退職後も今の健康保険を続けるべきかを判断するためのポイント

退職後も今の健康保険を続けるべきかを判断するためのポイント
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

病気になる、ケガをする、事故に遭う、盗みに遭う、生きていれば何かが起こる、予測できない事態に対し、経済的負担や損失などに備える方法のひとつが「保険」です。そして保険加入時の内容や、保険金と給付金の支払い条件等が書かれている契約書の事を「保険証券」と言います。身近な保険証券の例で言えば「保険証」です。病院にかかるときくらいしか意識しないかもしれませんが、会社を退職するとき、保険証は返却しなければいけません。また、退職時に加入を考える健康保険の種類によって、保険料などを含めた違いが出てくることもあります。

この記事では、退職しても今、加入している健康保険を入り続ける「任意継続」をすべきか判断するためのポイントを中心に、健康保険の基本をご説明します。

1.退職後の健康保険をどうするべきか、選択肢は3つ

「健康保険」は、会社勤めの方が加入する保険です。職域保険、被用者保険、と呼ばれる他、通称で「社保」とも呼ばれます。会社勤めの方が加入できる健康保険は大きく分けて2つ、全国健康保険協会の運営する健康保険「協会けんぽ」、あるいは大企業や業界団体などが運営する健康保険組合の健康保険があります。財源は、加入者と会社が折半で、国庫による補助金も財源の一つです。

健康保険についてもう少し確認されたい方は、社会保険制度について解説している「医療、年金、介護、社保、国保?いろいろあるけど社会保険制度ってなに?5つの保険を徹底解剖。」をあわせてご覧ください。

医療、年金、介護、社保、国保?いろいろあるけど社会保険制度ってなに?5つの保険を徹底解剖。

創業のために会社を退職するとき、自身の健康保険をどうするべきか、選択肢は主に次の3つがあります。

①今の健康保険の任意継続をする

②今の健康保険をやめ、あなたが住む市区町村の「国民健康保険」に加入する

③今の健康保険をやめ、家族の健康保険の扶養扱いとしてもらう

それぞれの選択肢を、もう少し詳しくみていきましょう。

① 今の健康保険の任意継続をする

会社を退職すると、通常、加入をしている健康保険の資格も喪失しますが、申請すれば最長で2年間継続することができ、扶養家族も含め、保険給付を受けられます。これが「任意継続」制度と呼ばれるものです。在職時は会社が保険料を半分負担しますが、退職後は全額を自分で負担するため、保険料は以前よりも高くなる点、一度継続した場合、途中解約ができない点については特に注意が必要です。また、最長2年間の健康保険の任意継続をしても、2年後には②と③の選択肢のどちらかを選ぶことになります。

② 今の健康保険をやめ、あなたが住む市区町村の「国民健康保険」に加入する

人によっては「任意継続」を選択した方がメリットとなる場合もありますが、任意継続をするメリットがさほどない場合、市区町村の運営する「国民健康保険」(通称「国保」)に加入することになります。

「国民健康保険」と「任意継続」はどちらが安いと一概には言えず、ケースバイケースのため、気になることがあって迷っている場合、直接、保険を運営する組合や連合、市区町村に相談してみるとよいでしょう。

③ 今の健康保険をやめ、家族の健康保険の扶養扱いとしてもらう

退職後しばらくは収入が見込めない、かつ家族に勤めている方がいる場合は、扶養に入るのもよいでしょう。ただし、健康保険によってそれぞれ異なる、扶養扱いとする場合の条件が設定されています。一般的なものでは、収入が一定額を越えた場合、扶養とみなされません。あなたが扶養に入れるかどうか、事前に条件を確認するようにしましょう。

 

2.任意継続すべきかを判断するポイント

任意継続すべきかを判断するためのポイントを見ていきましょう。

健康保険の任意継続にはいくつか条件があります。

・退職時に任意継続をする保険の加入歴が2ヶ月以上である

・退職日の翌日から20日以内に手続きできる

・保険料を滞納しない(滞納すると資格を喪失する)

・途中で解約変更ができない

上記の条件をきちんと認識した上で、下記のケースに当てはまる場合、任意継続をすると得する可能性があります。逆にいうと、当てはまらない場合は任意継続をするメリットは薄いと言えるでしょう。

1)退職するときの年度の給与が高い

国民健康保険は、前年度の所得で保険料の計算がされます。給与の高い方が国民健康保険を選択すると、保険料も比例して当然高くなります。任意継続の場合、給与の高い人ほど、国民健康保険より任意継続の方が、保険料が安くあがるのです。

「給与が高い」という基準は、加入している健康保険組合の保険料の情報と、国民健康保険の保険料の情報を入手した上で、比較検討する必要があります。正確な情報を知るには窓口に行くのが早いですが、ウェブサイトですぐに入手できるものもあります。

例えば、あなたが今、協会けんぽに加入しているのであれば次のページで該当する年度を選択し、自身の都道府県を選択し確認が出来ます。

都道府県毎の保険料額表(全国健康保険協会 ウェブサイト)

大企業や業界団体などが運営する健康保険組合の場合、上記と同様にその健康保険組合のウェブサイトで、保険料のページを探してみてください。組合によっては一般には非公開で、会社のパソコンでしかアクセスできないような関係者外秘になっているケースもあるかもしれません。その場合は、同僚や上司に相談するなど、調べてみるといいでしょう。

国民健康保険は、それぞれの市区町村ごとにウェブサイトで公開しています。「国民健康保険」と自身の市区町村の名称を一緒に検索し、該当の保険料のページを探してみてください。

2)扶養家族が多くいる

国民健康保険には扶養という考え方がありません。あなたに扶養する家族がいる状態で国民健康保険へ切り替えた場合、扶養家族は世帯ごとの加入人数として計算され、当然、保険料も変わってきます。一方、今の健康保険の任意継続であれば、一定の要件を満たしていれば扶養扱いになり、保険料は変わらない可能性があります。つまり、扶養家族が多いほど、国民健康保険より任意継続の方が、保険料が安くあがるのです。

例えば、創業するあなたとその配偶者が扶養であるケースを考えてみましょう。国民健康保険の場合、あなたと配偶者、二人分の保険料がかかります。あなたが任意継続する場合、配偶者が扶養に入っていたなら、一定の要件を満たしているなら、引き続き、配偶者に対して保険料がかからない、ということになります。

繰り返しになりますが、国民健康保険は、前年度の所得を元に保険料が計算されます。そのため、退職後1年目の収入が低い場合、その翌年の保険料は、その低い収入で計算されます。一方、最長2年間で任意継続をした場合、収入に関係なく2年間、同じ保険料が続くため、任意継続の方が高くつくケースもあります。任意継続を検討する場合、いつまで任意継続するかという「期間」の観点も大切にして判断するとよいでしょう。

 

3.健康保険を任意継続するには?

手続きは、退職時に加入をしている健康保険の種類によって異なります。しかし、「任意継続をするには退職の翌日から20日以内に手続きをしないといけない」というルールは、どの健康保険も共通です。そのため、退職を決めたら、あなたが持っている健康保険証に書かれた「保険運営者」にすぐ問い合わせてみましょう。手続きの詳細や、任意継続をした場合の保険料を確認します。

その後、あなたが住む市区町村の国民健康保険の担当窓口に行き、国民健康保険に加入した場合の保険料について試算してもらいましょう。そこで判断材料が出揃うため、どの健康保険を選ぶべきかを検討できるはずです。

 

まとめ

最長2年の健康保険の任意継続。一概に、任意継続の方がお得!というものではありませんが、選択肢の一つとして知っておきたいものです。上手く活用して、無理のない創業につなげてください。

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