多くの人が保証人という言葉で聞き慣れているのは、連帯保証人という言葉だと思います。
ですがそれぞれの言葉で意味が変わってきます。
今回ご説明するのは「連帯」の2文字が付かない「保証人」のことについて。
2つの保証人の意味と、タイトルでもある会社経営者が保証人じゃなくなるにはどうしたらいいのかを、ポイントをあげてご説明します。
目次
1.連帯保証人と保証人の違い
まずは本題に入る前に、2つの言葉の意味について、理解しておきましょう。
これら2つの言葉、似ているように見えて、実は意味が少し変わってきます。
連帯保証人
お金を借りた本人が返済できなくなった際に、代わりに返済を行うこと。
金融機関から連帯保証人に返済の請求をしてきた場合、主張や断ることはできず全ての責任を負う。
連帯保証人が1人に限らない場合は、その人数で返済額を割り出し、返済が完了するまでは、全員が全額を返済しなくてはならない。
保証人
お金を借りた本人が返済できなくなった際に、代わりに返済を行う。
ただし、金融機関から返済の請求が来たとしても、「借りた本人に請求を」のように主張ができ、借りた本人に資金を出す能力があると分かった場合には、借りた本人の財産に対して、強制的に執行をするよう、金融機関に主張することが可能。
また、保証人が1人に限らない場合は、その人数で割った際の金額のみ返済をすれば良い。
2つの言葉の意味が異なることは、お分かりいただけましたでしょうか?
今回のテーマは、後者の保証人についてです。
以後の項目は「保証人」についてのご説明になります。
2.会社の保証人
会社を設立となると保証人という問題がよく出てきます。
会社での保証人は、万が一会社の経営が厳しく倒産となった場合に、責任を負うことになります。
この場合の保証人はほとんどが会社経営者。
つまり、社長が責任を負う、と思っている方も多いと思います。
ですが近年では、会社の保証人が不要となることもあります。
その理由として【経営者保証に関するガイドライン】の有効活用と言えるでしょう。
3.【経営者保証に関するガイドライン】とは
あまり聞き慣れない方や初めて知った方も多いのではないでしょうか?
経営者が保証人となることで、資金調達が円滑に進み役に立つ面がありますが、その一方で経営者が大きな事業展開を行ったり、保証後に経営難に陥ってしまった場合の早い段階での事業再生を妨げる原因となっていて、中小企業の働くための力を妨げてしまっている現状があり、いくつかの問題点が存在します。
この【経営者保証に関するガイドライン】は、これらの問題点を解決する為の方法をまとめたものになります。
経営者保証で生じる様々な問題点を解消し、経営者の味方となってくれるものなのです。
また新しく融資を受ける時にはともかく、既に契約している融資の条件をも見直しや借換え(お金を借り、借金の返済にあてること)の際に考えてもらえることになります。
このガイドラインの位置付けが、中小企業・経営者・金融機関が共通の、指示を受けずに自らが行動するルールとなっており、金融庁からも進んで応援を受けていることもあり、現在では利用されている件数が増加しています。
4.【経営者保証に関するガイドライン】の適用条件
このガイドラインが保証契約に適用されるには以下の条件を満たしていなければなりません。
この条件をみると難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、まじめに融資の取引を行っている一般的な中小企業であれば対象となるということです。
5.経営者保証が不要となる6つのポイント
ここで、今回のテーマでもある会社経営者が保証人ではなくなるポイントを見ていきます。
上記でご紹介してきた【経営者保証に関するガイドライン】の中で、経営状況が下記のような場合は、経営者保証が無くても融資を受けることが可能になりうる、と説明しています。
その経営状況がこちら…
(1)法人と経営者の関係性のはっきりとした区分・分離
お金を借りた本人は、法律上における権利義務の基本となる法人の業務・経理・資産所有等で、法人と経営者の関係性をはっきりさせ、区分・分離し、その間での資金やり取りを、常識的に考えて適切な範囲で行い、体制を常に準備し整える。適切な活用を計画することにより法人と個人の区分に力をいれる。
なおかつ、このような準備や動きの状況は、税理士や公認会計士などの外部専門家からのテストを受け、その結果は、金融機関へ正確に示すことが望ましい。
(2)財政事務に関する基本となる土台の強化
経営者保証は、お金を借りた本人の信用力の欠けている部分を完全なものにする方法の1つとして働いている面がある。
しかし、経営者保証を差し出さない場合でも必要な事業資金を滑らかに調達するために、お金を借りた本人は、財政事務の状況と会社の経営成績の改良を通して返済の能力の発展等により信用力を強くしていく。
(3)様々な情報の把握や開示等による経営での透明性を取得
お金を借りた本人は、金融機関から財産の返済状況・事業計画の成果の見通し・その事業計画の進展状況等の情報公開の要求に対し、正しく丁寧に情報の説明や公開をすることで、経営での透明性を取得する。
また、公開された情報の信頼性の発展の視点から、税理士や公認会計士などの外部専門家からのテストを行い、その結果と合わせた公開が好ましい。
そして、開示・説明後に、事業計画・成果の見通し等に動きの変化が出た場合は、自ら報告する等の情報の共有に力をいれる。
上記の内容を見ても、いまいちどういうことなのか…
一目で分かるように簡潔に、6つにまとめてみました。下記の項目を満たしていれば、経営者保証が不要となるのです。
経営者保証の不要を考えているのならば、これらの項目はしっかりと頭に入れておきましょう。
6.日本政策金融公庫からの借入は、基本的に保証人不要?
日本政策金融公庫から融資を受ける場合、無担保でかつ、保証人不要で受けられる融資制度が多いです。
代表者の保証人も不要となるので、お金を借りやすい!と言えるでしょう。
保証人不要の融資制度についての詳細は、下記サイトでご確認ください。 |
まとめ
「経営者保証が不要になる」ことを知らなかった方も、「その為に必要なこと」を知りたかった方もお分かりいただけましたでしょうか?
経営者が保証人にならずに済むことで更なる事業の発展を目指せるかもしれません。
その為に必要なポイントをおさえるとともに、一番大切なことはポイント(6)の「顧問先の専門家」についてです。
信頼のできる専門家を選ぶことで、全ての項目が自然とクリアになります。
専門家選びも慎重に行うようにしていきましょう。