今回ご紹介するのは、長らく美容師として経験を積んできたKさんの融資事例です。Kさんは美容室の開業のため、日本政策金融公庫から1000万円の融資を受けました。
Kさんが融資を受けることができた要因は何だったのでしょうか。詳しく解説していきます。
<Kさんの当時の状況>
- 自己資金は200万円
- 美容室経験は13年程
- 400名の指名客を持っていた
美容師業界は比較的融資を受けやすい傾向
まず、大前提として美容師の方が開業される場合はそれ以外の業種と比較し、融資は受けやすい状況にあるという点があるかもしれません。
なぜ融資を受けやすいのか?それは、美容師の方には固定客(指名客)がついていて、独立した場合にそれらの顧客がついてくるので売上が立ちやすいと考えられるからです。
もう一つの理由は、美容室の場合は設備費がかかる、と金融機関がわかっているということが挙げられます。スケルトン(居抜き)物件であっても、規模によっては500~600万円以上の内装費がかかります。その点が認められたことが、融資審査で評価されたと考えられます。
半年間定期的に貯めた自己資金が功を奏した
融資の際は最低100万円程度の自己資金があるかが審査の基準の一つになります。これは、返済能力があるのかという点だけでなく、融資を受ける事業主に計画性があるかを判断するための基準であると言えます。
Kさんの場合、美容室(会社)に勤務しながらお金を貯めようとしましたが中々うまくいかなかったので、半年前にフリーランスとして起業するために会社を退職していました。そして、融資を受けようと申し込む前に半年間をかけて少しずつ預金をしていったのです。
もし、Kさんがキャッシングなどから一括で借りて、それを日本政策金融公庫へ自己資金として提示したなら融資は難しかったことでしょう。
なぜなら、融資の審査で預貯金があるか(自己資金があるか)を見る目的は計画性を問うためだからです。
200万円が一括で振り込まれた通帳を見た日本政策金融公庫の担当者は下記のように尋ねるでしょう。
融資担当者:このお金はどこから振り込まれたのですか?
あなた:アコムです
融資担当者:では、融資が成功した場合はアコムに返済しなければいけないのですか?
十分な経験と指名客400名超の顧客名簿が決め手となった
融資審査に通過した要因のひとつとして、Kさん自身の美容室としての腕前が確かなものであったという点も考えられるでしょう。実は、Kさんには美容師として13年間もの勤務実績があり、400名以上の指名客がいました。
融資の決め手となったのは、これらの実績をきちんと書面化して提示できた点にあります。
Kさんは指名客情報を個別に以下のようにリスト化していたのです。
- いつ(何月何日)来店したか
- どういったサービス(カット、カラーなどサービス名や使った薬品など)を提供したのか
このリスト化は日本政策金融公庫の融資を受ける点で非常に重要です。いくら口頭でアピールしても、それを信じるための証拠がないと融資担当者も鵜呑みにはできません。
このリストから、しっかりとした顧客管理ができている→経営能力がある、といった一連のイメージをKさんは融資の審査でアピールすることができました。また、顧客リストは売上根拠としても利用できます。これだけのお客さんがいるから、独立してもこれだけの売り上げが上がりますよ、という説明がしやすくなるのです。
コンテストでの受賞歴をアピールできた
美容師やシェフなど「手に職」系のお仕事で企業されたい方は、コンテストなどの受賞歴があると技術力の高さを融資の際にアピールできます。
Kさんの場合も美容系のコンテストでの受賞歴があり、その証拠である賞状もご持参いただきましたので、日本政策金融公庫の融資担当者がその技術力を認める要因となりました。
まとめ
今回ご紹介したKさんの場合は13年の勤務実績と400名の顧客リストという実績がありました。あなたが融資を受ける場合、当然Kさんと全く同じという状況ではないでしょう。そのため、自分の状況に合った融資戦略を練ることが大切です。美容室開業でのご相談は、融資の専門家にお気軽にお問合せください。