ビジネスローンは、日本政策金融公庫などの金融機関からの融資と比べて短期間で融資を受けられる場合が多いです。
銀行融資や公的融資では間に合わないという方にとっては利用しやすいサービスと言えるでしょう。
しかし、金利が高い事により借入後の事業への負担が大きく、返済時に苦しい思いをするケースもあります。
利用するときはビジネスローンのメリット・デメリットをよく検討しましょう。
今回は、事業の資金調達手段としてビジネスローンを選択することやビジネスローンの特徴やリスク等も合わせてご説明していきます。
1.資金調達におけるビジネスローン
ビジネスローンとは、自営業者や法人経営者向けに開発された商品であり、別名事業者ローンとも呼ばれることもあります。ビジネスローンのメリットは、概ね3日程度、長くても1週間で資金調達ができる即時性です。一方で、ビジネスローンのデメリットは、金利が高いため事業へかかる負担が大きくなりやすいことです。
一般的な資金調達手段について
ビジネスでの資金調達手段としては、政府系の金融機関である日本政策金融公庫からの融資や、民間の銀行からの融資、補助金や助成金などの利用が一般的です。「できるだけ金利負担が軽く、長期的に借りられるもの」が選ばれる傾向にあります。
特に創業時は、「できるだけ金利負担が軽く、長期的に借りられる」金融機関として、日本政策金融公庫や信用保証協会付きの融資を検討する方もいます。
どのような人がビジネスローンを利用するべきか
一般的なビジネスローンは、高い金利等で事業への負担が大きく、資金繰りが悪化してしまう可能性があります。しかし、短期間での利用で借入分の返済見通しがついている場合など、即時性を求めているときには優れている面もあります。
2.ビジネスローンの特徴
ビジネスローンの4つの特徴
〈1.審査が早い〉
銀行融資や公的融資では審査から実際に融資を受けるまでの期間が、約1ヶ月~1ヶ月半かかると言われています。低金利での融資が特徴の為、事業計画書や返済計画等の書類が重要視され、その分審査も厳しく、審査期間も長くかかってしまいます。
その反面、ビジネスローンでは審査から実際に借入を受けるまでの期間が概ね3日程度、長い場合でも1週間ほどで借入が可能です。銀行融資や公的融資と異なり、事業計画書等の書類は提出不要である傾向があります。審査担当者による事業状況の分析の必要が無いことが、審査期間にも影響していると言えるでしょう。
〈2.保証人と担保が不要になる〉
金融会社によって異なりますが、ビジネスローンでは連帯保証人と担保が不要となることがあります。これを無担保ローンと言います。
無担保ローンを利用する場合は、信用が事業主のみとなり、返済を延滞すると一括で返金を求められる場合があるため、注意が必要です。
〈3.総量規制の対象外となる〉
総量規制とは各個人が1年で借りられる額が年収の3分の1までと決められている制度の事を言います。ビジネスローンは事業関係への融資になる為、個人事業主であっても、個人が借りたものとはみなされず総量規制の対象にはなりません。
▪▪▪総量規制の例外としてビジネスローンを利用する条件▪▪▪
総量規制の対象外となる理由には、申込時に提出する書類も関係しています。ビジネスローンの申込時に提出するものが下記のものとなります。
書類 |
対象者 |
具体例 |
本人確認書 | 全ての人 | 免許証・パスポート・保険証 |
印鑑証明書 | 全ての人 | 代表者の印鑑証明書 |
収入証明書 | 法人以外の人 | 確定申告書・源泉徴収票・所得証明書・課税証明書 |
事業関連書 | 法人 | 登記事項証明書・登記簿謄本・決算書 等 |
事業関連書 | 個人事業者 | 資金計画書・収支内訳書・借入計画書 等 |
上記の書類がなぜ総量規制と関係しているのか、その理由が以下の「総量規制の例外としてビジネスローンを利用する条件」として提示されているためです。
条件① 代表者本人の直近の確定申告書
条件② 事業計画書・収支計画書・資金計画書の提出 条件③ 事業計画・収支価格等に照らし合わせ、利用者の返済能力を超えない範囲で融資 |
上記全ての条件を満たしているため、ビジネスローンは総量規制の対象外となるのです。
〈4.審査に必要な準備すべき書類がフリーローン等と比較して多い〉
ビジネスローンの種類により異なりますが、収入証明書はほとんどの事業者金融会社で必要となります。収入証明書の例として、確定申告書・源泉徴収票・所得証明書・課税証明書が該当します。
また、事業者金融会社によっては、事業関連書類が必要になることもあり、申込を行う金融会社に問い合わてみましょう。事業関連書類の例として、決算書等が該当します。この書類は、ビジネスローンでの借入を総量規制の対象外にするために必要な書類でもあります。
3.ビジネスローンの選び方
ビジネスローンは、審査から融資を受けるまでの期間が短いという点では強みとなりますが、金利が高いことは大きなリスクとなります。時間に余裕があるのであれば、融資を受けるまでの期間は長くかかってしまうかもしれませんが、低金利で事業への負担が少ない銀行や公的の融資を選択するようにしましょう。
比較的リスクの少ないビジネスローン
ビジネスローンの中でも、消費者金融などのノンバンクが行っているものと比較すると、銀行や信用金庫の金利は低い設定です。ノンバンクとは、預貯金の受け入れを行わず、貸金などの与信業務のみに対応している銀行以外の金融機関です。例えば、クレジットカード会社、信販会社、消費者金融会社、リース会社などの事業者がノンバンクに該当します。
ノンバンクが行っているビジネスローンでは、融資のスピードは審査から入金までにかかる時間が早いため、急いでいる方にとっては魅力を感じるかもしれません。一方で、銀行や信用金庫が行うビジネスローンでは、融資のスピードこそノンバンクに比べると3営業日~1週間とかかってしまいます。
銀行や信用金庫が行うビジネスローンでも、銀行や公的な融資と比べるとリスクの大きさは大きいものです。「公的融資は審査に通らないから始めから審査に通りやすいビジネスローンで資金調達をしよう」と考えるのではなく、借入後のリスクを考えることも重要です。
審査完了までの時間を短縮したい人向けのビジネスローン
急に事業資金が必要になったので、申込~審査完了までにかかる時間を短縮したいという人は、ノンバンクが行っているビジネスローンを上手に利用しましょう。
審査完了までの時間が比較的短いビジネスローンとしては、例えば下記表のようなサービスが挙げられます。
■審査完了までの時間が比較的短いビジネスローン会社の例
サービス名 | 金利(年率) | 利用限度額 | 融資対象者 |
AGビジネスサポート
『事業者ローン』 |
年3.1%~18.0% | 1,000万円 | 法人または個人事業主
※法人のお客様:75歳まで、個人事業主のお客様:69歳まで |
ビジネスパートナー
『スモールビジネスローン』 |
年9.98% 〜 18.0% | 500万円 | 法人経営者
個人事業主 |
プロミス
『自営者カードローン』 |
年6.3%~17.8% | 300万円 | 個人事業主
(※年齢20歳以上、65歳以下) |
オリックス・クレジット
『VIPローンカード BUSINESS』 |
年6.0%~17.8% | 500万円 | 法人経営者
個人事業主 |
ノンバンクが審査完了までにかかる時間を短縮できる理由
ノンバンクのビジネスローンで審査完了までにかかる時間を短縮できる理由は、借入を行う際に「スコアリングシステム」を利用した自動審査を採用しているからです。
「スコアリングシステム」とは、申込者が入力した情報と、経営数値などの過去の融資データと照らし合わせ、与信の可否や融資可能額、金利等を自動で計算するシステムです。人間が手動で計算するのではなく、機械的な計算で審査ができるので、審査にかかる時間も短縮できます。
このような理由から、審査に1ヵ月半~2ヵ月程度かかる金融機関等による融資に比べて、着金までの時間も比較的短くなります。
ノンバンクのビジネスローンで融資を受ける上でのポイント
審査完了までにかかる時間を短縮するためにおさえておきたい3つのポイントを確認しておきましょう。
■審査完了までにかかる時間を短縮するためのポイント
①午前中に申し込みを完了する |
②あらかじめ必要書類を用意しておく |
③申し込むビジネスローンは1社に留める |
①午前中に申し込みを完了させる
申し込みは午前中に完了させましょう。申し込んだその日に審査結果を受け取れるとは限らない上、審査に通過した場合も、契約を締結~銀行への振込依頼などの手続きが発生するからです。
「最短30分で審査が完了する」と謳っている商品もありますが、申込時の混雑状況や、申込に入力した内容に不備があった等のやむを得ない理由から、申し込んだその日に審査が完了しないこともあります。
②あらかじめ必要書類を用意しておく
あらかじめ必要書類を用意しておきましょう。必要書類を過不足なく提出しなければ審査が進まなくなってしまいます。
ノンバンクのビジネスローンの場合、一般的には下記必要書類の提出を求められます。商品によっては、求められる必要書類が異なる場合もあります。Webサイト等から事前に確認しておきましょう。
■必要書類
<法人の場合>
・代表者本人を確認する書類 ・決算書 ・登記事項証明書(商業登記簿謄本) |
<個人事業主の場合>
・本人確認書類 ・確定申告書 ・申し込むビジネスローン所定の事業内容確認書 ※その他必要に応じた書類 |
特に、本人確認書類と、決算書や確定申告書等など事業所得を証明する書類は必ず必要になりますので、急に必要になった時のためにも書類の発行方法などは確認しておくと良いでしょう。
事業所得を証明する書類についてはそれぞれ次の記事で詳細に説明していますので、こちらもチェックしてみてください。
③申し込むビジネスローンは1つに絞る
申し込むビジネスローンは1社だけに絞りましょう。同時に複数のビジネスローンに申し込むと、審査の担当者から「よほどお金に困っている人」と見なされ、返済能力を疑われてしまう恐れがあります。
審査において、ビジネスローン側は申込者の信用情報を照会します。信用情報には金融機関との取引履歴が残っていますので、他社に申し込んでいるかどうか、いつ申し込んだかも分かるため、他社への同時申込を隠すことも不可能です。
複数社のビジネスローンを検討するのは問題ありませんが、申し込む際は1つだけに絞りましょう。
まとめ
今回は、ビジネスローンについて解説しました。ビジネスローンは一般的には高い金利を支払うことになります。
返済の見通しを立てたうえで、ビジネスローンでの借入を検討するようにしましょう。