税務調査は個人事業主でも対象となるのか

会社が納めた税金の申告内容に誤りや漏れがないか、税務署署員が実際に確認や調査にくることがあります。

これが、税務調査です。税務調査は法人か個人事業主なのかに関係なく、会社経営者でしたら、誰もが通る道です。

今回の記事は、税務調査を詳しく解説します。

1.個人事業主でも税務調査の対象となるのか?

税務署内にも色々な分野があり、法人であれば「法人課税部門」、個人であれば「個人課税部門」というように分野によって分かれています。

同じ事業であっても、そこで取り扱う税金項目は異なり、法人の場合は「法人税法」、個人事業主の場合は「所得税法」となります。

税務署には、全国でただ一つ管理している「国税総合管理システム」、通称「KSK」と呼ばれるホストコンピューターがあります。

そのKSKには、「法定調書」(1月末までに法人が特定の業種の個人事業主に支払った金額を記載し提出する書類)や「確定申告書」の内容が入力されていて、様々なジャンルの職業がデータベースとして出来上がっています。

このデータベースを元に個人事業主の申告内容と比較をしているため、個人事業主でも税務調査を受ける場合があるのです。

2.実際の税務調査の詳しい内容

税務調査で調査員がチェックをしていく項目はそれぞれの業種によって変わってきますが、税務調査にかける日数はだいたい2~3日程度で、その日数内で過去3~5年間分の確定申告書をチェックしていきます。

その為、調査員が一番力を入れているのが調査の初日、午前中の時間帯です。

下記表が税務調査の初日の午前・午後でチェックしている項目になります。

午前 事業内容(創業に至るまでの経緯・取引に関する全体像・経理体制等)のヒアリングを通じて、会社のお金・もの・サービス等の流れや、間違いやすい点を把握。
午後 帳簿・納品書・請求書・領収書等の調査。午前中に確認したお金・もの・サービス等の流れや間違えやすい点をチェック。

表中の「お金・物・サービス等の流れや間違えやすい点」は、具体的には以下のような内容が挙げられます。

  1. 必要経費のほとんどを外注費が占めていた場合→外注先との取引内容について質問を受ける
  2. 見慣れない項目があった場合→例年と異なることには調査員も興味を持つため質問を受ける
  3. 仕入れがあった場合→在庫の所得金額と比例するため、在庫の計算漏れを疑われる
  4. 収入金額と必要経費の計算をしているタイミングに間違いがないか調べる→基本は納品日とサービス提供日に計算を行うが、預金の入金や支払い時に勘違いし間違えていることがよくあるため
  5. 必要経費のなかにプライベートで使う費用が混ざっていないか

事業内容やお金の取引について、調査員の質問にはできるだけスムーズに答えられることが望ましいです。

税務調査という会社側の緊張も調査員は分かっているため、初日の段階では税務調査とは関係のない色々な雑談を交えてくることもあります。

3.どのような個人事業主が税務調査を受けるのか

実際に個人事業主の税務調査の行われる割合は、100人中3人程度です。それに比べて法人では100社中5社という現状があります。

この低い確率で税務調査の対象となる個人事業主の特徴は以下のような人です。

Ⅰ.事業が右肩上がりに伸びている個人事業主

目安の年数としては過去5年間を元に比較されています。

その理由としては、税務調査で調査できるのは過去5年のためです。

Ⅱ.確定申告内容とKSKのデータベースを比較した際におかしな差がある個人事業主

税務署で管理されている「KSK」内のデータに業種別の利益率も含まれており、KSKの判断では税務調査の対象となります。

Ⅲ.現金での商売を行っている業種の個人事業主

売上金が銀行等へ振り込まれてしまうとごまかせませんが、現金の場合はごまかすことは可能です。

例として業種を挙げると、バーやクラブ、リサイクル業、風俗業、運送業のような現金商売の業種が税務調査の対象となりやすい傾向にあります。

Ⅳ.所得金額があまりにも少ない個人事業主

確定申告内容で生活が厳しいと判断された場合は税務調査になりやすいです。

確定申告書には所得とは別に収入金額を記載する項目があり、その内容で判断されます。

Ⅴ.急な業績変化があった個人事業主

これは、業績が好転している場合でも悪化している場合でもどちらも対象となります。

調査員も税務調査の対象者を選定する際は、神経質になりやすいです。

もちろん、しっかりと税務調査を行うために適当な判断はできません。

国の収支出の決算を検査している会計検査院からのチェックもあるため、調査員も緊張しながら、選定しています。

Ⅵ.建設業等での一人親方の個人事業主

一人親方の場合は確定申告をしていないことが多いです

また、申告をしていない個人事業主に対しては税務調査が入る確率は高いと言えます。

4.税務調査に備えて普段から気を付けること

実際に税務調査の対象となった場合、できる限りの事は前もって準備しておくことが大事です。

何も準備をしないまま、実施を受けると長引いてしまうことも考えられます。

次のようなことは常に気を付けておきましょう。

  • 現金と預金口座は「仕事」「プライベート」で分ける
  • 事業との関係を説明できるように支払い済みの領収書は保管しておく
  • 税務調査の日程は仕事の余裕があるときにする
  • 調査官に対して身分証明書の提示を求める

現金と預金口座は「仕事」「プライベート」で分ける

所得額を不正しようとして取引先からプライベートで使用している預金口座に振り込みを行ってもらうようにしている個人事業主も中にはいます。

ですが、マイナンバーカードができたことにより、その不正は簡単にバレてしまうので、仕事とプライベートは完全に分けるようにしましょう。

事業との関係を説明できるように、支払い済みの領収書は保管しておく

必要経費に関しては、事業と支払先がどのような関係性にあるのかにより決定します。

経費として落とすには、常識のある範囲でなくてはいけません。

自分の都合のいいように解釈をすることはできないため、必要経費をきちんと説明できるように領収書の保管は大切です。

税務調査の日程は仕事の余裕がある時にする

調査官は忙しい為、税務調査の日を指定してきます。

ですが、必ずしもその日に合わせなくてはならないというのはありません。

税務調査が決定してしまった以上、実施を受けなくてはいけませんが、仕事が忙しい時期に来られても、ちゃんとした対応ができないのでは意味がありません。

自身の仕事が落ち着き、余裕を持って対応ができる日程にするようにしましょう。

調査員に対して身分証明書の提示を求める

まれに、個人情報を狙い税務署を偽って訪問してくる詐欺もあります。詐欺を未然に防ぐためにも、先に調査員が税務署の者なのかどうかを確認するようにしましょう。

税務調査は実施連絡が入り次第、調査に踏み出される為、税務調査の連絡が無い状態で調査員が来た場合は、少し怪しいと思った方がいいでしょう。

まとめ

税務署は法人はもちろん、個人事業主に対しても税務調査を実施します。日ごろから準備を万全にしておけば、いつ税務調査が入っても慌てずに済みますので、日々の業務を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

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