協調融資とは2社以上の金融機関が協力して1つの事業に対して融資を行うことです。
協調融資は規模の大きいビジネスや実績がまだ浅い企業に対して行われますが、公的な災害対策や政策でもたびたび行われます。
今回ご紹介するのは、西日本豪雨被害を支援するための中国銀行と日本政策金融公庫の協調融資です。
目次
1. 西日本豪雨被害を振り返ってみよう
愛媛県内の梅雨前線と台風7号との影響による豪雨は2018年6月28日から7月初旬まで続き、「平成30年7月豪雨」と命名されました。その影響は甚大で、土砂被害や浸水などの影響で岡山・広島・愛媛3件を中心に15府県225人の死者を出しました。
また、総務省消防庁の報告では同エリアで1万棟以上の家屋が全半壊しており、重軽傷者は350人、8月上旬時点で避難所生活をしている人々は約3,600人にのぼるとされています。
被災地には各地から13万人以上のボランティアが入りましたが、猛暑の中土砂や家財家屋の運び出しをするため、ボランティアの健康状態を心配する声が寄せられました。
2.西日本豪雨被害における様々な支援
ボランティアのみでなく、この豪雨被害については様々な支援が用意されています。その中の一つが、日本政策金融公庫と中国銀行の協調融資です。
①被害者の方はまず「り災証明書」を出そう
あなたがもし西日本豪雨被害を受けた被災者で家屋に損傷があるのであれば、り災証明書で申請し認定されることで、各種支援を受けることが可能です。り災証明書を提出すると、あなたの家屋が以下4つのどれに当てはまるか自治体による認定作業が行われます。
【4つの損害割合に分類されます】
- 全壊:損害割合50%以上
- 大規模半壊:損害割合40~50%以上
- 半壊:損害割合20~40%以上
- 一部損壊・損害割合20%以下
②多くの中小企業や小規模事業者も被災。グループ補助金を利用しよう
個人だけでなく多くの事業者もこの西日本豪雨の被害者です。国による復興・復旧を後押しする支援としてはグループ補助金があります。
【グループ補助金とは?】
対象者 | 平成30年7月豪雨による被害を受けた 中小企業者・中小企業事業協同組合等 |
補助率 | 中小企業者:3/4 中堅企業等:1/2 |
対象費目 | 施設、設備の復旧費用 (資材、工事費、設備調達や移転設置費、取り壊し、除去日、整地、廃土費等) |
手続き | 事業者同士でグループを形成し 「復興事業計画」を策定する |
3.通常の融資額より、協調融資で融資額がアップ
上記のグループ補助金については被災地から一部不満の声も寄せられています。補助対象者が直接豪雨被害を受けた事業者のみになっていますが、その事業者と取引のある関連企業も大きな打撃を受けています。また、融資額についても資材が流れ家屋が全壊しているなど深刻な被害を受けた事業者については、既存の公庫の融資額(~7,000万円)ではとても足りないという不満もでています。
この声にこたえる形で、2018年9月、岡山市の中国銀行では日本政策金融公庫との協調融資体制を構築するとの発表を文書により行いました。9月6日より取扱開始しています。
中国銀行|平成30年7月豪雨にかかる日本政策金融公庫との協調体制構築の件
※上記URLをクリックすると、中国銀行作成のPDFへリンクします
これにより、日本政策金融公庫には中国銀行からの地元事業者の情報が入るためスピーディで的確な審査ができ、一方、中国銀行側も1社で融資を対応するよりリスク分散できるためより多くの事業者に対応可能となります。
まとめ
協調融資は1つの金融機関のみでは融資額が不足する場合に、2つ以上の金融機関がタッグを組むことにより事業者の希望額をできる限り満額で融資するための制度です。
豪雨被害の爪痕はまだ癒されていません。完全な復興のためには、ボランティア含め、継続的な支援が必要です。