連続的な起業家でもあるシリアルアントレプレナーとは

連続的な起業家でもあるシリアルアントレプレナーとは
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

シリアルアントレプレナーとは、事業を連続していくつも立ち上げる起業家を意味する言葉です。1度の起業で成功を収める方は身近にも存在するかと思いますが、2度以上の起業で成功を収める方というのはなかなかいないものです。人生100年時代に突入し、会社で働くだけでなく自分で事業を立ち上げることを視野に入れる人が増える中、起業家の1つのロールモデルとして注目され、真似をしたいと考える人も増えてきています。

この記事では、これから会社設立を検討する方のためにシリアルアントレプレナーの考え方や実際に活躍する人の経歴、人物像をご紹介します。

1.シリアルアントレプレナーとは

シリアルアントレプレナーは、“仲介人や貿易省”という意味を持つ「Entrepreneur」というフランス語に、“連続的な”という意味を持つ「serial」という英語の言葉が合わさり生まれたビジネス用語です。「Entrepreneur」の語源はもともとフランス語で、現在では英語化されて、一般的には“起業家”という意味で世界中に広がっています。

シリアルアントレプレナーは、もともと起業が活発なアメリカで事業が軌道に乗ると事業を売却して資金を調達し、また新たなビジネスを始める起業家を評価する文化から生まれた起業家の在り方の1つです。日本でもネット大手、ヤフー等によるベンチャー買収が進み、起業家の1つのモデルとしてシリアルアントレプレナーという考え方が浸透してきています。

最初に開始した事業を育て、会社を大きくするために経営を続けることが一般的ですが、起業後10年以内に倒産してしまう可能性は95%とも言われています。この高い確率の中で、1つの事業で経営を断続していくことはとても簡単な事ではありません。いくつもの事業を新規で開始しているシリアルアントレプレナーが考える「起業」とは何かをご説明していきます。

 

2.シリアルアントレプレナーの起業への考え方

シリアルアントレプレナーは、売却できる事業が育つまでWebを利用するローリスク起業などをメインで行い、事業がたとえ失敗したとしても、再起できるダメージに抑えながら事業立ち上げを行っています。立ち上げた事業のうち、利益を生み出すことが出来るものを、生み出すことが出来たら、市場の変化や断続した利益拡充の可否を加味し、事業の売却を行います。

事業が好調な時期に事業を売却する理由

シリアルアントレプレナーが利益を上げられる事業を売却する理由として、社会情勢の激しい変化への対応が上げられます。起業して事業を軌道に乗せることが出来たとしても、断続して大きな利益を出し続けることや、成長するためには、さらなる経済的資源が必要になります。現状の事業に対して、資金や人材などの成長に必要な資源を保有しているかを加味し、成長が難しい場合に事業を売却し、別の事業を行うことで変化に対応しているのです。

売却した事業に買い手がつく理由

シリアルアントレプレナーが売却した好調な事業が、10年後も同じように好調な経営を続けることが出来るのか、と疑問に思った方もいるかもしれません。たしかに、10年後にも同様の売上を確保することは難しいですが、事業を成長させるためには経済的資源(人材や資金)が必要となり、大手企業にはその余力がある為、買い手がつくのです。

シリアルアントレプレナーは、事業が好調な時期に売却し、資金を手にすることができ、大手企業は、軌道に乗っている好調な事業を手にし、経済的資源で事業を成長させ、利益を確保することができるため、シリアルアントレプレナーが売却した事業にも買い手がつくのです。

必ずしも事業が成功するわけではない

起業してから10年以内に約95%の企業が倒産すると言われていますが、シリアルアントレプレナーだからといって、全てが成功するわけではありません。先ほどご説明した通り、ローリスクで起業を行うからこそ、失敗をしたとしても再起が可能、また新たな起業を考えることが出来るのです。

起業を繰り返し、数多くの事業に失敗してきた経験を詰んでから、最終的に成功を手にするシリアルアントレプレナーも存在します。失敗をして諦めるのではなく、失敗から学ぶことを次にどのように活かすか、という点が重要です。失敗した事から何も学ぶことが出来なければ、いくら新しい事業を開始しても失敗を繰り返してしまうでしょう。

新規事業で更なる利益を確保

現在実施している事業が好調で利益をキープすることは可能だとしても、ローリスクで開始した起業の為、利益を拡大することは、経済的資源から困難だとシリアルアントレプレナーは考えます。そのため、事業を売却し、経済的資源がある企業に事業を買い取ってもらい、資金を手にします。

手元資金が潤沢になるという事は、融資も受けやすく、新しく始める事業に最初から投資できる資源が大きくなるため、現在実施している事業ではなく、新規事業で更なる利益確保を目的としているシリアルアントレプレナーも少なくありません。

 

3.連続起業する理由とは

売却によって大きな金額を手に入れることができる

起業した際に、どうすれば事業を成功に導き、どうしたらより多くの方に技術を認めてもらうことが出来るのか、毎日必死に業務に専念するかと思います。シリアルアントレプレナーとして、これまで実施してきた事業を売却し、新規事業を立ち上げる場合、事業が好調なときに手放すことになります。

事業成長のために取り組んできたものを全て手放す代わりに、大きな資金を手に入れることができ、新規事業を開始する場合であっても、手元に大きな資金を持っているという事は強みとなります。その理由として、多くの方が手元資金にプラスして融資を受けるかと思いますが、融資金額の2~3割の資金を保有していることで、融資を受けやすいというメリットがあるのです。

経験値の向上

1つの事業を、成功した後もずっと続けた起業家と、成功した事業を売却し同じ期間でいくつかの事業を立ち上げた起業家では、経験値が変わります。シリアルアントレプレナーとして起業した場合、起業家、経営者としての経験値を向上することができます。

 

4.シリアルアントレプレナーが持っている資質

“経験値を詰むためにシリアルアントレプレナーになろう!”と考えても、事業を一度成功させ、その事業を売却し、新規事業を開始する流れを繰り返すことは容易ではありません。その流れを作ることができるシリアルアントレプレナーは、他人と何が違うのか。

米国調査会社の統計結果によると、シリアルアントレプレナーとして成功する人は、周囲の人を自分の事業に巻き込むスキルを持っている傾向にあります。(参考:ターゲット・トレーニング・インターナショナル HBR.ORG)周囲の人を巻き込むスキルとして、説得力と責任能力の2つが特に目立ちます。

説得力

シリアルアントレプレナーは、例え異なる考えや信念を持っている人でも、自分が行動することで説得に変える説得力を持っています。その説得力を支えるのは、自分が思い描く未来像を具体的な数字と、短期での目標に落とし込む力になります。他人を説得できるほどの明確な目標と必要な行動の具体化ができているからこそ、リスクを負っても支援してくれる相手を見つけることができるのです。

責任能力

シリアルアントレプレナーは、自分で目標を立て、達成に全力を注げる強い意志を持っています。また、起業していくうえで壁となるものを、“邪魔”というのではなく、一つの過程と考え、諦めることはせずにその壁に刺激を受け、自分へのやる気材料に変えています。シリアルアントレプレナーは自分の目標を強く意識し、達成に必要なことが何かを発信することで、他人を巻き込み事業を作り上げる原動力としています。

 

5.日本で活躍するシリアルアントレプレナー

シリアルアントレプレナーは日本においても多くの方が活躍しています。日本国内で活躍するシリアルアントレプレナーについて、その経歴や企業実績、起業への考え方をご紹介します。

家入一真

【経歴】

年月日社名会社概要
2010年4月パーティカンパニーカフェ運営(オンザコーナー等)
2011年1月ハイパーインターネッツクラウドファンディングサイト運営(CAMPFIRE)
2012年1月パーティファクトリースタートアップ企業対象の投資や育成
2012年5月Livertyものづくり集団
2012年8月crewwオープンイノベーションプラットフォーム運営
2012年12月BASEEコマースプラットフォーム運営

【起業を志したきっかけ】

学生時代のいじめが原因となり引きこもり、高校を中退後も引きこもりの生活を3年間送っていたそうです。親の事故等から就職をしても上手くいかずにクビ、という日々を送っていた頃に、結婚や奥様の妊娠が発覚し、「このままではいけない」という思いから起業を考えたそうです。

【企業実績】

2008年に「株式会社paperboy&co.」を史上最年少でジャスダックに上場させ、2011年に「株式会社ハイパーネッツ」を設立します。その後、2012年には3社の設立、2015年に「株式会社XIMERA」を設立し、現在では「CAMPFIRE」代表取締役、「BASE」取締役、「XIMERA」代表取締役を務めています。

【どのような考え方を大切にしている人物か】

家入さんは「起業は好き、だが、経営は好きではない」と言います。会社に馴染めないなら自分で会社を作る、というアイデアと行動力、また、最初から欲張るのではなく始めは小さい会社から立ち上げ、自身の過去を振り返った時に、強みとなるものを実践で活かすことが成功に導くポイントと言えます。

有安伸宏

【経歴】

年月日社名会社概要
2007年コーチ・ユナイテッド株式会社プライベートコーチのCyta.jpの運営
2015年Tokyo Founders Fund投資の仕組みの作成

【起業を志したきっかけ】

現在ではネット社会と言われるまでに成長しましたが、ネットが広まり始めた頃に、幼少期に集めていたキャラクターシールが高額で売れたことがきっかけだそうです。中学生時代にネットの世界に魅了され「この世界で何かすごいことをやりたい」と思ったそうです。

その後、19歳という若さでありながら、初めて起業を行いました。

【企業実績】

大学を卒業後、「ユニリーバ・ジャパン株式会社」へ入社し、マーケティングを担当、2007年には様々な分野での個人指導講師を見つけることができるサービスの運営等を行う「コーチ・ユナイテッド株式会社」を創業します。2013年の9月に、料理レシピのコミュニティサイトで有名なクックパッドへ、全株式を売却し、2016年には社長を退任しています。

2015年には、今までにない投資の仕組みの作成を目的とした、若き投資家8人による「Tokyo Founder Fund」を共同設立し、これから起業を目指す起業家のサポート活動等を続けています。

【どのような考え方を大切にしている人物か】

「経験値を上げるためには場数を踏むことが大切」という考えを有安さんはお持ちです。単純に場数を踏むのではなく、場数を踏みながら自身にあった投資術を身につけ、投資をする際の役割としては「監督」という立ち位置を大切にしています。

また、自分一人ではなく仲間やエンジェル投資家とチームを作り、協力をしあうことで効率的な活動ができ、成功へも近づきます。

 

まとめ

今回は連続起業家として知られているシリアルアントレプレナーについてご紹介しました。事業を売却したり譲渡したりして新規事業を立ち上げることに対して、あまり良い印象を持っていない方も多いでしょう。しかし、起業大国であるアメリカでは、会社を売却することは素晴らしい事業であるからこそ売却することができ、売却で得た資金をもとに新しい事業を開始するための一歩である、という考え方が浸透しています。

起業をお考えの方、新たな事業を開始したい方、起業でお悩みの方、事業立ち上げの1つの選択枠として世界各国のシリアルアントレプレナーを参考に、今後に活用してみてはいかがでしょうか。

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