資金調達における事業計画書の書き方と記入例を解説

金融機関による融資や投資家による出資など、資金調達を予定している人の中には、資金調達先に提出することを目的として事業計画書を作成したい人もいますよね。その際、事業計画書の作成経験がないことにより、事業計画書の作成方法を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、資金調達における事業計画書の書き方と記入例を解説します。資金調達方法に応じた事業計画書の書き方と記入例を解説するため、資金調達に向けて事業計画書の作成方法を知りたい人は参考にしてみてください。

事業計画書の書き方は検討中の資金調達方法に合わせる

資金調達を予定している場合、事業計画書の書き方は検討中の資金調達方法に合わせることになります。求められる観点が異なる関係上、資金調達方法ごとに書き方を変えることになるため、資金調達に向けて事業計画書を作成したい人はその前提を踏まえておきましょう。

【事業計画書が必要となる資金調達方法の具体例】

項目 概要
融資 「銀行」や「信用金庫」など、金融機関から融資を受ける方法
出資 「ベンチャーキャピタル」や「エンジェル投資家」など、投資家から出資を受ける方法
補助金 「経済産業省」や「地方自治体」など、公的機関から資金を受給する方法

事業計画書が必要となる資金調達方法として挙げられるのは「融資」「出資」「補助金」です。求められる観点が異なる関係上、資金調達方法ごとに書き方を変えることになるため、資金調達に向けて事業計画書を作成したい人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

融資における事業計画書の書き方

資金調達方法として融資を検討している場合、融資における事業計画書の書き方を把握することになります。金融機関は融資の実行により、それ相応のリスクを負うことになるため、融資を受けたい人はその前提を踏まえつつ、事業計画書の書き方を確認してみましょう。

融資を受けたい場合、事業計画書から「返済能力の安定性」を伝えることになります。金融機関は可能な限り、貸し倒れリスクを避ける必要があるため、事業計画書から返済能力の安定性を伝えられるかどうかが金融機関の判断材料のひとつとなります。

また、融資を受けたい場合、事業計画書から「収支計画の根拠」を伝えることになります。金融機関は収支計画に実現可能性の高さを求めるため、事業計画書から収支計画の根拠を明確にできるかどうかが金融機関の判断材料のひとつとなります。

金融機関向けの事業計画書を作成する場合、現実的な数値計画を意識する必要があります。事業計画書から返済能力の安定性を示すことになるため、融資を受けたい人はその前提を踏まえつつ、事業計画書を作成してみましょう。

融資の場合の記入例

融資を検討している場合、返済能力の安定性を伝える項目として挙げられるのが「事業の見通し」です。事業の見通しは売上高や利益の予測を示す内容となるため、融資を検討している人は事業計画書における事業の見通しの記入例を確認してみましょう。

【飲食業における事業の見通しの記入例】

項目 創業時 軌道に乗った後 数字の根拠
売上高① 120万円 200万円 【創業当初】
①売上高
客単価4,800円×10席×1回転×25日=120万円
②原価率:45%
120万円×0.45=55万円
③経費
人件費:アルバイト1人
(時給1,200円×10時間×10日=12万円)
家賃:10万円
その他:13万円
(備品費、広告費、通信費など)
【軌道に乗った後】
①売上高:創業当初の1.7倍を想定
②当初の原価率45%を採用
③人件費:アルバイト1人を増員(月12万円)
その他:備品費と通信費など計2万円の増加
売上原価② 54万円 90万円
経費 人件費 12万円 24万円
家賃 10万円 10万円
支払利息 2万円 2万円
その他 13万円 15万円
合計③ 37万円 51万円
利益
①-②-③
29万円 59万円

事業の見通しを記入するときのポイントは「数字の根拠」を明確にすることです。「売上高の根拠となる計算式」や「売上原価の根拠となる計算式」など、数字の根拠を明確にすることにより、事業の見通しの信憑性を伝えられる可能性があります。

また、事業の見通しを記入するときのポイントは「経費の内訳」を明確にすることです。「家賃の額」「人件費の増加額」「通信費の増加額」など、経費の内訳ごとの数字を明確にすることにより、事業の見通しの計画性を伝えられる可能性があります。

なお、事業の見通しを記入するときは業績が想定を下回る場合を想定した数字を採用する余地があります。金融機関に対して、業績が変動するリスクを把握していることを伝えられる可能性があるため、事業の見通しを作成するときは念頭に置いておきましょう。

出資における事業計画書の書き方

資金調達方法として出資を検討している場合、出資における事業計画書の書き方を把握することになります。投資家は利益還元を目的として出資することになるため、出資を受けたい人はその前提を踏まえつつ、事業計画書の書き方を確認してみましょう。

出資を受けたい場合、事業計画書から「事業の成長性」を伝えることになります。投資は投資先の企業価値を上げることにより、利益を得る仕組みとなるため、事業計画書から事業の成長性を伝えられるかどうかが投資家の判断材料のひとつとなります。

また、出資を受けたい場合、事業計画書から「事業の収益性」を伝えることになります。投資は元本保証がない関係上、投資資金を回収する必要があるため、事業計画書から事業の収益性を伝えられるかどうかが投資家の判断材料のひとつとなります。

投資家向けの事業計画書を作成する場合、成長シナリオと収益モデルを意識する必要があります。投資家に対して、事業計画書から利益獲得の可能性を伝えることになるため、出資を受けたい人はその前提を踏まえつつ、事業計画書を作成してみましょう。

出資の場合の記入例

出資を検討している場合、事業の成長性を伝える項目として挙げられるのが「ビジネスモデル」です。ビジネスモデルは収益性や競合優位性を示す内容となるため、出資を検討している人は事業計画書におけるビジネスモデルの記入例を確認してみましょう。

【IT業におけるビジネスモデルの記入例】

項目 記入例
収益性 中小企業を対象としたクラウド型SaaSを提供する。月額2万円のサブスクリプションモデルに加え、「ユーザー数」や「追加機能」に応じたプランを設定する。運用の自動化により、ユーザー数が増加した場合でも追加コストを抑えられるため、利益率が向上するスケーラブルな収益モデルとなる。
市場規模 国内の中小企業約300万社を中心とした業務支援SaaS市場となる。初期は飲食業界の中小企業をターゲットとする。飲食業界は人手不足や業務の属人化といった課題が顕在化しているため、SaaS導入ニーズが高い分野となる。
競合優位性 競合他社は存在するが、多機能かつ高価格な製品が多いため、中小企業には導入ハードルが高い傾向にある。本システムは経理業務に機能を限定したことに加え、直感的に操作できるUIと低価格な料金体系を採用している点が強みとなる。

ビジネスモデルを記入するときのポイントは「一貫性のあるストーリー」を明確にすることです。「ターゲットは飲食業界」や「スケーラブルな収益モデル」など、一貫性のあるストーリーを示すことにより、ビジネスモデルの説得力を伝えられる可能性があります。

また、ビジネスモデルを記入するときのポイントは「成長性の根拠」を明確にすることです。「直感的に操作できるUI」や「低価格な料金体系」など、成長性の根拠を示すことにより、ビジネスモデルの信憑性を伝えられる可能性があります。

なお、投資家向けの事業計画書を作成する場合、出口戦略が求められます。「IPO」や「M&A」など、利益を確定させる戦略を示すことにより、投資家の判断材料のひとつとなる可能性があるため、事業計画書を作成するときは覚えておきましょう。

補助金における事業計画書の書き方

資金調達方法として補助金を検討している場合、補助金における事業計画書の書き方を把握することになります。補助金制度の目的は政策目標の達成となるため、補助金を受給したい人はその前提を踏まえつつ、事業計画書の書き方を確認してみましょう。

補助金を受給したい場合、事業計画書から「制度との適合性」を伝えることになります。補助金は公的資金が原資となる関係上、政策目標の達成が目的となるため、事業計画書から事業内容と制度の適合性を伝えられるかどうかが公的機関の判断材料のひとつとなります。

また、補助金を受給したい場合、事業計画書から「事業の社会的意義」を伝えることになります。雇用増加や地域活性化など、社会全体の利益が求められるため、事業計画書から社会的意義を伝えられるかどうかが公的機関の判断材料のひとつとなります。

公的機関向けの事業計画書を作成する場合、公募要領を把握する必要があります。公募要領を把握することにより、その補助金制度の趣旨や目的を理解できる可能性があるため、補助金を受給したい人はその前提を踏まえつつ、事業計画書を作成してみましょう。

補助金の場合の記入例

補助金を検討している場合、制度との適合性を伝える項目として挙げられるのが「補助事業の内容」です。補助事業の内容は事業の方針や事業の効果を示す内容となるため、補助金を検討している人は事業計画書における補助事業の内容の記入例を確認してみましょう。

【美容業における補助事業の内容の記入例】

項目 記入例
補助事業名 美容室のデジタルツール導入による業務効率化
販路開拓の取組内容 ≪SNSの活用≫
「Instagram」や「LINE公式アカウント」の活用により、新メニューやキャンペーン情報を発信する。
≪オンライン予約システムの導入≫
24時間の予約受付を可能にすることにより、電話応対の負担を軽減しつつ、予約機会の取りこぼしを防ぐ。
≪地域イベント参加≫
「地域イベントの参加」や「ワークショップの実施」などの施策により、認知度向上と新規顧客獲得を図る。
業務効率化の取組内容 ≪顧客管理システム(CRM)の導入≫
補助金により、顧客管理システムを導入する。顧客情報を一元管理できるため、フォローアップメールやクーポン配信を自動化できる。
≪タブレット端末での在庫管理≫
補助金により、在庫管理システムを導入する。消耗品や薬剤の在庫をリアルタイムで管理することにより、発注作業を削減する。
≪業務マニュアルのクラウド化≫
スタッフの教育や研修に必要となる時間を短縮することに加え、サービス品質を均一化する。
補助事業の効果 ≪売上増加≫
新規顧客は月に20%増加を見込み、年間売上は10%増加を見込む。
≪業務効率化≫
顧客管理と在庫管理の効率化により、週10時間の事務作業を削減できる。
≪雇用創出≫
売上増加により、パートのスタッフを2人増員できるため、地域の雇用に貢献する。

補助事業の内容を記入するときのポイントは「効果の具体性」を明確にすることです。「年間売上の10%増加」や「パートスタッフの2人増員」など、補助事業を実施することによる効果を明確にすることにより、補助事業の計画性を伝えられる可能性があります。

また、補助事業の内容を記入するときのポイントは「補助金の使途」を明確にすることです。「顧客管理システムの導入」や「在庫管理システムの導入」など、補助金の使途を明確にすることにより、補助金の必要性を伝えられる可能性があります。

なお、補助金を受給した場合、提出済みの事業計画書に従って補助事業を進めることになります。事業計画書通りに補助事業が進められているかどうかの報告を求められることがあるため、補助金を受給したい人はその前提を踏まえておきましょう。

事業の基本情報に関する項目はいずれの資金調達方法にも共通する

事業計画書を作成する場合、項目は多岐にわたります。事業の基本情報に関する項目はいずれの資金調達方法にも共通するため、資金調達における事業計画書の作成方法が知りたい人は共通する項目を確認してみましょう。

【いずれの資金調達方法にも共通する項目の具体例】

項目 概要
職務経歴 経営者の職務経歴を記入する。「従事した業務」や「取得した資格」など、事業に活かせるスキルを伝える。
事業内容 事業内容を記入する。「販売する商品」や「提供するサービス」など、具体的な事業内容を伝える。
資金計画 資金調達の計画を記入する。「資金調達の希望額」や「資金使途ごとの金額」など、資金調達に関する計画を伝える。
収支計画 今後の収支計画を記入する。「月々の返済額」や「売上の見込み」など、根拠のある収支計画を伝える。

いずれの資金調達方法にも共通する項目として挙げられるのは「職務経歴」です。「従事した業務」「就任した役職」「取得した資格」など、職務経歴や実績から経営者としての信頼性を伝えることになります。

また、いずれの資金調達方法にも共通する項目として挙げられるのは「資金計画」です。「資金調達の希望額」「資金使途ごとの金額」「資金調達先ごとの内訳」など、資金調達に関する計画から資金調達の必要性を伝えることになります。

いずれの資金調達方法にも共通する項目は事業計画書の土台となります。事業の基本情報に関する項目となる関係上、共通する項目を先に作成しておくことにより、段階的に事業計画書を作成できる可能性があるため、事業計画書を作成したい人は覚えておきましょう。

必要項目を知りたい人はフォーマットを参考にしてみる

必要となる項目を知りたい場合、公開されているフォーマットを参考にする方法があります。フォーマットを参考にすることにより、事業計画書の全体像を把握できる可能性があるため、必要となる項目を知りたい人はフォーマットを確認してみましょう。

【公開されているフォーマットの具体例】

たとえば、日本政策金融公庫は事業計画書のフォーマットを公開しています。「創業者向けの創業計画書」や「中小企業向けの事業計画書」など、いくつかのフォーマットが公開されているため、事業計画書に必要となる項目を確認することができます。

また、TOKYO創業ステーションは事業計画書のフォーマットを公開しています。創業支援の専門家が作成した事業計画書のひな型が公開されているため、事業計画書に必要となる項目を確認することができます。

なお、資金調達先によってはフォーマットが指定されている場合があります。フォーマット通りに事業計画書を作成する必要があるため、事業計画書を作成するときは資金調達先がフォーマットを指定しているかどうかを確認することから始めてみましょう。

事業計画書を作成した後は記入内容を見直す

事業計画書を作成した後は記入内容を見直すことを検討する余地があります。記入内容を見直すことにより、修正点を見つけられる可能性があるため、事業計画書を作成した人は資金調達先に提出する前に記入内容を見直してみましょう。

記入内容を見直すときのポイントは「全体の一貫性」です。「事業目的」「経営方針」「資金計画」など、全体の一貫性が欠けている場合は資金調達先から事業計画書の信頼性が低いと判断されるおそれがあります。

また、記入内容を見直すときのポイントは「数字の整合性」です。「必要となる資金」「利益の見込み」「経費の内訳」など、数字の整合性が欠けている場合は資金調達先から事業計画書の根拠が乏しいと判断されるおそれがあります。

なお、作成した事業計画書を専門家に添削してもらう方法があります。資金調達の専門家に添削してもらうことにより、改善点に関する助言を受けられる可能性があるため、事業計画書を作成した人は専門家に確認してもらうことを検討してみましょう。

まとめ

資金調達を予定している場合、事業計画書の書き方は検討中の資金調達方法に合わせることになります。求められる観点が異なる関係上、資金調達方法ごとに書き方を変えることになるため、資金調達に向けて事業計画書を作成したい人はその前提を踏まえておきましょう。

事業計画書を作成する場合、項目は多岐にわたります。事業の基本情報に関する項目はいずれの資金調達方法にも共通するため、資金調達における事業計画書の作成方法が知りたい人は共通する項目を確認してみましょう。

事業計画書を作成した後は記入内容を見直すことを検討する余地があります。記入内容を見直すことにより、修正点を見つけられる可能性があるため、事業計画書を作成した人は資金調達先に提出する前に記入内容を見直してみましょう。

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