カードローンを利用している人のなかには、第三者に不正利用されてしまった人もいるのではないでしょうか。ローンカードの紛失や暗証番号の流出など、考えられる原因はいくつかありますが、不正利用された人はすぐにカードローン会社と警察に電話しましょう。
先延ばしにすればするほど、状況が悪化するおそれがあるため、カードローンを不正利用された人は早めの行動を心掛けてください。早めに対処すれば、被害を最小限に抑えられ、大事にならずに済む可能性があります。
カードローンを不正利用された人は、まずは焦る気持ちを抑え、解決策を確認した上で冷静に対処しましょう。
カードローン会社と警察にすぐに連絡する
ローンカードの紛失や暗証番号の流出など、第三者に不正利用されている危険性があるときは、すぐにカードローン会社と警察に連絡してください。
カードローンを不正利用されたときの流れは、下記の通りです。
【 カードローンを不正利用されたときの流れ 】1)カードローン会社に連絡し、原因を説明してからカードの利用停止をお願いする 2)交番や警察署に出向き、紛失届、盗難届、被害届のいずれかを提出する 3)届出の受付番号または受理番号を警察官から受け取る 4)受付番号または受理番号をカードローン会社に伝える 5)カードローン会社から送付された書類に必要事項を記入して返送する 6)カードローン会社から再発行されたローンカードが送られてくる |
カードローンを不正利用された人は、すぐにカードローン会社に連絡し、担当者にローンカードを停止してもらう必要があります。その後、交番や警察署に出向き、紛失届、盗難届、被害届など、担当者と話し合いながら自分の状況にあった届出をしてください。
届出をした後は、担当者から受付番号または受理番号を受け取り、それをカードローン会社に伝えましょう。あとはカードローン会社から書類が送られてくるため、必要事項を記入し、返送すれば、不正利用に関する対処は完了です。
なお、ひと通りの手続きが完了した後は、カードローン会社から再発行されたローンカードが送られてきます。引き落とし口座を再設定すれば、今までのように借り入れできるようになるため、引き続きカードローンを利用したい人は覚えておきましょう。
返済義務が発生する場合と発生しない場合
カードローンを不正利用された原因によっては、返済義務が発生する場合と発生しない場合があります。まずは、カードローンを不正利用された際の事例を見ていきましょう。
【 カードローンを不正利用された際の事例 】
返済義務が発生する場合 |
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返済義務が発生しない場合 |
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返済義務が発生するのは、利用者に重大な過失があった場合です。重大な過失とは、注意義務に違反する状態や不注意をいい、些細な注意を払えば違法な結果が避けられたにもかかわらず、回避するための行為を怠ったことを言います。
たとえば、4桁の暗証番号を誕生日に設定していた人は、被害者側にも過失があるため、返済義務が発生する可能性があります。また、家族や同居人など、被害者に近い人物が不正利用していた場合には、管理を徹底していたとは言えず、返済義務が発生する可能性があります。
「暗証番号を覗き見られた」「ローンカードを盗難された」といった状況であれば、被害者に過失はないため、返済義務が発生しないケースも考えられます。
しかし、カードローンを不正利用された人は、“不正利用された時点で何かしらの過失があった”とカードローン会社側に判断される傾向があるため、返済義務が発生する可能性があります。
重大な過失がなかったとしても全額補償は難しい
被害者側に重大な過失がなかったとしても、カードローン会社側に全額補償してもらうのは難しいと言わざるを得ません。クレジットカードやキャッシュカードとは異なり、カードローンには紛失保険や盗難保険が付帯していないからです。
たとえば、クレジットカードが不正利用された場合には、紛失保険や盗難保険が付帯しているため、補償対象期間内の被害額に関しては、クレジットカード会社側が補償してくれます。
また、銀行のキャッシュカードは「預金者保護法」という法律に守られているため、偽造や盗難など、第三者に現金を引き抜かれた場合には、原則として被害額の全額が補償されます。
一方、カードローンの場合には、紛失保険や盗難保険が付帯しておらず、第三者に悪用されたときは“会員規約に基づいた補填”となります。カードローン商品の会員規約に「会員の負担となる」という内容が記載されていれば、原則として利用者負担となるのです。
被害者側に重大な過失がなかった場合には、全額とは言わないまでも、不正利用された金額の30.0%程度は利用者負担となる可能性があるため、まずは利用している銀行や信用金庫、消費者金融、信販会社などの金融機関に確認してみましょう。
早急に対応すれば被害額を補填してもらえる可能性がある
早急に対応すれば、カードローン会社側に被害額を補填してもらえる可能性があります。カードローン会社のなかには、会員規約として不正利用による被害額を補填する旨が記載されているからです。
【A社の会員規約】
カードの紛失、盗難その他の事由により、カードが他人に利用された場合の損害は会員の負担となります。ただし、会員が前項の届出書を当社に提出され、かつ最寄りの警察署にカードの紛失、盗難の届出をされた場合は、当社への届出日の60日前以降に行われたカード不正使用による損害は、当社が補てんします。 |
たとえば、A社の会員規約には、「届出日の60日前以降に行われた不正利用による損害は当社が負担する」という旨が明記されています。「重大な過失がない」「当社と警察署に届出をしている」という人に限りますが、被害額を補填してもらえる可能性があるのです。
会員規約の内容や不正利用された原因にもよりますが、カードローン会社側に全額を補填してもらえる可能性もあります。被害額の支払いに不安を感じている人は、利用しているカードローン会社に連絡してみましょう。
請求額に納得できない人は専門家に相談してみる
不正利用による借入額の支払いを命じられている人は、弁護士などの専門家に相談しましょう。被害者であることをカードローン会社側が認定しなければ、原則として請求を受けることになりますが、請求額に納得できない人は法的手続きを取ることもできるからです。
なお、相談先の候補として挙げられるのは、消費生活センター(国民生活センター)です。消費生活センターとは、事業者に対する消費者の苦情や相談のほかに、消費者啓発活動や生活に関する情報提供などを行っている行政機関です。
消費生活センターでは、クレジットカードやカードローンなど、キャッシングの不正利用に関する悩みを相談できます。また、相談員の判断によっては、弁護士などの専門家を紹介してもらえます。
キャッシングの不正利用に関する悩みを相談したい人は、まずはお近くの消費生活センターを探してもらえる消費ホットライン(電話番号:188)に電話しましょう。
不正利用を防ぐ方法はリスク管理を徹底すること
カードローンを不正利用された人は、今回の経験を活かし、リスク管理の徹底を検討してみてください。カードローンに限らず、クレジットカードなどのキャッシングを利用する場面は今後もあるため、不正利用された人はリスク管理の方法を身に付けておきましょう。
【不正利用を防ぐためのリスク管理】
- 暗証番号を厳重に保管しておく
- カードを肌身離さず持っておく
- 利用限度額を低めに設定しておく
不正利用を防ぐポイントは、暗証番号とローンカードの徹底管理です。不正利用の事例としてあるのは、ローンカードの紛失・盗難によるキャッシング被害です。たとえば、ローンカードの暗証番号を誕生日に設定している人が財布を落とした場合、運転免許証からローンカードの暗証番号を推測される危険性があります。
財布の紛失や盗難は不測の事態と言えますが、ローンカードの暗証番号を推測されづらいものに設定し、いざというときのために利用限度額を低めにしておけば、不正利用による被害を最小限に抑えられるでしょう。
カードローン会社と契約するときは会員規約を確認しておく
今後、別のカードローン会社と契約する予定の人は、申込前に会員規約を確認しておきましょう。カードローン会社によっては、いかなる理由があった場合でも、一切の責任を負わないと明言しているからです。
【B社の会員規約】
暗証番号、本人確認書類、その他銀行が指定する情報、について紛失、盗難、漏洩その他の事由により第三者に不正使用された場合その他の事故があっても、会員がその責任を負担するものとし、銀行は、一切の責任を負担しないものとします。 |
B社の会員規約には、“不正利用されたとしても契約者本人が返済する”という内容が明記されています。カードローン会社との契約は、会員規約を同意した上で行われるため、いかなる理由があったとしても会員規約の効力が生じます。
銀行や信用金庫、消費者金融、信販会社などの金融機関に関わらず、カードローンを利用する際は会員規約を必ず確認した上で申し込みましょう。
◆著者情報
「お金借りるを知る」編集部
運営:株式会社クヌギ
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿1丁目2-9 JF新宿御苑ビル6F
設立:2009年3月2日