込まれる飲食店も少なくないのも分かります。
【閉店しないためには?】
では、どうしたら閉店せずに経営を続けていけるのか、一言でいえることが「売れる理由を作ること」なのです。
売れる理由を作ることで経営難から脱出し、経営も不自由なく続けていくことが出来ます。また、売れる理由を多く持つことや1つ強い効果を持つ理由をもつことで、経営を続けていく可能性は高くなるに違いありません。
2.5つの売れる理由
売れる理由と言われても具体的にどういうものか、5つの理由を挙げて見ていきましょう。
Ⅰ.お店が狙いとするターゲットを定め、コンセプトをまとめる
お店が狙いとするお客様(ターゲット)を定め、そのお客様に足を運んでもらうためにやるべきこと(コンセプト)を考えることが大切です。何も考えずにお店を開業しても、お店の方向性が分からなければお客様も足を踏み入れにくいです。

また、近隣の飲食店のこともよく知っておく方がいいでしょう。近隣の店舗とは違う、独自のお店のポイントをアピールすることも大切です。
Ⅱ.利益獲得が可能なビジネスモデルをまとめる
ビジネスモデルとは、利益を出すための基本的な仕組みのこと。飲食店でのビジネスモデルは、基本的にはどこも一緒です。
お客様の数×お客様一人の平均単価=利益(売上) |
この方法でお店の利益を上げている飲食店が多いかと思います。このビジネスモデルで確実に利益を上げるための方法を考えることが大切です。低価格を売りに経営を行っている場合は、飲食店経営でも幅広く視野に入れ、「テイクアウトやデリバリー」「イベント等での店内貸切・貸出」などの方法で利益を獲得するようにしましょう。
Ⅲ.経営の支えとなるメニュー開発
お店全体のメニューというわけではなく、お店の代表的なメニューを1つ作ることを指します。単純にメニューを決めるのではなく、代表としていくつかの条件を満たしていなければいけません。その条件が下記のようなものです。

これらの条件を満たし、お客様に馴染み深い代表メニューを作ることが重要になるのです。
Ⅳ.積極的な販売促進を行う
販売促進とは、一言でいうと、宣伝のことを言います。お店の宣伝というと、ティッシュやチラシ配り、SMSの投稿、看板等様々です。また、お客様がこれらの広告を見て、興味・他店との比較・認知などその期待にこたえられるような広告を作ることも大切です。
Ⅴ.従業員との関係性
売れる理由に従業員は関係ないと思う人は多いと思いますが、お客様と接客をしているのは働いているスタッフ、従業員です。従業員の働きやすい環境を作ることで自然と笑顔が生まれ、お店全体の雰囲気も明るくなります。暗いお店には誰も寄り付きませんよね。
お店全体が明るい方がお客様も足を止めて立ち寄りやすいことにも繋がります。
3.経営の安定には、売れない理由を無くしていく
上記で挙げた売れる理由ですが、売れる理由を作っていない飲食店は極めて少ないのです。開業にあたって、お店が繫盛するためにどの飲食店も売れる為にやるべきことは考え、実行してきているはずです。
その為、経営の安定を図るためにできる方法は”売れない理由を無くしていくこと”、その売れない理由を無くすためには、事業計画書の作成をし、その書類に基づいて必要な開業資金の申請を行うことです。つまり、

その理由は、売れない理由が分かっているのに、資金がなく結売れない理由を無くせないのなら意味がありません。そして、その資金の融資を受けるために必要なものが、「事業計画書の作成」になります。売れない理由を無くす為に事業計画書の作成で内容を組み入れ、必要な資金として申請、融資を受けることで売れない理由を無くしていきます。
売れない理由=不安、を抱えたまま開業を目指すよりも、売れない理由を無くしてから開業をし、売れる理由を作っていく方が気持ち的にも余裕を持ち経営を行っていくことができます。
4.売れない理由を無くす為の事業計画書
飲食店を開業するにあたって、融資を申請する際には事業計画書が必要です。事業計画書と関わることが多いのはおもに融資の申請時かと思います。
お店が潰れないために=売れない理由を無くす為に必要なことは、事業計画書をしっかり作成することです。しっかり作ると言っても具体的にどういうことなのか、事業計画書の内容も挙げてご説明していきます。融資が受けやすくなる事業計画書の作成を心がけましょう!
5.事業計画書の内容
今回は、日本政策金融公庫で融資の申請をする際に使用する事業計画書(用紙には創業計画書となっていますが、中身は事業計画書と同じもの)の内容についてご説明します。
この用紙に書かれているのが以下の8項目になります。

ですが、この創業計画書の8項目だけでは、事業計画書として必要な役割を完全には果たしていないのです。基本的にはこれらの項目を記入し、融資の申請をします。この創業計画書は、あらゆることをまとめにした一枚だと思っておいた方がいいでしょう。その為、自社のことを全く知らない人からしたら、この一枚だけでは思いが伝わりにくいのです。開業を考えている方の大半はこの一枚だけで終わりにしてしまうことが多く思い通りの融資を受けられずにいる現状があります。
6.事業計画書としての完成度と自己資本比率
・自己資本比率と事業計画書
自己資本比率というのは開業するにあたって必要となる開業資金を全額融資で受けることが難しく、〇%かは自身で用意をすることになります。いわゆる自己負担資金のことです。この〇%という部分のことが自己資本比率になります。この自己資本比率を決めているのは、作成した事業計画書を提出する日本政策金融公庫なのです。
・飲食店開業での自己資本比率
飲食店の開業で自己資本比率は50%が一般的と言われています。総投資額が1,000万円であれば、そのうち500万円を自分で貯めた場合には、自己資本比率は50%となります。自己資本比率が50%であれば融資はかなり通りやすいです。
なかなか自己資本比率を50%以上にするのは難しいと思いますので、自己資本比率を20%以上にすることを目標にしましょう!総投資額が1,000万円であれば、200万円以上あると理想的です。
7.事業の成功率を上げる事業計画書の作成
事業の成功率を上げる事業計画書の作成というのは、売れない理由を無くす為のものでもあります。売れない理由を無くす為の事業計画書というのは、店内を常に清潔に保つことや新たなメニューの開発、店舗の工事費などの店舗に関係するもののみではなく、

どこか一つでも穴が開いてしまうと、売れない理由となり経営難に陥ります。事業計画書の完成度が高いことで、飲食店の開業でも、自己資本比率を10%に抑えることに成功した人もいます。
8.成功するお店と失敗するお店の違い
飲食店はだいたい、5年で70%のお店が潰れると言われています。ですが、5年以上続いているお店ももちろん存在します。その違いが、融資の申請時の事業計画書をしっかりと作成したかどうかなのです。単なる一枚の紙だから…なんて思ってはいけません。事業計画書そのものが、お店の運命を握っています。
まとめ
まさか融資前の段階で、お店の将来が決まっているなんて思ってもいなかったと思います。自分のお店をオープンしたからには、誰もが成功を目指すはずです。成功させるためにも、事業計画書をしっかりと作成し、融資の申請を行いましょう。
初めてで分からないという方でも、作成のお手伝いから、融資に必要な書類まで準備をしてくれる企業も存在します。一人で悩まずに相談できる人には相談をする方がいいでしょう。
借入が好きではないという考えの方もいらっしゃいますが、万が一お金が無くなってからでは、お金を借りることはできません。借りやすいタイミングでしっかり融資を受けるということが成功の秘訣と言えるでしょう。