資金調達におけるピッチ資料の役割を解説

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家など、投資家から資金調達することを検討している人の中には、ピッチ資料という言葉を聞いたことがある人もいますよね。その際、ピッチ資料の内容が分からず、ピッチ資料の役割を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、資金調達におけるピッチ資料の役割を解説します。ピッチ資料が担う役割に加え、ピッチ資料を作成するときの項目も解説するため、資金調達におけるピッチ資料の情報を知りたい人は参考にしてみてください。

ピッチ資料の役割は資金調達先に成長戦略を伝えること

ピッチ資料の役割は資金調達先に成長戦略を伝えることです。資金調達先に事業の成長戦略を理解してもらうことにより、資金提供の意思決定につながる可能性があるため、資金調達におけるピッチ資料の情報が知りたい人はその前提を踏まえておきましょう。

ピッチ資料とは、事業の成長性やビジネスモデルなどを伝えるスライド資料のことです。ピッチ資料はピッチデックとも呼ばれ、要点を数枚のスライドにまとめた資料となるため、資金調達時に限らず、採用活動や営業活動といった業務でも活用することができます。

資金調達したい場合、ピッチ資料を活用することにより、端的に事業の成長戦略を伝えられる可能性があります。「ピッチイベント」や「面談」など、限られた時間内に事業の価値を伝えたい場面では、ピッチ資料が視覚的に成長戦略を伝える役割を担うことになります。

なお、他社のピッチ資料を参考にしたい場合、公開されている事例を参考にする方法があります。「海外のスタートアップ企業」や「資金調達を実施した国内企業」など、ピッチ資料を公開している企業があるため、気になる人は各企業の情報を参考にしてみましょう。

ピッチ資料と事業計画書は役割が異なる

資金調達時に必要となる書類のひとつとして、事業計画書が挙げられます。事業計画書とピッチ資料は役割が異なるため、ピッチ資料の情報が知りたい人は資金調達における事業計画書とピッチ資料の違いを押さえておきましょう。

【資金調達におけるピッチ資料と事業計画書の違い】

項目 ピッチ資料 事業計画書
役割 ・事業に関する情報を端的に伝える
・資金調達先に興味を持ってもらう
・事業に関する情報を網羅的に伝える
・資金調達先に事業の内容を示す
形式 10枚程度のスライド 数枚~数十枚の資料
場面 ピッチイベントや投資家との面談など 融資審査や補助金審査など

事業計画書の役割は事業に関する情報を網羅的に伝えることです。「融資の審査」や「補助金の審査」など、金融機関や公的機関から資金調達する場合に提出を求められる傾向があるため、実現可能性の高い数値や根拠を用いつつ、事業の将来性を示す書類となります。

一方、ピッチ資料の役割は事業に関する情報を端的に伝えることです。「ピッチイベント」や「投資家との面談」など、投資家から資金調達する場合に活用される傾向があるため、図表やグラフを用いつつ、事業の将来性を示す書類となります。

なお、事業計画書を作成済みの場合、その内容をピッチ資料に活かすことができます。事業計画書をピッチ資料に落とし込むことにより、双方の書類に一貫性を持たせることができるため、ピッチ資料を作成するときは予備知識として覚えておきましょう。

資金調達における事業計画書の情報が知りたい人は「資金調達における事業計画書の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。

ピッチ資料を作成するときは項目ごとにスライドを分ける

ピッチ資料を作成する場合、項目ごとにスライドを分ける方法があります。1枚のスライドから伝える情報量を絞ることにより、要点を明確にできる可能性があるため、ピッチ資料を作成するときは項目ごとにスライドを分けることを検討してみましょう。

【ピッチ資料における項目の分類】

  • 事業に関する項目
  • 市場に関する項目
  • 資金に関する項目
  • チームに関する項目

ピッチ資料の項目は「事業」「市場」「資金」「チーム」に分類できます。1枚のスライドから伝える情報量を絞ることにより、要点を明確にできる可能性があるため、資金調達に向けてピッチ資料を作成したい人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

事業に関する項目

ピッチ資料の項目として挙げられるのは「事業に関する項目」です。事業に関する項目はピッチ資料の導入部分に該当するため、資金調達に向けてピッチ資料を作成したい人は事業に関する項目を確認してみましょう。

【事業に関する項目】

項目 具体例
課題 ・解決したい課題は?
・課題はどれくらい深刻か?
・課題を抱えている顧客は?
解決方法 ・課題の解決方法は?
・既存手段の有無は?
・既存手段の問題点は?
プロダクト ・プロダクトの特徴は?
・プロダクトの使い方は?
・プロダクトのデモ動画は?

事業に関する項目のひとつは「課題」です。「課題の深刻さ」「課題を抱えている顧客」「課題を抱えている場所」など、具体的な課題とその根拠をスライドに表示することにより、事業に対するニーズを伝えることになります。

また、事業に関する項目のひとつは「プロダクト」です。「プロダクトの使い方」「プロダクトの特徴」「プロダクトのデモ動画」など、想定しているプロダクトの特徴や機能をスライドに表示することにより、プロダクトの価値を伝えることになります。

なお、事業に関する項目はプレゼンテーションの導入部分です。プレゼンテーションの導入部分の内容は資金調達先の興味を引けるかどうかを左右する可能性があるため、事業に関する項目を作成するときはその旨を念頭に置いておきましょう。

市場に関する項目

ピッチ資料の項目として挙げられるのは「市場に関する項目」です。市場に関する項目は事業の成長性を伝える部分となるため、資金調達に向けてピッチ資料を作成したい人は市場に関する項目を確認してみましょう。

【市場に関する項目】

項目 具体例
市場規模 ・TAM(理論上の最大の市場規模)は?
・SAM(ターゲットとなる市場規模)は?
・SOM(数年のうちに獲得可能な市場規模)は?
競合優位性 ・既存手段よりも選ばれる理由は?
・競合他社よりも優れている部分は?
・競合他社から模倣されにくい要因は?
ビジネスモデル ・LTV(顧客生涯価値)は?
・CAC(顧客獲得コスト)は?
・スケール後の収益構造は?

市場に関する項目のひとつは「市場規模」です。「理論上の最大の市場規模」や「数年のうちに獲得可能な市場規模」など、段階的に獲得を目指す市場をスライドに表示することにより、事業が目指す姿を伝えることになります。

また、市場に関する項目のひとつは「競合優位性」です。「既存手段よりも選ばれる理由」「競合他社よりも優れている部分」「競合他社から模倣されにくい要因」など、差別化できる理由をスライドに表示することにより、成長の見込みを伝えることになります。

なお、市場に関する項目は事業の成長性を伝える部分です。成長性は不確実な要素が含まれますが、ストーリーとして想像してもらうことにより、投資判断につながる可能性があるため、市場に関する項目を作成するときは一貫性のあるストーリーを想定してみましょう。

資金に関する項目

ピッチ資料の項目として挙げられるのは「資金に関する項目」です。資金に関する項目は事業の成長性を裏付ける根拠となるため、資金調達に向けてピッチ資料を作成したい人は資金に関する項目を確認してみましょう。

【資金に関する項目】

項目 具体例
資金使途 ・今回の調達希望額は?
・調達資金の使い道は?
・調達資金による成果は?
資金計画 ・黒字化の時期は?
・次の資金調達は?
・将来の出口戦略は?

資金に関する項目のひとつは「資金使途」です。「今回の調達希望額」「カテゴリごとの必要額」「調達資金による成果」など、今回の資金調達における金額やその資金使途をスライドに表示することにより、資金使途の妥当性を伝えることになります。

また、資金に関する項目のひとつは「資金計画」です。「黒字化を見込んでいる時期」「次の資金調達までの計画」「将来の出口戦略」など、中長期的な資金計画をスライドに表示することにより、事業の将来像を伝えることになります。

なお、資金に関する項目は事業の成長性を裏付ける根拠となります。計算式やグラフなど、根拠を明確に示すことにより、ビジネスモデルの信頼性を高められるため、資金に関する項目を作成するときは数字の根拠を示すことを念頭に置いておきましょう。

チームに関する項目

ピッチ資料の項目として挙げられるのは「チームに関する項目」です。チームに関する項目は組織としての実行力を伝える部分となるため、資金調達に向けてピッチ資料を作成したい人はチームに関する項目を確認してみましょう。

【チームに関する項目】

項目 具体例
経営者の情報 ・経営者の経歴は?
・経営者の専門分野は?
・起業の動機や目的は?
メンバーの情報 ・メンバーの人数は?
・メンバーの担当は?
・メンバーの実績は?

チームに関する項目のひとつは「経営者の情報」です。「経営者の職務経歴」「経営者の専門分野」「起業に至った動機や目的」など、経営者のスキルや実績をスライドに表示することにより、リーダーとしての信頼性を伝えることになります。

また、チームに関する項目のひとつは「メンバーの情報」です。「メンバーの担当や役割」「メンバーの実績やスキル」「組織体制」など、メンバーのスキルや役割分担をスライドに表示することにより、組織としての実行力を伝えることになります。

なお、チームに関する項目は事業を推進する実行力を伝える部分です。起業の動機や目的など、経営者の経歴から熱意や人柄を伝えられる可能性があるため、チームに関する項目を作成するときは念頭に置いておきましょう。

ピッチ資料が完成した後は質疑応答を練習しておく

ピッチ資料は要点を表示するスライド資料となるため、口頭での説明を行うことになります。ピッチイベントや投資家との面談では、限られた時間内に説明する必要があるため、ピッチ資料が完成した後は質疑応答の練習をしておきましょう。

【想定される質問事項】

項目 具体例
事業に関する質問 ・なぜ今事業を展開するのか?
・大手企業より選ばれる理由は?
市場に関する質問 ・市場規模を想定した根拠は?
・市場拡大が鈍化した場合の代替案は?
資金に関する質問 ・希望額に達しなかった場合の代替案は?
・売上が増加しなかった場合の代替案は?
チームに関する質問 ・メンバーの強みは?
・不足しているスキルは?

質疑応答を練習するときのポイントは想定される質問事項を洗い出しておくことです。ピッチ資料の項目ごとに想定される質問事項を洗い出しておくことにより、それぞれの質問事項に対する回答を準備しておくことができます。

また、質疑応答を練習するときのポイントは結論から答えることです。結論から回答することを心がけることにより、前置きや冗長表現を省けるため、資金調達先に伝えたい内容をより正確に答えられる可能性があります。

なお、質疑応答は資金調達先との信頼関係を構築できる機会です。質疑応答の練習を徹底しておくことにより、限られた時間内に資金調達先との信頼関係を構築できる可能性があるため、質疑応答の練習をするときはその前提を踏まえておきましょう。

まとめ

ピッチ資料の役割は資金調達先に成長戦略を伝えることです。資金調達先に事業の成長戦略を理解してもらうことにより、資金提供の意思決定につながる可能性があるため、資金調達におけるピッチ資料の情報が知りたい人はその前提を踏まえておきましょう。

ピッチ資料を作成する場合、項目ごとにスライドを分ける方法があります。1枚のスライドから伝える情報量を絞ることにより、要点を明確にできる可能性があるため、ピッチ資料を作成するときは項目ごとにスライドを分けることを検討してみましょう。

ピッチ資料は要点を表示するスライド資料となるため、口頭での説明を行うことになります。ピッチイベントや投資家との面談では、限られた時間内に説明する必要があるため、ピッチ資料が完成した後は質疑応答の練習をしておきましょう。

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