札幌市で利用できる創業融資は?地域の特徴と制度を解説

札幌市での創業は、豊かな地域資源や観光需要を活用できる魅力がある一方で、積雪寒冷地特有のコスト負担が課題となります。店舗の内装工事費や冬場の光熱費がかさむため、資金計画に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、札幌市内で利用できる創業融資制度は、こうした地域事情を考慮し、他地域よりも手厚い条件設定がなされているケースが少なくありません。除雪対策に特化した融資制度が存在する点も、豪雪地帯である札幌ならではの特徴です。

本記事では、札幌市の創業融資が持つ地域的な特徴や、融資審査における重要ポイント、そして具体的に利用できる6つの制度について詳しく解説します。自身の事業計画に最適な資金調達方法を見つけるための参考にしてください。

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札幌市の創業融資の特徴

札幌市における創業融資の特徴は、他の地域と比較して融資限度額が高めに設定されている点です。一般的な自治体の創業融資制度では上限が3,500万円程度となるケースが多い中、札幌市では5,000万円まで対応可能な制度が用意されています。

高めの限度額が設定される背景には、北海道特有の「寒冷地仕様」による建築コストや設備投資の負担があります。断熱性能の高い内装や強力な暖房設備の導入に加え、車社会である札幌では広めの駐車場確保が必要となるなど、開業時の初期費用が本州よりも高額になりやすいためです。

【札幌市で利用できる創業融資制度】

機関・制度の種類 札幌エリアにおける特徴
札幌市・北海道の制度融資 融資限度額が5,000万円(市)など高めの設定。市による信用保証料の補助(制度により全額免除等)があり、資金調達コストを抑えやすい。
公的金融機関(日本政策金融公庫) 7,200万円(うち運転資金4,800万円)までの大型枠を持つ。無担保・無保証人の特例措置が充実している。
民間金融機関(信用金庫など) 地域独自の創業ローンで1,000万円超の限度額を設定するケースがある。公庫との協調融資にも積極的。

なお、利用限度額が高いといっても、誰でも限度額上限までの融資が受けられるわけではありません。融資額は審査の結果として決定されるものであり、とくに希望額の1/10の自己資金が必要とされる制度もあるため、融資を受ける1年前から事前準備を進めることが重要になります。

除雪対策が融資に関係する

店舗型ビジネスや駐車場を要する事業を行う場合、札幌市の創業融資では「除雪対策」が具体的になされているかが審査の評価ポイントとなります。冬期間の除雪費用や排雪業者への委託費は安くないため、これらが収益を圧迫するリスクがないか確認されるためです。

審査の際には単に立地を見るだけでなく「敷地内に雪の堆積スペースがあるか」や「ロードヒーティング等の設備があるか」を金融機関の担当者が現地に来てチェックします。事業計画書上の数値だけでなく、物理的に冬を越せる環境が整っているかが重視されるのです。

なお、こうした雪対策にかかる設備投資を支援するため、札幌市では除雪対策専用の融資制度も設けられています。除雪対策用の融資は無利息で受けられるため、店舗型のビジネスの展開を予定している場合は利用を検討すると良いでしょう。

札幌市で創業時に利用できる制度

札幌市で創業する際に利用可能な融資制度を整理しました。それぞれの制度は金利や限度額、対象となる事業規模が異なります。

【主な創業融資制度のスペック比較】

制度名 金利・保証料 限度額 特徴
札幌市制度融資

創業・雇用創出支援資金

年1.5%以内

市が保証料の1/4を補助

5,000万円 ・低金利かつ汎用性が高い

・札幌市の主力制度

札幌市制度融資

小規模事業資金

年1.4%以内

保証料は事業者負担

1,500万円 ・従業員が少ない小規模事業者向け

・金利負担が最も低い

日本政策金融公庫

新規開業・スタートアップ支援資金

基準利率

原則不要(特例適用時)

7,200万円 ・単一機関で審査が完了する

・無担保・無保証人で利用可能

北海道信用保証協会

スタートアップ創出促進保証

金融機関所定

所定の保証料が必要

3,500万円 ・経営者保証を不要とする
北洋銀行

北洋スタートアップローン

銀行所定

所定の保証料が必要

8,000万円 ・スタートアップ・DX企業向け

・経営支援サービスが付帯

札幌市建設局

融雪施設設置資金融資あっせん制度

無利子

別途保証料が必要

300万円 ロードヒーティング等の設置工事費専用

※ 2026年1月時点の金利基準で株式会社Solaboが作成

融資制度を選ぶ際の基本となるのは、金利が低く設定されている「札幌市制度融資(創業・雇用創出支援資金)」か、無担保・無保証人の特例が利用しやすい日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」のいずれかです。

さらに資金が必要な場合や、特定の設備投資が必要な場合に、民間金融機関の独自ローンや目的別融資を併用するのが一般的です。公庫と民間金融機関を組み合わせてリスクを分散させる「協調融資」という手法も、地域金融機関との関係構築において有効な手段となります。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。10,000件以上の融資サポートの実績から金融機関からいくら借り入れができるそうか無料診断できるほか、専門家の知見から状況に合わせてどの制度を利用するべきかお話ししますので、気になる人は無料診断を試してみてください。

札幌市制度融資「創業・雇用創出支援資金」

創業・雇用創出支援資金」は、札幌市内で新たに事業を始める方、または創業から5年未満の方を対象とした融資制度です。札幌市が金融機関に対して利子補給などを行うことで、民間のプロパー融資よりも有利な条件で資金を調達できる仕組みになっています。

創業・雇用創出支援資金の特徴は、年1.5%以内という固定金利の低さと、融資限度額の大きさです。創業前や創業直後であっても、事業に必要な資金の9割まで、最大5,000万円の申し込みが可能であり、設備投資がかさむ寒冷地での創業をバックアップしています。

【創業・雇用創出支援資金の特徴】

項目 内容
金利 年1.5%以内(固定金利)
保証料 所定の保証料が必要(札幌市が保証料の1/4を補助)
融資限度額 5,000万円

(創業前および創業後1年未満は所要額の90%以内)

要件 ・札幌市内で新たに個人または法人で事業を開始する方

・事業開始後5年未満の方

特徴 ・長期間の固定金利で返済計画が立てやすい

・特定創業支援等事業の証明書があれば保証料率がさらに低減

相談・申込先 札幌市内の取扱金融機関

(銀行、信用金庫、信用組合の融資窓口)

創業・雇用創出支援資金は、金利コストを抑えつつまとまった資金を確保したいと考える、あらゆる業種の創業者に適しています。市からの保証料の優遇措置も受けられるため、札幌市で融資を受けるなら第一候補として検討すべき制度です。

なお、この制度は「制度融資」という仕組み上、申し込みから融資実行までに信用保証協会の審査を経る必要があります。日本政策金融公庫の直接融資と比較すると、着金までに1ヶ月から2ヶ月程度の時間を要する場合があるため、資金が必要になる時期から逆算して早めに相談を開始することが重要です。

札幌市制度融資「小規模事業資金」

小規模事業資金」は、小規模な企業や個人事業主を対象とした融資制度です。札幌市の制度融資ラインナップの中で低い金利設定となっており、資金調達コストを最小限に抑えたい事業者にとってメリットがあります。

融資限度額は1,500万円であり、他の制度と比較して少な目に設定されています。その分、金利は年1.4%以内と低め条件で固定されており、毎月の返済負担を少しでも軽くしたい創業初期の経営に適しています。

【小規模事業資金の特徴】

項目 内容
金利 年1.4%以内(固定金利)
保証料 所定の保証料が必要
融資限度額 1,500万円
要件 常時使用する従業員数が20人(商業・サービス業は5人)以下の会社または個人
特徴 ・札幌市の制度融資の中で最も金利が低い

・小規模な運転資金や設備資金向き

相談・申込先 札幌市内の取扱金融機関

(銀行、信用金庫、信用組合の融資窓口)

この制度は、自宅兼オフィスで事業を行うフリーランスや、家族経営の飲食店など、多額の資金を必要としないものの、低コストで堅実に資金を確保したい方に最適です。また、すでに事業を開始しており、突発的な修繕費や少額の運転資金が必要になった際にも利用しやすい設計となっています。

なお、この制度を利用するためには「従業員数」の要件を厳密に満たしている必要があります。商業やサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は従業員が5人以下であることが条件となります。また、保証料は全額負担となるため、金利基準が低くても最終的な支払いは高くなるケースも考えられるので、借入前にシミュレーションしておくと良いでしょう。

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

新規開業・スタートアップ支援資金」は、日本政策金融公庫が提供する融資制度の中でもとくに創業時に利用される制度です。新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方を対象としており、創業者に対して政府系金融機関ならではの公平かつ積極的な融資を行っています。

新規開業・スタートアップ支援資金を利用する独自のメリットは、一定の要件を満たすことで「無担保・無保証人」での利用が可能になる点です。事業が万が一うまくいかなかった場合でも経営者個人が債務を負わずに済む仕組みは、リスクを恐れる創業者にとって心理的安全性をもたらします。

【新規開業・スタートアップ支援資金の特徴】

項目 内容
金利 基準利率(年2%台半ば~)

※特例により引き下げあり

保証料 不要(公的融資のため信用保証料がかからない)
担保・保証人 原則不要(無担保・無保証人特例の適用時)
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
要件 ・新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方

・創業資金総額の10分の1以上の自己資金があること(要件あり)

特徴 ・融資実行までのスピードが早い(1ヶ月~1.5ヶ月程度)

・保証料が不要なため、実質コストは制度融資と競合する

相談・申込先 日本政策金融公庫 札幌支店・札幌北支店

融資実行までのスピード感を重視する方や、保証人を立てずに資金調達を行いたい方は、新規開業・スタートアップ支援資金の利用を検討しましょう。制度融資と異なり、信用保証協会の審査を挟まないため、面談から着金までの期間が短く、開業準備で急ぎの資金が必要な場合に適しています。

なお、この制度を利用して無担保・無保証人の適用を受けるためには、創業計画書の質と自己資金の裏付けが厳しく審査されます。特に札幌エリアでは、実際の店舗や事務所が存在するかを確認する「現地調査」が行われる傾向にあるため、賃貸契約や内装工事の進捗について、実態を伴った準備を進めておきましょう。

北海道信用保証協会「スタートアップ創出促進保証」

北海道信用保証協会の「スタートアップ創出促進保証」は、創業時に経営者が直面するリスクである「連帯保証」の負担を解消できる保証制度です。従来の創業融資では、法人で借り入れを行う際でも代表者が連帯保証人となることが一般的でしたが、この制度を利用すれば、原則として経営者保証を不要とすることができます。

事業が仮に失敗した場合でも、経営者個人の自宅や個人の預貯金といった生活基盤を守ることができるため、リスクの高い新規事業に挑戦する起業家にとって非常に価値のある制度です。

【スタートアップ創出促進保証の特徴】

項目 内容
金利 金融機関所定の金利
保証料 所定の保証料が必要

(※上乗せ保証料により経営者保証を解除する仕組み)

融資限度額 3,500万円
要件 ・創業前または創業後5年未満の法人であること

・法人と個人の資産・経理が明確に分離されていること

特徴 ・経営者保証が不要(個人の資産を守れる)

・創業計画やガバナンス体制のチェックが必要

相談・申込先 札幌市内の取扱金融機関

または北海道信用保証協会

スタートアップ創出促進保証は、将来的な事業拡大(スケールアップ)を目指して法人を設立する方や、万が一の際のリスクを最小限に抑えたいと考える方に最適です。特に、自己資金に余裕があり、会社のお金と個人のお金を厳格に分けて管理できる体制を作れる方であれば、審査を通過する可能性が高まります。

なお、信用保証協会は金融機関でないため、金利は利用する金融機関の所定金利が適応される点には注意が必要です。とくに変動金利での借り入れをした場合には最終的な返済負担がどれくらいになるか予測が着きにくいという注意点があるため、金利上昇した場合に備えた返済計画を立てておくことが重要になります。

北洋銀行「北洋スタートアップローン」

北洋スタートアップローン」は、北海道経済の中心的な役割を担う北洋銀行が、将来性のあるスタートアップ企業を支援するために設計した独自の商品です。設立から10年以内の企業を対象としており、革新的な技術や新しいビジネスモデルを持つ事業者に対して、最大8,000万円という大規模な資金供給を行います。

北洋スタートアップローンの特徴は、資金面だけでなく、銀行が持つ広範なネットワークを活用した経営支援が受けられる点です。ビジネスマッチングによる販路拡大や、クラウドファンディングの活用支援、さらにはDXツールの導入サポートなど、事業を成長軌道に乗せるための付加価値がセットになっています。

【北洋スタートアップローンの特徴】

項目 内容
金利 銀行所定の金利
保証料 銀行所定の保証料または信用保証料が必要
融資限度額 8,000万円
要件 ・設立10年以内の法人

・新規性、成長性のある事業計画を有すること

特徴 ・地域金融機関ならではの企業紹介や販路開拓支援がある

・DX支援サービス「Big Advance」等の活用提案がある

相談・申込先 北洋銀行 本支店窓口

この制度は、単に開業資金を借りたいだけでなく、将来的な株式上場や事業売却を視野に入れた「成長志向」の強い起業家に適しています。とくにIT関連や先端技術、北海道の資源を活用した新しいサービスなど、スケールアップを目指すビジネスモデルであれば、銀行の強力な後ろ盾を得ることができます。

なお、このローンは民間金融機関独自の商品であるため、審査結果に応じて金利条件が設定されます。創業当初の実績がない段階では、公的融資の方が金利負担を低く抑えられるケースも一般的であるため、まずは低利な公的融資でベースとなる資金を確保し、その枠を超えて資金が必要な場合や、銀行との取引実績を作りたい場合に、このローンの併用を検討すると良いでしょう。

札幌市建設局「融雪施設設置資金融資あっせん制度」

融雪施設設置資金融資あっせん制度」は、雪対策としてロードヒーティングや融雪槽(機)の設置費用を支援する、札幌市独自のあっせん制度です。市が金融機関に対して融資のあっせんを行うことで、利用者は金利負担なしで設備資金を借り入れることができます。

この制度の最大の利点は、数百万円単位の初期投資が必要となる雪対策設備を、金利コストゼロで導入できる点にあります。店舗の駐車場や敷地内の除排雪は、手作業や外部委託で行うと多大な労力とランニングコストがかかり続けますが、この融資を活用して設備を導入すれば、毎年の維持管理負担を大幅に軽減することが可能です。

【融雪施設設置資金融資あっせん制度の特徴】

項目 内容
金利 無利子(札幌市があっせん)
保証料 信用保証料が必要
融資限度額 300万円
要件 ・札幌市内にロードヒーティング等の融雪施設を設置する方

・市税を完納していること

特徴 ・金利負担がゼロ

・毎年の排雪コスト削減や重労働からの解放につながる

相談・申込先 札幌市建設局 雪対策室 計画課

または取扱金融機関

融雪施設設置資金融資あっせん制度は、来客用の駐車場を確保する必要がある飲食店や小売店、あるいは敷地が広く除雪作業の負担が大きい事業所に適しています。創業時に店舗物件を選定する際、ロードヒーティングがない物件であっても、この制度を使って後付けで設置することで、理想的な立地と冬場の利便性を両立させることができます。

なお、この融資は市と提携金融機関が別々に審査を行うため、片方の審査に落ちた場合は利用できません。また、無利息であっても元金の必要はあり、別途で保証料の支払いも必要になるので、他の融資と併用する場合も返済計画の中に組み込んでおきましょう。

まとめ

札幌市での創業は、積雪や寒冷地仕様の設備投資といった独自のコスト要因と向き合う必要がありますが、それを補って余りある手厚い融資制度が整っています。他地域よりも高めに設定された融資限度額や、除雪設備に特化した無利子融資などは、まさに「冬の厳しさ」を乗り越えるために用意された強力な武器です。

資金調達を成功させるための王道ルートは、金利メリットの大きい「札幌市制度融資」と、無担保・無保証人の特例が使いやすい「日本政策金融公庫」の二つを軸に検討することです。まずはこの両輪で事業の土台となる資金を確保し、必要に応じて民間金融機関の独自ローンや、雪対策専用の融資を組み合わせることで、リスクを分散させながら盤石な財務体制を築くことができます。

融資審査においては、単なる情熱だけでなく「冬場のコスト増を織り込んだ現実的な収支計画」と「物理的な雪対策」が問われます。札幌ならではのハードルを事前に理解し、適切な制度を選んで活用することで、北の大地でのビジネスを有利な条件でスタートさせてください。

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