これから創業を考えている方や、最近事業をはじめたばかりの方にとって、将来の資金繰りをどうしていくかは大きな課題となります。
起業したばかりでまだこれといった実績がない会社の場合、銀行など金融機関からのお金を借りることは困難です。なぜなら、「この会社ならお金を貸しても大丈夫」という信用力が低く、金融機関側はお金を貸すという決断をしにくいためです。
そこで起業前後の方にぜひ視野に入れていただきたいのが「日本政策金融公庫」から融資を受けることです。
今回の記事では、日本政策金融公庫がどんな金融機関なのかから、メリット・デメリット、公庫の融資を受ける手順・流れ・注意点までノウハウを網羅的にまとめ、公庫融資の全体像を15項目に分けて解説していきます。
より詳しい情報は各項目に記事リンクを掲載していますので、さらに理解を深めていきましょう。
なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboは日本政策金融公庫の融資サポートをする認定支援機関です。当社はこれまでに3,700件以上の公庫融資をサポートしてきました。相談は無料ですので、公庫融資をはじめとした資金調達に関してご不明な点や疑問点等ありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
目次
- 1.今は資金が必要ない場合でも、創業時にお金を借りるべき理由
- 2.日本政策金融公庫とは
- 3.日本政策金融公庫で融資を受けるまでの流れ
- 4.日本政策金融公庫で融資を受けられない人の特徴
- 5.融資を受けるために必要な自己資金
- 6.未経験の業務で、日本政策金融公庫から融資を受けることは可能なのか?
- 7.創業時に無担保・無保証で利用できる融資制度
- 8.融資を受けるために作成する必要書類
- 9.面談時の注意点
- 10.個人事業主と法人はどちらが借りやすいのか
- 11.サラリーマンでも日本政策金融公庫から融資を受けられるのか
- 12.融資の専門家を経由すると、日本政策金融公庫から融資を受けやすくなる
- 13.日本政策金融公庫の融資審査に落ちた場合
- 14.日本政策金融公庫から2回目の融資を行うベストなタイミング
- 15.番外編:公庫融資の審査に通過した後の注意点
- まとめ
- ■日本政策金融公庫の融資成功事例集
- ■業種別融資ノウハウ
1.今は資金が必要ない場合でも、創業時にお金を借りるべき理由
創業時は最も融資を受けやすいタイミングです。
お金を借りる必要がない事業主でも、創業時に融資を受けておき、手元資金に余裕をもっておくことが、何か不測の事態が生じた際のリスクヘッジになります。
本当に資金が必要になったときに限って、スムーズに資金調達することは困難なため、その時に備え、低金利かつ無担保・無保証人という条件で借入できる日本政策金融公庫の創業融資を利用することを当社ではおすすめしています。
なぜ創業時に融資を受けたほうが良いのかは過去記事「融資を受ける必要がなくても創業時に融資を受けた方がよい?」でも詳しく解説していますので、あわせてご一読ください。
■関連記事
そもそも「融資」って何ですか?融資が何か詳しくご紹介します!
私の会社でも公庫から800万円の融資受けてみました!
2.日本政策金融公庫とは
(1)日本政策金融公庫の概要
日本政策金融公庫(通称:公庫)は、日本政府が100%出資する政府系金融機関です。 日本政策金融公庫は、お金を貸す業務のみを行い、民間の銀行などが融資を行いづらい中小企業への融資を実行する役目を果たしています。
なお、公庫では教育ローンの提供も実施しています。教育ローンについては「日本政策金融公庫の教育ローンの審査は厳しい?気になる審査基準をチェック!」で詳しく解説しています。
(2)日本政策金融公庫のメリットとデメリット
日本政策金融公庫から融資を受けるメリットとデメリットはそれぞれ下記に挙げる点です。
メリット1:創業時は民間の金融機関よりも借りやすい |
メリット2:低金利・無担保・無保証で融資を受けることができる |
メリット3:日本政策金融公庫から融資を受けておくことで他の金融機関からも借りやすくなる |
デメリット1:自己資金が必要 |
デメリット2:入念な融資審査が行われる |
デメリット3:公庫への申し込みから着金までに1か月半程度時間がかかる |
日本政策金融公庫の創業融資は、他の民間金融機関よりも融資を受けやすく、比較的低金利なため、計画性をもって活用できれば、実績のない事業者にとっては味方になってくれます。
しかし、どのような場合でも借りられるわけではなく、自己資金の有無や、経験、事業計画の内容などを入念に審査し、申込から着金まである程度時間がかかるため、即日で資金調達したいという方には不向きです。
一方で、しっかり計画し準備を進めているという方のなかには、審査が甘いと感じる方もいるようです。
詳しくは関連記事「日本政策金融公庫のメリット・デメリットとは?創業時でも融資が受けやすいってホント?」をご覧ください。
3.日本政策金融公庫で融資を受けるまでの流れ
日本政策金融公庫の融資に申し込む場合は、ご自身で必要書類を用意し、公庫の担当者とやり取りを進めていく方法と、認定支援機関など融資の専門家に手続きを代行してもらう方法の2パターンあります。
この2パターンの流れについては「日本政策金融公庫で融資を受けるための流れとは?」で詳しく解説しています。
融資の専門家に依頼する大きなメリットが、創業計画書など審査の成功を左右する重要な書類を専門家のチェックのもと準備できることです。プロに準備を依頼することで、融資審査の準備時間を短縮し、その空いた分の時間は事業の準備に割くことが出来ます。
4.日本政策金融公庫で融資を受けられない人の特徴
(1)信用情報ブラックの方もしくは債務超過の方は審査に通過しにくい
起業したばかりで実績のない事業主の方がはじめて融資を受ける場合でも、特に融資を受けやすいといわれている金融機関が日本政策金融公庫です。
しかし、融資を受けやすいとはいえ審査に通過しにくい方もいらっしゃいます。
簡単に説明すれば、信用情報ブラックの方や、債務超過の方などは、融資を受けにくい傾向です。
公庫の融資審査に受かりにくい方の7つの特徴についてはこちらの記事で確認できますのであわせてチェックしてみましょう。
過去に債務整理したことがあり、融資を受けられるか知りたいという方は過去記事「過去に債務整理をした方でも、日本政策金融公庫から融資を受けることができる!?」をご覧ください。
注目
日本政策融公庫からいくら借りれるか無料で診断してみませんか?
(2)公庫で融資を受けられない人の特徴に当てはまっていたら、どうするか
過去にクレジットの遅延を繰り返して、ブラックリストに登録されてしまった方でも、直近1~2年の間は遅延していないなど信用情報に問題がなければ公庫から融資を受けられたケースもあります。
そのため、信用情報がブラックな方は、ある程度時間を置いて、申し込むことが必要です。
また、直近で債務整理をしている場合には、借りられる可能性はほぼありませんが、債務整理してから5年程度経過していれば、融資を受けられる可能性があります。債務整理のご経験がある方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。
当社株式会社SoLaboでは、現在のご自身の状態で公庫から融資を受けられるかを無料診断しています。融資の専門家から診断してもらいたいという方は、ぜひこちらの無料診断フォームへ情報を入力し、お問い合わせください。
■関連記事
信用情報ブラックでも資金調達する2つの方法
5.融資を受けるために必要な自己資金
融資を受けるためには、自己資金を準備していることが必要不可欠です。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、自己資金の9倍まで借りられることになっています。弊社の実績では、実際は自己資金の2倍から5倍程度であることが多いです。もちろん状況によって9倍借りられる方もいらっしゃいます。
(1)自己資金として認められるお金とは
自己資金は、基本的には自分でコツコツ通帳へ貯めていった資金を指しますが、その他にも下記のようなお金は自己資金として認められることが多いです。
- ①自分自身の通帳で徐々に貯めた預金
- ②配偶者名義の通帳にある預金
- ③解約返戻金がある保険、お子さんの学資保険
- ④退職金
- ⑤保有している株式、投資信託、有価証券
- ⑥親兄弟から贈与されたお金
- ⑦すでに事業のために使ったお金
注意しなければならないのは、自分で貯めたお金はゼロで、親兄弟から贈与されたお金しか自己資金が無い場合です。その場合は融資を受けるのは難しいです。日々定期的に貯蓄する習慣をつけましょう。
また、銀行口座に入金せず自宅で保管する「タンス貯金」や出所が不明なお金も自己資金としては認められません。
■関連記事
融資を受けるための、自己資金とは?
(2)自己資金が足りなくても融資を受けたい場合にとるべき行動
融資を受けるにあたって自己資金を用意していることが必要です。少なくとも50万円~100万円程度の自己資金を貯蓄することから目標にするのがおすすめです。
しかし、もし計画的に貯蓄するだけの時間が無く、自己資金が少ない場合でも融資を受けられた場合があります。詳しくは「自己資金が足りないけど、今すぐ融資を受けたい場合どうすべき?」をご覧ください。
6.未経験の業務で、日本政策金融公庫から融資を受けることは可能なのか?
基本的に、日本政策金融公庫からの融資は、過去に勤務経験があるなど、一定の経験を有している業務で独立する場合に受けやすい傾向があります。それでも、未経験の業務で創業にチャレンジしたいというケースもあるでしょう。
そのような未経験の業務で融資を受ける方法については「未経験のビジネスモデルで創業する場合、融資は受けられるか?」で解説しています。
7.創業時に無担保・無保証で利用できる融資制度
日本政策金融公庫には、創業時に担保なし・保証人なしで融資を受けられる融資制度があります。
担保なし、保証人なしで融資を受けられる制度は
- 新創業融資制度
- 中小企業経営力強化資金
の2つです。
上記の制度は、双方共に代表者の保証不要で融資を受けることができます。
それぞれの制度の金利は下記の通りです※。
※3ヶ月に1回程度金利の変動がありますので、最新の金利は 参照元:日本政策金融公庫 をご参照ください。
■関連記事 中小企業経営力強化資金を利用して、金利を安く融資を受けよう! |
★番外:1年以上事業を営んでいる方ならマル経融資の利用も可能 1年以上事業を営んでいるという方は日本政策金融公庫のマル経融資という制度を活用し、低金利で借り入れることも可能です。 商工会への加入が必要など、手間がかかるというデメリットはありますが、金利1%台と他の金融機関と比較して低金利で設定されているため、メリットも大きいです。 マル経融資について詳しくはこちらの記事をご覧ください。 |
8.融資を受けるために作成する必要書類
(1)創業融資の際に必ず作成する『創業計画書』の作成ポイント
創業時に融資を受ける場合には、必ず創業計画書を作成しなければなりません。
創業してすぐ融資を受ける方は、創業計画書で記載した事業計画等の内容次第でお金を借りられるか否かが決まりますので、審査において非常に重要な資料だと考えておきましょう。
なお、創業1年以上経過している場合には、創業計画書ではなく、『企業概況書』が必要になります。
創業計画書の作成のポイントの詳細は、下記を参照ください。 |
(2)借入申込書の作成時のポイント
日本政策金融公庫からお金を借りるためには、申込時に借入申込書を提出します。
借入申込書に記載した内容は面談の際に訂正できますので、あまり神経質になる必要はありませんが、返済期間や据置期間など、返済に関する基本情報を記載する欄もありますので、将来の資金繰りに関連する書類でもあります。作成のポイントを下記記事でご紹介します。
借入申込書の記載方法とは? |
(3)融資の成功確率を上げるための『別紙資料』
融資を受けるにあたって必ず別紙資料を提出しなければならないわけではありません。
しかし、創業計画書のフォーマットの記入欄は比較的狭いため、そこで説明しきれなかった事業計画や詳細な情報を補足するために別紙資料を作ることで、公庫の担当者に事業についてより深く理解してもらいやすくなり、結果として審査に受かる可能性も上がります。
別紙資料の具体的な作成方法については関連記事「日本政策金融公庫から少しでも多く融資してもらうための別紙資料作成ノウハウ」をご覧ください。
「既に作成した創業計画書の内容に過不足が無いか」、「公庫の担当者に伝わる内容になっているか」など、資料作成がご不安な方や不明点がある方はぜひ当社株式会社SoLaboまでお気軽にお問い合わせください(相談無料)。
9.面談時の注意点
日本政策金融公庫からお金を借りる場合には、必ず面談があります。
面談に失敗してしまい融資審査に落ちれば、日本政策金融公庫からは当分借りることができなくなくなってしまいますので、面談に臨む前は準備をしていきましょう。
面談前に押さえておきたい注意点については「日本政策金融公庫で面談する際の注意点」で詳しく解説しています。
なお、当社株式会社SoLaboでは、融資審査に通過するためのさまざまなサポートを実施しております。資料作成や面談の事前対策など、必要な準備を融資のプロの視点から対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
10.個人事業主と法人はどちらが借りやすいのか
結論から言えば、個人事業主か法人かで融資の受けやすさは変わりません。
金融機関にとって重要なのは、「貸したお金がきちんと返ってくる」と判断できるだけの計画性や将来の見通しです。そのため、個人なのか法人なのかは重要ではありません。
すぐに法人にする予定があるなら、法人化してから、融資を受けるべきですが、法人化する予定がないのであれば、わざわざ法人化してから融資を受ける必要はありません。
詳しくは、「個人事業主と法人の融資ってどっちが借りやすい?」をご覧ください。
また、個人事業主の方は、「個人事業主でも、創業してすぐに融資を受けられます!」もぜひ合わせてご一読いただくことをおすすめします。
■関連記事
個人事業主が利用できる資金調達方法おすすめランキング!
11.サラリーマンでも日本政策金融公庫から融資を受けられるのか
ここ数年の副業解禁の流れから、サラリーマンをやりながら副業で融資を受けたいというお問い合わせも増えました。
日本政策金融公庫では、副業でも借りられるチャンスはありますが、日本政策金融公庫以外の民間の金融機関では、副業で借りるのはかなり厳しいということは覚えておきましょう。
詳しくは過去記事「サラリーマンでも融資は受けられるのか?」で解説しています。
12.融資の専門家を経由すると、日本政策金融公庫から融資を受けやすくなる
認定支援機関という機関を経由して、融資の申込みをすると、融資を受けやすくなります。
認定支援機関に融資サポートを依頼するメリットとして次の6つのポイントが挙げられます。詳しくは「創業時の融資を専門家に依頼するべき6つの理由」で解説しています。
①融資審査の通過率が上がる
②好条件で融資が受けられる
③融資完了までの時間が短くなる
④中小企業経営力強化資金が利用できるようになる(創業して7年以内の企業まで)
⑤補助金・助成金の申請ができる
⑥資金調達後のサポートが受けられる
一方で、デメリットとして認定支援機関へ融資サポートを依頼する場合は手数料がかかります。認定支援機関によってかかる手数料のパーセンテージが異なり、機関によっては別途顧問契約料が発生する場合もありますので、申し込み前によく確認してください。
★当社株式会社SoLaboの料金はこちら
13.日本政策金融公庫の融資審査に落ちた場合
日本政策金融公庫の融資審査に一度落ちると、審査落ちの履歴が残ります。
弊社にご相談いただいた方でも、再度融資を申し込む場合には最低でも半年以上期間が経過してから再挑戦するケースが多いです。
審査に落ちてしまった場合でも、融資自体を諦める必要はありませんが、その原因を突き止め、状況を改善していくことが重要です。
落ちた場合にとるべき行動については既存記事「日本政策金融公庫で審査落ちしてしまう理由とは?落ちてしまった場合にどうしたらいいのか?」の「2.審査落ちしてしまった場合」で詳しく解説しています。
14.日本政策金融公庫から2回目の融資を行うベストなタイミング
1店舗目を出店する際に融資を受けた方は、2店舗目を出店する際にも融資を受けたいと考える方が多いのですが、2回目の融資はいつであれば、借りやすいのでしょうか。詳しくは「公庫で2回目の融資を行うベストなタイミングとは?」をご参照ください。
■関連記事
追加融資とは?日本政策金融公庫の追加融資を利用するメリット・デメリット
15.番外編:公庫融資の審査に通過した後の注意点
(1)ネットバンクへは入金不可。将来利用するなら信用金庫口座への着金がおすすめ
日本政策金融公庫からお金を借りる場合、ネットバンクしか口座がない場合には入金してもらうことができません。
将来的には、ネットバンクに入金してもらうこともできるようになると思いますが、現状はネットバンクに入金できません。
そのため、もし今後信用金庫から融資を受ける可能性がある方は、まずお近くの信用金庫で口座開設を行い、着金先を信用金庫の口座にしておくのがおすすめです。
将来信用金庫から融資を受けるかもしれないという方は、「信用金庫から融資を受ける可能性がある方へ【覚えておくべき5つのポイント!】」も合わせてご一読ください。
(2)団体信用生命保険は加入すべきか?
融資が確定すると、資料が送られてきますが、その中に、団体信用生命保険に加入するための資料も同封されております。
団体信用生命保険とは、家を購入する際に、ローンを組んで購入する場合に、加入するイメージがある方もいらっしゃるかも知れませんが、住宅ローン以外でもお金を借りる際に、登場してきます。
では団体信用生命保険には、加入した方が良いのでしょうか?詳しくは関連記事「公庫から融資を受ける場合に、団信は加入すべき?」をご参照ください。
まとめ
日本政策金融公庫から融資を受けるためのノウハウをまとめてご紹介してきました。今すぐ資金が必要ではない方でも、創業時に融資を受けることは将来に向けたリスクヘッジになります。創業時の資金調達手段として、公庫からの融資を検討してみてはいかがでしょうか。
当社株式会社SoLaboはこれまで3,700件以上の公庫融資をサポートしてきました。「公庫から融資を受けたいので、創業計画書の作成を依頼したい」という具体的なご相談はもちろん、「とりあえず話を聞いてみたい」という場合でも、まずはお気軽にご相談ください。
■日本政策金融公庫の融資成功事例集 |
■業種別融資ノウハウバー開業のための資金調達!日本政策金融公庫から900万円の融資事例 不動産投資(賃貸業)を始める方必見!日本政策金融公庫から不動産融資を受けるには 不動産仲介業で日本政策金融公庫から融資を受けるには?創業計画書の書き方も紹介 |