融資の種類で思いつくのは事業融資、創業融資が多いのではないでしょうか。しかし、事業の途中で融資を受ける追加融資についてはあまりご存知ない方もいらっしゃいます。
今回の記事では、追加融資の概要と日本政策金融公庫で追加融資を受けるメリットなどをお伝えします。
目次
1.追加融資とは?
追加融資は2度目以降の融資を指す言葉です。これは「1つの事業につき」2度目以降という意味合いがあるため、例えば複数の事業を同時に行っている事業主の方が2回目に融資を受ける場合でも他事業なのであれば、それは追加融資ではありません。
追加融資の逆の言葉は創業融資です。創業融資はまだ事業を始めていない、もしくは初めて1年以内という時点での融資となりますので、審査でも主に創業計画書という計画や見通し、そして事業主自体の評価(信用情報・自己資金)を重点的に見られます。
これに対し、追加融資の場合は既に事業を始めて1年以上経過している時期に融資を受けるので審査のポイントも少し変わります。追加融資では主に実績が重視されるのです。
2.日本政策金融公庫で追加融資を通すために行うべき3つのチェックリスト
追加融資を通すには以下のポイントがあります。
①追加融資の正しいタイミングを知ろう
(1)1度目の融資を3割返済しているか
追加融資を受ける場合、その申込みのタイミングは非常に重要です。まず、1度目の融資の返済状況はどうか?という点を日本政策金融公庫ではチェックします。

通常、日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合は設備資金で最大で15年、運転資金で最大で7年の返済期間となっています。そのため、「2度目の融資は完済してからにしよ~」という考えでは、いつまでたっても追加融資は受けられないことになります。
1度目の融資を返済しながら、2度目の融資に申し込むことになります。では、どのぐらい返済していれば申込みは可能なのでしょうか?一つの目安として、1度目の融資の支払い総額の3割が基準となります。
(2)創業融資から3年以内がベスト
創業融資を日本政策金融公庫で受けたのであれば、その履歴が約3年間は公庫で保持されています。一度目の融資に通った上での審査ですので、事業主の信用情報や計画性などは既に知っている状態で有利となります。
けれども、あまりに年数が経過すると日本政策金融公庫で融資を受ける場合に新規扱いとなってしまいます。
事業は刻々と動いています。一つの事業で何十年もスタイルを変えずに成功している事業所もあれば、変幻自在に事業を変化させて成功している事業所もあります。
②完済していたら可能性アリ!滞納者も諦めるのは早い
「追加融資を受けたいのはやまやまだけど、一度目の融資で延滞しちゃったからな」と不安に思う方もいらっしゃることでしょう。融資やクレジットカード利用などで延滞はルール違反ですが、その理由が正当なもので、なおかつ完済しているのであれば、追加融資を受けられる可能性もゼロではありません。よろしければ、以下当社の実際の事例もご参照ください。
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1度目の融資から逃げないで、延滞していてもとにかく完済しているという点が評価され、追加融資に通っています。
③税金を納め、決算書(確定申告書)を作成していること
創業融資と違い、追加融資では決算が済んでいる状態での申し込みとなります。そのため、融資を受ける際には決算書(法人)または確定申告書(個人事業主)を作成し提出しなければいけません。
また、個人事業税や法人税の対象となっている場合はその領収証も添付して提出します。公庫は公的機関ですので、税金未納は融資の対象外です。追加融資を成功させたいのであれば、税金を納めてからトライしましょう。
3.追加融資のメリット・デメリットとは?
追加融資のメリットは、安定した経営ができるという点です。家計に置き換えてみるとわかりやすいのですが、来月の支払いができる元手がゼロの状態の家庭は非常に余裕がないですよね。どんな家庭でも、最低限数十万円~数百万円以上の預貯金はありつつ生活しています。
事業の場合も同様です。余剰資金がないなかでは次第に身動きがとれず、パフォーマンスも悪くなります。
これに対し、追加融資のデメリットですが借金が増えてしまう、という方がいらっしゃいます。しかし、これも家計に置き換えると分かりやすいです。私たちは無借金で生活している人の方が少ないのです。住宅ローンやカーローン、そしてクレジットカードの支払いなど複数の借り入れをしながら生きているはずです。追加融資をデメリットとみるかどうかは事業主の価値観や経営事情にも起因しますが、経営においてヒト・モノ・カネの流れは非常に大切だということは万人が納得する事実なのではないでしょうか。
まとめ
追加融資とは2度目以降の融資のことで、1度目の融資の返済中に二度目の融資についても返済することになります。
しかし、追加融資を受けることで事業での仕入れや設備などが潤おい、結果的に利息以上の効果(収入)を得られる可能性もあります。