事業者が経営を続ける中で、売上の回収遅延や突発的な支出により、急ぎで資金を調達しなければならない場面は珍しくありません。その際、銀行からの即日融資を受けられるかどうかが気になる人もいるのではないでしょうか。
当記事では、銀行融資における即日対応の有無を解説します。銀行融資以外で即日対応が可能な借入れ方法や、借入先を検討する際の注意点などもあわせて紹介するので、早急な資金調達を検討している人は参考にしてみてください。
銀行融資の即日対応は原則として行われていない
銀行では、原則として即日対応の融資は行われていません。銀行で融資を受けるには、申請者の返済能力や事業の安定性などを確認するために複数の観点から慎重な審査が行われることから、一定の期間を要します。
銀行の融資審査では、事業者の信用情報や財務状況、事業計画などが総合的にチェックされます。審査には提出書類の精査に加えて融資担当者との面談が含まれ、審査期間は銀行や融資の種類によって異なるものの、おおむね2週間から1か月程度かかる傾向にあります。
また、融資の申請には事前に複数の書類を揃えておかなければなりません。必要書類の中には、他機関からの取り寄せが必要なものや作成に時間を要するものなどがあるため、書類の準備だけを見ても銀行融資の即日対応は難しいことがわかります。
即日の借入が必要な状況において、銀行融資は現実的な選択肢とは言えません。銀行融資を検討する場合は、書類の準備や審査に一定の時間がかかることを念頭に置き、余裕を持って申請スケジュールを組む必要があります。
審査期間を短縮する方法
銀行融資の審査には一定の時間を要するものの、いくつかの対策を講じることで審査期間を短縮できる可能性があります。即日対応は難しくても、事前準備や申請先の選定などを工夫することで、早期の融資実行につながります。
【審査期間を短縮する方法】
- 必要書類を不備なく提出する
- 地方銀行やネット銀行を選ぶ
- 取引実績のある銀行に申し込む
審査期間を短縮する方法のひとつに、必要書類を不備なく提出することが挙げられます。書類に誤字や提出漏れがあると確認や差戻しの手間が発生し、審査の着手が遅れる可能性があるため、チェックリストを用意してミスをなくしておきましょう。
また、審査期間を短縮する方法のひとつに、地方銀行やネット銀行を選ぶことが挙げられます。地域密着型の地方銀行やオンライン完結型のネット銀行は、審査工程が簡易で関与する機関も少ないため、メガバンクよりも融資までの期間が短い傾向にあります。
そして、審査期間を短縮する方法のひとつに、取引実績のある銀行に申し込むことが挙げられます。既存の口座情報や過去の融資履歴が活用されることで、与信判断に必要な情報の確認が簡略化され、審査プロセスがスムーズに進みやすくなります。
審査期間を短縮するためには、事前の準備と申請先の選定がポイントです。銀行融資を利用してできるだけ早く資金を調達したい人は、それぞれの対策を意識したうえで申請してみてください。
なお、融資を申請する銀行の担当者に希望する資金の受取時期を明確に伝えると、対応を早めてもらえる可能性があります。理由を整理したうえで、必要時期と合わせて説明できるようにしておくと、担当者とのやり取りがスムーズになります。
即日融資に対応している借入れ方法を確認する
銀行融資は即日対応が難しいものの、他の借入方法であれば条件次第で即日の資金調達が可能な場合があります。急ぎで資金が必要な人は、対応可能な手段を把握しておきましょう。
【即日融資に対応している借入れ方法】
借入れ方法 | 審査や手続きの特徴 |
---|---|
ノンバンクのビジネスローン | ・スピード重視の審査体制により、最短即日での融資が可能 ・銀行融資と比べて提出書類が少なく、審査が簡易的 |
ネット銀行のビジネスローン | ・あらかじめ口座がある場合は、即時の借入が可能 ・手続きはすべてオンラインで、審査も効率的に進められる |
即日の資金調達を希望する場合は、ノンバンクやネット銀行のビジネスローンを利用できます。申請条件や手続きの流れをあらかじめ確認しておくことで、迅速に借入れを進められる可能性が高まります。
なお、都市銀行や地方銀行が取り扱うビジネスローンは、他の融資商品よりも審査が早く進む傾向にありますが、融資実行までには最短でも2〜3営業日を要します。同じビジネスローンであっても、ノンバンクやネット銀行のように即日の融資には対応できない点を留意しておきましょう。
ノンバンクの即日融資
ノンバンクが提供するビジネスローンは、即日で資金を調達したいときに適した借入方法です。クレジットカード会社や信販会社、消費者金融などのノンバンクは、銀行融資と比べて必要書類が少なく審査手続きも簡易的なため、申請から融資までを短期間で完了できる特徴があります。
ノンバンクのビジネスローンには、一括借入れおよび一括返済型の「証書貸付」がありますが、即日での借入れを希望する場合は「カードローン形式」の商品が主流です。申請から契約までをオンラインで完結できるサービスであり、最短で当日の口座振込が可能です。
ただし、金利は銀行融資よりも高めに設定されている傾向にあります。申請前に契約条件を確認し、必要資金と返済計画のバランスを見極めてから申し込むことが大切です。
なお、即日での振込を希望する場合は、各機関が定める締切時刻までに必要書類のデータを提出しなければなりません。提出の締切は午前中から14時頃までに設定されている傾向にあるため、即日の融資を前提とする場合は締切時刻を事前に確認しておきましょう。
ネット銀行の即日融資
ネット銀行が提供するビジネスローンは、即日で資金を調達したいときに適した借入れ方法です。申し込みから契約、借入までをすべてオンラインで完結できるため、来店の手間がかかりません。
すでに対象のネット銀行に口座を持っている場合は、即日で資金を受け取れる可能性があります。あらかじめ融資枠を設定しておけば、その範囲内で24時間365日、即時の借入に対応できる商品も用意されています。
ただし、即時借入が可能な商品であっても、メンテナンスの時間帯や銀行側の処理状況によっては反映が遅れる場合があります。システム上は24時間365日対応でも、実際の着金が遅れることもあるため、確実に即日資金を受け取りたい場合は余裕をもって申し込みましょう。
なお、一部のネット銀行では、口座の入出金履歴や残高状況などの取引実績をもとに、融資条件が優遇されることがあります。安定した資金の流れが確認できれば、その後の借入審査が早く進み、即日融資につながる可能性が高まります。
即日融資をうたう悪徳業者に注意する
即日融資を強調して勧誘する事業者の中には、違法な金利設定や過剰な取り立てを行う悪徳業者が紛れ込んでいることがあります。正規の金融機関を装ったサイトや広告に惑わされないよう、借入先の信頼性は必ず確認しましょう。
貸金業登録番号や問い合わせ先が不明な業者は、特に慎重な見極めが必要です。貸金業者の登録状況や所在地などを確認できる金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」を活用し、正式な貸金業者かどうか事前に確認しておきましょう。
なお、SNS広告やWeb上の広告の中には、実在する大手金融機関の名称やロゴを無断で使用し、誤認を誘う詐欺的な事例も確認されています。即日で借りられるという言葉だけを頼りに契約を進めず、必ず正式な情報源から確認を行ってください。
まとめ
銀行融資は、原則として即日での資金調達には対応しておらず、審査から融資実行までには少なくとも2週間程度を見込んでおく必要があります。審査期間を短縮するためには「不備なく提出書類を揃えておくこと」や「大手銀行よりも審査が進みやすい申請先を選ぶこと」がポイントです。
即日での借入れが必要な場合は、ノンバンクやネット銀行が提供するビジネスローンの利用が有効な選択肢となります。必要書類が少なくオンラインで完結できるため迅速に借りられる傾向にあるものの、金利や条件を事前に確認しておくことが大切です。
なお、「即日融資」をうたう業者の中には、悪質な違法業者が紛れている場合があります。借入先を検討する際は、業者の登録状況や連絡先が明示されていることを確認し、信頼できる正規の金融機関を通じて手続きを進めるよう心がけましょう。