開業や事業を成長させるための資金を調達したいと考えている人の中には、銀行融資の利用を検討している人もいますよね。その際、銀行からいくらまで借りることができるのかを知りたいと思っている人もいるでしょう。
当記事では、銀行融資における借入限度額を解説します。銀行から借りられる最大金額を表す「借入限度額」の目安を2つの観点から紹介しているため、銀行からいくらまで借りることができるのかを知りたい人は参考にしてみてください。
いくらまで借りられるかの目安は融資の内容から把握することが可能
銀行融資を申請した場合にいくらまで借りられるかという「借入限度額」の目安は、融資の内容から把握することが可能です。まずは、どのような融資の内容から把握できるのか、目安の指標となる項目を確認してみましょう。
【借入限度額の目安となる項目】
項目 | 概要 |
---|---|
融資の種類 | 銀行が提供している融資商品のこと。「信用保証付き融資」「プロパー融資」「ビジネスローン」に分類される |
資金の使途 | 銀行融資の使い道のこと。「設備資金」「運転資金」に分類される |
借入限度額の目安を把握できる項目のひとつとして「融資の種類」が挙げられます。融資の種類とは、銀行が直接融資を実行するプロパー融資や信用保証協会の保証制度を利用する信用保証付き融資などを指しており、それぞれ借入限度額の目安が異なります。
また、借入限度額の目安を把握できる項目のひとつとして「資金使途」が挙げられます。資金使途とは、銀行融資における資金の使い道のことであり、運転資金と設備資金ではそれぞれ借入限度額の目安が異なります。
借入限度額の目安は「融資の種類」と「資金使途」から把握することが可能です。銀行融資を利用したときにいくらまで借りられるのかを知りたい人は、融資の種類と資金使途のそれぞれの観点における借入限度額の目安を押さえておきましょう。
融資の種類における借入限度額の目安
銀行融資では、融資の種類ごとに借入限度額が設けられています。銀行融資においていくら借りられるのかを知りたい人は「信用保証付き融資」「プロパー融資」「ビジネスローン」の3種類の融資制度における、借入限度額の目安を比較してみましょう。
【銀行融資の種類ごとの借入限度額の目安】
融資の種類 | 借入限度額の目安 |
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信用保証付き融資 | 担保や事業実績の有無に応じて3,500万円~2億8,000万円の上限が設定されている |
プロパー融資 | 制度上の借入限度額はなく、審査によって個別に設定される |
ビジネスローン | 他の種類と比べて低めに設定されており、1000万円程度となる傾向にある |
信用保証付き融資の場合、借入限度額は担保の有無や事業実績に応じて異なります。原則として無担保の場合の借入限度額は8,000万円、有担保の場合の借入限度額は2億8,000万円ですが、創業者は担保の有無にかかわらず3,500万円が借入限度額となります。
また、プロパー融資の場合、借入限度額は申請者の事業状況に応じて異なります。プロパー融資には制度上の借入限度額は設定されておらず、銀行による審査の結果に応じて個別に融資額が設定されます。
そして、ビジネスローンの場合、借入限度額は1,000万円程度となる傾向にあります。融資商品によって異なるものの、ビジネスローンは小口融資向けの融資制度であることから、借入限度額は他の融資の種類と比べて低く設定されています。
銀行融資においては、融資の種類ごとに借入限度額の目安が異なります。銀行融資を申請した場合にいくら借りられるのかを知りたい人は、利用する銀行融資の種類ごとの借入限度額の目安を把握してみてください。
資金使途における借入限度額の目安
銀行融資では、借り入れる資金の使い道に応じて、借入限度額の目安となる指標があります。銀行融資においていくら借りられるのかを知りたい人は「運転資金」「設備資金」それぞれの資金使途における借入限度額の目安を比較してみましょう。
【資金使途ごとの借入限度額の目安】
資金使途 | 借入限度額の目安 |
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運転資金 | 月商の2~3ヶ月分程度 |
設備資金 | 純利益と減価償却費の合計額の7〜10年分程度 |
運転資金の借入限度額は、月商の2〜3ヶ月分が目安となります。事業の売上金が回収されるまでには2〜3ヶ月程度を要すると考えられており、銀行はその期間の運転資金を賄うのに必要な金額を融資することが妥当であると判断しているためです。
設備資金の借入限度額は、純利益と減価償却費の合計額の7〜10年分が目安となります。銀行は、多くの設備の法定耐用年数を概ね7年〜10年と見込み、その期間で純利益と減価償却費の合計額が返済の財源として充当されると判断しているためです。
なお、運営する事業の業種や導入する設備の種類によっても、運転資金や設備資金の借入限度額が変動する場合があります。自社の状況において、銀行融資を申請した場合にいくら借りられるのかを知りたい人は、銀行の融資窓口や資金調達コンサルタント相談してみてください。
融資額の決定にはさまざまな要因が影響する
銀行から借りることができる実際の融資額は、借入限度額の範囲内で銀行の判断に基づき設定されます。融資額がいくらになるかを決定づける要因として、以下が挙げられます。
【借入限度額の決定に影響する要因】
要因 | 重視される内容 |
財務状況 | ・売上や利益の推移 ・キャッシュフローの健全性 ・既存の借入状況 |
事業計画 | ・事業の実現可能性 ・資金使途の明確さ ・返済計画の具体性 |
信用情報 | ・申請者個人の金融取引の状況 ・ローンやクレジットカードの返済状況 |
自己資金 | ・自己資金の有無 ・自己資金の金額 |
銀行融資における融資額の決定に影響する要因として「財務状況」「事業計画」「信用情報」「自己資金」が挙げられます。銀行融資における乖離れ限度額を押さえた人は、希望の融資額を借り入れるためにも融資額の決定に影響する要因も確認しておきましょう。
財務状況
融資額の決定に影響する要因のひとつに「財務状況」が挙げられます。事業の財務状況は申請者の返済能力を評価する際の判断材料となっており、返済能力の評価に基づいて融資額が決定されるためです。
財務状況の評価においては、売上や利益の推移、キャッシュフローの健全性、既存の借り入れ状況などが重視されます。安定した売上と利益をあげているかやキャッシュフローがプラスであるか、過度な借り入れはないかなどを確認され、希望融資額の返済可能性を判断されます。
売上が低迷している場合や、利益が出ていたとしても手元の現金が少ない場合には、返済能力が低いと評価される傾向にあります。返済が滞るリスクがあると判断されると、融資額を低く設定される可能性が高くなります。
希望の融資額を借り入れるためには、収益の安定性と資金繰りの健全性を示すことがポイントとなります。業績が好調である時期に銀行融資の申請を行うことで返済能力の評価を高められる可能性があるため、銀行融資の申請のタイミングを考慮してみてください。
事業計画
融資額の決定に影響する要因のひとつに「事業計画」が挙げられます。策定した事業計画は事業の将来性を評価する際の判断材料となっており、事業計画の評価に基づいて融資額が決定されるためです。
事業計画の評価においては、事業の実現可能性や資金使途の明確さ、返済計画の具体性が重視されます。売上予測の数字の根拠や借り入れる資金の使い道が明確であるかや、どのように返済の財源を確保できるかなどを確認され、希望融資額の妥当性が判断されます。
過大な売り上げ予測となっている場合や資金使途が曖昧な場合には、事業計画の実現可能性が低いと評価される傾向にあります。事業計画に根拠や具体性が欠けていると、事業の将来性を懸念され、融資額を低く設定される可能性が高くなります。
希望の融資額を借り入れるためには、市場調査の結果やこれまでの実績などに基づいた具体的な事業計画を作成することがポイントとなります。希望融資額の妥当性を伝えるためにも、売上予測や返済計画に関する数値は、内訳と算出根拠も提示できるようにしておきましょう。
信用情報
融資額の決定に影響する要因のひとつに「信用情報」が挙げられます。信用情報は、融資の返済に対する誠実性や信頼性を評価する際の判断材料となっており、信用情報の評価に基づいて融資額が決定されるためです。
信用情報の評価においては、申請者個人の過去のローンやクレジットカードの利用履歴、返済状況などが重視されます。ローンやクレジットカードによる契約内容、支払いの延滞や債務整理の有無などが確認され、返済能力だけでなく金融機関との約束を守る姿勢が評価されます。
過去に返済の遅延がある場合や債務整理の記録がある場合には、返済能力や信頼性が低いと評価される傾向にあります。返済が滞るリスクがあると判断され、融資額が低く設定される可能性が高まります。
希望の融資額を借り入れるためには、個人の金融取引において良好な信用履歴を維持していると示すことがポイントとなります。信用情報に不安がある場合は、自身の信用情報の開示請求を行い、過去の支払いや返済状況に問題がないかを事前に確認しておきましょう。
自己資金
融資額の決定に影響する要因のひとつに「自己資金」が挙げられます。創業や新規事業立ち上げの際に準備をする自己資金は、事業への熱意や返済能力の判断材料となるためです。
自己資金の評価においては、事業に投じる自己資金の有無や金額が重視されます。開業に向けてどの程度の自己資金を準備してきたかや、その金額が希望融資額に対して妥当な割合であるかなどを確認され、万が一事業の収益が伸び悩んだ場合でも返済を継続できるかどうかが判断されます。
自己資金がない場合や希望融資額に対して自己資金の割合が極めて低い場合には、事業への本気度やリスク管理能力が低いと評価される傾向にあります。事業の継続性や返済能力への懸念から、融資額を低く設定される可能性が高まります。
希望の融資額を借り入れるためには、事業開始に向けて少しでも多くの自己資金を準備することがポイントとなります。銀行融資を受ける際は、事業に必要な総資金額の2割〜3割程度を目安に自己資金を準備しておきましょう。
まとめ
銀行からいくらまで借りることができるのかは、融資の種類や資金使途から目安を把握することが可能です。銀行融資の種類や資金使途に応じて、銀行から借りられる最大金額を表す「借入限度額」が定められているためです。
銀行融資では融資の種類ごとに借入限度額が設けられているため、利用する銀行融資の種類から借入限度額の目安を確認できます。また、資金使途ごとに借入限度額の目安となる指標があることから、資金使途によっても借入限度額の目安を確認できます。
なお、銀行から借りることができる実際の「融資額」の決定には、事業の財務状況や策定した事業計画の内容、申請者の信用力などが影響します。希望の融資額を借り入れるためにも、それぞれの要因がどのように融資額に影響を与えるのかを事前に把握しておきましょう。