新型コロナウイルスで影響を受けている事業者の方々に対し、日本政府は給付金や特別貸付制度の実施、既存制度の拡充などさまざまな資金繰り支援策を用意しています。
今回の記事では、テナント事業者にとって月々の支払いで特に大きな負担となる家賃・地代を補助するために創設された「家賃支援給付金」の概要をご紹介します。
■家賃支援給付金 コールセンター
0120-653-930(平日・土日祝日8:30~19:00)
また、本記事は経済産業省が作成した資料「家賃支援給付金に関するお知らせ」(最終更新日:7月3日)の情報を参照して作成しています。
地代・家賃の負担を軽減する「家賃支援給付金」
テナント事業者にとって、家賃は毎月必ず発生する固定費で、キャッシュフローにも大きく影響してくる要素になります。特に、地価の高い都市部でテナントを運営する場合、その負担は非常に大きいものになってきます。
そこで、経済産業省は新型コロナの影響で売り上げ減少となっているテナント事業者を支援するための「家賃支援給付金」の創設を発表しました。
「家賃支援給付金」は、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金です。
※7月7日追記
経済産業省は、7月14日(火)より家賃支援給付金の申請受付を開始すると発表しました。
合わせて、申請要領も下記サイトにアップされています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/yachin-kyufu/index.html
給付対象者の業種・規模については持続化給付金と同じく、資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業主などが給付対象となります。
(1)給付対象者の条件
【給付対象者】
中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等であって、5月~12月 において以下のいずれかに該当する者 |
①5月~12月のいずれかの月で1ヶ月の売上高が前年同月比で50%以上減少している ②5月~12月の連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少している |
家賃支援給付金は5月に実施された緊急事態宣言の延長の影響で家賃負担に困窮した事業者に向けているため、4月に売上の減少があっても対象にならない点に注意してください。
(2)対象となる地代・家賃 自宅兼事務所も対象に
地代・家賃と言っても、業種やビジネスモデルによってさまざまです。現時点で経済産業省が公式に回答している内容は下記の通りです。
①個人事業者の「自宅」兼「事務所」の家賃も対象になる
個人事業主の場合、自宅を作業場する事務所と兼ねて利用している場合も多いです。この場合も、事務所の家賃として適用されるので、対象になります。
但し、自宅兼事務所がローン支払い中の場合は、持ち家なので対象外となります。
また、経済産業省の資料には「確定申告書における損金計上額など、自らの事業に用する部分に限ります」とありますので、事業に使用している分を面積で按分して申請することになります。
②借地の賃料も対象となる
駐車場、資材置場等として事業に用している土地の賃料も対象になります。借地上に賃借している建物が存在するか否かは問われません。
(3)給付率・給付上限額
申請時の直近の支払家賃(月額)に基づき算出される給付額(月額)の 6倍(6カ月分)を支給予定です。
中小企業には、最大で月額100万円×6ヵ月間で合計の最大給付額が600万円、個人事業主には、最大で月額50万円×6ヶ月間で合計の最大給付額が300万円となっています。
給付率は2/3、給付上限額(月額)は法人50万円、個人事業者25万円とし、6か月分が給付されます。
支払賃料(月額) | 給付額(月額) | |
法人 | 75万円以下 | 支払賃料×2/3 |
75万円超 | 50万円+[支払賃料の75万円の超過分×1/3] ※ただし、100万円(月額)が上限 | |
個人事業者 | 37.5万円以下 | 支払賃料×2/3 |
37.5万円超 | 25万円+[支払賃料の37.5万円の超過分×1/3] ※ただし、50万円(月額)が上限 |
また、複数店舗を運営している場合など、家賃の総支払い額が高くなるテナント事業者を考慮し、上限を超える場合の例外にも対応することがわかっています。
この措置については、支払家賃(月額)のうち給付上限超過額の1/3を給付し、給付上限額(月額)を法人なら100万円、個人事業者なら50万円に引き上げるということになります。
※給付率・給付上限額は下図の通りです
※図の出典:経済産業省パンフレット「新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ」
(4)必要書類
現時点では、以下の書類が必要と発表されています。今のうちに準備を進めておきましょう。
①賃貸借契約の存在を証明する書類(賃貸借契約書等)
不動産(物件)の賃貸契約に関する契約書類です。
もし紛失してしまっている場合は、大家さんや賃貸仲介業者等に問い合わせ、早めに再発行の手続きを済ませておきましょう。
②申請時の直近3ヵ月分の賃料支払実績を証明する書類
支払い額が確認できる通帳の写し、実績がわかる領収証などが該当します。
③本人確認書類(運転免許証等)
④売上減少を証明する書類(確定申告書、売上台帳等)
その他:地域での家賃支援制度も
国が実施する家賃支援給付金とは別に、地域でも家賃に対する支援を実施しているところが多数あります。
例えば、東京都港区では、港区内で店舗等を賃貸しているテナントオーナーの中小企業者に対して、減額した賃料の2分の1を助成する取り組みを6月上旬から開始しました。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う中小企業支援策(第二弾)テナントオーナー向けテナント賃料支援事業を開始します|港区
この他にも、多数の制度が実施されていますので、気になる方は中小機構が運営する下記サイトをご覧になってください。
まとめ
「家賃支援給付金」の具体的な対象範囲や申請方法、申請開始日等の制度詳細は検討中でです。準備ができ次第、経済産業省Webサイト等で公表されますので、今しばらくお待ち下さい。
自粛が解除されたとはいえ、まだまだ先の読めない状況です。テナント事業者の方々にとっても、対応が難しい状況ですが、給付金を徹底活用して、苦難を乗り越えていきましょう。
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