会社を設立するために決めなければならないことがたくさんあります。
決算期もそのひとつです。
決算期という言葉は聞いたことがあると思いますが、決算期とは具体的にどのようなことなのか、この日という決まりがあるのかという疑問が生じますよね。
今回は、決算期を決める際のポイントなどをご紹介します。
1.決算期って何?
決算期とは、会社の決算を行う時期のことを言います。
原則としては年に1回、事業年度が終了する日となりますが、上場企業や一部の非上場企業の場合には、四半期ごと、あるいは半年ごとに決算を行う場合もあります。
①法人の場合
法人の場合の決算期は会社で自由に設定することが可能です。
決算期の翌日から2ヶ月以内に法人税等を申告・納税する必要があります。
②個人の場合
個人事業主の場合には会計期間が1月から12月と決められているため、決算期は12月31日となり、2月16日~3月15日までに確定申告を行います。

2.決算期は1年を超えてはいけない
決算期を決める際に、理解しておいていただきたい最低限のルールは決算期は1年を超えてはいけないということです。
例えば、法人を設立し、3月を決算期にすると決めた場合には、事業年度は4月から3月までとなります。
日にちについては必ず末日でなければいけないという決まりはありませんので、3月10日でも問題はありません。
ただし、1年を超えては行けないので4月1日からの事業年度で、決算期を翌年の4月2日にするというのは出来ません。
3.決算期は3月に集中している??
決算というと3月というイメージが強いように感じられますが、実際には全体の20%程度の企業が3月決算というデータがあるので、それほど3月決算の企業が多いという訳ではありません。
上場企業で歴史の長い会社などが3月決算であることが多いため、3月決算のイメージが強いのではないでしょうか?

日本の場合、学校の年度等が4月はじまりで3月終わりとなっているため、その習慣から3月を決算期とする企業が多いと言えます。
3月に次いで、多い月は9月と12月です。
9月決算は10月1日~翌年の9月末までを1事業年度と設定しているケースです。
9月決算とする理由の多くは社内業務のピークと決算期をずらすためです。
3月や4月は人事に関する業務や監査などの業務が増えるため、このような対策をとる企業が多いです。
12月決算は1月1日~12月末までを1事業年度と設定しているケースです。
海外では12月決算が多く、海外に事業展開を行っている企業の場合には、連結決済等をスムーズに行うために12月を決算期にする企業が多いようです。
また、1年の暦に併せているという理由も考えられます。個人事業から法人成りした場合など個人事業の会計期間をそのまま引き継いでいるケースも見受けられます。
4.決算期を決める際にポイントとすべきこと
決算期としては3月、9月、12月が多いと説明しましたが、実際には決算期は会社の自由に設定することが可能なので、それ以外の月で設定しても問題ありません。
決算期を決めるポイントをいくつかご紹介しておきます。
ポイント1:消費税の免税期間を考慮する
企業は、前々事業年度の課税対象となる売上高を基に、消費税の納税の有無が判断されます。新しく創業した企業の場合、前々事業年度が存在しません。
そのため、創業してから2期目までは原則として法人税を納める必要はありません。(消費税の納税義務を負わないことを免税事業者と言います)
1)免税期間を考慮した決算期の決め方
消費税の免税期間をできるだけ長くするためには、会社を設立した日から一番遠い月を決算期とする方法です。
例えば平成29年12月1日に会社を設立し、3月を決算期とすると・・・

このように、決算期を創立日から一番遠い日とすることで消費税の免税期間を最大限活用することが可能です。
2)免税事業者の要件
免税事業者に該当するかどうかは下記のフローチャートより確認することが可能です。

基準期間とは前々事業年度を示しており、創業直後の場合には前々事業年度が存在しないため2年間は免税事業者となります。
特定期間とは前年の事業年度開始日から半年間の期間を示しています。個人事業主の場合には12月末が決算期となるため、特定期間は前年の1月1日~6月30日までとなります。
ポイント2:繁忙期は原則さける
繁忙期は会社にとって売上が見込める時期です。
売上の推移が高くなることにより利益が大きく変動します。そのため、利益を予測することが難しくなります。
繁忙期に決算期を設定してしまうと、納税額が予想よりも高くなる、あるいは赤字決算となってしまうことが考えられます。
また、税理士や会計事務所などに決算を依頼するというケースでは、税理士や会計事務所の繁忙期も外しておくと良いでしょう。個人事業主は3月15日までに確定申告を行う必要があるため、2月3月は税理士や会計事務所も忙しくなっています。
この時期を外しておくことで、スムーズに対応してもらえます。
【状況によってはあえて繁忙期にするというケースも】
事業年度の売上の大半を繁忙期で稼ぐような事業の場合には、繁忙期に決算期を合わせるという方法をとることがあります。これは、業績向上など社内の志気を高める意味合いが強いです。
ポイント3:キャッシュが確保できるタイミングにする
決算が終わると2ヶ月後には納税をしなければなりません。それ以外にも会社として大きなお金が動く時期があります。

納税のタイミングと様々な支払いが重なってしまうと、資金繰りが悪化してしまうことも
考えられるため、キャッシュがしっかりと確保できるタイミングを検討して決算期を決めるようにしましょう。
【決算セールもキャッシュを増やす意味合いがある】
決算セールという文字をよく見ることがあると思いますが、企業が行う決算セールには様々な理由があります。キャッシュを増やすという目的もそのひとつです。
在庫を少しでも現金に変えておくことで納税資金を準備することができます。
5.決算期は変更することも可能!
決算期を決めるポイントを紹介しましたが、決算期は変更することが可能です。
注意すべき点は「事業年度は1年を超えてはいけない」ということです。
【9月決算の企業が8月に決算を変更する場合】

【9月決算の企業が10月に決算を変更する場合】

このように、事業年度が1年を超えないように決算を行う必要があります。
【決算期変更の流れ】

まとめ
決算期を決めるポイントについてまとめてみました。様々なポイントを考慮して会社の決算期を決定してください。
一度決定した決算期は変更することも可能です。節税対策や事業の状況等に併せて決算期の変更も検討していきましょう。