会社を設立し、ご夫婦ともに役員となり、経営していくということはよくあることですが、奥様を常勤役員から、非常勤役員にするだけで、会社の社会保険料負担額を削減することができます。 ご夫婦にかぎらず、常勤役員を非常勤役員にするだけで、社会保険料が削減されることがありますので、気になる方は、ご参照ください。
目次
なぜ、常勤役員を非常勤役員にするだけで、社会保険料は削減できるのか?
報酬が高いか低いかに関係なく、『常勤役員』は社会保険の被保険者となってしまいます。
例えば、相談役や顧問、監査役など、毎月の報酬が低い方でも常勤役員の場合には、社会保険の被保険者となります。
つまり、『常勤役員』となった時点で、被保険者となってしまうので、会社は、社会保険料を負担しなければなりません。
では、常勤役員を非常勤役員に変更した場合にはどうなるのでしょうか?
【ポイント】
常勤役員を非常勤役員に変更し、一定の条件を満たせば、被保険者ではなくなります。
一定の条件とは、次の2点です。
- 1日の所定労働時間が正社員の3/4未満であること
- 1ヵ月のうち、正社員の3/4未満の出社であること
非常勤役員になり、あまり出社しなければ、被保険者にならないため、会社は社会保険料を負担する必要はありません。
2.非常勤役員で被保険者に該当する人としない人
ここからは、例を使って説明します。
(例) A株式会社では、 正社員の方の労働条件は、 1日8時間労働 週40時間労働 1ヶ月21日出社 です。
《非常勤役員1の労働時間》
1日6時間労働 月に16日出社
6時間 / 8時間 ⇒3/4 以上
16日 / 21日 ⇒ 3/4 以上
よって、この非常勤役員は、被保険者となるため、社会保険に加入しなければなりません。
《非常勤社員2の労働時間》
1日5時間労働 月に22日出社
5時間 / 8時間 ⇒ 3/4 未満
21日 / 21日 ⇒ 3/4 以上
毎日出社してもらっても、労働時間が3/4以上とならないため社会保険に加入する必要はなくなります。
つまり、
・毎日出社してもらっていても、1日の勤務時間が5時間であれば、社会保険の加入義務はない
・毎日8時間働いてもらっていても、1ヶ月で15日以内の出社に押さえてもらえば社会保険の加入義務はない
ということになります。
社会保険に加入するか否かは、役員報酬の高低で決まるわけではない?
役員報酬が低い非常勤役員でも、役員報酬が高額な非常勤役員であっても、上記2の条件に該当しなければ、被保険者に該当しません。そのため、会社は、社会保険料を負担する必要はありません。
なお、常勤役員であれば、常に社会保険の加入義務がありますので、ご注意ください。
夫婦で経営している会社の社会保険削減方法とは
妻はもともと常勤役員でしたが、非常勤役員になってもらい、さらに、労働日数も減らしたため、被保険者ではなくなりました。
さらに、妻の年収を130万円未満(60歳以上は180万円未満)の場合には、夫の健康保険の被扶養者となり、国民年金は第3号被保険者(20歳以上60歳未満の場合)です。
まとめ
常勤役員は、報酬の多寡に関係なく、被保険者になります。非常勤役員であれば、一定の要件を満たさなければ、被保険者に該当しないため、会社は、社会保険料を負担しなくてよいということを覚えておきましょう。
ほとんど出社していない方が、常勤役員になっているのであれば、非常勤役員にするのもひとつの手です。