繰越欠損金の繰越しで法人税ゼロも可能?繰越欠損金と節税の関係

繰越欠損金の繰越しで法人税ゼロも可能?繰越欠損金と節税の関係
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

事業をする上で税金の支払いは事業主を悩ませる課題の一つです。節税対策の一つとして、今回の記事では繰越欠損金の仕組みについてご紹介します。繰越欠損金を上手に利用すれば、法人は最大9年間赤字を繰越し、法人税を節税できるチャンスが与えられます。

1.繰越欠損金とは?

繰越欠損金とは、事業で赤字が出た場合にその赤字を欠損金として翌年以降の帳簿に繰り越されたものを言います。欠損金は赤字の出た年に申告しなければいけない訳ではなく、翌年以降に繰り越して計上してもよいと税法上認められています。

以下の図をご覧ください。

繰越欠損金の繰越しで法人税ゼロも可能?繰越欠損金と節税の関係

こちらの図では、1期目に5億円出た赤字を翌年ではなく3期目に計上しています。個人事業主と法人では税法で定められている繰越期間が異なり、個人事業主は最長3年で法人は最長9年繰越が認められています。

2.なぜ欠損金を繰り越すと節税になるのか?

法人の場合、事業で得た利益に法人税という名の所得税が課せられます。現在は800万以下と800万以上の所得に対してそれぞれ19%23.4%(平成30年4月以降の開業は23.2%)と法人税率が定められています。(平成29年4月施行令)

繰越欠損金の繰越しで法人税ゼロも可能?繰越欠損金と節税の関係

赤字が出ると事業としては苦しいですが、その分納めなければいけない法人税は下がります。例えば、上記の図の例の場合は2018年の1期目は赤字なのですから法人税は0円となります。

2019年の2期目に関しては8億円、2020年の3期目が15億円の所得を得ています。節税を分かりやすく説明するために諸々の法人控除税額なしで単純計算すると、2期目は約3億円の法人税、3期目は約5億6,000万円が法人税等として課せられます。

繰越欠損金の繰越しで法人税ゼロも可能?繰越欠損金と節税の関係

繰越欠損金を使わなかった場合、3期目の法人税は5億6千万円でした。しかし、1期目の繰越欠損金を計上することで3億7,500万円となりました。1億8,500万円の節税となったのです。この仕組みを使えば、例えば繰越欠損金と課税所得が全く同じ金額なのであれば法人税は差し引きゼロで相殺できるのです。

法人の場合は最大で9年、個人事業主の場合は最大で3年間欠損金を繰り越すことができます。事業での所得が330万円を超えると税率が上がるため、個人事業主で継続するより法人になる(法人成り)方が節税ができます。

3.繰越欠損金を利用するための条件

節税にとても効果的な繰越欠損金の制度ですが、利用するにはいくつか条件を満たさなければいけません。

【繰越欠損金の利用条件】

  • 法人では9年以内、個人事業主では3年以内に開始した事業年度での欠損金である
  • 青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金であること
  • 欠損金が生じた年度後も連続で確定申告書を提出すること
  • 欠損金は年度の古いものから順に計上すること
  • 帳簿書類を適切に保存していること

大前提として、青色申告をしている事業主であることが条件として挙げられています。欠損金額が生じた事業年度に青色申告書を提出していれば、翌年以降に白色申告書を提出しても繰越控除は適用されます。

また、前述したように欠損金は永遠に繰越できるわけではなく法人で9年、個人事業主で3年までという限度があります。平成30年度以降に事業を開始する場合は、法人は最大10年欠損金を繰越できるようになりました。

4.M&Aでも繰越欠損金が可能?条件が厳しいので注意

繰越欠損金の制度を利用するため、赤字の会社をM&Aで買収して節税対策として利用する企業もあります。しかし、これを横行させてしまうと不当に法人税が引き下がりますので、M&Aに関しても以下のような条件があります。

他の法人等(A)が赤字の法人(B)を買収して5年以内に旧事業(赤字の法人が元々していた事業)のすべてを辞めて、旧事業の事業規模の5倍を超える資金調達を行うなどの場合は、赤字法人を買収した(A)の所有する(B)の欠損金(赤字)は消滅する

 少しややこしいですが、要は節税目的で買収をして法人税引き下げを狙って得をする企業が増えないように線引きをしているという内容になっています。明らかな節税目的での場買収の場合、上記の法律に引っかかる可能性があります。

まとめ

この制度を利用するかしないかで、事業をする上で支払う所得税の額が大幅に変わります。赤字が出た事業年の帳簿や書類は大切に保管し、所得の多い事業年に欠損金として繰り越して節税することを忘れないようにしましょう。

個人事業主であれば3年以内に繰り越さなければいけませんが、法人であれば最大10年と繰越期限に余裕を持つことが可能です。

 

 

 

 

 

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