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【専門家監修】銀行融資における事業計画書の書き方と記入例を解説

事業計画書とは、会社の設立や事業の拡大の際に「事業内容」「事業戦略」「収益予測」などを第三者に対して示すための書類です。銀行融資においては、銀行が事業の将来性を見極め、融資の可否や条件を判断するために最も重要視している資料のひとつです。

当記事では、銀行融資における事業計画書の書き方について解説します。事業計画書に盛り込む項目ごとの記入例や、事業計画書のテンプレートをダウンロードできるサービスも紹介しているため、事業計画書の作成方法を詳しく知りたい人は参考にしてみてください。

なお、新たに事業を始める場合に作成する事業計画書は、とりわけ「創業計画書」と呼ばれます。既存事業の実績を踏まえて作成する事業計画書とは記載すべき内容が異なるため、創業融資を検討している人は「創業計画書の書き方とは?創業計画書のテンプレートを使って解説」の記事をご確認ください。

まずは銀行が指定する事業計画書フォーマットの有無を確認する

銀行融資を申請するために事業計画書を用意する際は、まず銀行が指定する事業計画書フォーマットの有無を確認しておきましょう。銀行によっては、融資審査で使用する事業計画書に指定のフォーマットが用意されている場合があるためです。

【事業計画書フォーマットの具体例】

出典:各種書式ダウンロード |日本政策金融公庫

指定の事業計画書フォーマットがある場合、そのフォーマットに沿って作成を進めていきます。銀行が融資審査において重視する項目が網羅されているため、フォーマットにしたがって事業計画書を作成することにより、銀行側が求める情報を漏れなく提示することができます。

指定の事業計画書フォーマットがない場合、事業計画書の基本となる構成要素を踏まえて独自の事業計画書を作成します。金融機関やビジネス支援サイトなどが公開しているテンプレートや記入例を参考にしながら、銀行の融資判断に必要とされる情報を漏れなくまとめていきます。

フォーマット指定の有無にかかわらず、銀行融資において必要とされる事業計画書の基本的な構成要素は概ね共通しています。銀行融資の事業計画書には、事業の目的や戦略、市場分析、財務計画など、事業の概要を銀行に示すための情報を明確かつ具体的に盛り込むことを意識しましょう。

事業計画書のテンプレートを公開している機関もある

金融機関や行政機関、民間のコンサルティング会社などにおいて、事業計画書のテンプレートが公開されている場合があります。銀行指定の事業計画書フォーマットがなく、どのように事業計画書を作成したらよいか悩む場合は、テンプレートの活用も検討してみましょう。

【事業計画書のテンプレートをダウンロードできるサービスの具体例】

機関 ダウンロードページ
日本政策金融公庫 各種書式ダウンロード
中小企業基盤整備機構 事業計画書の作成手順

政策金融機関である日本政策金融公庫の公式サイトでは、日本政策金融公庫の申請時に利用できる各種書式が公開されています。融資商品ごとのさまざまな書式が記入例とともに紹介されているため、事業計画書に記載する内容の参考とすることができます。

また、中小企業の成長を支援する独立行政法人である中小企業基盤整備機構では、事業計画書の作成手順とともにテンプレートが公開されています。事業計画書の作成手順や、記載項目ごとの作成のポイントなど、事業計画書の作成が初めての人にもわかりやすく紹介されています。

このほかにも、銀行各社や民間の資金調達コンサルティング会社などにおいて、事業計画書のテンプレートが公開されています。銀行指定の事業計画書フォーマットがない場合には、金融機関や行政機関、民間のコンサルティング会社が公開している事業計画書の書式や記入例を参考にしてみてください。

つぎは事業計画書の項目別に書き方を押さえる

銀行融資を申請するために事業計画書を作成する人は、記載する主な項目と書き方のポイントを押さえておきましょう。銀行融資においては、ビジネスモデルや事業の将来性が明確に伝わる事業計画書の提出を求められる傾向にあります。

【銀行融資の事業計画書に記載する主な項目】

項目 書き方のポイント
基本情報 ・事業の基本データを正確に記載する
・企業名、所在地、設立年月日、事業概要などを明記し事業の実態と透明性を示す
代表者経歴 ・職務経歴や事業に関連する具体的な実績、スキルなどを記載する
・過去の経験を事業の実現にどう活かせるかを伝え、事業の成功が見込まれる人物であることを示す
経営理念 ・将来のビジョンを交えて「事業を行う目的」「社会に提供できる価値」が伝わる経営理念を記載する
・経営者の情熱と事業の長期的な方向性を示す
事業内容 ・事業において「誰に」「何を」「どのように」提供し収益を上げていくのか具体的なビジネスモデルを記載する
・事業の全体像および事業の強みを明確に示す
販売戦略 ・「商品やサービスの需要があるか」「ターゲットとする顧客が抱える課題をどう解決できるか」を根拠とともに記載する
・市場規模や競合分析を通じて事業の成長性と市場での優位性を示す
投資・調達計画 ・資金を何に、いくら使い、どのように調達するのかを明記する
・「運転資金」と「設備資金」に分けて経費の内訳を記載し、必要に応じて使途や金額の妥当性を裏付ける補足資料を添付する
業績推移・収益予測 ・過去の業績と、その実績に基づいた実現可能性の高い収益予測を記載する
・市場動向や競合分析に加え、可能であれば過去2~3期分の業績を踏まえて根拠のある収益予測を立てる
借入状況 ・銀行だけでなくノンバンクや個人も含め、現在抱えているすべての借入状況を記載する
・借入残高や返済状況などを正確に記載した上で、借入の妥当性と返済能力を示す

事業計画書は、銀行の担当者が融資の可否を判断する材料のひとつです。事業計画書を作成する際は、事業内容が適切に伝わるよう記載内容の一貫性と具体性を意識しながら、融資担当者にとってわかりやすいものとなるよう心がけましょう。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)は中小企業庁から認定を受けた認定支援機関です。8,000件以上の融資サポートの実績から事業計画書に関するアドバイスを実施できるため、事業計画書の書き方が分からない人は相談先の候補として検討してみてください。

基本情報の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「事業の基本情報」が挙げられます。基本情報には、会社名のほか所在地や設立年月日など事業の実態を示すための情報を明確に記載し、事業の信頼性と透明性を高めます。

【事業の基本情報の記入例】

企業名
株式会社〇〇〇〇
所在地
東京都渋谷区〇丁目〇〇番地1234
設立年月日
2024年10月
資本金
1,000万円
従業員数
8人
役員構成
代表取締役:〇〇〇〇
取締役:〇〇〇〇
業種・業態
資金調達コンサルティング事業

銀行融資の事業計画書に事業の基本情報を記載するときのポイントは、最新の情報を正確に記載することです。会社名の表記は登記簿謄本や会社資料と完全に一致させ、変動の可能性がある資本金や役員構成などには最新の情報を反映し、提出時点での正確な情報を記載します。

情報が不足している場合や、曖昧な情報が含まれている場合、銀行から不信感を抱かれる恐れがあります。基本情報の誤りは事業者の信頼性にも関わるものであり、融資判断に影響を及ぼす可能性もあるため、提出前に漢字や数値の誤表記がないかどうか確認しておきましょう。

代表者経歴の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「代表者経歴」が挙げられます。代表者経歴には、事業代表者の氏名のほか経歴や資格といった事業に関連する実績やスキルなどを記載し、事業の成功が見込まれる人物であることを示します。

【代表者経歴の記入例】

氏名
〇〇〇〇
生年月日
19XX年7月8日 (満XX歳)
最終学歴
20XX年3月:〇〇大学 法学部 法律学科 卒業
略歴
  • 2008年4月~2018年3月:株式会社〇〇銀行

法人融資部門にて、中小企業向け融資審査および営業に従事。年間約3億円、総額30億円以上の融資実行実績を持つ。創業企業支援にも注力し、事業計画の評価と資金繰りアドバイスを多数実施。

  • 2018年4月~2023年9月:△△コンサルティング株式会社

財務コンサルティング部門にて、中小企業の資金調達支援を専門とする。銀行融資、補助金・助成金申請支援を通じ、合計約10億円以上の資金調達を成功に導く。

  • 2024年10月:株式会社プログレス・ファイナンス 設立、代表取締役就任
取得資格
中小企業診断士(2020年取得)
ファイナンシャル・プランナー1級(2015年取得)
証券アナリスト一次試験合格

銀行融資の事業計画書に代表者経歴を記載するときのポイントは、代表者の実績やスキルが事業に関連するものであると示すことです。代表者のこれまでの経験が、現在の事業にどのように活かされているのかを明記することが大切です。

たとえば、資金調達コンサルティングを運営している事業者の場合、金融機関での就業経験や金融関連の資格があると融資審査で有利になる可能性があります。金融に関する知識と経験が資金調達コンサルタントとしての専門知識を有するという根拠となり、銀行からの信頼性の向上につながるためです。

代表者経歴は単なる職務履歴ではなく、事業の実現可能性や成長性を示すための重要な項目のひとつです。事業との関連性が高い専門知識や資格、マネジメント経験などがある場合は、代表者経歴欄を活用して積極的にアピールしてみましょう。

経営理念の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「経営理念」が挙げられます。経営理念は事業活動の方向性や判断基準を示すものであり、経営理念によって将来のビジョンや事業者の熱意を伝えることにより、銀行からの信頼と共感を得ることにつながります。

【経営理念の記入例】

経営理念
年間37,000社の「潰れない起業家」支援を行っていくことで、中小企業の活性化に貢献し、雇用を創出する
ビジョン
・年間37,000社の企業を輩出する
・起業者の誰もが参考にする起業ノート(起業するために必要な知識)を提供する
・創業融資実績日本一になる
・関与先の廃業率を1%以下にする

銀行融資の事業計画書に経営理念を記載するときのポイントは、事業の掲げる理念がどのように収益に結びつくかを示すことです。事業の根本的な考え方の軸である経営理念を通じて、事業の実現性と将来性から融資を確実に返済できる見込みを伝えます。

たとえば、「年間37,000社の「潰れない起業家」支援」という経営理念は、市場ニーズの高さを示し、大規模な顧客基盤からの収益性と社会貢献による持続性のアピールにつながります。明確な数値目標により、事業における収益性と長期的な成長性があることを銀行に伝えることができます。

また、経営理念と合わせてその将来的なビジョンも記載することが有効です。経営理念を達成するための具体的な行動目標として将来的なビジョンを記載することにより、具体的な戦略や計画を伝えることができ、経営理念をより説得力のあるものにできます。

経営理念を記載する際は、具体的な数値目標を交えながら、事業の社会的な意義とどのように収益につなげていくのかを示すことが大切です。将来的なビジョンも交え、事業の価値や事業者の熱意が銀行の融資担当者に明確に伝わるように工夫しましょう。

事業内容の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「事業内容」が挙げられます。事業内容の項目では、事業者が提供する具体的な商品やサービスの説明を通じ、これまでの実績も踏まえてどのように収益につなげていくのかを伝えます。

【事業内容の記入例】

事業の概要
融資や補助金の申請におけるコンサルティングおよび創業計画書、事業計画書、企業概況書などの書類作成支援を実施。集客方法としては自社メディアの運営とWEB広告の掲載、SNSによる情報発信を中心としており、積極的な更新によりユーザーへの露出を増やしていく。
商品・サービスの概要
①資金調達コンサルティング
資金調達に関する相談および書類作成サポート等を実施し、手数料として融資金額の〇%もしくは〇万円の大きい方をいただくサービス。これまでに〇〇件のサポート実績がある
②自社メディア運営
創業融資ガイド(月間〇万PV)https://jfc-guide.com/
自社メディアを通じた融資相談の問い合わせ件数は月間〇件程度、資料ダウンロード数は月間〇件程度である。融資相談の問い合わせ件数のうち、〇%程度が弊社のサービスを利用している状況
競合に対する自社の強み
競合他社では資金調達コンサルティングの報酬として融資金額の3.0%~5.0%を請求している傾向にあるため、自社はそれよりも〇%下げて中小企業や個人事業主なども幅広く利用しやすいサービスとする

銀行融資の事業計画書に事業内容を記載するときのポイントは、自社の強みが伝わる内容にすることです。自社の商品やサービスを知らない銀行の融資担当者にも伝わるよう、競合他社と比較してどのような点にメリットがあるのかを具体的な数値を交えて分かりやすく記載します。

たとえば、資金調達コンサルティング事業における「〇〇件の融資をサポート」といった実績は、事業に対する信頼につながります。過去の支援実績を提示することにより、どれほどの顧客が自社のサービスを選び、実際に資金調達を成功させてきたかを示す具体的な証拠となります。

銀行融資の事業計画書における事業内容の記載では「自社が選ばれる理由」を明確に示すことが有効です。事業の概要をわかりやすく説明するだけでなく、競合他社と比較してどのような点に強みがあるかを明記し、収益につながる見込みがあることを銀行の融資担当者に伝えましょう。

販売戦略の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「販売戦略」が挙げられます。想定する顧客像とともに、提供する商品やサービスの需要と具体的な販売戦略を示すことにより、事業の実現可能性と収益性を証明します。

【販売戦略の記入例】

ターゲット
・従業員10名以下、設立5年以内の中小企業経営者または創業予定者
・新規開業や事業拡大に向けて資金調達を検討している
・金融機関との関係性はまだ薄く資金調達に関するノウハウが少ない
・専門家によるきめ細やかなサポートを求めている
市場ニーズ
中小企業の経営者にとって、資金調達方法など経営に関する相談先はほとんどない状況である。また、創業間もないタイミングで資金調達をしておくことが大切にもかかわらず、十分な資金調達ができていない企業がほとんどであり、創業者や中小企業向けの資金調達コンサルティングの需要が見込まれる
集客方法
①オンラインによる効率的なリード獲得
資金調達に関するSEO強化型コンテンツマーケティングとWeb広告で顕在層にアプローチし、オンラインセミナーで質の高いリードを獲得します。オンラインによる不特定多数へ向けたアプローチ方法により、効率的な集客の実現につなげています
②信頼できるパートナーとしての連携と紹介
税理士事務所や金融機関とのパートナーシップを深化させ、相互紹介による安定的な顧客基盤を確立します。当社の「認定支援機関」としての専門性と「完全成功報酬」による顧客リスクの軽減を最大の差別化要因とし、経営者の資金調達ニーズに合わせたサポート体制を構築することで成約率を高めます
想定されるリスクと対処法
  • 競合激化による価格競争のリスク
    ・認定支援機関としての専門性やこれまでの支援実績による信頼性という付加価値により他社との差別化を図る
    ・資金調達支援に加えて、資金調達後のフォローアップ体制を強化する
    ・融資に限らず補助金や助成金など幅広い資金調達をサポートする
  • 法改正や制度変更によるビジネスモデルへの影響のリスク
    ・金融庁、経済産業省、各自治体など公的機関からの情報を常に監視し、専門家ネットワークを通じて最新情報をいち早く入手できる体制を構築する
    ・特定の制度に依存せず、複数の資金調達手段に対応しサービス提供体制を柔軟に調整できるようにする
  • オンライン集客の効果低下のリスク
    ・特定の集客チャネルに依存せず、SEO、Web広告、SNS、オンラインセミナーなどバランス良く注力する
    ・検索エンジンやユーザーニーズの変化に対応できるよう、定期的な情報更新による価値の高いオリジナルコンテンツを提供し続ける
    ・士業や金融機関との関係を強化し、紹介やセミナー登壇などオフラインでのリード獲得手段を確保する

銀行融資の事業計画書に販売戦略を記載するときのポイントは、ターゲットと市場ニーズを踏まえて説得力のある販売戦略を立てることです。「商品やサービスに需要があるか」「ターゲット顧客の課題をどう解決できるか」を伝えることが、販売戦略の有効性を示す根拠となります。

また、販売戦略では具体的な集客方法を記載し、どのように顧客を獲得して安定した売り上げを生み出すのかを説明します。ターゲット顧客の状況や課題を設定し、その顧客に対してどのような販売方法や広告手段を用いるのかを詳細に示します。

さらに、販売戦略の実行にあたって、想定されるリスクがある場合はその対処法もあわせて記載します。事業が直面し得る潜在的な課題を認識し、それらに対してどのように備えているかを説明することで、経営者の危機管理能力と事業の持続可能性を示すことにつながります。

なお、商品やサービスに応じた業界統計や競合調査のデータを用いることで、販売戦略の説得力を高められる可能性があります。自社での調査が困難な場合は、経済産業省が公表している各種統計や銀行各社が公開している業界動向などを参考にしながら、具体性のある販売戦略を立てましょう。

投資・調達計画の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「投資・調達計画」が挙げられます。取り組む事業に対して必要となる資金の内訳と、その調達方法を明確に記入することにより、融資の必要性と金額の妥当性を示します。

【投資・調達計画の記入例】(単位:万円)

項目 投資 金額 調達 金額
設備資金 物件取得費 300 自己資金 300
内装工事費 100
ITシステム導入費 50
PC購入費(8人分) 80 親族等からの借入 75
HP制作費 50
運転資金 人件費(3か月分) 250
家賃・光熱費(3か月分) 180 本件借入 700
広告宣伝費 50
その他経費 15
合計 1,075 合計 1,075

銀行融資の事業計画書に投資・調達計画を記載するときのポイントは、融資の必要性と金額の妥当性を示すことです。事業の実施において、資金を「何に」「いくら」使うのかを提示し、その資金をどのように調達するのか金額に矛盾がないように記載します。

投資計画では、必要となる資金を設備資金と運転資金に分類し、経費の内訳とそれぞれの金額を記載していきます。見積書や請求書がある場合は補足資料として添付することで金額の根拠が明確になり、銀行からの理解を得やすくなります。

調達計画では、必要となる資金の調達先の内訳とそれぞれの金額を記載します。投資金額と調達金額の合計が同額となるように記載することで、資金調達計画に一貫性があることと、情報を漏れなく記載していることを銀行に対して示せます。

なお、銀行融資においては、返済能力を示す基準のひとつとして必要資金の2割~3割程度の自己資金を用意しておくことが望ましいとされています。自己資金として認められる資金や自己資金がない場合の対処法を確認しておきたい人は「銀行融資を受ける際の自己資金の目安を解説」の記事もあわせて確認してみてください。

業績推移・収益予測の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「業績推移・収益予測」が挙げられます。過去の実績数値を正確に記載し、その実績に基づく今後の収益予測を立てることにより、事業の成長性と資金の返済能力を示します。

【業績推移・収益予測の記入例】(単位:万円)

項目 前期実績 今期見込 計画1期目 計画2期目 計画3期目 最終目標
①売上高 53,022 52,420 53,500 54,000 54,000 54,500
②売上原価 42,523 42,420 43,500 43,900 43,700 44,000
③売上高総利益
(①ー②)
10,499 10,000 10,000 10,100 10,300 10,500
④販売管理費 9,695 9,444 9,400 9,350 9,300 9,300
(うち人件費) 5,832 5,800 5,700 5,700 5,700 5,700
(うち減価償却費) 277 263 260 260 260 260
⑤営業利益
(③ー④)
804 556 600 750 1,000 1,200
⑥営業外収益 2 94 2 2 2 2
⑦営業外費用 450 450 470 465 465 450
⑧経常利益
(⑤+⑥ー⑦)
356 200 132 287 537 752
⑨特別損益 0 0 0 0 0 0
⑩法人税等 10 10 7 10 20 50
⑪当期利益
(⑧+⑨-⑩)
346 190 125 277 517 702
⑫総資産 13,692 13,789 13,555 13,895 14,014 14,129
⑬総負債 12,789 12,696 12,337 12,400 12,002 11,415
⑭自己資本
(⑫ー⑬)
903 1,093 1,218 1,495 2,012 2,714

参考:事業計画書(中小企業経営力強化関連用)記入例|日本政策金融公庫

銀行融資の事業計画書に業績推移・収益予測を記載するときのポイントは、過去の実績に基づく実現可能な収益予測を立てることです。根拠なく大幅な収益増加の見込みを記載しても、実現可能性が低いと判断され、銀行からの信頼を得ることは困難となります。

業績推移・収益予測では、売上高や各費用などの数値がどのような前提や計算に基づいているのかを説明できるようにしておく必要があります。可能であれば直近2期~3期分の事業実績が分かる資料を用意し、銀行の融資担当者から数値に関する質問があった場合に速やかに答えられるよう準備しておきましょう。

なお、事業計画書に記載する「役員報酬」は、法人と個人事業主で扱いが異なります。個人事業主の場合は自身の収入を人件費に含めませんが、法人の場合は役員報酬を人件費に含めることになるため、法人に該当する人は役員報酬を含めた金額を記入しておきましょう。

借り入れ状況の記入例

銀行融資の事業計画書に記載する項目のひとつとして「借り入れ状況」が挙げられます。今回申請する融資以外にも借り入れがある場合、すべての借り入れについて借入先や借入残高、年間返済額などを正確に記入します。

【借り入れ状況の記入例】(単位:万円)

借入先 借入残高 年間返済額 備考
日本政策金融公庫 300 62 運転資金として借入。
返済遅延なし
A銀行 500 107 設備資金として借入。
返済遅延なし(早期完済予定)
個人(親族) 100 20 創業資金として借入。
返済条件合意済み
合計 900 189

銀行融資の事業計画書に借り入れ状況を記載するときのポイントは、残高のあるすべての借り入れ状況を偽りなく記載することです。銀行融資の審査では、信用情報機関に取引や返済に関する情報の照会が行われるため、虚偽の申請が通ることはありません。

他社からの借り入れがあっても、資金計画に問題がないと判断されれば追加の融資を受けることは可能です。他の金融機関から受けている融資を遅延なく返済している実績は、事業者の信用力の証明となり、融資判断において前向きな要素となる可能性もあります。

虚偽の申請が発覚した場合は、融資の審査に通らないだけでなく、銀行との信頼関係や今後の金融取引にさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。複数の借りれ先がある場合には現在の借り入れ状況を整理し、残高や返済額に誤りがないように記載しましょう。

事業計画書の作成に不安がある人は支援機関へ相談する

銀行融資を受ける際、事業計画書の作成に不安を感じる場合は、支援機関へ相談することを検討しましょう。知識やノウハウが豊富な専門家にサポートを依頼することにより、融資の実行につながりやすい事業計画書の作成に向けた具体的なアドバイスを受けることができます。

【事業計画書の相談ができる支援機関等】

支援機関 概要
商工会・商工会議所 地域の商工業の発展を目的とした公的機関であり、経営全般に関する幅広い無料相談やセミナーを提供している。地域密着型で金融機関との連携も深く、地域の特性に合わせたアドバイスが期待できる
よろず支援拠点 国が設置する無料の経営相談所であり、中小企業等の経営課題に対し複数の専門家がワンストップで総合的な支援を提供している。経営課題の解決に向けた実践的な支援が期待できる
税理士 会計・税務の専門家。事業計画書においては収益予測や資金計画など財務数値の策定に強みがあり、信頼性の高い財務計画作成の支援が期待できる
資金調達コンサルタント 企業が必要とする資金を最適な方法で調達できるようサポートを実施する民間のコンサルタント。コンサルタントによってサポート範囲や料金が異なるため、自身の状況に合った依頼先を選択する

これらの支援機関は、事業経営や資金調達に関する知識とノウハウを有し、専門的な視点による事業計画書作成のサポートを受けることができます。融資の審査において銀行が重視するポイントを熟知しており、融資の実行につながりやすい一貫性や具体性のある事業計画の作成が可能です。

また、支援機関の中には国から「認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)」として認められた組織や士業事務所も存在します。認定支援機関は中小企業の経営支援に関する専門性を国によって保証されており、より信頼性の高いサポートが期待できます。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)も認定支援機関であり、事業計画書作成のサポートを実施しています。8,000件以上の融資支援実績をもとに、資金調達に関するさまざまなアドバイスを実施しているため、株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することを検討してみてください。

まとめ

事業計画書とは、会社の設立や事業の拡大の際に「事業内容」「事業戦略」「収益予測」などを第三者に対して示すための書類です。銀行融資においては、銀行が事業の将来性を見極め、融資の可否や条件を判断するために最も重要視している資料のひとつです。

銀行融資を受けるために事業計画書を作成する際、まずは銀行指定のフォーマットがあるかどうかを確認しましょう。フォーマットがない場合には、行政機関や金融機関、資金調達コンサルティング会社などが公開しているテンプレートを活用することも可能です。

銀行融資の事業計画書においては、ビジネスモデルや事業の将来性が明確に伝わる事業計画書の提出を求められる傾向にあります。記載内容の一貫性と具体性を意識し、事業内容や資金使途、収益予測などを通して、事業の将来性と返済の可能性を融資担当者に伝えることが大切です。

なお、事業計画書の作成に不安がある場合は、税理士や民間のコンサルタントなどの支援機関にサポートを依頼することも可能です。専門的な視点から、融資の実行につながりやすい事業計画書作成に向けた具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。

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