会社設立は「今日から会社にしよう」という気持ちだけで出来るというわけではありません。会社設立のためには様々な手続きが必要になります。
手続きがあるということは、作成しなければならない書類があるということです。
会社設立の手続きを行うためにはどんな書類が必要なのかをご説明します。
1.会社設立登記に必要な書類
(1)登記申請書
商号(会社名)、本社所在地、登録免許税の金額、添付書類の一覧などを記載した書類です。
法務局のホームページに「商業・法人登記の申請書式」というものがあります。
起業する事業の内容にあった申請書に記載してください。
(2)登録免許税の収入印紙を貼り付けた台紙

登録免許税とは登記の際にかかる税金を言います。資本金額×0.7%の金額を収入印紙で納めます。
資本金額×0.7%が15万円より少ない場合は、一律15万円です。
必要な金額分の収入印紙を、A4用紙の中央あたりに貼り付けて提出します。
ポイントは以下の2つです。
- 収入印紙には絶対に消印をしない
- 収入印紙の組み合わせに決まりはない
(3)登記すべき事項

すべての会社で必要な「登記すべき事項」
- 商号(会社名)
- 目的
- 本社所在地
- 発行可能株式総数
- 発行済株式総数
- 取締役氏名
- 代表取締役の氏名・住所
- 公告方法
定款等で定めのある場合に「登記すべき事項」
- 株式の譲渡について会社の承認を要する旨
- 発行する株式の内容と発行可能種類株式総数
- 単元株式数
- 株券発行会社である旨
- 取締役会設置会社である旨
- 会社参与の設置会社(その旨/会見参与の氏名及び名称/会計書類の設置する場所)
- 監査役設置会社(その旨/監査役氏名)
- 決算公告を電子公告で行う場合(URL)
- 公告を電子公告とする場合(URL/予備公告方法)
登記すべき事項の提出方法は「磁気ディスクに記録して提出」「オンラインで提出」「OCR用紙(光学的に文字を認識する入力システムの専用紙)で提出」の3つです。
①磁気ディスクに記録して提出
「登記すべき事項」を磁気ディスクに記録して提出する方法です。
以前はCDとFD(フロッピーディスク)で提出でしたが、平成28年3月1日よりFD(フロッピーディスク)が廃止となり、DVDが追加になりました。
提出できる磁気ディスクの種類は以下の4つです。
・CD-ROM(120mm,JIS X 0606形式)
・CD-R(120mm,JIS X 0606形式)
・DVD-R(120mm,JIS X 0610形式)
・DVD-ROM(120mm,JIS X 0610形式)
*注意事項*
・文字はすべて全角文字で記入
・空白部分に関しては全角スペースを使用
・テキスト形式で記録(フォルダなどは作らない)
・磁気ディスク本体に商号(会社名)を記載したラベル(シール等)を貼る
②オンラインで提出
法務局のHPから、専用ソフトをダウンロードし、「登記すべき事項」と「登記申請書」を一括で作成できます。
申請書の作成画面で「登記すべき事項」までを入力し、データを送信します。「登記申請書」は添付書類と一緒に製本して提出するので、一括で作成した後、印刷しておきましょう。

③OCR用紙(光学的に文字を認識する入力システムの専用紙)で提出
法務局の窓口で配布されているOCR用申請用紙に入力して提出する方法です。
OCR用紙の配布に関しては終了していくことが決まっています。出来る限り、磁気ディスクまたはオンラインでの申請をおすすめします。
すでに配布が終了している場合もありますので、事前に管轄の法務局に確認してください。
(3)定款
設立登記は定款の作成・認証(第三者に証明してもらう「定款認証」)が済んでから行う必要があります。
(4)取締役就任承諾書
定款の作成日、役職者名を記載し、就任を承諾したことを証明する書類です。
取締役に就任した場合は必ず必要な書類です。代表取締役として就任承諾書を作成する場合でも、別途、取締役としての就任承諾書が必要です。
(5)払込証明書
定款に記載した資本金が、きちんと発起人から口座に振込まれたことを証明する書類です。
会社名義の銀行口座は登記が完了しないと開設できないので、出資金は代表者個人の口座に振り込む必要があります。
発起人が複数名いる場合は、誰がいくら振込んだかが分かるように個人名で振込んでもらいましょう。
*払込の注意点*
・定款認証後に行う
・代表の個人口座の残高を一度ゼロにする(新規で口座を開設しても可)
資本金の払込が終了した後、「払込証明書」を作成して、通帳のコピー(通帳の表紙、裏表紙、払込の記録が印字されているページ)とひとまとめに製本しておきます。

(6)印鑑届出書
個人の実印と同様に、会社の実印登録を行うための書類です。
2.状況に応じて会社設立登記に必要な書類
以下の書類は、場合によっては必要となります。設立する会社が該当する場合は忘れずに作成してください。
(1)発起人の決定書
発起人全員の合意によって本社所在地が決定したことを証明する書類です。
以下の2つの条件のうち、①を満たす場合と①②の両方を満たす場合はこの書類は不要です。②だけ満たしていても番地までを含む本社所在地が決定したことを証明できませんので、発起人の決定書の提出が求められます。
①定款で本社所在地の番地まで含めて記載している
②公告方法に電子公告以外を選択している
(2)代表取締役就任承諾書
取締役が1人の場合は、自動的にその取締役が代表となるので必要ありません。
取締役が複数いる場合は、1名を代表取締役とするため必要です。
(3)監査役就任承諾書
監査役を設置している場合に必要な書類です。取締役会を設置していない場合や、設置はしているけれど会計参与を置いている場合は監査役を設置しないことも可能なので、監査役を設置しない場合は必要ありません。
(4)取締役全員の印鑑証明書
取締役会を設置しない場合、取締役全員の印鑑証明書が必要となります。
3.書類の綴じ方
書類の準備が整ったら、書類を綴じましょう。登記に必要な書類は並べる順番が決まっています。
以下の順にならべてください。
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼り付けた台紙(登記申請書と契印)
- 定款
- 発起人の決定書
- 取締役就任承諾書
- 代表取締役就任承諾書(取締役が1名の場合は不要)
- 監査役就任承諾書(設置しない場合は不要)
- 印鑑証明書(取締役会不設置の場合は取締役全員分の印鑑証明書)
- 振り込み証明書

まとめ
会社設立のために必要な書類をまとめました。
設立する会社の状況によって、様々な書類が必要になります。
設立登記しないと会社としてスタートができないので、ご自身の会社の設立に必要な書類をしっかり準備しましょう。登記申請を行った日が「会社の設立日」となりますので、日付にこだわって設立を検討している場合は特に、書類に不備がないようにしてください。