キッチンカーは、別名で「フードトラック」と言います。移動販売ができる台所機能を持つ車両のことで、例えば出来立てのケバブやたこ焼きを販売するキッチンカーを目にしたことがあるのではないでしょうか。
キッチンカーの開業は、飲食店の開業のように不動産取得費用がないためリーズナブルです。しかし、いくらリーズナブルとはいえ、キッチンカーを取得するためには平均で500万円以上はかかります(車体本体・保健所許可取得・運転資金など含む)。
今回の記事ではキッチンカーで開業予定の方のために、「融資を受けてキッチンカーを購入する方法」を4つに分けてわかりやすくお伝えします。
目次
【コツ①】どれが一番失敗しない?キッチンカーの購入・レンタル・リースを比較

キッチンカーで移動販売するには、あなたがキッチンカーを持たないと始まりません。キッチンカーの取得方法ですが、購入だけではなく、レンタルやリースでも手に入れられます。この取得方法を失敗しないと、のちのち事業での資金繰りに困りません。
ちなみに、各取得方法は、以下の通りです。
取得方法 |
1.ネット検索して問合せ
(希望の車種・装備品・条件を伝える) 2.見積をもらう 3.契約する 4.支払いをする 5.納品 |
キッチンカーの平均的な取得費用は、購入の場合で最低100万円~最高500万円、平均で200~300万円です。(改装費含み)取得した車両のまま使えることは稀なので、50~200万円ほどかけて改装します。なお、車両の販売と改装をセットでやってもらえる業者もあります。
レンタルやリースは確かに初期費用が安く抑えられますが、1~2年経過すれば結果的に購入よりも高くつきます。そのため、総費用が安くつく車種や業者からキッチンカーを「購入」するのが最もオススメです。
参考までに、キッチンカーの取得法別の相場をお伝えしましょう。以下の表をご覧ください。
キッチンカーの取得方法 | 平均相場 |
①キッチンカーの購入 | 【小型バン・軽トラック】
(中古100万円) ・オーブンなし・作業台とシンクのみ・キャリートラック ・走行距離 14万キロ ・排気量660cc (中古300万円) ・キッチン追加要 ・広々スペース ・ステップバン ・ハイルーフ ・走行距離 不明・排気量 4,300cc (中古500万円) ・オーブンつき・換気扇つき・シボレー・キッチンカー ・年式1996 ・走行距離 不明 ・排気量6,000cc (新品210万円) ・エアコンなし・マニュアル (新品215万円) ・エアコンあり・オートマ |
②キッチンカーのレンタル | 1日:5万円
2日間:9万円 3日間:12万円 5日間:15万円 1週間:18万円 2週間:26万円 3週間:32万円 1か月:40万円 半年:100万円 1年:180万円 |
③キッチンカーのリース | 月々5万円~(全36回払い) |
キッチンカーでもシボレーステップバンなどのブランド車の場合は、年式が古い車種でも300~500万円で取引されています。一方、移動販売専門業者から改装も込みで注文すれば、車体本体価格込みで200万円台というリーズナブルな価格でキッチンカーを手に入れられます。
【コツ②】車体本体価格だけじゃない!キッチンカー開業で必要な費用を知る

移動販売が、飲食店を開く時より初期費用が安いとはいえ、キッチンカーの取得費用にもプラスして150万円ほどの資金が必要です。
まず、食品衛生責任者の資格をお持ちでないのなら、資格を取得するのに1万円かかります。
次に、飲食店の店舗を開くときと同じく、保健所の開業許可を取得しなければいけません。許可取得に5万円がかかります。

そして、販売する商品(例、たこ焼き)をつくるための食材(例、小麦粉、タコetc)を仕入れする資金、フライパンなどの調理器具、販売する前に調理するための駐車場代、出店する場所へ支払う場所代、チラシ作成代などで~100万円ほど必要です。車代だけあれば開業できるわけではありません。
また、移動販売をしてもすぐに満足に利益がでることは難しいので、当面(最低:2~3か月分から半年間)の生活費も別にストックしておく必要があります。
これらの費用を準備せず、「移動販売!楽しそう~!」と資金不足で開業してしまうと、雨の日などで客足が遠のく日々にどう生活していけばいいのでしょう。路頭に迷ってしまいます。
【コツ③】移動販売のための融資を受けて、ビジネスをスタートする
さきほど、移動販売で開業するにはキッチンカーの取得費用(平均200~300万円)と諸費用(150万円ほど)で500万円前後が必要とお伝えしました。この500万円を自己資金として預貯金で最初から持つひとは少数かもしれません。
多くの方は、キッチンカーを金融機関から融資を受けて購入するか、分割・ローンで購入しています。金融機関から融資を受ける場合、日本で最も実施件数が多いのは「日本政策金融公庫」という日本政府が100%出資している政府系金融機関です。
「政府系金融機関が、キッチンカー買うのに融資してくれるの?」と意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。こちらをご覧ください!

日本政策金融公庫では、移動販売車を活用したビジネスと自社の冊子の特集で組んでいるほど、注目&支援をしています。
では、日本政策金融公庫で融資を受けた場合と他社で分割・ローンを組んだ場合との金利を比較してみましょう。
日本政策金融公庫の金利
※令和2年1月6日現在 |
他社の分割・ローンの金利 |
※固定金利
【新創業融資制度を利用した場合】 基準金利:2.16~2.45% 【中小企業経営力強化資金を利用した場合】 特別利率S:2.26~2.45%
|
【多摩信用金庫の場合】
1年目:1%台 2年目以降:3%台 【オリコの場合】 ・ニューバジェットローン:10%程度 ・オリコオートリース:8%程度 ・残価設定型オートローン:7%程度 ・ツインリセットオートローン:7%程度 |
日本政策金融公庫にはさまざまな融資プランがありますが、融資がはじめての場合によく使われるプランは「新創業融資制度」または「中小企業経営力強化資金」の2つです。
金利はともに基準金利(基本の金利)が適用されると、2%台です。
これに対し、地方銀行や信用組合、そしてオリコなどの信販系のクレジットカード会社でもキッチンカーの融資やローンを取り扱っています。信用金庫の場合は日本政策金融公庫と非常に似ている金利で低金利です。一方、クレジットカード会社のローンを利用する場合は、7~8%台と金利が高くなっています。
そのため、キッチンカー購入で融資を受けるのであれば、日本政策金融公庫や創業融資を行っている信用金庫などがオススメです。
【コツ④】はじめての融資なら、認定支援機関という専門家を通して成功率をあげる
あなたがもし融資を受けるのがはじめてであれば、融資の専門家に相談することをお勧めします。なぜなら、融資をクレジットカードのキャッシングのような軽い感覚で考えている人もいますが、個人で準備不足のまま融資に申し込めば、かなりの率で失敗することでしょう。
なぜなら、融資の申し込みでは全20種類以上の書類を作成して提出しなければいけないからです。これから開業される方はビジネスでの実績がないため、融資を受ける場合は「確実に返済できる」という根拠をみせる必要があります。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や他金融機関の創業融資は基本的に無担保・無保証人です。その代わり、創業計画や資金繰り計画書などを提出して認められる必要があります。
ご参考までに。以下のリンクは日本政策金融公庫で融資を受ける際に必要な書式をまとめた公式ページですのでご紹介します。。信用金庫などの他の金融機関から融資を受ける場合も、同様に「創業計画書」や「資金繰り表」などを作成して提出する必要があります。(提出書類は多ければ多いほど、融資は通りやすくなります)
日本政策金融公庫|借入申込書等ダウンロード
「料理やビジネスなら得意だけど、プレゼンとかやったことないな~」「そもそも、パソコンで書類作成が苦手」なんて方は、職人気質の料理人の方には意外と多いものです。そんなあなたにお勧めするのは、認定支援機関を経由して日本政策金融公庫で融資を受ける方法です。
日本政策金融公庫への申込みであれば、「認定支援機関」という政府公認のサポーターを利用することが可能です。認定支援機関とは、当サイト「創業融資ガイド」を運営している株式会社SoLaboのように、経済産業省から融資の専門家として許認可を取得した業者のことです。
認定支援機関に融資を依頼すると、創業計画書や企業概要書などの必要書類の作成を代行してくれます。そして、金利が下がることもあります。(但し、有料)また、融資支援の経験が豊富な認定支援機関であれば、融資の仲介をした経験から、より融資に通りやすくなるように的確なアドバイスや日本政策金融公庫の面談時に同行してくれます。
けれども、認定支援機関を経由しない場合は、すべて自分で調べて自分で問合せをして自分で書類作成することになります。どちらが良いかは、あなた次第です。
まとめ
キッチンカーで開業時に失敗しない秘訣は、融資を受けて余裕をもった開業資金を手に入れることです。
融資を受けるなら、2%台と低金利で認定支援機関も使える「日本政策金融公庫」が最もおすすめです。
融資を受けるためには、創業計画書や資金繰り表などの多種類の書類を作成して申し込みます。