セーフティネット保証制度には、1号から8号の種別があり、それぞれ対象や保証の内容が少しずつ違っています。
今回は8種類の中から、セーフティネット保証2号について解説します。
1.セーフティネット保証2号とは?
(1)取引先企業のリストラなどの事業活動の制限
取引先企業が生産量や販売量を縮小する、店舗の閉鎖などの事業縮小を行っている事業者と取引を行っていることにより、売上高の減少などが起こっている中小企業を支援するための措置です。
(2)保証の内容
セーフティネット保証2号制度を利用することで、通常の保証協会付き融資の上限2億8千万円とは別に、最大2億8千万円の追加融資枠を利用することができます。
この別枠融資は信用保証の保証率が100%となっており、金融機関のリスクが低いため融資の審査を通りやすく、保証料率も1%以内と融資を受ける際に非常に有利になる制度です。
とはいえ最大である5億6千万円もの融資が必要となることはほぼないので最大まで申請しても融資の審査に通らないため、必要額に加えて追加で融資を申請しやすくなる制度と考えましょう。
2.セーフティネット保証2号の対象となる企業
セーフティネット保証2号制度の対象となる企業は、指定された事業者と直接、または間接的に取引を行っており、その取引の依存度が20%以上で、制限を受けた後の3か月間の売上高等が前年同月比マイナス10%以上の見込みとなる中小企業です。
また、直接取引がなくても指定企業の近隣に事業所があり、指定企業の活動制限の影響で3か月の売り上げが前年同月比マイナス10%以上の見込みがある事業者も対象となります。
2020年7月現在は指定案件がありませんが、適用事例として平成14年の株式会社マイカルに関する案件があります。
1.(株)マイカル及び(株)マイカル東北が平成14年4月21日から平成14年8月31日までに実施した店舗の閉鎖及び店舗の閉鎖の公表に伴う、(株)マイカル、(株)マイカル東北、(株)マイカル協友及び(株)ビブレ協友が実施している取引の縮減
(1) 利用対象者:
・(株)マイカル、(株)マイカル東北、(株)マイカル協友又は(株)ビブレ協友への取引依存度が20%以上で、3か月間の売上高等が前年同期比で▲10%以上の見込みの直接取引中小企業者
・指定地域内に事業所を有する中小企業者で、3か月間の売上高等が前年同期比で▲10%以上の見込みの中小企業者
(2) 指定期間
・平成14年4月21日から平成14年8月31日までの間に閉鎖された(株)マイカル又は(株)マイカル東北の店舗及び指定地域内に事業所を有する中小企業者にあっては、平成14年4月21日から平成15年8月30日まで
・平成14年7月21日に(株)マイカルが閉鎖を公表した店舗に事業所を有する中小企業者にあっては、平成14年7月24日から平成15年8月30日まで
・その他の中小企業者にあっては、平成14年8月31日から平成15年8月30日まで
2.(株)マイカルが平成14年12月19日及び平成15年にその店舗の閉鎖する予定であることを公表したことに伴う、(株)マイカル及び(株)マイカル協友が実施している取引の縮減
(1)利用対象者:
・(株)マイカル又は(株)マイカル協友への取引依存度が20%以上で、3か月間の売上高等が前年同期比で▲10%以上の見込みの直接取引中小企業者
・指定地域内に事業所を有する中小企業者で、3か月間の売上高等が前年同期比で▲10%以上の見込みの中小企業者
(2)指定期間
平成14年12月19日から平成16年1月4日まで
3.手続きの流れ
(1)2号指定事業者リストを確認する
まずはセーフティネット保証2号制度を利用するために、セーフティネット保証2号の指定事業者リストを確認します。
リストにある企業からの売り上げなどに対する影響があることが確認出来たら、申請に入ります。
(2)本店所在地の市町村に認定申請を申し込みする
自分の取引相手がセーフティネット保証2号の対象になっていた場合、定款に書かれた本店所在地、個人事業主の場合は主な事業所所在地の市町村役場の融資に関連する商工担当課等の窓口に認定申請書と、2号指定事業者と取引を行っていたことを示す書類を合わせて提出します。
認定申請が通ると、認定会場での手渡しか郵送で認定書を手に入れることができます。
書類に不備等がある場合は不備を指摘されたうえで差戻されるので、指示に従って書類を書き直し、再度認定申請をしましょう。
(3)金融機関に相談に行く
認定書を受け取ったら、希望の金融機関または本店、事業所の所在地にある信用保証協会に認定書を持って保証付き融資を申し込みます。
融資を受けることができれば完了です。
まとめ
セーフティネット保証2号認定は、指定企業の大幅な事業縮小によって影響を受ける中小企業を救済するための制度です。
資金繰りに困っている場合、自分の会社の取引先が適用対象になっているかどうかチェックしておきましょう。