個人事業主としてすでに事業を行っている方は、「法人成り」について一度は考えたことがあるかと思います。
また、これから起業しようと考えている方は、初めから法人を設立するか、それとも個人事業主になるか悩んでるかもしれません。
この記事では、そもそも「法人成り」とは何なのか? 起業に伴う会社の設立、いわゆる「通常の会社設立」とは何が違うのか? わかりやすく解説していきます。
1.「法人成り」とは
「法人成り」とは、個人事業主としてすでに事業をおこなっている方が、新たに法人を設立し、事業形態を「個人」から「法人」へ移行することをいいます。
新しく設立した会社で事業を引き継いでおこなっていくということです。
新会社を設立する手続きは、「通常の会社設立」も「法人成り」も同様です。
ただし、法人成りの場合は、下記のプロセスが必要となります。

たとえば、あなたが「起業したい!」と考えていたとします。
その場合、まずは新しく会社を設立します。
次に準備することは、事業に必要な商品や備品、社用車などの購入です。他にも、店舗や事務所を借りたり、機械などの設備をリース等で契約したりすることもあるでしょう。場合によっては、事業資金の借り入れが必要になるかもしれません。
通常の会社設立時において、まだ事業が始まっていないため、会社が所有しているのは資本金に相当する資産のみで、引き継ぐ事業はありません。
一方、個人事業から法人成りする場合には、すでに営んでいる事業があるため、その事業を「新しい会社に引き継ぐ」というプロセスを踏む必要があります。
2.法人成りした場合の引き継ぐ事業の中身
上記で説明したとおり、「法人成り」とは、個人事業主の時に所有していた「資産」や「負債」を新会社が引き継いで事業をおこなっていくということです。
資産とは、個人事業主が所有していた預金のほかに、固定資産である在庫や備品、土地や店舗などの建物、機械、事業用の車両など、売掛金や貸付金などの金銭債権も資産に含まれます。
負債とは、事業資金の借入や、個人事業主が負っていた買掛金や未払金などを指します。また、設備などリース契約をしていれば、個人名義で契約されているはずです。他にも、事務所や店舗を賃借している場合には、不動産賃貸借契約も該当します。
そして最も重要なのが、事業の取引先や仕入先など、お客様との基本契約です。
法人成りした場合は、お客様との基本契約も新しい会社に引き継ぎます。
個人事業主から法人へのスムーズな事業移行や移行のタイミングなど、この点をよく見極めて判断することが、法人成りの実務では重要になってきます。
3.法人成りはどんなときにするの?
法人成りは、個人事業の消費税が発生する、直前のタイミングで実施するケースがあります。
年間の売上が1,000万円超えるまでは、消費税が免税になります。年間売上が1,000万円を超えると翌々年から免税ではなくなるため消費税が発生します。
年間売上が1,000万円を超えた翌々年のタイミングで、個人から法人成りすると、また0からのカウントとなり消費税が免税となります。
少しでも長い期間、消費税を払いたくない!という方は、上手に法人なりする方法を覚えておくとよいでしょう。
細かいルールもあるので、専門家に質問しておきましょう。
まとめ
事業が軌道に乗り売り上げが順調に拡大してくると、税金対策などの面から法人成りを検討する場合があります。また、現行の法律のもとでは、取締役1人いれば株式会社を設立することができるため、以前より会社設立のハードルは低くなっています。法人成りの検討に役立ててみてください。