ファクタリングを実施する際に、償還請求権という言葉が登場しますが、償還請求権とはいったい何なのでしょうか?
目次
0、そもそもファクタリングって何?

ファクタリングとは、取引先に対して、商品の販売又は、サービスを提供しているが、まだ、代金を回収していない金額(売掛金)をファクタリング会社に売却し、資金調達をする方法です。
1.償還請求権って何?
文章で説明してもイメージしにくい部分となりますので、例を使ってご説明させて頂きます。
【例】 株式会社太郎は、取引先Aに対して、2016年4月1日に500万円の商品を販売しました。 この500万円は、翌月末日(2016年5月30日)に入金の契約となっております。
株式会社太郎の会計処理 売掛金 500万円 / 売上 500万円
上記の売掛金500万円は、1ヶ月間入金されません。 株式会社太郎は、人件費を支払うお金がなく、この売掛金をすぐに現金化したいと考え、ファクタリング会社に売却しました。
本来の流れでいけば、2016年5月30日に、取引先Aより株式会社太郎に500万円入金され、その後、株式会社太郎から、ファクタリング会社に500万円を支払います。
では、もし万が一、取引先Aが倒産してしまったら、ファクタリング会社は、500万円を回収することができないのでしょうか?
ここで、登場するのが、『償還請求権』です。 償還請求権があれば、仮に取引先Aが倒産したとしても、ファクタリング会社は、株式会社太郎に対して、500万円を請求する権利があります。 |
権利の流れのみで、確認すると、
株式会社太郎は、取引先A(売掛先)に対して、500万円の商品を販売した時点で、将来お金をもらう権利を取得します。
次に、株式会社太郎は、将来500万円もらえる権利を、ファクタリング会社に売却します。この時点で、将来500万円もらえる権利は、ファクタリング会社に移行されます。
この段階ですと、将来500万円もらえる権利があるのは、ファクタリング会社で、将来500万円を支払わなければならない会社は、取引先Aとなります。
もし万が一、取引先Aが倒産してしまい、500万円を支払うことができない場合には、償還請求権があれば、その500万円は、株式会社太郎がファクタリング会社へ支払義務が発生してきます。
【ここまでのポイント】
ファクタリング会社は、売掛先が倒産してしまった場合でも、償還請求権があれば、ファクタリングの契約をした会社に対して、代金を全額請求する権利があります。
2.償還請求権がある場合と、ない場合の違いとは?
上記の事例の会社名を利用して、ご説明させて頂きます。
(1)償還請求権ない場合
取引先Aが倒産したとしても、株式会社太郎は責任を問われることはありません。
(2)償還請求権がある場合
取引先Aが倒産した場合、株式会社太郎に支払い義務が発生します。
つまり、株式会社太郎は、負債を抱えることとなります。
3.2社間のファクタリング契約と3社間のファクタリング契約で、償還請求権の有無が異なるの?
2社間でファクタリング契約を行っている場合には、償還請求権がない場合が多いです。つまり、売掛先が万が一倒産しても、ファクタリングを利用した方には、リスクは発生しません。
ファクタリングを利用する方の多くは、2社間ファクタリングを利用しているため、基本的に償還請求権はありません。
そのため、もし売掛先が倒産しても、ファクタリング会社に対して支払い義務は発生しません。
4.ファクタリングを利用する方の多くは、2社間ファクタリングを利用している!
ほとんどの方が、2社間ファクタリングを利用するのですが、その理由は下記をご覧いただければイメージできると思います。
(1)2社間ファクタリングのメリット
売掛先(取引先)にファクタリングを利用したことがばれることはない
(2)3社間ファクタリングのデメリット
売掛先(取引先)にファクタリングを利用したことがばれてしまう
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの詳細は下記をご確認ください。
ファクタリングには、2社間で行う契約と、3社間で行う契約がある?
会社を経営していく上で、ファクタリングを利用することが取引先にばれてしまっては、今後の取引を解消されてしまう可能性もあります。
そのため、多くの企業は、取引先にファクタリングを利用したことがばれない2社間ファクタリングを利用します。
まとめ
ファクタリングにおける償還請求権についてご理解頂けたでしょうか?
ファクタリングを利用する方の立場を考えれば、少しでもリスクが低い方が安心できると思いますので、選択できるのであれば、償還請求権なしを選ぶべきでしょう。
