日本政策金融公庫とは?特徴や銀行との違いをわかりやすく解説

「開業資金が足りない」「子どもの学費を工面したい」といった人の中には、借入先として日本政策金融公庫が気になっている人もいますよね。とくに、Q&Aサイトや口コミサイトを見ると、開業資金の借入先として検討中の人が多く見受けられます。

日本政策金融公庫とは、民間金融機関の取り組みを補完し、日本の中小企業・小規模事業者や農林漁業者など、事業に取り組む方々を支援する政策金融機関です。日本政策金融公庫は日本公庫(読み方:にっぽんこうこ)とも呼ばれ、国民生活の向上に寄与することを目的としています。

当記事では、日本政策金融公庫の特徴や事業内容を解説していきます。銀行融資との違いもあわせて解説しますので、借入先の候補を決める判断材料として参考にしてみてください。

特徴は国が株式を保有している点

日本政策金融公庫の特徴のひとつには、国が株式を保有している点があります。日本政策金融公庫は株式会社ですが、国が株式の100%を常時保有する旨が法律により定められているため、民間の金融機関とは異なります。

Q2「株式会社」ということは民間の会社なのですか?

A2

日本公庫は、国が株式の100%を常時保有することが法律で定められている特別な株式会社で、一般の民間会社や民営化を前提とした特殊会社ではありません。日本公庫が株式会社の形態をとっているのは、株式会社のガバナンスの仕組みを活用して、透明性の高い効率的な事業運営を行うためです。

引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「よくある質問

日本政策金融公庫は「株式会社日本政策金融公庫法」という法律に基づき設立された、財務省所管の特殊会社です。そして、日本政策金融公庫は日本に5つある政策金融機関(政府系金融機関)のひとつに含まれます。

わかりやすく言えば、日本政策金融公庫は政府公認の金融機関です。民間の金融機関の支援が届かない部分を補っている機関が日本政策金融公庫となるため、銀行や信用金庫との違いは立ち位置や役割と言えるでしょう。

日本政策金融公庫での借り方が知りたい人は手順を押さえておく

日本政策金融公庫での借り方が知りたい人は、融資を受けるまでの手順を押さえておきましょう。日本政策金融公庫の場合、融資を受けるまでの流れは以下のような手順になります。

  1. 公式サイトから問い合わせる
  2. 必要書類を提出する
  3. 最寄りの支店で面談と審査を受ける
  4. 審査に通ったら融資を受けられる

日本政策金融公庫では、申込手続きから必要書類の提出まで、WEB上から完結できます。手続きの流れが知りたい人は、日本政策金融公庫の公式サイトにある「お手続きの流れ」も参考にしてみてください。

また、日本政策金融公庫では、必要書類と面談の内容をもとに審査が行われます。融資の可否や上限額は審査次第となるため、気になる人は当社SoLabo(ソラボ)にお問い合わせください。6,000件以上の融資サポートの実績がある当社が、現在の状況から無料診断いたします。

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前身は3つの特殊法人

日本政策金融公庫の前身は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫という3つの特殊法人です。発足年月日となる平成20年10月1日以降は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が担っていた業務を引き継いでいます。

【日本政策金融公庫の前身となる特殊法人とその概要】

前身となる特殊法人 概要
国民生活金融公庫 国民生活金融公庫法に基づく政策金融機関たる特殊法人。通称は「国金(こっきん)」。
農林漁業金融公庫 農林漁業金融公庫法に基づく農林水産省と財務省所管の特殊法人及び政策金融機関。
中小企業金融公庫 中小企業金融公庫法に基づく政策金融機関たる特殊法人。略称は「中小公庫(ちゅうしょうこうこ)」。

国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の3つの特殊法人は、いずれも2008年10月1日まで存在し、以降の業務は日本政策金融公庫が引き継いでいます。

なお、国民生活金融公庫は国金(こっきん)とも呼ばれ、その名残から日本政策金融公庫のことを国金と呼ぶ人もいます。国金について知りたい人は、「国金とは?日本政策金融公庫との違いを解説」も参考にしてみてください。

政策金融機関としての3つの役割

日本政策金融公庫には、政策金融機関としての3つの役割があります。公式サイトにある「日本公庫をはじめてご利用の方へ」には、日本政策金融公庫の役割とその概要が記載されています。

【日本政策金融公庫の役割とその概要】

役割 概要
セーフティネット機能の発揮 自然災害や経済環境の変化などによるセーフティネット需要に機動的に対処。
日本経済成長・発展への貢献 新たな事業の創出、事業の再生、海外展開及び農林水産業の新たな展開などのニーズに適切に対応。
地域活性化への貢献 民間金融機関と連携し、地域プロジェクトに参画するなどの地域活性化に貢献。

日本政策金融公庫では、これらの役割を念頭に業務を行っています。具体的には、「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」という3つの事業を設け、事業ごとに「融資」「支援」「情報提供」といった業務を行っています。

事業内容は3つ

日本政策金融公庫の事業内容は、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つです。そして、業務内容はそれぞれの事業により異なります。

【日本政策金融公庫の事業ごとの業務内容】

事業 業務内容
国民生活事業(国民一般向け業務)
  • 小口の事業資金融資
  • 創業支援、事業再生支援、事業承継支援、ソーシャルビジネス支援、海外展開支援
  • 国の教育ローン、恩給・共済年金などを担保とする融資
農林水産事業(農林水産業者向け業務)
  • 担い手を育て支える農林水産業者向け融資
  • 食の安全の確保、農食連携を支える加工流通分野向け融資
  • コンサルティングやビジネスマッチングなどの経営支援サービス
中小企業事業(中小企業者向け業務)
  • 中小企業への長期事業資金の融資
  • 新事業支援、事業再生支援、事業承継支援、海外展開支援
  • 証券化支援
  • 信用保証協会が行う債務の保証に係る保険引受など
  • ビジネスマッチングなどによる経営課題解決支援

たとえば、国民生活事業では、小規模事業者や創業前、創業間もない企業を対象にした事業資金融資に加え、入学資金や学費などの教育資金融資(国の教育ローン)を行っています。また、農林水産事業では、農林漁業や食品産業を営む方々を対象に融資しています。

なお、日本政策金融公庫は事業ごとに融資制度が異なるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は、まずはどのような融資制度があるかを確認してみましょう。

それぞれの融資制度の種類

日本政策金融公庫では、事業ごとに融資制度が異なります。いろいろ種類があるため、融資制度の種類が気になる人は、以下の一例を参考にしてみてください。

【日本政策金融公庫の融資制度の一例】

事業 融資制度の一例
国民生活事業 <一般貸付>
・一般貸付
<セーフティネット貸付>
・経営環境変化対応資金
・金融環境変化対応資金
・取引企業倒産対応資金
<新企業育成貸付>
・新規開業資金
・女性、若者/シニア起業家支援資金
・再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
<企業活力強化貸付>
・企業活力強化資金
・IT活用促進資金
・海外展開・事業再編資金
<環境・エネルギー対策貸付>
・環境・エネルギー対策資金
・社会環境対応施設整備資金
<企業再生貸付>
・企業再建資金
<その他の融資制度>
・災害貸付
・東日本大震災復興特別貸付
・令和元年台風第19号等特別貸付
<生活衛生貸付>
・一般貸付(生活衛生貸付)
・振興事業貸付
・生活衛生改善貸付
<国の教育ローン>
・教育一般貸付(国の教育ローン)
<恩給・共済年金担保融資>
・恩給・共済年金担保融資
中小企業事業 <新企業育成貸付>
・新事業育成資金
・女性、若者/シニア起業家支援資金
・再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
<企業活力強化貸付>
・企業活力強化資金
・IT活用促進資金
・海外展開・事業再編資金
<環境・エネルギー対策貸付>
・環境・エネルギー対策資金
・社会環境対応施設整備資金
<セーフティネット貸付>
・経営環境変化対応資金
・金融環境変化対応資金
・取引企業倒産対応資金
<企業再生貸付>
・事業再生支援資金
・企業再建資金
<その他の融資制度>
・災害復旧貸付
・東日本大震災復興特別貸付
・令和元年台風第19号等特別貸付
<中小企業の海外現地法人等の現地流通通貨建て資金調達支援>
・スタンドバイ・クレジット制度
農林水産事業 <農業>
・スーパーL資金
・青年等就農資金
・経営体育成強化資金
<林業>
・林業基盤整備資金(造林資金)
・森林整備活性化資金
・林業経営育成資金(森林取得-林地取得)
<漁業>
・漁業経営改善支援資金(経営改善)
<農林漁業共通>
・東日本大震災の震災特例融資
・農林漁業セーフティネット資金
・資本性ローン
<食品産業>
・国産農林畜水産物を取り扱う食品産業向け資金制度のご案内(農林水産事業)
・農林水産物・食品輸出促進資金制度
・食品流通改善資金(食品等生産製造提携型施設)

日本政策金融公庫の融資制度や支援制度は、銀行や信用金庫などの民間の金融機関から融資が受けにくい方々をサポートする仕組みとなっています。

融資制度によって利用条件が異なる

上限金額や適用金利、融資期間といった利用条件は、融資制度によって異なります。
借りたい金額が借りられるか、返済期間に余裕があるか等を知りたい人は、それぞれの融資制度で利用条件を確認しましょう。

【国民生活事業の利用条件の一例】

融資制度 融資限度額 金利 融資期間
新規開業資金 7,200万円(うち運転資金4,800万円) 基準金利
(申込者によって特別利率が適用)
設備資金20年以内
運転資金7年以内
女性、若者/シニア起業家支援資金 7,200万円(うち運転資金4,800万円) 特別利率(2億7,000万円まで)
基準金利(2億7,000万円超)
設備資金20年以内
運転資金7年以内
新創業融資制度 3,000万円(うち運転資金1,500万円) 融資制度等によって異なる
各融資制度に定めるご返済期間以内

この他の融資制度の利用条件は日本政策金融公庫の公式サイトにある「融資制度一覧」から確認できます。

なお、融資条件は自己資金や経験、他社借入などから審査を経て決まるため、申込者によって借り入れできる金額や適応金利には違いが生じます。そのため、借入希望額が上限額の範囲内であったとしても、全額借りられるとは限りません。

当社SoLaboはこれまで6,000件以上の融資支援を行ってきた経験から、自己資金や信用情報、事業のご状況から借り入れできる金額を診断できます。希望する金額を借りられるか知りたい人は診断してみてください。

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銀行融資との違い

日本政策金融公庫から事業資金の融資を受ける場合、銀行から融資を受けるのと比較して次のような違いが挙げられます。

【日本政策金融公庫と銀行融資の違い】

  • 事業実績がなくても融資を受けられる
  • 返済期間が長い
  • 保証料不要で融資を受けられる

事業実績なしで返済負担を抑えて融資を受けられるため、日本政策金融公庫の融資はこれから開業する中小企業に向いていると言えるでしょう。ただし、融資条件によっては必ずしも銀行より日本政策金融公庫の方が良いとは限らないので、それぞれの特徴を理解して自社の状況にあった融資先を選択することをおすすめします。

事業実績がなくても融資を受けられる

銀行と比較して、日本政策金融公庫は事業実績が無くても融資を受けられるという特徴があります。

一般的に、新規開業者への融資は継続している事業に融資するのと比較して貸し倒れのリスクが高いとされています。中小企業庁の「中小企業白書」によれば、業歴10年未満の事業のうち27.8%が休廃業か解散をしており、この数値は10年から20年未満の21.7%よりも高く、新規開業は倒産のリスクが高いことを示しています。

民間の銀行には運営のリスクはあり、とくに融資先の融資の貸し倒れが立て続けに起こると銀行の経営破綻にも繋がります。そのため、銀行は事業実績のない新規開業者への融資には消極的です。

一方、日本政策金融公庫は国の100%出資機関で運営のリスクは民間と比較して低く、また日本経済や地域活性化を目的としているため、これから開業する事業者にも融資を行っています。

ただし、日本政策金融公庫の審査は甘くありません。日本政策金融公庫の審査では事業実績の代わりに、事業者の経歴や貯めてきた自己資金から事業の実現可能性を判断されます。そのため、未経験業種での開業や、自己資金がない状態で融資を受けることは難しい点には留意が必要です。

返済期間が長い

銀行の融資と比較して、日本政策金融公庫から融資を受ける場合は返済期間を長く設定してもらえます。

【日本政策金融公庫の銀行の創業融資における返済期間比較】

日本政策金融公庫 銀行(信用保証付き)
設備資金 最長20年

(うち据置期間5年以内)

最長10年

(うち据置期間1年以内)

運転資金 最長10年以内

(うち据置期間5年以内)

最長7年

(うち据置期間1年以内)

銀行の融資として比較して、日本政策金融公庫から融資を受ける場合は運転資金においては3年の、設備資金においては倍である10年の返済期間の上乗せが可能です。また、銀行の融資では据置期間が1年なのに対し、日本政策金融公庫の融資なら最長で5年に設定することができます。

据置期間とは、借入金のうち利息のみを返済する期間を指します。据置期間中は返済負担を抑えることができるので、とくに開業の不安定な時期のキャッシュフローを確保するのに有効です。

返済期間や据置期間を長く設定することで月々の返済負担を抑えられますが、返済の長期化は利息負担の増加も意味します。ただ最長を設定するだけでなく、月々いくらくらいの返済ができるのかを事前にシミュレーションし、無理のない返済期間を設定するのが良いでしょう。

保証料不要で融資を受けられる

銀行の融資と比較して、日本政策金融公庫の融資は保証料不要で受けられるという特徴があります。

民間の銀行から事業性資金の融資を受ける場合、初回からプロパー融資を融資を受けることは難しいため、信用保証協会付き融資から取引を始めることが一般的です。信用保証協会を通じて融資を受けることになるので、事業者は保証料の支払いが必要になります。

一方、日本政策金融公庫は信用保証協会を通さず直接融資を受けられるため、保証料の支払いなしで融資を受けることができます

ただし、日本政策金融公庫と銀行、どちらから融資を受けたほうが最終的な支払いが得になるかは断言できません。最終的な支払いは適用される金利と返済期間によって変化するため、場合によっては銀行から信用保証付きで融資を受けたほうが保証料込みでも負担が抑えられるケースもあります。

日本政策金融公庫の金利は2%から3%程度と事業性融資の金利の中では高くない範囲に収まるものの、金利が高い時期に融資の申込みをすると信用保証付き融資よりも利息負担が大きくなる可能性もあります

最終的な支払いを重視する場合、日本政策金融公庫と信用保証協会に相談してみて、希望条件でどの程度の支払いになるか確認を取りましょう。専門家への相談なしに利息を確認したい場合は、各社のホームページの金利と利息計算方法を確認して計算してみてください。

まとめ

日本政策金融公庫は、民間の金融機関の支援が届かない部分を補っている機関です。そのため、日本政策金融公庫の融資制度や支援制度は、銀行や信用金庫などの民間の金融機関から融資が受けにくい方々をサポートする仕組みとなっています。

ただし、日本政策金融公庫から融資を受けるには、所定の審査に通る必要があります。また、書類提出や面談があるため、日本政策金融公庫から融資を受けたい人は事前準備が必要です。

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また、当社は信用保証協会を利用した民間金融機関からの融資のサポートも引き受けています。まずはお問い合わせいただき、今後の資金繰り計画を一度ご相談ください。

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