日本政策金融公庫の特徴として、社会のセーフティネットを支援する金融機関であるという点が挙げられます。
中小企業向けの融資のみではなく、災害支援やセーフティネット・そして漁業や農林への支援も積極的です。
日本政策金融公庫が農林中金などで共同出資してできた会社(アグリビジネス投資育成)の出資件数が順調に伸び、日本の農業の活性化につながっています。
目次
1.日本政策金融公庫と農林中金とは?
日本政策金融公庫は2008年までは国民生活金融公庫という名称でした。私たち日本人が日々支払う税金から100%出資されてできた政策(日本の)金融機関です。お金の預け入れはできませんが、中小企業向けの融資や一般の方向けの教育ローンなどを行っています。
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農林中金は農林中央金庫の略称です。JAと言うと馴染みやすいのではないでしょうか。広く農林水産業を支える金融機関で、農業・漁業への融資のみでなく日本農業経営大学工での人材育成や経営相談・情報提供と幅広い事業を行っています。
※上記URLをクリックすると農林中金の公式ページにリンクします
2.日本政策金融公庫とJAグループが共同出資するアグリビジネス投資育成㈱とは

アグリビジネス投資育成株式会社は平成14年に「農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法」の施工に基づき、日本政策金融公庫とJAグループの共同出資という形でスタートしました。アグリは英語のAgriculture(農業)からとっています。
主な目的は農業・漁業の事業所の自己資本比率を上げること。気候・災害などの影響を受けやすい農業・漁業を営む方が安心して経営するためには、融資に頼る資金調達ではなく株式をアグリビジネス投資育成が買い取ることがよいのではないか。そのように考え、アグリビジネス投資育成では以下のような対象事業者に対して審査をしたうえで出資をしています。
【アグリビジネス投資育成㈱の出資対象事業者】
- 農業法人または農業に関する事業を営む法人
- 農業法人の場合、認定農業者であること(認定農業者となることが確実な者を含む)
- 法人設立後、3年以上の実績があること
- 債務超過でないこと
- 経常利益は、過去3年平均すると黒字であること
- 借入金の返済は、当初条件どおり進んでいること
- 会計は、複式簿記により行っていること…など
農業を営む全ての法人というわけではなく、上記のような優良事業所に絞って支援を行っています。この条件を見ると、日本政策金融公庫の事業融資の基準と少し似ているという印象を持ちます。赤字ではなく黒字・借入に対してきちんと返済している・お金の流れがわかる書類を完備している、という点においてです。
3.2018年5月で500件を超える出資実績

平成14年に設立され、今年で16年目を迎えるアグリビジネス投資育成。16年間で500件を超える支援を行い、総額で約83億円もの額を出資した実績を持ちます。
日本の農家人口は右肩下がりで、昭和50年あたりには総農家数は4,953戸ありましたが平成15年には2,981件と約2千もの農家が廃業しています。日本の食料自給率は低く、世界の中では123位。ちなみに一位はアルゼンチン・二位はカザフタンで、主要先進国の中のトップは一位のオーストラリア、二位がフランス、三位がカナダ。日本は12位とかなり下位にいる状況です。
そのため、アグリビジネス投資育成の出資事業は非常に意味のある事業であると言えるでしょう。出資により、以下の業種の売り上げが全体で42%もアップしているという報告もニュースで報道されています。
畜産
(119件) |
稲作
(88件) |
果樹
(53件) |
花卉
(19件) |
きのこ
(14件) |
その他(20件) | 農業関連他
(33件) |
4.資金調達すると売上があがるのはなぜ?

資金調達は売上が悪い時にのみ行うものではありません。むしろ、売上が伸びている時期に業績拡大のために資金調達をする意思決定も事業主には必要です。
資金調達をどのタイミングでするのか?どの率でできるのか?を考え、適切なタイミングで資金投入することが大切です。きちんとした事業計画を立てた上での資金調達は、よりよい仕入れや設備を実現し、相乗効果で売上もアップさせます。
まとめ
中小企業以上に日本の農業・漁業の発展は人々から期待されています。農業でITを使うのも当たり前の時代になってきました。ITを上手に利用し、農業・漁業が以前とは違った形でのアプローチも可能になっています。