ベンチャーキャピタルから資金調達する方法を解説

起業や事業拡大など、事業用の資金を工面する目的として、ベンチャーキャピタルから資金調達することを検討している人もいますよね。その際、ベンチャーキャピタルとの接点がないことにより、ベンチャーキャピタルから資金調達する方法が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、ベンチャーキャピタルから資金調達する方法を解説します。ベンチャーキャピタルと投資契約を結ぶまでの流れに沿って解説するため、ベンチャーキャピタルから資金調達する方法が知りたい人は参考にしてみてください。

まずはベンチャーキャピタルの担当者と接点を持つ

ベンチャーキャピタルから資金調達する場合、まずはベンチャーキャピタルの担当者と接点を持つことになります。接点を持つ方法はいくつか考えられるため、ベンチャーキャピタルから資金調達したい人は担当者と接点を持つ方法を確認してみましょう。

【ベンチャーキャピタルの担当者と接点を持つ方法の具体例】

具体例 概要
イベントに参加する 「ピッチイベント」や「スタートアップ展示会」など、イベントに参加する方法
SNSを介して連絡する 「Instagram」や「X」など、SNSを介して担当者に連絡する方法
知人から紹介を受ける 「同業種の経営者」や「資金調達の経験者」など、知人から紹介を受ける方法
マッチングサービスを利用する 「プラットフォーム」や「マッチングサイト」など、経営者と投資家のマッチングサービスを利用する方法

ベンチャーキャピタルの担当者と接点を持ちたい場合、イベントに参加する方法があります。「ピッチイベント」や「スタートアップ展示会」など、イベントに参加することにより、ベンチャーキャピタルの担当者と名刺交換できる可能性があります。

また、ベンチャーキャピタルの担当者と接点を持ちたい場合、SNSを介して連絡する方法があります。「Instagram」や「X」など、SNSのオフィシャルアカウントに連絡することにより、ベンチャーキャピタルの担当者と直接連絡を取れる可能性があります。

なお、ベンチャーキャピタルによっては、公式サイトから問い合わせできる可能性があります。経営者向けの問い合わせフォームを用意している場合があるため、気になるベンチャーキャピタルがある人は問い合わせフォームを利用することも検討してみましょう。

ベンチャーキャピタルはいくつかの種類がある

ベンチャーキャピタルはいくつかの種類に分類できます。ベンチャーキャピタルは運営母体や投資目的の観点から分類できるため、ベンチャーキャピタルの担当者と接点を持ちたい人は事前にベンチャーキャピタルの種類を把握しておきましょう。

【ベンチャーキャピタルの種類】

種類 概要
独立系 特定の親会社を持たず、独自の資本により運営しているベンチャーキャピタル。柔軟な投資判断ができる。
大学系 大学が運営するベンチャーキャピタル。大学や研究機関での研究を活かした会社を中心に出資する。
政府系 国や地方自治体が運営するベンチャーキャピタル。中小企業の支援や産業の発展を目的として出資する。
海外系 外資系企業を親会社に持つベンチャーキャピタル。ファンドの規模が大きいため、多額の投資が可能となる。
金融機関系 金融機関が運営するベンチャーキャピタル。金融機関の資金力により、多額の投資が可能となる。
事業会社系 事業会社が運営するベンチャーキャピタル。自社の発展を目的としてシナジー効果が期待できる会社を中心に出資する。
地域特化型 特定地域の会社に出資するベンチャーキャピタル。地域資源の利用や産業の活性化を目的として出資する。

ベンチャーキャピタルの中には、独立系のベンチャーキャピタルがあります。独立系のベンチャーキャピタルは親会社を持たず、独自の資本により運営している関係上、親会社による制約がないため、柔軟な投資判断をできる点が特徴です。

また、ベンチャーキャピタルの中には、金融機関系のベンチャーキャピタルがあります。金融機関系のベンチャーキャピタルは銀行や証券会社などの金融機関が運営している関係上、資金力があるため、多額の投資が可能となる点が特徴です。

なお、ベンチャーキャピタルは投資対象とする業種を限定している場合があります。投資対象となる業種以外には投資をしないことが想定されるため、対象に該当するかどうか不安な人は事前に確認することを検討してみましょう。

次はベンチャーキャピタルに事業の将来性を伝える

ベンチャーキャピタルの担当者と接触できた場合、次は担当者に事業の将来性を伝えることになります。事業の将来性が投資における判断材料のひとつとなるため、ベンチャーキャピタルから資金調達したい人は事業計画書を作成してみましょう。

【ベンチャーキャピタルに提出する事業計画書の項目例】

項目 概要
サマリー 事業計画書の概要を端的に記載する
事業概要 商品やサービスの概要を記載する
市場分析 市場規模や競争優位性の分析結果を記載する
ビジネスモデル コスト構造や収益性の計画を記載する
マーケティング戦略 販売促進方法やブランディングの戦略を記載する
資金計画 資金調達や予算管理の計画を記載する
組織構造 経営陣やチームメンバーの情報を記載する

たとえば、事業計画書の項目のひとつは「市場分析」です。「ターゲット市場の規模」「ターゲット市場の成長性」「自社の競争優位性」「競合業者の状況」など、市場分析の結果を記載することにより、収益性の根拠を伝えられる可能性があります。

また、事業計画書の項目のひとつは「組織構造」です。「経営陣の経歴」「チームメンバーのスキル」「部門別の役割」「意思決定のプロセス」など、組織構造に関する情報を記載することにより、組織のポテンシャルを伝えられる可能性があります。

なお、事業の将来性に加え、経営者の熱意を伝える必要があります。経営者の熱意を伝えることにより、経営者への信頼性が評価される可能性があるため、事業の将来性を伝えたい人はその前提を踏まえておきましょう。

将来性を伝えるときはLTVを活用する方法がある

事業の将来性を伝えたい場合、LTV(顧客生涯価値)の指標を活用する方法があります。LTVは一人の顧客がもたらす利益総額を意味する関係上、事業の将来性を伝える根拠となるため、事業の将来性を伝えたい人はLTVの計算式を確認してみましょう。

【計算式の具体例】

項目 計算式
リピート商材の場合 LTV = 平均単価 × 購入頻度× 継続期間
サブスクリプション型商材の場合 LTV = 平均単価 ÷ チャーンレート(解約率)

LTVの計算方法は商品やサービスの特性により異なります。繰り返し購入することが前提となるリピート商材の場合は「LTV =平均単価 × 購入頻度 × 継続期間」の計算式となるため、各項目に会社のデータを当てはめることにより、LTVを計算することができます。

また、LTVは収益モデルの安定性を示す根拠となります。LTVが高い場合、その収益モデルは一度獲得した顧客から長期的に利益を生み出せることを意味するため、ベンチャーキャピタルに対して事業の将来性を伝えられる可能性があります。

なお、資金調達とLTVの向上を関連付けることがポイントです。調達した資金がLTVの向上に寄与する見込みを伝えることにより、投資の妥当性をアピールできる可能性があるため、ベンチャーキャピタルから資金調達したい人は覚えておきましょう。

最後はベンチャーキャピタルと投資契約を結ぶ

ベンチャーキャピタルから出資を受けることが決定した場合、最後は投資契約を結ぶことになります。契約内容はいくつかの項目に分類できるため、ベンチャーキャピタルから資金調達する人は契約内容を把握しておきましょう。

【契約内容の具体例】

項目 契約内容の具体例
基本条件 ・募集株式数
・払込金額
表明保証 ・会社に関する情報
・経営者に関する情報
経営に関する合意内容 ・上場努力義務
・取締役派遣
株式に関する合意内容 ・優先買取権
・株式譲渡制限
経営者に関する合意内容 ・専念義務
・株式買取義務

契約内容の項目として挙げられるのは「基本条件」です。「募集株式数」「払込金額」「払込期日」など、投資の基本条件に関する内容となるため、投資契約を結ぶときは事前の合意内容と相違がないかどうかを確認することになります。

また、契約内容の項目として挙げられるのは「表明保証」です。「会社に関する情報」や「経営者に関する情報」など、投資の前提条件となる事実を保証する内容となるため、投資契約を結ぶときは不確実な内容が盛り込まれていないかどうかを確認することになります。

なお、ベンチャーキャピタルから出資を受ける場合、投資契約以外の契約を結ぶことがあります。「株式引受契約」や「株主間契約」など、会社の状況に応じた契約を結ぶことになるため、投資契約を結ぶ人は予備知識として覚えておきましょう。

契約を結ぶときは弁護士に確認する方法がある

投資契約を結ぶ場合、弁護士に契約内容の確認を取ることを検討する余地があります。契約内容を理解しておかなければ、経営者側に不利な条件での投資契約となるおそれがあるため、投資契約を結ぶ人は弁護士に確認することを検討してみましょう。

【確認が必要となる項目の例】

  • 義務や責任が過度に重くなっていないかどうか
  • 経営や資金使途の自由度が確保されているかどうか
  • 経営権や議決権が過度に制限されていないかどうか

弁護士は法律に基づいて助言や手続きを行う専門家です。「企業法務」「資本政策」「M&A」など、資金調達に関する分野を専門とする弁護士に契約内容を確認することにより、契約内容の問題点を見つけられる可能性があります。

また、問題点を見つけたときは契約内容を修正する必要があります。ベンチャーキャピタルが投資契約書を作成した場合は経営者に不利な条件が盛り込まれている可能性があるため、弁護士の助言をもとに修正することになります。

なお、投資契約を締結した場合、締結後の内容変更は難しい傾向があります。投資契約の締結時に契約内容を確認することにより、出資を受けた後のトラブルを防げる可能性があるため、投資契約を結ぶ人は弁護士に確認しつつ、手続きを進めることを検討してみましょう。

ベンチャーキャピタルから資金調達する場合は持株比率に留意する

ベンチャーキャピタルから資金調達する場合、持株比率に留意することになります。ベンチャーキャピタルは持株比率に応じて、経営に関与する権利を持つことになるため、ベンチャーキャピタルから資金調達したい人はその前提を踏まえておきましょう。

【持株比率ごとの権利】

持株比率 行使できる権利の例
1%を超える株主 株主総会の議案を請求できる
3%を超える株主 株主総会の招集を請求できる
33.4%を超える株主 株主総会の特別決議を単独で否決できる
50%を超える株主 株主総会の普通決議を単独で可決できる
66.7%を超える株主 株主総会の特別決議を単独で可決できる
100%の株主 株主総会のすべての決議を単独で可決できる

たとえば、持株比率が33.4%(1/3)を超える株主の場合、株主総会の特別決議を否決できます。「会社の解散」や「定款の変更」など、特別決議を否決できるため、持株比率が33.4%を超える株主は会社の意思決定に対して拒否権を持つことになります。

また、持株比率が50%を超える株主の場合、株主総会の普通決議を可決できます。「役員の解任」や「役員報酬の変更」など、普通決議を可決できるため、持株比率が50%を超える株主は実質的な経営権を持つことになります。

なお、経営者側の持株比率は66.7%(2/3)を超えることが目安といわれています。66.7%を超える株主は普通決議と特別決議を単独可決できるため、ベンチャーキャピタルから資金調達したい人は持株比率が変動することを念頭に置いておきましょう。

まとめ

ベンチャーキャピタルから資金調達する場合、まずはベンチャーキャピタルの担当者と接点を持つことになります。接点を持つ方法はいくつか考えられるため、ベンチャーキャピタルから資金調達したい人は担当者と接点を持つ方法を確認してみましょう。

ベンチャーキャピタルの担当者と接触できた場合、次は担当者に事業の将来性を伝えることになります。事業の将来性が投資における判断材料のひとつとなるため、ベンチャーキャピタルから資金調達したい人は事業計画書を作成してみましょう。

ベンチャーキャピタルから出資を受けることが決定した場合、最後は投資契約を結ぶことになります。契約内容はいくつかの項目に分類できるため、ベンチャーキャピタルから資金調達する人は契約内容を把握しておきましょう。

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