
会社の経営力を向上させるためには資金力や優秀な人材、綿密な事業計画が必要だと言えるでしょう。
今回ご紹介する「ストックオプション制度」は会社の経営力向上に繋がる制度です。
会社設立の基礎知識として確認しておきましょう。
目次
1.ストックオプション制度とは?

経営者の方であれば「ストックオプション制度」という言葉を一度は耳にしことがあるのではないでしょうか?
ストックオプション制度では、企業が従業員や取締役などに対し「あらかじめ価格を設定した株式を将来同じ価格で取得する権利」を付与します。
会社の業績が向上し株価が上がった場合であっても、ストックオプションを手にした従業員や取締役はあらかじめ設定された価格で株式を購入することができます。

ストックオプション付与時の株価:1株1,000円
ストックオプション付与対象の授業員は今後5年間1株1,000円で500株まで購入することができる、とする。
従業員が会社の業績向上のために頑張って働いたことによって、3年後に会社の株価は1株2,000円まであがった場合、ストックオプション制度を利用して株式を購入できる従業員は1株2,000円の株を1,000円で500株まで購入することができ1株あたり1,000円の利益を得ることができます。

しかし、会社の業績が思ったように上がらなかった場合や外的要因によって会社の株式価格が下がった場合、ストックオプション制度の対象従業員は権利を利用する必要はないので株式を購入しない限り従業員自身が損をすることはありません。
2.ストックオプション制度を利用するべき企業とは?

ベンチャー企業
ある程度の能力を持った技術者などの従業員を雇用したいが、創業したばかりで雇用にお金をかけることが難しいベンチャー企業などに向いています。
将来会社が軌道に乗った時にストックオプション制度を利用して報酬を支払うことで、創業時に有能な従業員を雇用することが可能になるでしょう。
株式公開を目指す企業
ストックオプション制度は株式を用いた制度なので、将来株式公開を目指している企業に向いています。
3.ストックオプション制度を活用する!!

ストックオプション制度を上手に活用して会社拡大に役立てましょう。
(1)人材雇用
ストックオプションを利用することで、創業したばかりの会社であっても有能な技術者を雇用できる可能性が高くなります。
将来会社の業績があがることや事業について説明することができれば、採用したい人材を雇用できるでしょう。
(2)従業員の意識向上!
会社が軌道にのり成長を感じることができるようになったら、既に雇用している社員や取締役にもストックオプション制度を適用することをオススメします。
会社の業績が向上し株価も上がるとストックオプション制度を適用した従業員や役員の利益が増大することをきちんと説明することが重要です。
ストックオプション制度適用対象の従業員は、業績向上のために業務に専念することが見込まれるため就労のモチベーションもあがるでしょう。
(3)第三者目線で判断!
ストックオプション制度を導入し、制度について第三者の専門家に依頼する経営者もいるでしょう。
第三者に依頼することで偏りのない意見を聞くことができます。
弁護士や税理士の中にはストックオプションを専門に取り扱う方もいます。ストックオプション制度の導入にはいくつかの取り決めをする必要があるので、専門家に相談することをオススメします。
4.メリット・デメリットを知ろう!
ストックオプション制度のメリットとデメリットをみていきましょう。
(1)メリット

・従業員の意識向上
ストックオプションが付与された従業員や取締役は会社の株主となる可能性があるため、会社の株価上昇が自身の報酬の増加に繋がります。そのため会社の業績向上のために率先して意欲的に業務に従事するでしょう。
・有能人材の雇用
ストックオプション制度を利用することで手元に現金が少ない創業時の企業や、これから事業拡大を目指す企業であっても有能な人材を雇用することが可能になります。
通常、技術力や経験値のたかい有能な人材を雇用する場合には出費が付き物です。
しかし今後上場を目指している企業で、現在手元に現金がない場合であっても今後会社が上場し軌道に乗ることを上手にアピールすることができれば、ストックオプション制度を利用することで有能な人材の雇用に繋がります。
(2)デメリット

・外部的な要因で株価が下がる!
従業員や会社が株価上昇のために尽力したとしても、世間の経済的な原因によって不景気に陥ることで会社の株価が下がってしまう事があります。
ストックオプションの報酬を受け取る従業員にとって、会社の株価が下がると自身の報酬も少なくなってしまいます。
また、株価が下落も上昇もしない状況であれば、制度対象の従業員のモチベーションを向上させることは難しいでしょう。
・経営力低下の可能性!
ストックオプション制度を利用する際に経済状況などをしっかり把握せずに導入した場合、従業員がどれだけ頑張っても会社の株価が上昇せずに従業員の意欲を失わせてしまうかもしれません。
また、ストックオプションは従業員によってどれくらい割り当てるかを会社が自由に設定することができますが、割り当て基準を曖昧にしてしまった場合は不満を持つ従業員も出てくるでしょう。
さらにストックオプション制度によって利益を生むことが会社の目標になってしまうと、制度廃止後の事業の見通しがつかない可能性もでてきます。
5.注意点を知って上手に活用しよう
ストックオプション制度は活用方法によっては会社にとってデメリットになり兼ねません。
・今後上場を目指し、株価が上昇する見込みがあること
・ストックオプションの発行数は限度枠内にとどめること
・割り当て人数についての選定基準を明確にしておくこと
等の注意点を守って利用しましょう。
まとめ
今回はベンチャー企業の経営者が知っておくべき制度であるストックオプション制度についてご紹介しました。
ストックオプション制度はまだあまりなじみのない制度ですが、上手に活用することで会社の成長を大いに助けてくれるでしょう。
しかしその反面注意するべき点も多いため、制度導入の際はしっかりと内容を把握し決定することが必要です。
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