銀行から事業性資金の融資を受けるときに担保設定できる資産について解説

昨今では事業性資金の融資を無担保で借り入れできるケースが増えています。一方で、担保を設定して信用力を上げることができるため、敢えて担保を設定することでより良い条件で融資を受けようとするケースも見られます。

融資を受けるときに担保として設定できる資産には市場性があり価値が高いものといった共通点があります。このような特徴をもつ資産の中でも、銀行の融資においては担保として設定できる資産とできない資産とがある点には注意が必要です。

当記事では、銀行から事業性の融資を受けるときに担保として設定できる資産について解説します。

銀行の融資で担保設定できる資産

事業者が銀行から融資を受けるとき担保として設定できるのは、市場性があり価値が高い資産です。具体的には次のような資産は担保として設定することができます。

【銀行融資で担保設定できる資産】

  • 不動産
  • 流動資産

土地や建物などの不動産を担保にする融資は、開業時の信用保証付き融資や事業拡大期のプロパー融資など幅広く利用可能です。金利も他の融資よりも低く設定されやすく、また調達額も数千万円から1億円を超える高額の融資を受けられるといったメリットがあります。

一方、流動資産とは自動車を含む機械設備、在庫などの動産や売掛金を指し、担保として設定することでABL(Asset Based Lending)を利用することが可能です。ABL融資は事業に関する資産を担保にするという名目上、創業時には利用できないデメリットがありますが、一方で不動産を持っていなくても融資を受けられるというメリットがあると言えるでしょう。

なお、創業期は無担保、保証人なしでも受けられる融資制度はいくつかあります。融資額や金利の面では担保を設定したほうが好条件になりやすいものの、不動産や流動資産を担保に入れるのが難しい場合は、無担保融資の利用を検討してみてください。

不動産を担保にする時の融資条件

不動産を担保にした場合の融資条件は担保に入れる不動産の価値と事業の審査結果で決まるため一概に断言することはできませんが、1,000万円以上の融資額、金利は年率2.0%前後になるケースが多いです。

【不動産を担保にする時の融資条件例】

融資制度 融資額 金利(年率)
横浜市振興資金 最大2億8,000万円 固定金利:2.6%以内

変動金利:短期プライムレート+0.7%以内

横浜市創業おうえん資金 最大3,500万円 固定金利:1.9%以内
プロパー融資 審査の結果による 金融機関所定年率

上記の例に記載している融資制度は無担保でも利用可能です。しかし、無担保では数百万円程度の融資に留まることが多い中、不動産担保を設定することで初めて上限額まで借入ができる可能性が出てきます。他にも担保設定による貸し倒れリスクの低減により、上限金利よりも低い利率で融資を受けられる可能性も出てきます。

具体的な融資額は不動産の評価額を含めた総合的な審査の内容で決定されます。実際には不動産評価額の70%から80%ほどの融資額の目安になり、そこから事業計画や自己資金を勘定して前後することが多いです。

なお、各銀行やノンバンクが展開する不動産担保ローンという商材が存在しますが、これらは主に個人消費者向けの融資商材であって、事業性資金を目的とした融資ではありません。不動産担保ローンの中には事業資金に利用できないケースもあるほか、金利は信用保証付き融資やプロパー融資よりも高く設定されているケースが多いため、事業性資金の融資を受けるときには不動産担保ローンでなく、事業性融資の相談をする中で担保の設定をするようにしましょう。

住宅ローン返済中の不動産を担保にする時の注意点

住宅ローンを返済中であっても、不動産を担保に設定して銀行から事業性資金の融資を受けることは可能です。ただし、不動産評価額がローン残債を下回ると担保に設定することができないケースもあるので注意が必要です。

返済が滞った時にローン残債が残っていると、不動産の売却益は第一抵当権を持つ住宅ローンを融資した銀行への返済が優先されます。そのため、不動産評価額からローン残債を差し引いた金額が担保の価値となり、これに余剰が無い場合は担保として設定することは難しくなるのです。

【住宅ローン返済中の担保価値の例】

ケースA ケースB
不動産評価額 5,000万円 3,000万円
ローン残債 2,000万円 3,000万円
担保価値 3,000万円 0円

上記の場合、ケースAは不動産評価額がローン残債を上回っており、3,000万円分の担保の価値が残っているため、新たに事業性資金の融資を受けるのに担保として設定することが可能です。一方ケースBの場合は不動産評価額とローン残債が一致しており、担保の価値がないため、不動産を担保にして融資を受けることは難しくなります。

ローン残債は事前に算出可能でも、不動産評価額は住宅を買った時と現在では変動していることが多く、担保価値を事前に算出することは専門知識が無いと難しいです。住宅ローンを返済中の物件を担保にしたい場合は、まずは銀行の窓口に相談のうえで担保の評価額を算出してもらいましょう。

流動資産を担保にする時の融資条件

流動資産を担保にした場合に利用できるABLの条件は、担保に入れる試算の価値と事業の審査結果で決まるため一概に断言することはできません。多くの場合、融資額と金利は担保の評価額と利用する制度によって決まります。

【流動資産を担保にする時の融資条件例】

サービス名 融資額 金利(年率)
きらぼし銀行「東京都動産・債権担保融資(ABL)制度」 最大2億5,000万円 当行所定利率
横浜市信用保証協会「流動資産担保融資(ABL)保証」 最大2億5,000万円 提携金融機関の所定金利
千葉銀行ABL 審査の結果による 当行所定の利率

銀行からABLを利用して融資を受ける場合、信用保証協会付きの融資と銀行独自のプロパー融資とがあります。信用保証協会付き融資の場合は最大で2億5,000万円の融資を受けられますが、その融資額は担保として設定する流動資産の価値で詳細が決定されます。

金利については融資を受ける銀行の所定金利が適用されますが、詳細は審査の結果で決まります。返済の確実性が高いほど金利は下がる傾向にあるので、より低金利で融資を受けたい時は資産の価値や換金性、安全性がより高いものを担保として設定するようにしましょう。

なお、ABL利用時は利息の返済の他に信用保証協会への手数料や銀行への担保管理費などの諸経費が発生します。ABLを利用する時は、これらの諸経費を事前の返済計画に含めてシミュレーションしておくのが良いでしょう。

ABLは資産の登記をする必要がある

ABLで融資を受ける際には、動産や売掛金の所有権が貸し手である銀行に移ったことを証明するため、担保とする資産の登記をする必要があります。資産の所有権が銀行に移ると言っても、資産の利用を行っても問題ありません。機械設備はそのまま使用可能ですし、在庫の販売を行うことも可能です。

ただし、借り手は銀行に対して担保に設定した流動資産の増減を定期的に報告する必要があります。また、登記が必要である以上は債権譲渡禁止特約のある売掛金や、登記のできない資産は担保として設定できない点は注意が必要です。

銀行の融資で担保設定できない資産

事業者が銀行から融資を受けるとき、次のような資産は担保として設定することができません。

【銀行の融資で担保設定できない資産】

  • 株(有価証券)
  • 保険金

上記のような資産を担保にした融資は存在しますが、これらはノンバンクや証券会社、保険会社などが提供するサービスになります。中には銀行が提携するサービスも存在するものの、審査や信用保証はその他の機関が行うほか、銀行が直接審査をする融資と比較して高金利になりやすい特徴があります。

有価証券や保険金を担保に融資を受けたい場合は、銀行以外の金融機関の利用を検討してみてください。その場合、融資額や金利などの融資条件を確認しておき、返済計画を立てたうえで申込するようにしてください。

まとめ

銀行から事業性資金の融資を受けるときに担保に設定できる資産は、土地や物件などの不動産か、機械設備や在庫、売掛債権などの流動資産のいずれかです。流動資産の中でも株などの有価証券や保険金は銀行融資においては担保設定ができません。

担保を設定することで、融資額の引上げや金利の引き下げをすることもできますが、その融資条件は審査の結果で決定されます。資産の価値が審査では重視されるので、その結果次第では希望の条件で融資を受けられないこともある点には注意が必要です。

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