現在金融機関から借り入れをしている個人事業主や法人の中には、銀行から新たな融資を受けたいと考えている人もいますよね。その際、別の金融機関からの借り入れがあると、銀行融資を受けることは難しいのではと考える人もいるでしょう。
銀行融資の利用を申し込む際には、すでに別の金融機関から受けている融資を「他社借入」として申告する必要があります。他社借入がある場合、申告した他社借入の状況も含めて融資の可否が判断されます。
当記事では、他社借入がある人が銀行融資を受けられる可能性と、他社借入が審査に与える影響を解説します。現在、別の金融機関からの借り入れがある状態で、新たに銀行融資を受けたいと考えている人は当記事を参考にしてみて下さい。
他社借入がある人でも銀行融資を受けることは可能
他社借入がある人でも、銀行融資を受けることは可能です。銀行融資の可否は、申し込み時の財務状況や提示した事業計画の内容など、さまざまな要素に基づいて総合的に判断されるためです。
銀行融資の審査において、他社借入の有無は審査項目のひとつとされていますが、他社借入の有無のみで融資の可否が決まることはありません。提出書類や面談を通じて十分な返済能力があることを証明できれば、他社借入があっても審査に通過できる可能性があります。
なお、他社借入として申告が必要となる項目は銀行によって異なります。事業用と個人用の借り入れはいすれも申告を求められる傾向にありますが、個人的な借り入れやクレジットカードによる借り入れの申告を不要とする銀行もあるため、事前に申し込みを希望する銀行へ確認しておきましょう。
他社借入の実績が有利に働く場合もある
銀行融資の審査においては、他社借入の実績が有利に働く可能性もあります。他社の融資審査に通過した実績や延滞なく返済を重ねた実績は、一定の返済能力や信用力の証明につながる場合があるためです。
たとえば、他社の審査に通過した実績は、他の金融機関によって事業の成長や実現可能性を認められた客観的な証拠となります。金融機関ごとに審査基準は異なるものの、他社の審査において評価を得た実績は、一定の信用力があると判断される可能性があります。
また、他社借入に対する返済実績は、安定して返済できる財務状況であることの証明になります。期日通りに返済を続けられていることは、新たな融資の審査において、一定の返済能力があると判断される可能性があります。
銀行融資を受けるにあたって他社借入があることが、必ずしも不利になるとは限りません。他社借入がある状態で新たに銀行融資を受けたいと考えている人は、予備知識として覚えておきましょう。
審査において確認される他社借入の内容
銀行融資に申し込む際、審査において他社借入の有無や返済状況などを確認されます。他社借入の内容の確認は、銀行が将来の返済に与える影響力を把握するために行われます。
【審査において確認される他社借入の内容】
項目 | 内容 |
---|---|
借入の種類 | 現在どの金融機関からどのような借り入れをしているか |
借入の件数 | 現在いくつの金融機関から借り入れをしているか |
借入の残高 | 現在他社からの借り入れはいくら残っているか |
返済の履歴 | 過去に返済の遅延や滞納がないか |
銀行融資の審査において確認される他社借入の内容として「借入の種類」「借入件数」「借入残高」「返済履歴」などが挙げられます。銀行は各確認項目から、借入先や借入の利用目的、借入の残高や返済の滞りの有無などを把握しています。
たとえば、銀行は借入の種類から、他社借入が事業資金の借り入れであるか消費目的の借り入れであるかを確認しています。他社借入の目的が、事業の収益を増加させるためのものかどうかによって、将来的な返済能力に差が生じる可能性があるためです。
他社借入がある人が銀行融資を受ける際は、他社借入の契約内容や返済状況などを詳細に確認されます。申請書類に記載した他社借入の内容が不明確である場合には、説明や追加書類の提出が求められる場合があることにも留意しておきましょう。
審査に悪影響をおよぼす他社借入の状況
他社借入の有無のみで銀行融資の可否が判断されることはありませんが、他社借入の状況によっては審査に悪影響をおよぼす可能性があります。
【審査に悪影響を及ぼす他社借入の状況】
- 複数の金融機関から借り入れている
- 返済の遅延や滞納がある
- 高金利の借り入れが多い
たとえば、複数の金融機関からの借り入れがある場合、資金繰りの不安定さや資金管理能力の低さが懸念されます。資金繰りが上手くいっていないとみなされ、将来の返済が滞る可能性が高いと判断される可能性があります。
また、返済の遅延や滞納がある場合、業績や財務状況の悪化が懸念されます。将来の返済においても返済の遅延や滞納を起こすおそれがあるとみなされ、貸し倒れのリスクが高いと判断される可能性があります。
そして、高金利の借り入れが多い場合、返済負担の大きさが懸念されます。毎月の返済額に占める利息の割合が大きく、元本の返済がなかなか進まない状況にあるとして、返済余力がないと判断される可能性があります。
現在の他社借入の状況において多重債務に陥っている人や返済の延滞がある人は、銀行融資の審査を通過できない可能性があります。まずは、自身の財務状況を健全化させる対策を講じることを検討しましょう。
虚偽の申告は罰則の対象となる
銀行融資を受ける際には、申請書類を通じて他社借入の自己申告を行いますが、他社借入の虚偽の申告は行わないようにしましょう。虚偽の申告は、審査に通過できる可能性を極めて低くさせるだけでなく、契約の解除や一括返済などの罰則を受けることとなるためです。
銀行は審査を行う際、ローンやクレジットカードの利用履歴を管理する信用情報機関を通じて申請者が申告した他社借入の内容をチェックしています。信用情報機関からは、個人や法人が契約をしている信用取引の情報を把握できるため、虚偽の申告はすぐに発覚します。
銀行に虚偽の申告が見つかった際には、信用力に問題があると判断され、審査は中止となり申請は否決されます。虚偽の発覚が契約後である場合には、契約の解除と借入残額の一括返済を要求され、契約違反や一括返済の事実が信用情報機関に記録されることとなります。
他社借入の虚偽の申告は融資を断られるだけでは留まらず、信用情報に傷をつけ今後の金融取引に多大な悪影響を及ぼします。借入件数や借入金額などの記載の誤りも虚偽の申告とみなされる場合があるため、他社借入の申告を行う際は正確な記載と正直な申告を心がけましょう。
なお、他社借入の契約内容や返済状況などを確認したい場合、信用情報機関へ開示請求を行うことができます。自身の信用情報がどのように登録されているかを正確に知ることができるため、虚偽の申告を防ぐための対策として取り入れてみて下さい。
まとめ
他社借入がある人でも、銀行融資を受けることは可能です。銀行融資の審査において、他社借入の有無は審査対象のひとつではあるものの、銀行融資の可否は財務状況や提示された事業計画の内容などさまざまな要素から総合的に判断されるためです。
他社借入がある人が銀行融資を受ける際、他社借入の契約内容や返済状況などが確認されます。他社借入の状況において「複数の金融機関からの借り入れがある」「返済の遅延や滞納がある」「高金利の借り入れが多い」などの場合には、審査に悪影響を及ぼす可能性があるため留意しましょう。
なお、他社借入の自己申告を行う際、虚偽の申告をすることは絶対に避けましょう。他社借入の虚偽の申告は融資を断られるだけでは留まらず、信用情報に傷をつけ今後の金融取引に多大な悪影響を及ぼすため、銀行融資を受ける際には、正確な記載と正直な申告を心がけましょう。