事業資金の調達を考えている人の中には、銀行融資の利用を検討している人もいますよね。希望の融資額を借り入れることができた場合、返済額はいくらになるのかを知りたいと思っている人もいるでしょう。
当記事では、銀行融資を受ける際の返済額について解説します。毎月の返済額や総返済額を把握する方法についても紹介しているため、銀行融資における返済額の目安を把握したい人は、参考にしてみてください。
返済額がいくらになるかは借入条件によって異なる
銀行融資を受ける際の返済額がいくらになるかは、借入条件によって異なります。返済額は、銀行から借り入れたお金を指す「元金」と借り入れたことへの対価として支払う「利息」の合計で決まりますが、合計金額は借入条件によって変動するためです。
【返済額に影響を与える借入条件】
項目 | 概要 |
---|---|
借入金額 | 借入金額が増えるほど返済額を構成する元金と利息の合計が増える |
金利 | 金利が高くなるほど利息の総額が増えるため、返済総額が増える |
返済期間 | 返済期間が長くなるほど利息を支払う回数や期間が増えるため、返済総額は増える |
返済方法 | 返済方法の違いによって返済当初の返済額や返済総額に差が生じる |
返済額に影響を与える借入条件として「借入金額」「金利」「返済期間」「返済方法」が挙げられます。それぞれの借入条件は、毎月の返済額や返済総額に直接影響します。
借入条件が返済額にどのような影響を与えるかを把握することにより、自身の財務状況に合わせた借入条件を検討できるようになります。無理のない借入をするためにも、それぞれの借入条件が返済額にどのように影響するのかを詳しく確認していきましょう。
借入金額
銀行融資の返済額は、借入金額によって変動します。返済額は、元金と利息の合計であることから、借入金額が増えるほど両方の要素が増加するためです。
たとえば、借入金額以外の融資条件が同じ状況において、3000万円と4000万円を借りる場合では、4,000万円を借り入れた方が返済額が大きくなります。返済すべき元金が1,000万円増えることに加え、元金に基づいて算出される利息も増えるためです。
借入金額が大きいほど、返済すべき元金と支払うべき利息が多くなります。銀行融資を受ける際は、自身の返済能力を踏まえた上で、銀行に提示する借入希望額を検討しましょう。
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金利
銀行融資の返済額は、金利によって変動します。金利は利息の割合を示す値であり、適用される金利が高いほど支払う利息の総額は増加します。
たとえば、金利以外の融資条件が同じ状況において、金利が2.0%の場合と3.0%の場合では、3.0%の方が利息の総額が大きくなります。金利がわずかでも上昇すると、毎月支払う利息の金額が増えるとともに、返済額全体に占める利息の割合も大きくなるためです。
金利が高くなると、元金に上乗せされる利息が増えるため、返済総額も大きくなります。低金利の融資を選ぶことは資金調達コストを抑えることにつながるため、利用する金融機関や融資制度を選ぶ基準のひとつとしてみてください。
なお、適用される金利は、事業者の信用力を踏まえて決定されます。銀行融資における金利の相場や金利に影響を与える要因について知りたい人は「銀行融資における金利と利息を解説」の記事もあわせて参考にしてみてください。
返済期間
銀行融資の返済額は、返済期間によって変動します。返済期間は「利息が発生する期間」でもあるため、返済期間を長期に設定するほど、支払う利息の総額が増えることになります。
たとえば、返済期間以外の融資条件が同じ状況において、返済期間が5年の場合と10年の場合では、10年の方が利息の総額が大きくなります。返済期間が5年長い分、利息を支払う回数や期間が増えるためです。
しかし、返済期間以外の融資条件が同じ状況において、返済期間が5年の場合と10年の場合では、10年の方が月々の返済額を抑えることができます。返済すべき元金を、より長い期間で分割して支払うことが可能となるためです。
返済期間が長いほど毎月の返済負担を軽減することができますが、将来的に支払うことになる返済総額は大きくなります。月々の返済額と将来的な返済総額の両方を考慮した上で、自身の財務状況に合った返済期間を検討することが大切です。
なお、銀行融資の返済期間は審査によって決定されます。申込者自身で返済期間を自由に設定することはできませんが、希望を考慮してもらえる可能性があるため、返済計画や資金繰りの見通しを明確にしたうえで事前に銀行の融資担当者へ相談してみましょう。
返済方法
銀行融資の返済額は、返済方法によって変動します。銀行融資の返済方法はおもに「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類であり、それぞれ利息の基準である元金の減り方が異なることから、月々の返済額および返済総額に違いが生じます。
元利均等返済は、毎月の返済額における「元金と利息の合計金額」を一定とする方法です。毎月の返済額が一定であり、元金均等返済と比較して初期の返済負担は、元金の減り方が緩やかであるため、元金均等返済よりも返済総額が高くなる傾向にあります。
元金均等返済は、毎月の返済額における「元金の金額」を一定とする方法です。元利均等返済と比較して初期の返済負担は大きいものの、元金の減りが早いため支払う利息が少なくなり、返済総額を抑えられる傾向にあります。
高額の借り入れや長期の借入ほど、元利均等返済と元金均等返済における返済額の差が大きくなります。融資条件によっては、返済方法の選択が返済額に大きく影響する可能性がある点を念頭に置いておきましょう。
返済額をシミュレーションしてみる
借入条件の変動が返済額に与える影響を把握した人は、実際に返済額の目安をシミュレーションしてみましょう。返済額をシミュレーションすることにより、希望の借り入れ条件において無理なく返済を続けられるかを見極めることが可能になります。
ここでは「借入金額を1,000万円」「金利を2.0%」「返済方法を元利均等返済」という条件で借り入れを行った場合の、返済期間ごとの返済額を予測しました。返済期間の設定によって、返済額や返済総額のシミュレーション結果が異なります。
【元利均等返済である場合のシミュレーション】
返済期間 | 月々の返済額 | 返済総額 |
---|---|---|
3年 | 約286,425円 | 約10,311,300円 |
5年 | 約175,277円 | 約10,516,620円 |
7年 | 約127,674円 | 約10,724,616 円 |
10年 | 約92,013円 | 約11,041,560円 |
返済期間が5年の場合と10年の場合における返済額のシミュレーションでは、毎月の返済額に約83,264円、総返済額に約524,940円の差が生じる結果となりました。返済期間のみ変わるだけでも、返済負担に違いが生じることが分かります。
このほかにも「借入金額を変えた場合」「金利を変えた場合」「返済方法を変えた場合」では、それぞれ返済額のシミュレーション結果が異なります。事業の収益や資金繰りの状況を考慮し、無理のない返済計画となるよう借入条件を検討することが大切です。
なお、金融機関のホームページでは、借入条件を入力することにより自動で返済額の目安を算出できる返済シミュレーションツールが提供されている場合があります。さまざまな条件における返済額の違いをシミュレーションできるため、返済額の目安を知りたい人は活用してみてください。
借入条件が決まっていない場合は各項目の相場を参考にする
返済額のシミュレーションを行う際には、少なくとも「借入金額」「金利」「返済期間」「返済方法」の情報を入力しなければなりません。具体的な借入条件が決まっていない場合は、各項目の相場や傾向を参考にシミュレーションしてみましょう。
【返済額を予測する際の借入条件の目安】
項目 | 目安 |
---|---|
借入金額傾向 | 運転資金:月商の2~3ヶ月分 設備資金:導入を検討している資産等の価格 |
金利 | 年利1.0%〜3.0%程度 |
返済期間 | 運転資金:3~7年 設備資金:5~10年 |
返済方法 | 毎月の返済額を一定にしたい場合:元利均等返済 返済総額を抑えたい場合:元金均等返済 |
借入金額が決まっていない場合、資金使途ごとの借入金額の相場を参考にできます。事業において継続的に必要となる「運転資金」は月商の2~3ヶ月分、資産等の購入に一時的に必要となる「設備資金」は、導入を検討している資産等の合計額を目安とします。
金利が決まっていない場合、銀行融資の平均金利を参考にできます。適用金利は融資の種類や申込者の状況によって変動しますが、銀行融資における金利の相場は、おおむね年利1.0%〜3.0%となる傾向にあります。
返済期間が決まっていない場合、融資制度に設けられている返済期間の上限を参考にできます。運転資金と設備資金それぞれに上限が設けられており、制度によって異なるものの「運転資金」は7年以内、「設備資金」は10年以内に設定されている傾向にあります。
返済方法が決まっていない場合、それぞれの返済方法における返済額の傾向を参考にできます。毎月の返済額を一定にして返済計画を安定させたい場合は「元利均等返済」、将来的な返済総額を抑えたい場合は「元金均等返済」を選択します。
借入条件に決まっていない項目があっても、相場や傾向を参考に返済額をシミュレーションしておくことで、返済額のおおよその目安を知ることができます。シミュレーションに基づき希望の返済条件を検討し、銀行の融資担当者へ相談してみてください。
返済額をシミュレーションをしたら資金繰り表に落とし込んでみる
返済額のシミュレーションをしたら、資金繰り表に落とし込んでみましょう。資金繰り表に落とし込むことで、シミュレーションで算出した返済額が現実的に支払い可能かどうかを判断することができます。
資金繰り表に落とし込んだとき、月々の現金収支がプラスであり、現金残高にも余裕が見られる場合であれば、算出した返済額は現実的な返済額である可能性が高いです。万が一突発的な出費や売上減少があっても、現金残高に余裕があれば対応することが可能であるためです。
一方で、資金繰り表に落とし込んだとき、現金残高がマイナスになる月がある場合や余裕が見られない場合には、算出した返済額は現実的ではない可能性が高いです。融資を受けた後に資金ショートに陥り、返済が滞るおそれがあるためです。
資金繰り表にシミュレーションした返済額を落とし込み、手元にいくらの現金が残るかを予測することで、無理のない返済が続けられるかを確認することができます。銀行融資を受ける際は、資金繰り表の試算結果を踏まえた上で、実現可能な事業計画を立てましょう。
まとめ
銀行融資を受ける際の返済額がいくらになるかは、借入条件によって異なります。返済額は、銀行から借り入れたお金を指す「元金」と借り入れたことへの対価として支払う「利息」の合計で決まりますが、合計金額は借入条件によって変動するためです。
返済額に影響する借り入れ条件には「借入金額」「金利」「返済期間」「返済方法」が挙げられます。それぞれの借入条件が返済額にどのような影響を与えるかを把握することにより、自身の財務状況に合わせた借入条件を検討できるようになります。
希望の借入条件における返済額の目安を知るには、金融機関が提供している「返済額シミュレーションツール」を利用できます。返済額シミュレーションツールに入力する具体的な借入条件が決まっていない場合は、各項目の相場や傾向を参考にすることができます。
返済額のシミュレーションをしたら、結果を資金繰り表に落とし込み、現実的に支払い可能かどうかを判断することが大切です。銀行融資を利用する際は、返済シミュレーションと資金繰り表の試算結果を踏まえた上で、実現可能な事業計画を立てましょう。