株式会社や合同会社など、会社を経営している人の中には、資金調達を検討している人もいますよね。その際、資金調達に会社法が関連するかどうかが把握できていないことにより、資金調達における会社法の役割を知りたい人もいるでしょう。
当記事では、資金調達における会社法を解説します。資金調達における会社法の役割に加え、資金調達方法ごとの具体的な規定も解説するため、資金調達における会社法の情報が知りたい人は参考にしてみてください。
資金調達における会社法の役割は経営の健全性を保つこと
資金調達における会社法の役割は経営の健全性を保つことです。会社法の規定に基づき、資金調達することにより、経営の健全性を保つことにつながるため、資金調達を検討している人はその前提を踏まえておきましょう。
会社法は資金調達の透明性を確保するためのルールを定めています。「資金調達の手順」「資金調達の条件」「取締役会決議の有無」など、資金調達の透明性を確保するためのルールに従うことにより、会社は経営の健全性を確保しつつ、資金調達することができます。
また、会社法は株主や債権者を保護するためのルールを定めています。「情報開示の義務」「株主の権利内容」「債権者の権利内容」など、株主や債権者を保護するためのルールに従うことにより、会社は経営の健全性を確保しつつ、資金調達することができます。
なお、会社法は資金調達に関する法律のひとつです。「金融商品取引法」「投資信託法」「税法」など、資金調達する場合は会社法以外の法律も遵守する必要があるため、資金調達における会社法の情報が知りたい人は留意しておきましょう。
会社法は資金調達以外のルールも定めている
会社法は資金調達に関するルールだけでなく、会社全般に関するルールを定めています。資金調達以外のルールを把握しておかなければ、意図せずに法令違反となるおそれがあるため、資金調達を検討している人は会社法の全体像を確認しておきましょう。
【会社法の全体像】
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 第一編:総則(第1条~第24条) | 「会社の商号」や「会社の使用人」など、会社法の全体に関する事項が規定されている。 |
| 第二編:株式会社(第25条~第574条) | 「設立」「事業譲渡」「解散」など、株式会社に関する幅広い事項が規定されている。 |
| 第三編:持分会社(第575条~第675条) | 「社員の加入および退社」や「定款の変更」など、持分会社の設立から解散までに関する事項が規定されている。 |
| 第四編:社債(第676条~第742条) | 「社債管理者」「社債管理補助者」「社債権者集会」など、社債に関する事項が規定されている。 |
| 第五編:組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付(第743条~第816条) | 「吸収合併」や「新設分割」など、組織再編や変更に関する事項が規定されている。 |
| 第六編:外国会社(第817条~第823条) | 「代表者の権限」や「損害賠償の責任」など、外国会社に関する事項が規定されている。 |
| 第七編:雑則(第824条~第959条) | 「会社の解散命令」「訴訟」「非訟」など、幅広い事項が規定されている。 |
| 第八編:罰則(第960条~第979条) | 「特別背任罪」や「虚偽文書行使等の罪」など、会社法違反の罪に関する事項が規定されている。 |
会社法は第一編~第八編の構成です。第1条~第979条までの条文が設けられ、「会社の設立から清算までの流れ」や「会社の組織変更に関する条件」など、資金調達に関するルールだけでなく、会社全般に関わるルールが規定されています。
また、会社法を理解せずに経営判断を行った場合、法令違反やガバナンス上の問題を招くおそれがあります。会社法は「会社は株式会社と持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)を指す」と定義しているため、すべての会社は会社法に則った経営を求められます。
なお、会社法は2006年に施行された法律です。「商法」や「有限会社法」など、複数の法律の会社に関する事項が会社法にまとめられた経緯があるため、資金調達における会社法の情報が知りたい人は予備知識として覚えておきましょう。
検討中の資金調達方法がある人は会社法の該当部分を確認する
資金調達を予定している場合、検討中の資金調達方法がある人は会社法の該当部分を確認することになります。資金調達に関連するルールを把握できるため、検討中の資金調達方法がある人は会社法の該当部分を確認してみましょう。
【会社法の該当部分の具体例】
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 株式発行を検討中の場合 | 第二編の第二章「株式」 第二編の第三章「新株予約権」 |
| 社債発行を検討中の場合 | 第四編「社債」 |
会社法による規定がある資金調達方法は「株式発行」と「社債発行」です。株式発行を利用できるのは株式会社のみですが、社債発行はすべての会社が利用できるため、検討中の資金調達方法がある人はそれぞれの項目を確認してみましょう。
株式発行を検討中の場合
株式発行を検討中の場合、株式発行に関する条文を指針として、資金調達を進めることになります。株式発行に関する条文は多岐にわたるため、株式発行を検討中の人は株式発行に関する条文を確認しておきましょう。
【株式発行に関する条文の具体例】
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 第二編の第二章「株式」 | ・異なる種類の株式を発行できること(第108条) ・株主名簿に記載する項目(第121条) ・原則として株式を譲渡できること(第127条) ・募集株式の発行手続き(第199条~第209条) |
| 第二編の第三章「新株予約権」 | ・新株予約権の発行手続き(第238条) ・新株予約権原簿に記載する項目(第249条) ・自己の新株予約権を取得する条件(第273条) ・新株予約権を行使する方法(第280条~第283条) |
株式発行に関する条文として挙げられるのは「会社法第108条」です。株式を発行する場合、異なる権利内容の種類株式を発行できることを規定している条文となるため、株式発行を検討中の人は第108条を確認しつつ、株式の権利内容を決定することになります。
また、株式発行に関する条文として挙げられるのは「会社法第199条」です。株式を発行する場合、募集事項の決定が必要となることを規定している条文となるため、株式発行を検討中の人は第199条を確認しつつ、募集株式の詳細を決定することになります。
なお、新株予約権に関する条文は第二編の第三章に規定されています。新株予約権は将来に新株を取得する権利のことを指す関係上、資金調達方法のひとつとなるため、新株予約権による資金調達を検討している人は該当部分を確認してみましょう。
社債発行を検討中の場合
社債発行を検討中の場合、社債発行に関する条文を指針として、資金調達を進めることになります。社債発行に関する条文は多岐にわたるため、社債発行を検討中の人は社債発行に関する条文を確認しておきましょう。
【社債発行に関する条文の具体例】
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 第四編の「社債」 | ・募集社債の条件(第676条) ・募集社債の割当方法(第678条) ・社債原簿の項目(第681条) ・社債管理者の設置(第702条) |
社債発行に関する条文として挙げられるのは「会社法第676条」です。社債を発行する場合、募集社債の総額や利率といった条件を定めることを規定している条文となるため、社債発行を検討中の人は第676条を確認しつつ、募集社債の詳細を決定することになります。
また、社債発行に関する条文として挙げられるのは「会社法第702条」です。社債を発行する場合、弁済受領や債権保全といった管理を委託することを規定している条文となるため、社債発行を検討中の人は第702条を確認しつつ、社債管理者を選定することになります。
なお、社債管理者は不要となる場合があります。「各社債の金額が一億円以上である場合」と「社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合」は例外とされ、社債管理者が不要となるため、社債発行を検討している人は覚えておきましょう。
会社法に違反した場合は罰則を受けるおそれがある
会社法は違反した場合の罰則を定めています。認識の有無にかかわらず、会社法に違反した場合は罰則を受けるおそれがあるため、資金調達における会社法の情報を知りたい人は罰則の規定を確認しておきましょう。
【会社法における罰則の具体例】
| 罰則 | 具体例 |
|---|---|
| 取締役等の特別背任罪(第960条) | 「取締役」や「発起人」など、一定の立場の人が任務に背く行為をすることにより、株式会社に財産上の損害を加えたときは10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方を科す |
| 違法配当罪(第963条5項2号) | 「取締役」や「発起人」など、一定の立場の人が法令や定款の規定に違反して、剰余金の配当をしたときは5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方を科す |
| 虚偽文書行使等の罪(第964条) | 「株式」「新株予約権」「社債」など、資金調達の募集時に重要な事項について虚偽の記載のあるものを行使したときは5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方を科す |
| 株式の超過発行の罪(第966条) | 「取締役」や「発起人」など、一定の立場の人が株式会社が発行することができる株式の総数を超えて株式を発行したときは5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金を科す |
罰則は会社法の第八編にまとめられています。第八編は第960条~第979条から構成される関係上、それぞれの条文ごとに違反内容や罰則が規定されているため、資金調達を行う予定の人は第八編の中から資金調達に関する条文を確認することになります。
資金調達に関する条文は複数あります。「違法配当罪」「虚偽文書行使等の罪」「株式の超過発行の罪」など、資金調達に関する罰則を規定している条文は複数あるため、資金調達を行う予定の人はそれぞれの条文を理解する必要があります。
なお、会社法は行政罰も規定しています。今回紹介した条文は刑事罰に関する条文ですが、会社法第976条では、行政罰に該当する「過料に処すべき行為」を規定しているため、資金調達に関する会社法の情報が知りたい人は第976条を確認しておきましょう。
まとめ
資金調達における会社法の役割は経営の健全性を保つことです。会社法に基づき、資金調達することにより、経営の健全性を保つことにつながるため、資金調達を検討している人はその前提を踏まえておきましょう。
資金調達を予定している場合、検討中の資金調達方法がある人は会社法の該当部分を確認することになります。資金調達に関連するルールを把握できるため、検討中の資金調達方法がある人は会社法の該当部分を確認してみましょう。
会社法は違反した場合の罰則を定めています。認識の有無にかかわらず、会社法に違反した場合は罰則を受けるおそれがあるため、資金調達における会社法の情報を知りたい人は罰則の規定を確認しておきましょう。