銀行融資の利用を検討している人の中には、通帳を提出する必要性について疑問に思った人もいるのではないでしょうか。また、通帳を見せることによって、銀行融資の審査にどのような影響を与えるのか知りたいと思う人もいるでしょう。
当記事では、銀行融資における通帳の必要性を解説します。通帳を見せることによる審査への影響力や、提出する際の注意点も紹介しているため、銀行融資の利用を検討している人は参考にしてみてください。
通帳は申請内容の証明書類として必要
銀行融資を受ける際に提出する通帳は、申請内容の証明書類として必要です。通帳を見せることによって、提出した申請内容が事実に基づいた情報であることを銀行に示すことができます。
【通帳を見せることで証明できる内容】
項目 | 詳細 |
---|---|
自己資金の状況 | 自己資金の金額貯蓄の経緯 |
他社借入の返済状況 | 他社借り入れの有無や内容、返済延滞の有無 |
毎月の支出状況 | 支出の内訳、支払延滞の有無 |
通帳を見せることによって、自己資金の状況を証明できます。通帳には、自己資金の金額や貯蓄の入金元などの情報が記録されているため、申請内容に記載した自己資金の状況が事実に基づいていることを示せます。
また、通帳を見せることによって、他社借り入れの返済状況を証明できます。通帳には、他社借り入れの返済の有無や返済実績などの情報が記録されているため、申請内容に記載した他社借り入れの返済状況が事実に基づいていることを示せます。
そして、通帳を見せることによって、毎月の支出状況を証明できます。通帳には、毎月定期的に発生する費用の支払いに関する情報が記録されているため、申請内容に記載した毎月の支出状況が事実に基づいていることを示せます。
銀行融資を受ける際に提出する通帳は、申請内容が事実に基づいていることを証明するために必要となります。通帳によって証明する内容は、銀行融資の可否を判断する際の評価軸のひとつとなるため、銀行融資を受ける際には必ず通帳の提出が求められることを念頭に置いておきましょう。
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自己資金の状況の証明
銀行融資を申し込む際に提出する通帳は、自己資金の状況を証明するために活用されます。銀行は、通帳によって自己資金の状況の事実確認を行い、通帳の記録から把握した正確な自己資金の状況に基づいて審査を行います。
たとえば、銀行は通帳の記録を通じて、自己資金がどのように貯蓄されたのかを確認しています。開業に向けて毎月の給与から着実に貯蓄されていることや、早い段階から計画的に貯蓄されていることが確認できた場合、事業に対する本気度が高いと評価される傾向にあります。
また、銀行は通帳の記録を通じて、自己資金がどの程度準備されたのかを確認しています。多額の自己資金を準備していることが確認できた場合、事業の初期投資や予期せぬ出費への備えがあるとして、返済能力が高いと評価される傾向にあります。
通帳によって自己資金の状況を証明することは、事業への本気度や返済能力の評価に繋がります。事業への真剣な姿勢や堅実な返済能力を印象づけることができれば、融資の審査において有利にはたらくでしょう。
他社借り入れの返済状況の証明
銀行融資を申し込む際に提出する通帳は、他社借り入れの返済状況を証明するために活用されます。銀行は、通帳によって他社借り入れにおける返済状況の事実確認を行い、通帳の記録から把握した正確な他社借り入れの返済状況に基づいて審査を行います。
たとえば、銀行は通帳の記録を通じて、他社借り入れの返済実績を確認しています。延滞なく期日通りに行われていることが確認できた場合、返済能力が高いと評価される可能性があります。
また、銀行は通帳の記録を通じて、他社からの借り入れの金額や件数などを確認しています。収入に見合う借入額であることや、複数の金融機関からの借り入れがないことが確認できた場合、無理のない返済計画が立てられているとして資金管理能力が高いと評価される可能性があります。
通帳によって他社借り入れの返済状況を証明することは、返済能力や資金管理能力の評価に繋がります。他社借り入れの返済を滞りなく行っている姿勢や、他社借り入れの管理を適切に行っていることを証明できれば、銀行からの信頼を高められるでしょう。
毎月の支出状況の証明
銀行融資を申し込む際に提出する通帳は、毎月の支出状況を証明するために活用されます。銀行は、通帳によって毎月の支出状況の事実確認を行い、通帳の記録から把握した正確な毎月の支出状況に基づいて審査を行います。
たとえば、銀行は通帳の記録を通じて、固定費や生活費など毎月定期的に発生する費用の支払い履歴を確認しています。家賃や公共料金、通信費などの支払いに遅延がないことが確認できた場合、返済能力が高いと評価される可能性があります。
また、銀行は通帳の記録を通じて、突発的な支出が頻繁にないかや口座残高が常に少ない状態ではないかなども確認しています。無駄な支出が少なく一定の預貯金残高を維持できていることが確認できた場合、金銭感覚の堅実さを高く評価される可能性があります。
通帳によって毎月の支出状況を証明することは、返済能力や申請者個人の信用力の評価に繋がります。堅実な金銭感覚と安定した支出管理は銀行からの信頼につながるため、融資を受けられる可能性を高められるでしょう。
通帳の必要性を押さえた人は提出する際の注意点を確認しておく
通帳の必要性を押さえた人は、通帳を提出する際の注意点を確認しておきましょう。銀行に通帳を提出する際に注意すべき点は、以下の通りです。
【銀行に通帳を提出する際の注意点】
- 原則として通帳のコピーは認められない
- 取引の未記帳がある場合には再提出を求められる
- 高額な入金履歴がある場合には説明を求められる
これらの注意点を踏まえずに通帳を提出した場合、審査を停滞させてしまうことや銀行からの評価を低下させてしまうおそれがあります。銀行融資の利用を検討している人は、通帳を提出する際の注意点を押さえておきましょう。
原則として通帳のコピーは認められない
銀行融資を申し込む際に提出する通帳は、原則としてコピーでは認められません。通帳のコピーでは、記帳の日付や金額、取引などを容易に修正できることから、改ざんのリスクが高いとみなされるためです。
銀行融資を受ける際は、通帳の原本の提出が必要です。自己資金を証明する場合は、貯蓄用の通帳に加えて、給与の振込口座や贈与元の入金口座など自己資金の出所を証明する通帳の原本の提示を求められます。
また、家族名義の口座に貯蓄したお金を自己資金に含める場合、家族名義の通帳原本を提出する必要があります。家族名義の通帳原本を提出する際は、家族から同意を得ていることを証明する同意書や委任状などの提出を別途求められます。
なお、ネットバンキングを利用している場合には通帳の原本が存在しないため、取引履歴をダウンロードして印刷した明細の提出が認められます。銀行融資を受けるにあたって通帳を提出する際は、資金を管理している口座の形態に応じた提出方法を確認しておきましょう。
取引の未記帳がある場合には再提出を求められる
銀行融資を受ける際に提出する通帳において取引の未記帳がある場合、通帳の再提出を求められることがあります。未記帳の状態では、申請内容に記載された情報が事実に基づいているかどうかを正確に確認することができないためです。
通帳の記帳を長期間行っていない場合、複数の取引がまとめて記帳される「合計記帳」として表示されます。合計記帳では個別の取引履歴を確認することができなくなるため、銀行は合計記帳となっている取引の明細を発行して別途提出するよう申請者に求めます。
明細の発行には数日から数週間程度かかる場合があることから、通帳の提出後に発行手続きを行うと、審査を停滞させてしまいます。審査を停滞させないようにするためにも、提出する通帳に取引の未記帳がないか確認をしておきましょう。
なお、銀行融資の審査では、過去3ヶ月〜6ヶ月分の通帳履歴を求められる傾向にあります。銀行の方針や融資の種類によっては1年分以上の履歴が必要となる場合もあるため、事前に銀行の融資担当者へ記帳が必要な期間を確認しておき、該当の期間に未記帳の取引がないように準備しましょう。
高額な入金履歴がある場合には説明を求められる
銀行融資を受ける際に提出する通帳において高額な入金履歴がある場合、銀行から詳細な説明を求められることがあります。銀行は、高額な入出金が一時的なものなのか、継続的な収入の一部なのかを慎重に判断するためです。
高額な入金履歴の確認は、返済計画の実現性を評価するために行われています。資産の売却益や保険金の受け取りなど、一時的に増えた収入を基に返済計画を立てている場合は、融資後に返済が困難になるリスクが高いと見なされます。
また、高額な入金履歴の確認は、一時的に資金があるように見せかけるための「見せ金」ではないことを確認するために行われています。高額な入金が見せ金である場合、実際には資金が不足している状況である可能性があり、事業の継続や返済が困難になるリスクが高いと見なされます。
したがって、通帳に突発的な高額の入金履歴がある場合は、振込元を明確に説明できるよう準備しておく必要があります。見せ金ではないことを証明するために、贈与契約書や保険の解約証明書など、資金の出所を裏付けられる資料を別途用意しておきましょう。
まとめ
銀行融資を受ける際に提出する通帳は、申請内容の証明書類として必要です。通帳を見せることによって、提出した申請内容における「自己資金の状況」「他社借り入れの返済状況」「毎月の支出状況」が事実に基づいた情報であることを銀行に示すことができます。
通帳による申請内容の証明は、銀行融資の審査に直接影響します。通帳によって証明できる内容は、事業への本気度や返済能力、資金管理能力などの評価軸のひとつとなるため、銀行融資を申し込む際には必ず通帳の提出が求められます。
なお、通帳の提出にあたっては「原則として通帳のコピーは認められないこと」「取引の未記帳がある場合には再提出を求められること」「高額な入金履歴がある場合には説明を求められること」に注意しましょう。これらの注意点を踏まえずに通帳を提出してしまうと、審査を停滞させてしまうことや銀行からの評価を低下させてしまうおそれがあります。