コロナ禍で増える年末倒産 資金調達の観点から理由を解説

コロナ禍で増える年末倒産 資金調達の観点から理由を解説
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

2020年度、年明けから流行した新型コロナウイルスの脅威によって、年末に倒産を迎える「年末倒産」の増加が予測されます。その理由について、資金調達の観点から解説します。

コロナ禍で年末倒産が増える理由

2020年度、年明けから流行した新型コロナウイルス感染症は、有効な治療法が確立されないまま、約1年が経ちます。世界的な感染者の増加傾向もあり、コロナ禍での事業の先行きに不安を覚える経営者も多いことでしょう。

実際に、年末に倒産を迎える「年末倒産」の増加が予測されます。それぞれ事情を抱えた企業の倒産のタイミングが年末に集中するため、経済に多大な影響を与えるでしょう。

資金調達の観点で見たとき、年末倒産には3つのタイプがあります。

  • [タイプ1]元々廃業予定で、倒産が延びた企業の年末倒産
  • [タイプ2]コロナ禍に適応しきれなかった企業の年末倒産
  • [タイプ3]コロナ禍に適応したのに連鎖倒産に巻き込まれた企業の年末倒産

それぞれのタイプの解説を始める前に、国内のコロナ禍の時系列を簡単に振り返りましょう。

厚生労働省の新型コロナウイルスに関する発表が2020年1月初旬、2月中旬には国内でイベントなどの自粛が発生、3月に入って2週間の一斉休校などの全国的な自粛要請、その後5月初旬に緊急事態宣言があり、以後は「新しい生活様式」として断続的な自粛ムードが続いています。

資金調達の観点でのトピックを振り返ると、新型コロナウイルスによる倒産が目立ち始めた2月頃から、日本政策金融公庫による、コロナ禍の企業を支援する特別融資制度「新型コロナウイルス感染症特別貸付」が検討され、3月頃から活用されるようになります。

続く形で、民間の金融機関にも特別融資(セーフティネット4号・5号や危機関連保証など)が登場しました。コロナ支援の助成金や給付金、補助金も、5月の緊急宣言前後に登場しています。

また、コロナ倒産の増加が予想されたにも関わらず、6月までに倒産件数が激増する事態になっていない点を、事実としておさえておきましょう。

2020年上半期(1-6月)における全国の倒産件数(*参照先)は4,001件、前年比同時期よりも多いものの、過去30年間で2番目の低水準で、その内「新型コロナ」関連倒産は240件です。10月までのデータ上では、7月に年度最多の789件を記録して以降、10月まで倒産件数は低めの水準で動いています。

まとめると、1月初旬からコロナの脅威が続いたにも関わらず、各種手厚い支援の効果で、少なくとも半年の間は、企業を倒産危機から救えている、と言えるでしょう。

(*参照先)半期(全国企業倒産状況):[2020年上半期(1-6月)の全国企業倒産4,001件]- 東京商工リサーチ

[タイプ1]元々廃業予定で、倒産が延びた企業の年末倒産

手厚い支援は、コロナ禍かどうかは関係なく、既に経営悪化していた企業も救っています。多くの支援は年末を目処に終了するため、何とか生きながらえた企業の倒産タイミングは、年末に集中することになります。

 

例えば、コロナ支援に関する助成金は、企業を悩ます最大の固定費の人件費を助成するものです。

コロナ禍の全業種の事業者で、雇用保険に加入する従業員の休業手当を国が肩代わりする「雇用調整助成金」と、雇用保険未加入のパート・アルバイトに拡充した特別措置「緊急雇用安定助成金」の助成対象は「令和2年(2020年)4月 1日から令和2年(2020年)12月31日までの休業」で、ちょうど年末です。

※雇用調整助成金は、2021年3月まで継続される方針で進んでいるといわれておりますが、現在(2020年11月24日)現在は未確定です。

また、コロナ禍での事業継続の意思がある全業種の事業者を対象とした「持続化給付金」や、コロナ禍で売上が急減した事業者を対象に、地代や家賃負担を軽減する「家賃支援給付金」などの一時的な支援金で、なんとか事業継続ができる期間も、数ヶ月程度に限られます。

そもそも廃業を検討する企業は、金融機関からの融資や新たな事業計画立案が伴う助成金での資金調達が難しい状況に置かれています。

運転資金を確保するには、国や地方公共団体からの助成金や給付金が頼みの綱です。コロナ禍で事業の見通しが立たないとわかれば、支援打ち切りのタイミング、つまり、年末倒産を選ぶというのは自明でしょう。

[タイプ2]コロナ禍に適応しきれなかった企業の年末倒産

コロナ禍に適応しようとしても、適応が難しい企業もあります。

多くの企業は、コロナ禍に適応すべく事業計画に変更を加えながら、助成金・給付金・補助金を含め、融資での資金調達を行うでしょう。それでも、消費者ニーズや業態などの関係で、事業計画を適応させようがない企業は、様々な理由で運転資金が底をつきます。

今後の事業展開について経営判断を迫られ、先行きの不透明感から廃業を選択した場合、年末倒産になるのです。

日本政策金融公庫の融資制度「新型コロナウイルス感染症特別貸付」で、低利子で資金調達できたとしても、確保できる金額の相場は数ヶ月分から1年分の運転資金です。(※例外的に運転資金として1年を超える融資を結果的に利用できた方もおりますが、弊社でもコロナ融資支援を700件以上行った結果として、運転資金として6か月以内の融資を受けられた方が大半でした。)

返済を待ってもらえる据置期間があっても、制度上の最大5年を待ってもらえる企業はほとんどなく、据置期間は半年から1年程度となります(※弊社実績をもとに説明しております)。

上半期に融資を受け、他の助成金や給付金でしのいだとして、運転資金が底をついているのに、融資の返済をスタートするタイミングがちょうど年末辺りなのです。

 

人との接触を控える「非対面型ビジネスモデル」を確立できる企業は、自宅でのオンラインでの勤務が行えるテレワークを推進する助成金「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」や、コロナ禍の業務効率化を推進する特別補助金「IT導入補助金 特別枠」を利用して、コロナ禍の新しい生活様式に適応しつつあります。

一方で、非対面型に事業計画を転換させようがない企業は、難しい経営判断を迫られます。

経営悪化がささやかれる業態の飲食や宿泊、航空、鉄道などの関連企業・下請け企業は、業態転換や再配置など、短期間に大きな変化を強いられます。中小企業であれば、大きな変化に対する反応を受け、廃業の経営判断を下すと、年末倒産になるのです。

事業転換は難しい?

非対面型ビジネスモデルへの事業転換の難しさの具体例を挙げましょう。

例えば、飲食業。今はどの店舗でも、持ち帰りを前提にしたサービスを提供しています。飲食業に関わらない方から見ると「固定費になる店鋪はやめて、せっかくなら人気の飲食の配送サービスをメインでやればいいのに」と思いがちですが、店舗を構えた飲食業において「非対面型のビジネスモデルにするため、店舗をなくして配送でやっていく」という業種転換は現実的ではありません。

飲食業には「店舗」は切っても切り離せない関係です。

まず、基本的に店舗がなければ営業許可がおりません。そして、店舗の立地や席数などから客の入り数や材料の仕入れを試算し、事業計画を立てています。配送サービスなどの別業態への転換は、ノウハウの蓄積やサービス実績がなければ、どこの金融機関からも融資を受けられないほどに無謀な計画です。

また、店舗の移転や縮小、配送サービスなどの資金が必要になるうえ、事実上の事業撤退に等しいため、多くの飲食店では「店舗を維持し、店舗の賃料や人件費などの固定費などを助成金で支えつつ、持ち帰りなどの店舗ありきのサービスで耐える」という方策を取らざるを得ないのです。

しかし、支えの雇用関連の助成金の期限が年末のため、耐えきれなかった飲食店の多くは年末倒産してしまうでしょう。

[タイプ3]コロナ禍に適応したのに連鎖倒産に巻き込まれた企業の年末倒産

コロナ禍に適応しても、倒産してしまう企業もあります。

上半期はコロナ禍に適応したテレワークや非対面型のビジネスモデルで軌道に乗っている企業も安心はできません。

年度最多の倒産件数があった7月を経て、取引先や下請け企業の業態変化や倒産の余波によって、短期間に急激に経営が悪化する可能性があります。

多くの企業が上半期までに既にコロナ支援を受けているため、二度目の支援を受けられず、そのまま資金調達が難航して倒産してしまうケースがあります。連鎖的に起こる倒産の波「連鎖倒産」に巻き込まれるタイミングによっては、ちょうど年末倒産することになってしまうのです。

年末倒産を回避するにはどうしたらいい?

見通しが暗い材料ばかりですが、光はあります。

国の企業支援もそうでしたが、金融機関が正しく、コロナ禍を未曾有の脅威だとみなしている点です。実際、コロナ禍になる前年までであればあり得なかった特別措置が行われるケースが出てきているため、諦めずに相談してみることをおすすめしています。

 

私自身が驚かされた特別措置は、リスケジュール中の企業へ金融機関からの融資実行です。

一般的に、融資は、返済期間を待つ期間「据置期間」を経て、返済がスタートします。返済がスタートした後に、「返済を待ってほしい・月々の返済を減らしてほしい」と金融機関に交渉するスケジュール調整を含む再契約が「リスケジュール」(省略名称:リスケ)と呼ばれます。

リスケジュールは、複数の金融機関から融資を受けている場合、金融機関の担当者の間で相談し、基本的には足並みを揃えて行われます。融資実行を急いでいたとしても、リスケジュール中であれば、融資の条件の再契約が終わってから、というのが資金調達の常識でした。

金融機関Aから融資を受けてリスケジュールしているとき、状況が改善していないにも関わらず金融機関Aや金融機関Bの融資を受けたという例は、これまでの経済危機でも見られなかったケースです。

また、よくご相談いただきますが、コロナ支援の融資を二度受けることは不可能ではありません。一度目が少額であれば、金融機関が評価する限度額までであれば、二度目の資金調達も可能です。まだ返済がはじまらない据置期間中でのリスケジュールも、一般的には認められないものであっても、コロナ禍であれば相談に応じてくれる可能性もあります。

まとめ

2020年度、新型コロナウイルスの脅威による年末倒産の増加の理由について、資金調達の観点から解説しました。

ポイントは「年末倒産するタイプの企業には3つあり、それぞれの理由がある」ということです。

  • コロナ禍に関係なく元々、廃業を検討していたものの、助成金・給付金・補助金の各種手厚い支援を受けることで生きながらえた企業が、倒産を迎えるタイミングが年末であること。
  • コロナ禍に適応すべく事業計画に変更を加えながら、助成金・給付金・補助金を含め、融資での資金調達を行った企業が、運転資金もそろそろ底をつき、今後の事業展開について経営判断を迫られるタイミングが年末であること。
  • 当初、コロナ禍に適応した事業経営ができていたにも関わらず、取引先や下請け企業の業態変化や倒産の余波で、短期間に急激な経営悪化が起こると資金調達が間に合わず、タイミングによっては連鎖倒産するのが年末であること。

倒産が年末に集中し、経済に多大な影響を与えると予測されます。

経営者の方は、感染症拡大の波だけでなく、もう一つ来る年末倒産というビジネスの波にも十分に気をつけてください。

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