北海道深川市の北空知(きたそらち)信用金庫と日本政策金融公庫は2018年8月、協調融資商品「創業ローン創(はじめ)」を新たに販売することを発表しました。
信用金庫と日本政策金融公庫とのコラボ商品ということで、起業家の中で注目を集めています。一体どのような商品なのでしょうか?
1.そもそも協調融資とは?
「創業ローン創(はじめ)」は北空知信用金庫と日本政策金融公庫が連携したことで開発された新たな協調融資商品です。協調融資とは、1件の事業に関して2者以上の融資を受けることを言います。
例えば、ある事業でAさんが3,000万円の資金調達が必要な場合にどうしても日本政策金融公庫の審査では1,500万円までしか借りられなかったとしましょう。Aさんの事業には将来性があったと見込んだ日本政策金融公庫はAさんにこう言います。
「足りない分を、当社とお付き合いしている〇〇銀行でも借りませんか?」

協調融資では、上記の図のように複数の金融機関がチームとなっています。外側から見ると、どの金融機関が主幹事でどの金融機関が入っているのかなどは分かりません。しかし、大手銀行はこのシンジケートの主幹事(アレンジャー)を担当している場合が多いのです。
協調融資を提案された創業者は希望融資額が手に入り嬉しいですが、協調融資をすると主幹事にもアレンジャー手数料(組成手数料)が配下の金融機関から手に入ります。また、シンジケート内の金融機関も優良な顧客を紹介してもらえるのでメリットがあります。
2.創業ローン創(はじめ)はどんな商品?
北空知信用金庫の創業ローン創(はじめ)は地域活性化のための新たな協調融資商品で、地域金融機関と公的金融機関がタッグを組みことに大いに意味があります。

商品概要は以下をご覧ください。
ご利用いた だける方 | 北空知信用金庫営業エリア内で創業を計画している、又は、創業後概ね7年以 内の事業者。 北空知信用金庫営業エリア内で第二創業(経営の多角化、事業転換)、 又は、 第二創業後概ね7年以内の事業者。 |
お使いみち | 運転資金若しくは、設備資金 |
ご融資 限度額 | 1,000万円以内(融資割合は北空知信用金庫50%、日本政策金融公庫 50%となります。) |
相談・申し込みは北空知信用金庫の各支店または日本政策金融公庫の旭川支店・札幌支店・札幌北支店の国民生活事業部が担当します。
日本政策金融公庫は全国に支店を持つ公的金融機関ですので、金融シンジケートの中でも主幹事を担当しています。全国で協調融資を展開していますが、北海道内での協調融資商品を開発するのはこれが2件目です。
3.日本政策金融公庫の協調融資実績は?
事業融資の金利を上げている要因の一つは審査における調査費用という実態があります。協調融資では資金面だけでなく顧客情報や顧客を調査する費用も折半します。
そのため、1社で融資を請け負うよりも調査費用を安くあげられる→金利を抑えることができる、という場合があります。また、協調融資は金融機関にとってリスクヘッジ(リスク回避方法)にもなります。万一、創業者が返済不能となった場合も、1社の場合は全額が負担になりますが2者の場合では負担が軽減されるからです。
平成30年の財務省大臣官房制作金融課作成の「政策金融機関の現状について」という公表資料を見ると、地方銀行と信用金庫の協調融資実績が伸びていることが分かります。
※上記URLをクリックすると、政策金融機関の現状についてのPDFへリンクします
まとめ
日本政策金融公庫と地方銀行・信用組合の連携は広がりを見せています。地域と公の金融機関が上手に連携することにより、もっと起業に強い金融機関となる期待が高まります。