これから会社を設立しようとする際、気になるのは資本金の相場ではないでしょうか。現在の新会社法では「1円」の資本金でも会社設立は可能です。しかし、事業をする上で現実的ではないでしょう。
今回の記事では資本金の相場とその扱い方について詳しくご紹介いたします。
目次
1.資本金とは
資本金とは会社設立時の開業費や運転資金を意味するお金です。また、それと同時に会社がある程度まとまったお金を持っていることを対外的に示し、世間が会社の規模や実力を判断する際にも利用されます。
資本金については「新会社法」という日本の法律で定められており、その額は前述したように1円でも100億円でもよく、事業主が自由に決めることが可能です。
2.小規模事業者の平均的な資本金の額は1,000万円からスタート
新会社法の定義を使えば日本にある全ての会社のほとんどは中小企業です。その中でほぼ9割の事業者は小規模事業者です。
小規模事業者は常時使用する従業員の数が5~20名以下で、資本金は製造・建設・運輸業で3億円以下、卸売業で1億円以下、サービス・小売業で5,000万円以下という規定があります。
日本の多くの会社が小規模事業者と言えるということは、小規模事業者の資本金の平均をみれば資本金の相場がわかるということです。小規模事業者の平均的な資本金の額は1,000万円となっています。
3.消費税の免税事業者を狙って資本金300万円スタートの事業者もいる
資本金は単に会社が社会的信用を勝ち取るためだけに必要なものではありません。資本金がいくらかということは、その後支払う税金にも密接に関係しています。
会社が支払う消費税は会社設立時の資本金が1,000万円未満であれば零細企業と判断され、第一期・第二期の納税が免除されます。また、法人住民税については均等割の部分で資本金が1,000万円以下の会社と1,000万円を超える会社では納税額に差がでます。
できる限り節税したいと考え、あえて資本金を300万円や500万円などの額で設定する事業者もいます。
4.資本金は少なすぎると倒産率が上がる傾向がある
「資本金が少ない会社は倒産するのも早い」中小企業白書という中小企業庁の統計からもこの傾向が読み取れます。事業を行う上で、予期せぬ支払いやトラブルはつきものです。その際に、資金があれば経営は安定しますが資金がないとどうにもなりません。
起業する事業者も増加傾向にある近年ですが、同時に廃業者も増加傾向にある状況です。「資本金も少なく、自己資金もない。」このような状態で事業を行えば、1つ目のトラブルは何とかしてしのいだとしても、その後に待ち受ける2つ目や3つ目のトラブル(集客不足など)で資金不足に陥る可能性があります。
5.資本金はどのタイミングで必要なお金なのか
資本金を用意する段階ではまだ会社設立はされていません。そのため、まず資本金を用意する際は会社設立をする人(発起人)の個人の銀行口座に預け入れます。
資本金を銀行口座に預け入れる、または振込が完了したら、次に行うべき手続きは「払込証明書」を作成することです。このフォーマットは銀行でもらうのではなく、自作のもので公的に使用することが可能です。A4サイズのワードで作成するのが良いでしょう。
【払込証明書に記載する事項】
(タイトル)払込証明書 当会社の設立発行株については、以下のとおり出資金全額の払込みがあったことを証明します。 (A)払込みを受けた全額の総額 金〇〇〇万円 (B)設立時発行株式数 〇〇〇株 (C)1株の払込金額 金〇万円 平成〇年〇月〇日 〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町△-▼-× 株式会社〇〇〇 設立時代表取締役 〇〇 〇〇(代表印) |
上記で(A)については、会社定款に記載した額と同じ額を記入します。(C)の額は(A)を(B)で割った数になります。定款については、当サイトの以下既存記事も是非あわせてご覧ください。
会社設立のための準備。定款の事業目的の考え方と書き方について
6.資本金は必要な時に引き出してOKなお金
次に個人口座に入れている資本金は会社用の法人口座に移動します。その際に一部のお金を会社の運転資金に使っても問題ありません。
元々、資本金は会社の設立時に使うための開業資金という意味でも規定されています。資本金を会社運営のために使っても全く問題はありません。減った分をあとから補充しなさいと法務局などから言われることもありません。
まとめ
資本金は「運転資金3ヶ月分+開業資金」を目安とするとよいでしょう。資本金は常時プールしておく必要はなく、会社運営のために引き出すことは可能です。
但し、使った際は領収書などの書類をしっかり保管しておきます。